スクリーンショット__165_

ポッドキャストアワードに思ったこと

"今、絶対に聴くべきPodcastを発掘する"という「JAPAN PODCAST AWARDS 2019」の一次審査が終了しました。
まず、審査前の僕が思っていたことはこちらの記事で。

エントリー対象番組の総数は821作品だったそうです。
そこからノミネート20作品が選ばれ、さらにノミネートにはならなかったものの推薦作品として+60作品が選出されていました。
僕らの番組「便所のつぶやき」はどちらにも選ばれず。
発表の瞬間は「あーダメだったかー」くらいの感想だったのですが、段々と違和感が強くなってきたのと、一応ノミネート20作品は聴き終わったので、つらつら意見を書いていこうと思います。

ポッドキャスト全然知られていない

結論から言うととてもがっかりしました。
自分の番組が選出されなかったことにではなく、アワードの質に対してです。(そうは受け取ってもらえないでしょうが)
以前のnoteにこう書きました。

今回のアワードに注目している配信者は数多いと思います。僕もその一人。もちろん「大賞獲りたい!最終審査に残りたい!」という欲も大いにあるのですが、なによりポッドキャスト人口が増えることに期待したいです。
僕はお笑い芸人をやっていますが、お客さんや仲間に「ポッドキャスト」という言葉がストレートに通じることは少ないです。
わざわざ「ネットラジオ」なんて言い直さなくても済むようにする為には、やはりご新規さんがポッドキャストに入ってきやすい導線がなければと思います。

選出されずとも「ポッドキャスト」を知る人が増えれば結果的に自分の番組も利するので期待をしていましたが、僕にはとてもそうはならなさそうに見えました。

一次審査の疑問

まず審査方法について、いくつか疑問があります。
各界インフルエンサーが審査するのはノミネート20作品のみで、821 → 20(+60)の一次審査はアワード実行委員が行ったようです。
821作品すべてを聴いたそうですが、はたしてエントリー開始~結果発表までの二ヶ月弱で、膨大な音声プログラムを整理して審査して、ということがどれだけ適切なのか僕には疑問です。
これが例えばお笑いのコンテスト(M-1グランプリ等)だったら、一回戦から決勝戦まで5~6段階の審査過程があって、期間も3~4ヶ月はかけています。一組に対して審査員は常に複数人で判断し、主に放送作家が担当することが多いです。

今回のアワードでは一次審査において、誰がどういう基準で審査をしたのかほとんど分かりませんでした。
実行委員の旗頭となっているメチクロさんという方は唯一名前が出ていましたが僕は存じ上げませんでした。
どうかポッドキャストの大家であってくれ・・・という思いで検索しましたが、MHzradioというあまり腰を入れてはやっていなさそうな番組が見つかっただけで、たいしたポッドキャストとの関わりは見い出せませんでした。
いっそポッドキャストにまったく関わりの無い、外の目線を持った人に審査してもらいたかったというのが正直な気持ちです。

誰も止めない番組紹介文

一番不可解なのはノミネート20作品につけられた紹介文です。
素案が出た時、誰も止めなかったのでしょうか・・・?
伝わらない横文字を多用して極端なFMノリを演出して、書き手の方は番組紹介を自己表現の場と勘違いしているように感じました。
疑いようの無い大失敗作だと思いますが、「さすがにそれ伝わらないよ」となぜ誰一人指摘しなかったのでしょう。
ポッドキャストに縁のない人があれを読んで興味を持つとは僕にはまったく思えませんでした。
実行委員がどういう体制なのか一番疑問に思った部分です。

ポッドキャスト予備校

一次審査の結果発表と同時に「ポッドキャスト予備校」という番組が開始されました。パーソナリティは実行委員のメチクロさん。
現在配信されている3回分聴きましたが、やはり『(この番組がアリかナシかは)秒で分かる』という発言はかなりの悪手だったと思います。
僕は選出作品・非選出作品を見て「ちゃんと聴いたのかな・・・?」と思っていたので、一層疑惑の念が強くなりました。
そしてなにより落胆したのは、この発言がアウトだと分からないバランス感覚の無さ・客観性の無さです。(カットは可能なはず)
いよいよ手で触れるくらいクッキリ驕りが浮かび上がっていて、まだなにがしかアワードに期待していた自分の心がきれいに冷めました。

ポッドキャストならではの文化

ポッドキャスト予備校については、すでに指摘している方もいますが、僕も「ラジオの作り方」の話をしているように思えました。
僕がこのアワードを受け入れられない部分がそこで、どうも地上波ラジオの下位互換としてポッドキャストを捉えてるように感じるのです。

ノミネート20作品を聴き終わったあとの僕の第一印象は「広告つけやすそうだな」でした。面白いと思った番組もありますが、そこに焦点を置いて審査をしてるようには感じられませんでした。
「こんな番組があるので広告出しませんかカタログ」に見えたのが僕の正直な感想です。
もちろんそういう未来は是非きてもらいたいですが、まず「ポッドキャスト」という言葉がてんで通用していない現在で、魅力を一番に訴求しないのって致命的なんじゃないでしょうか。

僕はYouTubeが大好きなのですが、ハマったのはテレビとはまったく違う文化がそこにあったからです。
2005年にポッドキャストが始まって約15年。
長く見向きされない中、独自に発展した新しい文化を世間にお披露目するのかと思っていたら、そうではありませんでした。
見知った、目新しさのない、とてもつまらない物差しでした。残念。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?