現スタン環境のヨーリオンデッキ網羅!

by AFTEROFFICETTV

20/10/24

注:本記事はMTG Arena Zoneの「50 Shades of Yorion: All the Decks and Variations」をベースとして、後半に筆者自身の感想なども含めた意訳記事となります。


やあ、みんな!
「ゼンディカーの覚醒」環境は様々なデッキが成功を収め、ますます面白いことになっているね。
フォーマットの均衡を取り戻すためには《創造の座、オムナス/Omnath,Locus of Creation》と《幸運のクローバー/Lucky Clover》の禁止は仕方なく、それによって競技シーンで鳴りを潜めていた多くのデッキが表舞台に戻って来た。
今のところ、多種多様なデッキによってメタゲームは変化していっている。

新環境になって早二週間。
ゆっくりだが着実に一軍と二軍の間に差が付き始めている。
そしておそらく現時点でtier1の座についているのは、《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion,Sky Nomad》デッキだ。


『相棒』の制度変更後もしぶとく生き残り続ける《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》と《ヨーリオン》に共通するのは、盤面に出るだけで無視出来ないほどのアドバンテージをもたらす点だ。
フォーマットには「場に出た時に~」効果の強カードが複数存在し、それらと組み合わせて莫大なカードアドバンテージと盤面制圧力を得ている。
「イコリア:巨獣の棲処」のリリース以前に、80枚デッキがスタンダード環境の基準になるだなんて誰が予想できただろうか。

今回は現環境に登場して以来、ゆっくりとメタゲームを掌握しつつある《ヨーリオン》デッキの全タイプについて解説しようと思う。
アゾリウス(青白)、青白黒(エスパー)、白黒(オルゾフ)、青赤白(ジェスカイ)、セレズニア(緑白)、そしてアブザン(赤白黒)やバント《青白緑》などのデッキリストの特徴を捉えて見て行きたい。
ただし、全てのカラーリングで目標とするところは同じだ。

5マナの飛行生物を出して、可能な限りアドバンテージを稼ぐ

さあ、どの《ヨーリオン》を使うべきか見てみよう!


アゾリウス

《相棒》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《クリーチャー》9
2《夢さらい/Dream Trawler》
4《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《ソーサリー》6
3《エメリアの呼び声+砕け散ったスカイクレイブ、エメリア/Emeria's Call+Emeria,Shattered Skyclave》
3《空の粉砕/Shatter the Sky》

《インスタント》11
3《本質の散乱/Essence Scatter》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
3《否認/Negate》
3《意味の渇望/Thirst for Meaning》

《アーティファクト》8
4《ガラスの棺/Glass Casket》
4《精神迷わせの秘本/Mazemind Tomb》

《エンチャント》15
4《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
3《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
4《メレティス誕生/The Birth of Meletis》

《土地》31
1《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
2《ヴァントレス城/Castle Vantress》
11《島/Island》
8《平地/Plains》
4《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》
4《啓蒙の神殿/Tmeple of Enlightenment》
1《平穏な入り江/Tranquil Cove》

《サイドボード》
2《垣間見た自由/Glimpse of Freedom》
3《神秘の制圧/Mystic Subdual》
2《神秘の論争》
1《否認》
4《サメ台風/Shark Typhoon》
1《空の粉砕》
1《崇高な天啓/Sublime Epiphany》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》相棒


この青白バージョンは他のカラーリングに比べて最も古典的なコントロールデッキに仕上がっている。
打ち消しとインスタントが豊富なため、《エルスペス、死に打ち勝つ》や《ヨーリオン》などの高マナカードでタップアウトしがちな対戦相手に対して優位がとりやすい。
青白にはもう一つのデッキタイプがあり、それは《魅力的な王子/Charming Prince》や《深海住まいのタッサ/Thassa,Deep-Dwelling》を《ヨーリオン》と組み合わせて「場に出た時に~」系のカードを何度も何度も繰り出す『ブリンク』タイプだ。
もしも《ヨーリオン》の同型戦が多くなると予想するのなら、よりコントロール重視のリストをオススメする。
しかしブリンクタイプが満遍なく誰とでも渡り合える力を持っているのも確かだ。
続いて、このデッキでのキーカードを見てみよう。

《海の神のお告げ》

画像1

青い《ヨーリオン》を選ぶ絶対的な理由がこれ。
まず手札の質を担保し、更に占術が必要になったら生贄に捧げれば良い。
理想的なのは、《ヨーリオン》によって再利用することだ。
「瞬速」を持つ点も素晴らしく、これが打ち消しを構える動きとも噛み合っている。

《中和/Neutralize》

画像2

既に述べた通り、他のカラーリングとの大きな違いが打消しの有無だ。
言い換えれば、対戦相手の《ヨーリオン》を解決するかどうかの選択権はこちら側にあると言える。
《本質の散乱》、《否認》、《中和》、そして《神秘の論争》を混合させることにも意味がある。
カードを大量に引けるデッキタイプなので、同じカードを複数枚引くよりは、異なるカードを一枚ずつ抱えていた方が、状況に即して正しいスペルを使えるようになる。


オルゾフ

《相棒》
《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《プレインズウォーカー》2
2《太陽の宿敵、エルズペス/Elspeth,Sun's Nemesis》

《クリーチャー》15
4《収得の熟練者/Acquisitions Expert》
4《魅力的な王子》
4《スカイクレイブの亡霊》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《ソーサリー》9
4《苦悶の悔恨/Agonizing Remorse》
2《血の長の渇き/Bloodchief's Thirst》
2《エメリアの呼び声+砕かれたスカイクレイブ、エメリア》
1《空の粉砕》

《インスタント》7
2《ハグラの噛み殺し+ハグラの群れ穴/Hagra Mauling+Hagra Broodpit》
3《無情の行動/Heartless Act》
2《魂の粉砕/Soul Shatter》

《アーティファクト》3
3《ガラスの棺》

《エンチャント》12
4《予言された破滅/Doom Foretold》
4《エルズペス、死に打ち勝つ》
4《裏切る恵み/Treacherous Blessing》

《土地》32
4《陽光登りの小道+恐怖登りの小道/Brightclimb Pathway+Grimclimb Pathway》
1《アーデンベイル城》
2《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
2《インダサのトライオーム/Indatha Triome》
6《平地》
2《サヴァイのトライオーム》
8《沼/Swamp》
4《静寂の神殿/Tmeple of Silence》

《サイドボード》
2《封じ込める僧侶/Containment Priest》
3《強迫/Duress》
2《エルズペスの悪夢/Elspeth's Nightmare》
1《ガラスの棺》
2《空の粉砕》
4《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》相棒

青を失った代償は大きいものの、黒を加えたことでディスカードスペルが使えるようになったのは遅いデッキに対する利点だ。
大抵はメインに《苦悶の悔恨》、サイドボードに二枚程度の《強迫》を採用している。
《沼》を使うことで除去手段の選択肢は広がり、《予言された破滅》も採用できる。
ただ、このカードは《ヨーリオン》とやや競合してしまう場合があるので注意が必要だ。(パーマネントをブリンクさせたい《ヨーリオン》と、パーマネントを生贄にしてしまう《予言された破滅》)
このカラーリングは軽い妨害手段に加えて、ライフを得ながら壁となる小粒のクリーチャーが豊富なため、アグレッシブな対戦相手に優位を取れる。
キーとなるカードは以下。

《予言された破滅》

画像3

高マナ域パーマネントを軸にしたデッキに対して強烈な一枚。(高マナでなくても効果は十分に得られる)
オルゾフ版はこのエンチャントありきで構築されており、場に出てすぐに効果のあるパーマネントだらけになっている。そのため、何ら躊躇なくパーマネントを生贄に捧げられる。
多くの場合、ここに他の除去スペルも加わるため、対戦相手は最終的にベストカードを生贄に差し出すか、あるいは何もプレイせずにターンを渡すかを選ぶことになる。
どちらにせよ、次のアップキープで手札を一枚失ってしまうわけだけれど。
こちらの盤面に目を向けると、一刻も早く生贄にしたいカードが存在する。
それは…

《裏切る恵み》

画像4

黒色を足す最たる理由ではないにしても、黒を使う理由の一つにはなる。
3マナで3枚という馬鹿げた効率に加え、パーマネントして残るため《予言された破滅》の生贄にしても良いし、《ヨーリオン》で再利用する対象としても◎。
呪文を唱える度に1点のダメージを受けるデメリットは常に気にしなければいけない。
ゲームによってはそれが重くのしかかることもあり得る。
しかし、多くの場合は《魅力的な王子》や《太陽の宿敵、エルズペス》のもたらすライフ回復によって気にならない事が多い。

エスパー

《相棒》
《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《クリーチャー》7
4《スカイクレイブの亡霊》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《ソーサリー》11
4《血の長の渇き》
3《屋敷の踊り/Dance of the Manse》
2《エメリアの呼び声+砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》
2《絶滅の契機/Extinction Event》

《インスタント》2
2《ハグラの噛み殺し+ハグラの群れ穴》

《アーティファクト》4
4《ガラスの棺》

《エンチャント》25
4《予言された破滅》
3《エルズペス、死に打ち勝つ》
3《エルズペスの悪夢》
4《海の神のお告げ》
3《太陽の神のお告げ》
2《サメ台風》
3《メレティス誕生》
3《裏切る恵み》

《土地》31
4《陽光登りの小道+恐怖登りの小道》
4《清水の小道+泥水の小道/Clearwater Pathway+Murkwater Pathway》
4《寓話の小道》
3《島》
4《平地》
2《沼》
4《欺瞞の神殿/Tmeple of Deceit》
4《啓蒙の神殿》
2《静寂の神殿》

《サイドボード》
2《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》
2《夢さらい》
3《強迫》
3《神秘の論争》
2《サメ台風》
2《魂調ランタン/Soul-guide Lantern》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》相棒


これは除去に長けた黒と、《海の神のお告げ》と打ち消しに長けた青の、良いとこ取りをしたようなカラーリングになっている。
その代償として、ややマナベースに難を抱えている。
と言うのも、現環境に「エスパーのトライオーム」が存在しないからだ。
ゲームプランはほぼ同様で、ゲームを長引かせ、《予言された破滅》で対戦相手をゲームから締め出してしまう。
しかしこのリストでは、そこからもう一歩進んだ勝ち手段として《屋敷の踊り》を採用しており、それがそのままキーカードにもなっている。

《屋敷の踊り》

画像5

一発でゲームを決めてしまう強烈さを持つ《踊り》は、このリストでも例外ではない。
序盤に使っても素晴らしい(例えば、合計5マナで《メレティス誕生》と《エルズペスの悪夢》を戻したり)が、後半はまさしく一撃必殺となる。
《予言された破滅》で生贄に捧げたカードのほとんどを場に戻し、「場に出た時」効果を再利用し、ゲームを終わらせる4/4の部隊を作り出す。
大量のマナを要求する呪文の常として、打ち消しには非常に脆い。(特にこのカードが青いため、たった1マナで《神秘の論争》されてしまう場合もある)
しかし、サイド後はこちらも打消しを構えてやり合える。

《エルズペスの悪夢》

画像6

軸となるカードではないものの、アグロデッキの序盤を押しとどめるのに非常に有用なため、ここで言及したい。
(アグロデッキでなくても、対戦相手の《スカイクレイブの亡霊》を処理できるのは意味がある)
この「伝承」で1対2交換ができれば最高だが、仮に対象となるクリーチャーがいなくても、手札を捨てさせる「章」は非常に有用だ。
もし、対戦相手の墓地を追放する「章」からもアドバンテージが得られたのなら、その時にはこのカードがきら星のように輝いて見えるだろう。
(まだまだ《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa,Titan of Death's Hunger》は脅威だし、《エルズペス、死に打ち勝つ》も数多く使われている)


セレズニア

《プレインズウォーカー》3
1《精霊龍、ウギン/Ugin,the Spirit Dragon》
2《怪物の代言者、ビビアン/Vivien,Monsters’Advocate》

《クリーチャー》22
1《魅力的な王子》
4《金のガチョウ/Gilded Goose》
4《ラノワールの幻想家/Llanowar Visionary》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4《スカイクレイブの亡霊》
4《意地悪な狼/Wicked Wolf》
4《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《ソーサリー》7
2《耕作/Cultivate》
4《エメリアの呼び声+砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》
1《変わり樹の共生+うねる森、変わり樹/Turntimber Symbiosis+Turntimber,Serpentine Wood》

《アーティファクト》2
2《ガラスの棺》

《エンチャント》6
2《エルズペス、死に打ち勝つ》
4《パンくずの道標/Trail of Crumbs》

《土地》20
4《枝重なる小道+石重なる小道/Branchloft Pathway+Boulderloft Pathway》
8《森/Forest》
4《平地》
4《豊潤の神殿/Temple of Plenty》

《サイドボード》
3《鎖巣網のアラクニル/Chainweb Aracnir》
2《エルズペス、死に打ち勝つ》
2《ガラスの棺》
3《巻き添え/Run Afoul》
3《漁る軟泥》
2《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》

青と黒を切り捨てて緑に突き進んだ結果、デッキのプランはがらりと変わり、「食物」を利用する形となった。
《金のガチョウ》と《ラノワールの幻想家》によって早い段階から大きなスペルの使用が可能となり、
ゲーム後半では5マナの相棒を唱える際や、1ターンに複数のスペルを使える場合など、ゲームを通してマナ加速が有効に働く。

このデッキに入っている緑色のカードは《グレートヘンジ/The Great Henge》を除いて全て「場に出た時に~」効果を持つため、《ヨーリオン》との相性が非常に良く、その《グレートヘンジ》でさえも、ブリンクから戻って来たクリーチャーの枚数分だけカードを引けるという相乗効果を持つ。
もちろん、緑白構築はマナカーブが高めなのでコントロールデッキに分が悪く、また打ち消しもディスカード手段も持たないため、ティムールランプとの相性は絶望的と言って良い。
相手のやりたい事に干渉できず、《発生の根本原理/Genesis Ultimatum》や《精霊龍、ウギン》が解決されてしまうとほぼ負け確定となる。
それでは、キーカードについて見ていこう。

《パンくずの道標》

画像7

最序盤に出せる軽量エンチャントで、《金のガチョウ》との組み合わせは素晴らしいカードアドバンテージエンジンとなる。
これ自体が「食物」トークンを作ってくれるのが非常に重要で、「食物」を必要とするカードが他にも入っているため、《ヨーリオン》でブリンクする度に「食物」を供給してくれるのはありがたい。
《パンくずの道標》に関して重要なのは、メインの60枚が全てパーマネントなので(注:上述のリストではソーサリー7)、 《パンくずの道標》の能力で毎回カードを得られる。

《意地悪な狼》

画像8

エルドレインの王権リリース直後に競技シーンで少しだけ使われ、《王冠泥棒、オーコ/Oko,Thief of Crowns》の退場で「食物」メカニックとともに忘れ去られてしまった優秀な狼。
このデッキでは追加の除去手段であるとともに、これ自体が確実なクロックとなる。
言わずもがな、《ヨーリオン》との相性もバッチリだ。
対戦相手の《スカイクレイブの亡霊》を処理するのに完璧な3/3というボディに加え、《パンくずの道標》と《金のガチョウ》が「食物」を量産するため、必要とあらば更に大きなクリーチャーだって打ち倒してしまえる。

サイド後に使える小ネタを一つ。
自分のメインフェイズに狼を破壊不能状態にして4/4にする。
その後で《空の粉砕》を使うと、対戦相手の盤面を空にしつつ、こちらには狼が残るばかりか《空の粉砕》の効果で追加のカードを引けてしまう!


バント

《相棒》
《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《クリーチャー》20
1《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun's Grace》
1《夢さらい》
1《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
4《金のガチョウ》
2《玻璃池のミミック+玻璃池の岸/Glasspool Mimic+Glasspool Shore》
1《軍団の天使/Legion Angel》
2《セテッサの勇者/Setessan Chanmpion》
3《スカイクレイブの亡霊》
2《意地悪な狼》
1《静まらぬ大地、ヤシャーン/Yasharn Implacable Earth》
2《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《ソーサリー》4
《エメリアの呼び声+砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》

《エンチャント》30
1《払拭の光/Banishing Light》
4《エルズペス、死に打ち勝つ》
4《奇怪な具現/Enigmatic Incarnation》
4《神秘の制圧》
4《海の神のお告げ》
4《太陽の神のお告げ》
1《メレティス誕生》
4《パンくずの道標》
4《狼柳の安息所/Wolfwillow Haven》

《土地》26
4《枝重なる小道+石重なる小道》
4《寓話の小道》
3《森》
3《島》
6《平地》
1《啓蒙の神殿》
3《神秘の神殿/Temple of Mystery》
2《ゼイゴスのトライオーム》

《サイドボード》
3《運命を紡ぐ者/Destiny Spinner》
3《ガラスの棺》
1《垣間見た自由》
3《軍団の天使》
2《神秘の論争》
2《否認》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》相棒

これは緑白をベースに、《海の神のお告げ》、《深海住まいのタッサ》、サイドボードの打ち消しや《サメ台風》のために青色を足したものだ。
(個人的には、これらの追加は価値があると思っている。手札の質を向上させ、《ヨーリオン》の効率をより高めるからだ)

ただし、エスパー構築と同じ問題も抱えている。
「バントのトライオーム」不在問題だ。
結果として、色マナのやりくりがやや大変で、適切なタイミングで必要な色マナを確保できない事があるものの、デッキパワーと柔軟性は高まった。
いくつかのリストで《真面目な身代わり/Solemn Simulacruum》を二枚ほど採用している理由は、このマナ問題の緩和だろう。
マナの色を気にせずプレイ可能で、色マナ問題を調整し、《ヨーリオン》との組み合わせも素晴らしい。
既に重要なカードについては言及しているため、ここで取り上げるキーカードは無し。


アブザン

《相棒》
《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《クリーチャー》24
4《収得の熟練者》
3《魅力的な王子》
4《金のガチョウ》
3《ラノワールの幻想家》
3《スカイクレイブの亡霊》
4《意地悪な狼》
3《空を放浪するもの、ヨーリオン》

《アーティファクト》3
3《ガラスの棺》

《エンチャント》22
4《予言された破滅》
4《エルズペス、死に打ち勝つ》
3《狩猟の神のお告げ》
3《太陽の神のお告げ》
4《パンくずの道標》
4《裏切る恵み》

《土地》31
4《枝重なる小道+石重なる小道》
4《陽光登りの小道+恐怖登りの小道》
4《寓話の小道》
5《森》
4《インダサのトライオーム》
3《平地》
2《沼》
2《疾病の神殿/Temple of Malady》
3《静寂の神殿》

《サイドボード》
4《苦悶の悔恨》
2《エルズペスの悪夢》
1《ガラスの棺》
2《ネスロイの神話/Mythos of Nethroi》
3《漁る軟泥》
2《スカイクレイブの影》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》相棒

このリストはオルゾフとセレズニアの良い所を取った構築だ。
「食物」パッケージはそのままに、《予言された破滅》+《裏切る恵み》も含まれている。
四枚採用された《収得の熟練者》は前シーズンの《ヨーリオン》デッキに採用されていた《泥棒ネズミ/Burglar Rats》の最新版と言える。

この三色には《インダサのトライオーム》があるため、マナベースは少し優しい。
私はセレズニア構築を一歩前進させたものがアブザンヨーリオンだと考えている。
《予言された破滅》は特定のマッチアップで合理的な勝ち手段となるし、サイド後にディスカード手段が使えるため、セレズニア構築ではどうにもならなかったマッチアップが改善されている。
重要なものは解説してきたので、ここでもキーカードは無し。


大会に出場するにせよ、Magic Arenaのラダーを回すにしろ、《ヨーリオン》デッキが存在しているのは確かだ。
既にtier1の地位を確固たるものとし、他のデッキに《ヨーリオン》対策をするか、あるいは当面の間はtier2デッキとして細々やっていくかを迫っている。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》が禁止されず、週末のMPLやRivalsで《ヨーリオン》がプレイされれば、そこら中を5マナ生物が飛び回るようになるのは想像に難くないね!

記事
https://mtgazone.com/50-shades-of-yorion-all-the-decks-and-variations/


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バントの項で《奇怪な具現》入りの一般的じゃないリストを紹介しておいて、「キーカード無し」はひどすぎるw
絶対後半になって面倒くさくなってる感。
《奇怪な具現》と言えば、10月初旬にミシック上位までいった「5カラーインカーネーション」と、それをBrad Nelsonが4色にまとめて「最強デッキ」と紹介したことで有名?かも?。
なんにせよ何をサクって何を持ってくるのかの判断がシビアで、習熟度が求められる点でお手軽感はナイですね…


標準的なバントヨーリオンと言えば、
4《金のガチョウ》
4《ラノワールの幻想家》
4《魅力的な王子》
4《スカイクレイブの亡霊》
2《真面目な身代わり》
4《意地悪な狼》
3《ヨーリオン》
4《エメリアの呼び声》
1《変わり樹の共生》
1《バーラ・ゲドの復活》
4《ガラスの棺》
4《海の神のお告げ》
2《メレティス誕生》
4《パンくずの道標》
4《エルズペス、死に打ち勝つ》
1《グレートヘンジ》
4《枝重なる小道+石重なる小道》
4《寓話の小道》
2《森》
6《島》
6《平地》
2《ゼイゴスのトライオーム》
2《インダサのトライオーム》
1《啓蒙の神殿》
1《豊潤の神殿》
2《神秘の神殿》

相棒《ヨーリオン》

こんな感じの、「強いカード上から下まで全部ください」みたいな構築の方が使い易いと思います。サイドに打ち消しと同型対策入れたりして。

また、ヨーリオン系でここで紹介されていないものの、デッキパワーが高そうなのはこんなの。

マルドゥ
相棒ヨーリオン

1《太陽の宿敵、エルズペス》
1《精霊龍、ウギン》
2《魅力的な王子》
4《スカイクレイブの亡霊》
2《ヨーリオン》
3《エメリアの呼び声》
2《絶滅の契機》
2《破滅の根本原理》
4《髑髏砕きの一撃+槌の山道、髑髏砕き》
2《ハグラの噛み殺し》
4《ガラスの棺》
4《精神迷わせの秘本》
4《予言された破滅》
2《エルズペス、死に打ち勝つ》
4《エルズペスの悪夢》
3《鍛冶の神のお告げ》
4《太陽の神のお告げ》
4《裏切る恵み》
4《陽光登りの小道+恐怖登りの小道》
4《針緑の小道+柱緑の小道》
4《寓話の小道》
4《サヴァイのトライオーム》
2《悪意の神殿》
1《静寂の神殿》
4《平地》
2《山》
2《沼》
1《アーデンベイル城》

サイドはハンデス山盛りにしたり、軽量除去と脱出生物(灰のフェニックスとか)増やして絶対にローグ負けないマンにしたり、サイドからクロクサ仕込んでミッドレンジとして振る舞ったり。
序盤の動きはもっさりしがちなものの、中盤以降強く動けるアクションが多い。
後はとにかく《破滅の根本原理》がパーマネント並べたがりの現メタゲームにぶっ刺さります。
弱点としては、青を含まないヨーリオン全般に言えますが、とにかくティムールランプが辛すぎる。
相手の序中盤の構成をなんとか凌いで、さあこっちの番というタイミングでぶっぱされる《発生の根本原理》がどうしようもありません。
あとは、要所のカウンターも辛いですが、こちらは物量作戦でどうにかしましょう。
総じて、対ヨーリオン系に対して一定の強さがあるものの、そのヨーリオンが食い物にしてるデッキに弱いという微妙な立ち位置にいるのがマルドゥだと思います。

余り流行ってない印象を受けますが、ダイヤ~ミシック帯で「緑白ヨーリオン殺す。黒白ヨーリオン殺す。中途半端な青ヨーリオン殺す」と殺意にまみれた使用者が一定数存在していた印象。
まあ、ヨーリオンとローグ相手の勝率が51%を超えていれば、概ねミシックまで行けたのが10月環境なので悪くない考え方だったのでしょう。
タップアウトでヨーリオンぐるぐるしてる対戦相手にお仕置きしたい気分の時にはオススメです。


記事は以上になります。

以下は今月ミシックまでに使ったヨーリオンデッキや、カード選択なんかで感じた点など。

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