デルバーデッキの流行り廃り

今日はデルバーデッキに関連した記事を列挙します。
時期的には死儀礼登場(2012年)から、トリコデルバー隆盛(2013)、2014年(巡航登場)、デルバーレスのグリコンやチェコパイル登場(2016年)を経て、死儀礼禁止後のレン6デルバーやオーコデルバーなど(2019年)。
その時々の強いカードに合わせて形や色を変えて適応していくデルバーの遍歴を見て時間を潰したい方向けです。

Legacy Weapon

Caleb Durward

2012/12/09

今週末TCGのボルチモアオープンがあって忙しかった。

<The Legacy BUG>


ボルチモアでは、合計14枚の《死儀礼のシャーマン》と15枚の《突然の衰微》がTop8に存在した。
これには様々な理由があるが、そこには、《呪文嵌め》の使用率がここ最近ずっと低く、《Hymn to Tourach》と《闇の腹心》が復権したという事実が含まれる。

Team America,by Daniel Signorini

Main Deck
2*Bayou
4*Underground Sea
1*Tropical Island
4*Wasteland
4*Verdant Catacombs
3*Polluted Delta
2*Misty Rainforest
4*Delver of Secrets
3*Deathrite Shaman
4*Tarmogoyf
3*Tombstalker
1*Sylvan Library
4*Abrupt Decay
4*Brainstorm
4*Daze
4*Force of Will
1*Snuff Out
4*Hymn to Tourach
4*Ponder

Sideboard
1*Nihil Spellbomb
1*Scavenging Ooze
2*Darkblast
2*Diabolic Edict
1*Snuff Out
2*Spell Pierce
1*Umezawa’s Jitte
2*Vendilion Clique
1*Maelstrom Pulse
2*Jace,the Mind Sculptor


Signoriniは再びやってのけた。
詳しくない人のために説明すると、DanielはTeam Americaの原型を作った立役者で、数少ないこのデッキの熟練者でもある。(Team Americaには伝説的なデッキデザイナーDavid Gearhartも関わっている)
もし彼について、そして一般的なTeam Americaについてもっと読んでみたいなら、The Sourceのここ(http://www.mtgthesource.com/forums/showthread.php?12269-Article-Go-Team-America!-a-Dan-Signorini-Interview)にあるインタビューをオススメする。古めかしくも良いものだ。

SignoriniはHatfield兄弟とともに調整していることで知られていて、Jesse HatfieldをGPアトランタで16位にしたり、Alixを同じボルチモアオープンで8位に入賞させている。

参考に、Alixのサイドボードは、
-2 Spell Pierce
-2 Jace,the Mind Sculptor
-1 Umezawa’s Jitte
-2 Vendilion Clique

+2 Pithing Needle
+1 Counterspell
+1 Submerge
+2 Thoughtseize
+1 Sylvan Library
となっている。

Signoriniが《ジェイス》を巡る熾烈な争いへの勝利と、《梅澤の十手》による部族デッキの駆逐を望んだサイドプランなのに対し、Alixは《真髄の針》で《師範の占い独楽》と《霊気の薬瓶》を止めに行く方針を取っている。
私なら彼らのサイドボードを混ぜたものが好きだ。《針》も《ジェイス》もどちらも欲しい。
私はテンポデッキに入った《十手》を受け入れ難いが、その強さを否定することもできない。

Jarvis YuもまたBUG《タルモゴイフ》でTop8に入ったが、彼のリストは《闇の腹心》とプレインズウォーカーによってカードアドバンテージを得ていく堅実なアグロコントロールだ。
Jarvisは強いプレイヤーだが、一般に彼のデッキ、あるいはそのアーキタイプはお奨めできない。
完璧に最も最適な《ジェイス》の使い方は、《終末》や《破滅的な行為》のような全体除去とともに使うことだが、それは《死儀礼のシャーマン》や《タルモゴイフ》や《闇の腹心》を並べるというボードプランに反している。
その点、《未練ある魂》は《タルモゴイフ》よりもアグロコントロールに適していて、《死儀礼のシャーマン》と《闇の腹心》を用いたBWデッキの方が私は好みだ。

相手の顔を殴りたいなら【Delver】デッキを使えば良いし、《ジェイス》を使いたいなら【奇跡コン】や【BUGコントロール】を試せば良い。

そう言えば、このイベントでTop8に入ったもう一つの【BUG】のアーキタイプがある。

BUG Control,by BBD

Main Deck
3*Wasteland
4*Verdant Catacombs
4*Underground Sea
2*Tropical Island
1*Polluted Delta
4*Misty Rainforest
3*Mishra’s Factory
2*Bayou
1*Creeping Tar Pit
4*Deathrite Shaman
3*Snapcaster Mage
1*Garruk Relentless
4*Jace,the Mind Sculptor
3*Liliana of the Veil
2*Engineered Explosives
4*Abrupt Decay
4*Brainstorm
2*Counterspell
1*Darkblast
3*Force of Will
1*Inquisition of Kozilek
2*Thoughtseize
2*Life from the Loam

Sideboard
1*Nihil Spellbomb
4*Tarmogoyf
3*Engineered Plague
2*Spell Pierce
2*Vendilion Clique
1*Maelstrom Pulse
2*Raven’s Crime


私はBBD(Brian Braun-Duin)とはあまり交流がない。
最後のInvitationalで私たちは数戦テストプレイして、朝のグロッキーな状態の彼でも強いプレイヤーだと分かった。
私は彼の下した結論のほぼ全てを信じている。

この構築を見た時に考慮すべき事がある。
一つは、これが厳しいトーナメントだということだ。
オープンではTop16でも既に十分強豪揃いだが、今回はその中に知った顔が9人いたし、東海岸の人々が指摘するように地元の強豪や実際よりも低く見られている人、更に強くても知られていない人物がトーナメントには居た。

それを踏まえてこの構築を見ると、今回の様な厳しい環境では《行き詰まり》は、厳しくない時に比べて悪い選択となる。
多くのトーナメントでは《行き詰まり》は「1青:三枚引く」と読み替えることができるのだが。
強豪と当たるだろうInvitationalでさえ、半分の人はスタンダード出身なので、そういった場合は《行き詰まり》が良い選択となる。

他に興味を引くのは《破滅的な行為》の除外だ。
確かに、《死儀礼のシャーマン》デッキでは全体除去によってマナソースまで吹き飛ばしてしまうことになるが、それでも盤面に脅威を並べる相手に対しては非常に効果的なカードで、それが無ければプレインズウォーカーを守れない。
多分、Top16はもちろん、トーナメント全体でも盤面に並べるタイプのデッキは多くなかったのだろう。
少なくとも、【BUGテンポ】が《梅澤の十手》でボードに干渉するように、私は《破滅的な行為》でボードに干渉したい。

私の友人、そして読者のみなさんはこの《突然の衰微》デッキの隆盛が、メタゲーム、特に来たるべきInvitationalのメタゲームの前兆になるかと尋ねるだろう。
私はこのおびただしい数の【BUG】がトーナメントに来るとは予想していなかった。
最初に言ったように、AlixとSignoriniは長い事【BUG】を使い続けているし、《ジェイス》コントロールデッキはJarvisやBBDが楽しむ類のデッキだ。
ボルチモアのことは、強いプレイヤーが好きなデッキを使った結果といえる。

全体的なメタゲームの推移として確かな事は、Team Americaの三つのアーキタイプ全て(テンポ、アグロ、コントロール)で、《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》という新顔が使われたということだ。
今回の結果が、新しい武器によるものなのか、それとも上手いプレイヤーが《渦巻く知識》デッキを使いこなしたからなのかを判じるのは難しいが、これからの二か月間、その答えが明らかになるまでは非常に興味深い議題だと言える。

今回はCalebD印の【BUG】コントロールのリストを準備していないが、それは来週までの課題にしよう。
入れようと考えているのは、《破滅的な行為》、《行き詰まり》、《悪意の大梟》それからもちろん《死儀礼のシャーマン》だ。
いつものようにテストしてみて、最終的にカットしてしまうなんていう冷徹な判断をするかもだけど。

その時まで、あなたの《死儀礼》は常にモグモグやっているかも知れないね。

記事

Legacy Weapon
(注 レガシー部分のみ)

Caleb Durward

2012/12/14

Catching up with BUG

【BUG】はSCGのLas Vegasオープンで一人だけTop8を輩出した。
乗り手は以前にもこのアーキタイプで入賞経験のあるAJ Sacherだ。
先週言った「BoltimoreオープンのTop8で半数を【BUG】が占めたという結果は、大きなメタゲームの変遷というよりは、プレイヤーの性能によるものだ」というのは、おそらく間違っていたのだろう。
一方で、彼らはレガシーの猛者であるのも事実で、【BUG】というアーキタイプを使い続ける理由も彼らにはあった。
私は【青白奇跡】が長らくメタゲームの上位に位置し続けていることに驚いているが、【BUG】デッキにも似たような可能性がある。

先週約束したように、私はいくばくかの時間をこのデッキタイプに費やし、とうとうCalebD印のデッキをお見せできる運びとなった。

BUG Control

Main Deck

// Lands
4 [ZEN] Misty Rainforest
1 [B] Bayou
1 [ZEN] Verdant Catacombs
4 [B] Tropical Island
2 [4E] Mishra’s Factory
1 [WWK] Creeping Tar Pit
3 [TE] Wasteland
4 [B] Underground Sea
4 [ON] Polluted Delta

// Creatures
2 [PC2] Baleful Strix
3 [RTR] Deathrite Shaman

// Spells
1 [PLC] Damnation
1 [ZEN] Spell Pierce
4 [OD] Standstill
4 [AL] Force of Will
4 [OD] Innocent Blood
4 [MM] Brainstorm
2 [TE] Counterspell
3 [RTR] Abrupt Decay
1 [RAV] Life from the Loam
1 [ISD] Garruk Relentless/Garruk, the Veil-Cursed
4 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
2 [AP] Pernicious Deed

// Sideboard
SB: 1 [RAV] Life from the Loam
SB: 4 [FUT] Tarmogoyf
SB: 2 [MOR] Vendilion Clique
SB: 4 [LRW] Thoughtseize
SB: 2 [FUT] Venser, Shaper Savant
SB: 2 [RTR] Pithing Needle


何も飾り気は無い。だが、飾り立てれば良いというものでも無い。

《死儀礼のシャーマン》と《無垢の血》の関係性は微妙なところだが、個人的にはどちらも切り捨てる事が出来ない。
両方とも《行き詰まり》と相性の良いカードだからだ。
《死儀礼のシャーマン》を入れた意味は、もっと早期から相手を妨害する手段が欲しかったのと、盤面をより拮抗あるいは優位にしていくためで、最も効率的な除去は、《行き詰まり》を早い段階から活かすことに繋がる。
それが上手くいくとき、時々シナジーが犠牲になるのは仕方がない。
《モックスダイアモンド》のマナで《破滅的な行為》を起動するなんてのはよくある話だ。

BBDスタイルの【BUG】で、私が《ヴェールのリリアナ》の代わりに《情け知らずのガラク》を選んだのは、《突然の衰微》を避けられるという点と、相手の《死儀礼のシャーマン》を一つ目の能力でむしゃむしゃ食える点を買ってのことだ。
《ガラク》はコンボデッキに対して《リリアナ》より弱く、相手のハンドにも干渉できないが、《行き詰まり》との相性は良く、早い時点で勝利することも可能だ。
このプレインズウォーカーはいつでも良いカードというわけではないが、今の環境では素晴らしいカードと言える。
とは言っても、《ヴェールのリリアナ》はこのフォーマットで最高のカードで、多くの人が彼女を支持するのは当然のことだ。

《死儀礼のシャーマン》の流行は、墓地対策をサイドから削れるのが主な理由となっている。
私は《虚無の呪文爆弾》が好きだが、メインからの墓地対策がこの環境に溢れる限り、サイドボードスロットを切り詰めることが出来るだろう。
でも気を付けなればならない。
もしみんながみんなそうしたならば、このフォーマットは再び墓地利用コンボにとって理想的な環境となり、それに対して私たちは召喚酔いの1/2クリーチャーのみで立ち向かわなければならなくなる。

メインでは対クリーチャーデッキを想定したが、サイドボーディングによって対コンボと化す。
新米のデッキビルダーが犯すミスの一つとして、特定のマッチアップにサイドスロットを割きすぎる、あるいは割かなすぎる、というのが挙げられるが、ここでは除去を抜いて、適切なカードを入れるという変更が直観的でスムーズに行われる。

《実物提示教育》デッキは最近の環境で非常に強い選択で、この脅威に対処するために多くのスロットを割いた。
《思考囲い》と《ヴェンディリオン三人衆》はコンボ完成を妨げ、《ヴェンセール》は《実物提示教育》が解決した時の解答に成りえるカードの一枚だ。
しかし、これは《騙し討ち》を止められないので、二枚の《真髄の針》を入れたが、これは相手の《霊気の薬瓶》や《師範の占い独楽》も止める役目がある。

おそらく、《実物提示教育》デッキと【BUG】デッキの隆盛によって、メインから《拘留の宝球》(対《実物提示教育》)と《安らかなる眠り》(対《死儀礼のシャーマン》)の二枚を積めるデッキが強い選択となるだろう。
もしそう言ったデッキを所望なら、こちらからどうぞ。


Invitationalかそれ以外の場所か、皆さんの幸運を祈っているよ。
あなたは残されたラクドス週間の間に、ひねくれた喜びを手にするかも知れないね。


元記事


Own’s Win - Invitational Legacy Recap

Owen Turtenwald

2012/12/31

先週はInvitationalのスタン部門でTop8になったデッキを見たね。
続けて今週は来たるGP Denverを見越したフォーマットを見てみよう。
まだ私はデッキが決まっていないけれど、今回の結果を受けてテストプレイすることで、光明が見えてくるだろうね。


<Reid Duke の BUG>

Main Deck

1 [B] Forest (2)
1 [B] Island (3)
1 [B] Swamp (2)
4 [TE] Wasteland
2 [B] Bayou
2 [ZEN] Misty Rainforest
4 [ON] Polluted Delta
1 [B] Tropical Island
3 [B] Underground Sea
4 [ZEN] Verdant Catacombs
4 [RAV] Dark Confidant
4 [RTR] Deathrite Shaman
4 [FUT] Tarmogoyf
1 [MOR] Vendilion Clique
4 [5E] Brainstorm
1 [NE] Daze
3 [FE] Hymn to Tourach (2)
2 [M12] Ponder
4 [LRW] Thoughtseize
4 [RTR] Abrupt Decay
3 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
3 [ISD] Liliana of the Veil

SB: 3 [UL] Engineered Plague
SB: 1 [SOM] Nihil Spellbomb
SB: 1 [RAV] Darkblast
SB: 3 [AL] Force of Will
SB: 2 [BOK] Umezawa’s Jitte
SB: 1 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
SB: 1 [US] Duress
SB: 1 [RAV] Life from the Loam
SB: 1 [ARB] Maelstrom Pulse
SB: 1 [MOR] Vendilion Clique


まずはメインの《Force of Will》が0枚で、サイドに三枚取っているこのデッキから見ていこう。言うまでも無く《Force of Will》は対コンボの重要カードだ。
このNoFoWという決定はBUG同士のミラーマッチを想定しての事だと思う。
往々にしてミラーマッチは長引くもので、その果てに相手の《タルモゴイフ》に《Force of Will》を合わせるという動きはとても弱い。

私は幾人かのプレイヤーが《Force of Will》抜きでプレイしたいと思っている事を知っている。
事実このカードを使うのは、ディスアドバンテージなだけではなく、早期に強力なカードを通すために使ったり、相手のトップデッキに合わせるなどの突然の脅威を止めるために使わない限りは、非常に悪い手となる。

このデッキには《死儀礼のシャーマン》と《神ジェイス》と《ヴェリアナ》が入っていて私好みだ。
これらのカードを合わせて使うことで、特定のデッキには開幕から無理ゲーを強いる事さえできる。
最も、《ヴェリアナ》や《Hymn to Tourach》や《目くらまし》が入っているのに《森》を一枚挿ししているこのデッキをプレイしたいとは思わないのだが。


<Ben Wienburg の RUG>

Main Deck

3 [B] Volcanic Island
4 [TE] Wasteland
2 [ON] Flooded Strand
2 [ON] Polluted Delta
3 [B] Tropical Island
4 [ON] Wooded Foothills
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [OD] Nimble Mongoose
4 [FUT] Tarmogoyf
4 [SC] Stifle
1 [DKA] Thought Scour
4 [M12] Ponder
4 [DIS] Spell Snare
4 [B] Lightning Bolt
4 [5E] Brainstorm
4 [NE] Daze
1 [NPH] Dismember
4 [AL] Force of Will

SB: 1 [ISD] Ancient Grudge
SB: 2 [PLC] Sulfur Elemental
SB: 2 [SC] Sulfuric Vortex
SB: 1 [TSP] Krosan Grip
SB: 1 [IA] Pyroblast
SB: 3 [ZEN] Spell Pierce
SB: 3 [NE] Submerge
SB: 2 [PLC] Rough/Tumble


これは既存のRUG Delverに非常によく似ているが、それは《死儀礼のシャーマン》に直面している現状でも十分にやれるということだ。
通常はメインから四枚の《もみ消し/Stifle》を入れることはないが、ここで言わなければならない。私は確かに《もみ消し》が恐ろしいカードだということを覚えている。
つまり、ビックリ要素は、それ以上の潜在価値を持つと言う事だ。
《死儀礼のシャーマン》の隆盛にともなって各種フェッチランドも増加してきているし、それじゃなくても対Goblinsでの対象にも困らない。

このデッキのように《呪文嵌め/Spell Snare》と《目くらまし》を同時採用しているものは好ましい。
あなたには多量のキャントリップ呪文と四枚の《不毛の大地/Wasteland》があるので、対戦相手は高マナ域呪文を使うことは出来ないだろうし、もしも手札に《呪文嵌め》と《目くらまし》があったなら、彼らはもはや呪文を解決することすら出来ないだろう。
つまり、相手は何も出来ず、あなたがプレイしているのをただ指をくわえて見ているだけ、という状況を作り出すことが出来る。
サイドの《硫黄の精霊》たちは《ルーンの母/Mother of Runes》や《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》というこのデッキにおける二大障害をまとめて葬れる。


<Matt Nass の BUG>

Main Deck

1 [B] Island (3)
1 [B] Swamp (2)
4 [ZEN] Misty Rainforest
2 [B] Bayou
4 [ON] Polluted Delta
1 [B] Tropical Island
2 [B] Underground Sea
4 [ZEN] Verdant Catacombs
4 [TE] Wasteland
2 [MOR] Vendilion Clique
4 [RAV] Dark Confidant
4 [RTR] Deathrite Shaman
4 [FUT] Tarmogoyf
2 [M12] Ponder
4 [LRW] Thoughtseize
3 [ROE] Inquisition of Kozilek
3 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
3 [ISD] Liliana of the Veil
4 [MM] Brainstorm
4 [RTR] Abrupt Decay

SB: 4 [AL] Force of Will
SB: 1 [SOM] Nihil Spellbomb
SB: 1 [CMD] Scavenging Ooze
SB: 1 [AP] Pernicious Deed
SB: 3 [RAV] Darkblast
SB: 2 [ZEN] Spell Pierce
SB: 1 [BOK] Umezawa’s Jitte
SB: 1 [MOR] Vendilion Clique
SB: 1 [RAV] Life from the Loam


Matt Nassが基本地形の《森》を入れていない点は好ましいが、《Hymn to Tourach》よりも《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》を優先したリストでそうする必要があるのかは疑問だ。
私はどちらにも賛同しないが、サイドボードに鎮座する四枚の《Force of Will》はまさに今大会でホットなテクだっただろう。

というのも、BUGのミラーマッチにおいてプレイヤーが真っ先にサイドアウトするカードが《Force of Will》だからだ。
こうした理屈でデッキが構築されるならば、Stormデッキは素晴らしい選択になると言わざるを得ないだろう。そして、その通りAdam ProsakはStormを駆り、このInvitationalを7-1で終えた。
これらのリストは《Force of Will》が無いせいで《神ジェイス》が特に厳しいように見えるし、《コジレックの審問》と《突然の衰微/Abrupt Decay》でしか癌となるパーマネントに対処できない。

Mattのサイドボードに《Darkblast/暗黒破》が入っているのは、《ルーンの母》や《サリア》を殺すためだろうが、これは私好みのチョイスだ。
これは同じくTop8に入ったElvesにおいても劇的に効く。


<Leon Kornacki の Elves>

Main Deck

3 [B] Forest (2)
1 [LG] Pendelhaven
1 [FUT] Dryad Arbor
1 [B] Bayou
1 [FUT] Horizon Canopy
2 [ZEN] Misty Rainforest
2 [B] Savannah
2 [ON] Windswept Heath
2 [ON] Wooded Foothills
2 [US] Gaea’s Cradle
3 [EVE] Nettle Sentinel
3 [VI] Quirion Ranger
3 [MOR] Heritage Druid
1 [LRW] Mirror Entity
1 [EVE] Regal Force
3 [SC] Wirewood Symbiote
1 [SOM] Ezuri, Renegade Leader
2 [ON] Birchlore Rangers
3 [RTR] Deathrite Shaman
3 [M13] Elvish Visionary
2 [IA] Fyndhorn Elves
3 [B] Llanowar Elves
2 [US] Priest of Titania
1 [CMD] Scavenging Ooze
4 [CHK] Glimpse of Nature
4 [MBS] Green Sun’s Zenith
3 [JU] Living Wish
1 [UL] Crop Rotation

SB: 1 [EVE] Nettle Sentinel
SB: 1 [AVR] Craterhoof Behemoth
SB: 1 [SHM] Faerie Macabre
SB: 1 [MOR] Heritage Druid
SB: 1 [LRW] Mirror Entity
SB: 1 [ARB] Qasali Pridemage
SB: 1 [EVE] Regal Force
SB: 1 [SC] Wirewood Symbiote
SB: 3 [TE] Choke
SB: 1 [TE] Humility
SB: 1 [ROE] Emrakul, the Aeons Torn
SB: 1 [DK] Maze of Ith
SB: 1 [LG] Karakas


Elvesは素晴らしいデッキだ。
以前は私もElvesをプレイしていて、常に大好きなデッキの一つだった。
このリストは、デッキに安定性を与えるために《生ける願い/Living Wish》を採用した最初のバージョンだと思う。
第一印象では「遅すぎるな」と思ったけれど、それは間違いだった。
《クィリーオンのレインジャー/Quirion Ranger》と《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》が早期に大量のマナを生み出すので、この《Demonic Tutor》にも似た呪文に2マナを費やす事ができる。

《生ける願い》は素晴らしいトップデッキで、大抵はコンボパーツか《孔蹄のビヒモス/Cratehoof Behemoth》や《威厳の魔力/Regal Force》などの勝利手段を持ってくる。
他にも有用な使い道があり、Reanimaterデッキに対しては《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre》を持ってくることも可能だ。
忘れてはいけないのが、《死儀礼のシャーマン》がエルフだということで、それによって早期から《ワイアウッドの共生中/Wirewood Symbiote》、《遺産のドルイド/Heritage Druid》、《樺の知識のレインジャー/Birchlore Ranger》などと相互作用を成す強力なクリーチャーとなる。


<Jonathan Job の UW Miracles>

Main Deck

5 [B] Island (3)
1 [SHM] Mystic Gate
3 [B] Plains (1)
2 [ZEN] Arid Mesa
1 [MM] Dust Bowl
4 [ON] Flooded Strand
1 [ZEN] Misty Rainforest
1 [ZEN] Scalding Tarn
3 [B] Tundra
1 [LG] Karakas
3 [AVR] Terminus
1 [AL] Helm of Obedience
1 [AVR] Entreat the Angels
2 [TE] Counterspell
1 [RTR] Supreme Verdict
3 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
4 [CHK] Sensei’s Divining Top
4 [IA] Swords to Plowshares
3 [CS] Counterbalance
2 [RTR] Detention Sphere
2 [US] Energy Field
3 [RTR] Rest in Peace
4 [5E] Brainstorm
1 [MI] Enlightened Tutor
4 [AL] Force of Will

SB: 1 [WL] Aura of Silence
SB: 1 [DKA] Grafdigger’s Cage
SB: 1 [AL] Helm of Obedience
SB: 1 [RTR] Pithing Needle
SB: 1 [ZEN] Luminarch Ascension
SB: 1 [TE] Counterspell
SB: 1 [CFX] Path to Exile
SB: 2 [DIS] Spell Snare
SB: 3 [MOR] Vendilion Clique
SB: 2 [M11] Jace Beleren
SB: 1 [RTR] Supreme Verdict


良いデッキだ。
メインから四枚の《突然の衰微》が飛び交うメタゲームにおいて、《相殺/Counterbalance》は許せない選択だが、現環境で最高のデッキに多少弱くとも、他のデッキに対して《相殺》が効くのならおそらく十分と言えるだろう。

《エネルギーフィールド/Energy Field》と《安らかなる眠り/Rest in Peace》のコンボは素敵で、冴えてて、ZooやGoblins相手なら出すだけで勝ててしまう。
けれど、私自身は《エネルギーフィールド》のような手間のかかるカードはあまり使わない。
要は、二枚コンボで、基本的には相手が《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》を引くまでの2ターン位を《濃霧/Fog》するだけのコンボは使おうとは思わない、という事だ。
歴史的に、こういったコンボは上手くいった試しがないのだ。

一方で、このリストの《Helm of Obedience》コンボは素晴らしい!
UW Miraclesが困難な早期の勝利手段であり、非常に効果的だ。
レガシーのようなフォーマットでは、とても大きな利点になる。


<Nick Spagnolo の Bant>

Main Deck

1 [LG] Karakas
3 [ZEN] Misty Rainforest
1 [FUT] Dryad Arbor
2 [B] Bayou
3 [ON] Windswept Heath
2 [B] Savannah
1 [B] Scrubland
1 [B] Tropical Island
1 [B] Tundra
1 [B] Underground Sea
4 [ZEN] Verdant Catacombs
3 [TE] Wasteland
1 [ISD] Snapcaster Mage
4 [RTR] Deathrite Shaman
4 [CFX] Knight of the Reliquary
4 [CFX] Noble Hierarch
1 [JU] Sylvan Safekeeper
4 [RTR] Abrupt Decay
4 [MM] Brainstorm
3 [MBS] Green Sun’s Zenith
2 [ROE] Inquisition of Kozilek
1 [RAV] Life from the Loam
2 [IA] Swords to Plowshares
2 [LRW] Thoughtseize
1 [ALA] Elspeth, Knight-Errant
4 [WWK] Jace, the Mind Sculptor

SB: 1 [LG] Sylvan Library
SB: 1 [M11] Baneslayer Angel
SB: 1 [ISD] Snapcaster Mage
SB: 1 [TE] Counterspell
SB: 1 [JU] Envelop
SB: 3 [ZEN] Spell Pierce
SB: 2 [IA] Swords to Plowshares
SB: 2 [MOR] Vendilion Clique
SB: 1 [M13] Garruk, Primal Hunter
SB: 1 [B] Armageddon
SB: 1 [LRW] Thoughtseize


温故知新。
このリストには10枚もの第1ターンのマナ加速が入っている。
《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》、《貴族の教主/Noble Hierarch》、《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》から持ってくる《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》などがそれだ。
それによって第2ターンに《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をキャストする。
《死儀礼のシャーマン》が互いの墓地から土地を除外することによって、最近では《聖遺の騎士》の評価はかなり下がり、三枚の土地をタップして15/15の騎士が出てくるという場面をもう長いこと見ていないだろう。

こうしたマナ加速からの終わらない《不毛の大地》の連打なんかはまだまだ好きだし、相手が《死儀礼のシャーマン》を引かなければ、実際にそうすることが出来るだろう。
結果的に、このデッキは四枚の《神ジェイス》を採用するに至った!
マナ加速によって早く、そして頻繁に《神ジェイス》が降臨したことが今回の成功の秘訣だ。
Nickは五枚目のジェイスとして《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth,Kight-Errant》を一枚挿ししている。
彼女は《突然の衰微》が幅を利かせている状況で素早くゲームを終わらせるべき高マナ域のプレインズウォーカーだ。


<Todd Anderson の BUG>

Main Deck

4 [ZEN] Misty Rainforest
1 [B] Bayou
2 [WWK] Creeping Tar Pit
4 [ON] Polluted Delta
2 [B] Tropical Island
4 [B] Underground Sea
3 [ZEN] Verdant Catacombs
2 [TE] Wasteland
4 [PC2] Shardless Agent
4 [RTR] Deathrite Shaman
4 [FUT] Tarmogoyf
1 [NPH] Dismember
1 [M12] Ponder
3 [LRW] Thoughtseize
4 [TSP] Ancestral Vision
3 [AL] Force of Will
1 [BOK] Umezawa’s Jitte
2 [FE] Hymn to Tourach (2)
3 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
4 [MM] Brainstorm
4 [RTR] Abrupt Decay

SB: 1 [NPH] Dismember
SB: 3 [SOM] Nihil Spellbomb
SB: 3 [UL] Engineered Plague
SB: 2 [B] Blue Elemental Blast
SB: 1 [AL] Force of Will
SB: 1 [OD] Ghastly Demise
SB: 1 [TSP] Krosan Grip
SB: 1 [BOK] Umezawa’s Jitte
SB: 1 [FE] Hymn to Tourach (2)
SB: 1 [ROE] Inquisition of Kozilek


今度は《祖先の幻視/Ancestral Vision》と《断片なき工作員/Shardless Agent》の入った別のBUGだ。
これらのカードが特にコンボに効くとは思えないが、ミラーマッチでは対処が難しく素晴らしいカードアドバンテージを与えてくれる。
弱いマッチアップがあるものの、ミラーマッチでは優位を取れるBUGをプレイしたいなら、このデッキを見てみると良いだろう。

レガシーでの《祖先の幻視》は好きなカードではない。
何度もプレイしようと試みたが、その前にゲームが終わってしまったり、待機が明ける前に状況が決してしまったり、長引いた末にトップデッキしてきたりという事がとても多かった。
しかしながら《断片なき工作員》とのコンボは良い感じだ。
これを成立させるために終盤に《Force of Will》や《渦巻く知識》を使うのも良い。
しかしまだ私からのアドバイスがある。
《断片なき工作員》は《闇の腹心》で十分なのに、《祖先の幻視》を本当に入れるのかい?


<Adam Prosak の Storm>

Main Deck

2 [B] Island (3)
1 [B] Swamp (2)
2 [WL] Gemstone Mine
4 [ON] Polluted Delta
3 [ZEN] Scalding Tarn
2 [B] Underground Sea
1 [R] Volcanic Island
4 [M12] Ponder
4 [M11] Preordain
1 [ISD] Past in Flames
2 [JU] Cabal Therapy
1 [SC] Tendrils of Agony
4 [TE] Lotus Petal
4 [MI] Lion’s Eye Diamond
4 [DIS] Infernal Tutor
1 [ALA] Ad Nauseam
4 [MM] Brainstorm
4 [TO] Cabal Ritual
4 [TE] Dark Ritual
4 [US] Duress
4 [NPH] Gitaxian Probe

SB: 4 [RTR] Abrupt Decay
SB: 3 [US] Carpet of Flowers
SB: 2 [ON] Chain of Vapor
SB: 2 [FUT] Slaughter Pact
SB: 1 [JU] Cabal Therapy
SB: 1 [SC] Tendrils of Agony
SB: 1 [B] Tropical Island
SB: 1 [LG] Karakas


Adamは今回のイベントで「ここに在り」ということを見せつけたが、私は驚かなかった。
複数枚のコンボで1kill可能なデッキというのは、パワーレベルが一貫しているということだ。
Stormをプレイしない現実的な理由は、プレイが難しく、加えて妨害にも弱いという事が挙げられる。
サイドに取られた四枚の《突然の衰微》は、Stormデッキが《タルモゴイフ/Tarmogoyf》や《闇の腹心/Dark Confidant》に対処するためではなく、Adamが《相殺》対策を考えてのことだろう。
イベント後にAdamから聞いた話だと、もしもこのリストを試したいなら、《花の絨毯/Carpet of Flowers》はほとんんど使わなかったので、入れない方が良いとの事だった。
彼が《陰謀団式療法/Cabal Therapy》と《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》とを一緒に使うように、私もこの組み合わせは良いものだと思っている。


よし。
あなたがGPに何を持って行くかの一助になれば幸いだ!


記事


Legacy Weapon - The Return of 4-Color Thresh

Caleb Durward

2013/01/03


四色スレッショルドは常に最高のデッキの一つだと思っている。
事の起こりは2005年。GP Lilleで優勝したところから始まる。
私たちが信奉する四色スレッショルドは、フォーマットで最高のカード群を一挙に全て楽しむことができる。
Dr.Meanface Mcvillainyを筆頭に、このデッキのマナベースが不安定であることを非難する声や、保守的な考えから三色デッキを支持している人々も少なからずいる。

《タルモゴイフ/Tarmogoyf》がこの世に出てから、多くのデッキが《相殺/Counterbalance》を標準装備し始め、そのせいで《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》はいまいちな存在となってしまった。
だから、Ben Weinburgがカナディアンスレッショルドで思いがけない勝利を得て、かなり驚いたことを覚えている。

そう、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》が全てを変えてしまったんだ。

この攻撃的なハエ男が参入したことで、四色スレッショルドは考慮さえされなくなった。
そして、カナディアンスレッショルドは《秘密を掘り下げる者》を活かすために、より攻撃的なスタイルへと変化していく。
《敏捷なマングース》のように、《秘密を掘り下げる者》は1マナという軽さから、あなたが《目くらまし/Daze》を使ったり、《不毛の大地/Wasteland》で土地がなくなっても、なお脅威を送り出す事を可能とする。
最も重要なのは、《秘密を掘り下げる者》が、《もみ消し/Stifle》や《不毛の大地》や《思案/Ponder》以外の第1アクションを増やしたことだ。
《敏捷なマングース》とは違い、《秘密を掘り下げる者》がずっと1/1でいることは稀だ。

このデッキの歴史と《秘密を掘り下げる者》の関係性を見れば、新しい脅威が既存のデッキとどのように馴染んでいくかを知るのは容易だろう。


<Enter the New>

Team AmericaとBUG Controlの傘下に《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》が入ったことで、RUGは「不毛の大地戦争」の勝率を数パーセント落とした。
以前は、RUGが《不毛の大地》の王様だった。
《もみ消し》の使い方が大部分を占め、対戦相手は自らのマナベースを守るためにフェッチランドで基本土地を持って来ざるを得なかった。

現在、BUGは1ターン目に《死儀礼のシャーマン》を送り出し、それに対する解答がなければ、土地の去就がどうであれ、コンスタントにマナアドバンテージを生み出すことが出来る。
しかし私は、どうしてもこれがRUG側に悪い選択だとは思えない。
つまり、4枚入れた《稲妻/Lightnign Bolt》には改めて敬意を払い、更に追加で2~3枚の《Chain Lightning》や《四肢切断/Dismember》を入れる事でこの差は埋められるのではないか。
キャントリップ呪文を駆使すれば、ほとんどの場合、1ターン目に出た《死儀礼のシャーマン》に対する解答を見つけ出せる。

しかしながら、《死儀礼のシャーマン》が活躍しているゲームは確かに面倒だ。
このBUGとRUGのマッチアップは接戦(お互いのデッキ使用者は認めないだろうけど)だが、そんなことは重要な事ではない。
重要なのは、今現在、RUGが《秘密を掘り下げる者》を100%上手く使えるデッキでは無くなってしまったという事だ。
もしくは《不毛の大地》にも同じ事が言えるだろう。
この認識と、《死儀礼のシャーマン》が私たちの墓地の土地を食ってドヤ顔している現状は、今一度古いバージョンのスレッショルドデッキに立ち戻る理由になるだろう。

私が手始めに組んだリストは、悪ふざけと間違いで満ち溢れていた。
だから、四色スレッショルド作成のヒントとして古い記事を漁ることにした。

そこから、以下のようなポイントをまとめた。。

・17-18 lands (8 fetches,9 duals)

・4《敏捷なマングース》
・4《熊人間/Werebear》
・0-2 4マナスペル(《神秘の処罰者/Mystic Enforcer》、《巣立つドラゴン/Fledqling Dragon》

・4-8 1マナの妨害手段(《稲妻》、《剣を鋤に/Swords to Plowshares》、《思考囲い/Thoughtseize》)
・7-8 ピッチカウンター(《Force of Will》、《目くらまし》)

・10-15 キャントリップ(《渦巻く知識/Brainstorm》、《血清の幻視/Serum Visions》、《予報/Predict》、《留意/Mental Note》、《先触れ/Portent》)

・何枚かの他の効果(《対抗呪文/Counterspell》、《火&氷/Fire&Ice》、《真髄の針/Pithing Needle》、《翻弄する魔道士/Meddling Mage》、《等時の王笏/Isochron Scepter》、ついには《相殺》+《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》)

過去の結果を見て回るのは素晴らしい事だ。
《研究&開発/Research&Development》を《等時の王笏》に刻印したりだなんて懐かしい事を思い出したりして、この古いデッキタイプを構築する良い気分転換になる。
バックナンバーを読み進め、いくつかのイベントに参加し、このデッキがなぜ成功を収めたのかを思い出し始めていた。

以下が最近組んだデッキだ。

<4-Color Thresh (AKA GRUB Delver)>

Main Deck

4 [ON] Polluted Delta
4 [ON] Flooded Strand
3 [B] Volcanic Island
3 [B] Tropical Island
3 [B] Underground Sea
2 [OD] Nimble Mongoose
3 [RTR] Deathrite Shaman
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
3 [FUT] Tarmogoyf
4 [M12] Ponder
2 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
2 [DKA] Thought Scour
2 [TE] Counterspell
1 [RTR] Pithing Needle
4 [AL] Force of Will
4 [NE] Daze
1 [LG] Sylvan Library
4 [MM] Brainstorm
3 [RTR] Abrupt Decay
4 [B] Lightning Bolt

SB: 2 [UL] Engineered Plague
SB: 3 [LRW] Thoughtseize
SB: 1 [TSP] Krosan Grip
SB: 1 [SOM] Nihil Spellbomb
SB: 3 [B] Red Elemental Blast
SB: 2 [MBS] Go for the Throat
SB: 2 [TE] Dread of Night
SB: 1 [DK] Tormod’s Crypt


「私はこれを『Calebの企み』と呼んでいる。彼が成す事は、上手くいくからだ」

 -Kabelis


このデッキはGP Denverでプレイしたいと思っているデッキにかなり近い。
もう一枚フェッチランドを入れたくて、マナベースについてまだ検討している。
後半に土地を無駄ヅモする確率を減らすためにDuallandを削る必要があるかも知れないし、あるいはメインの《真髄の針》を抜くべきかもしれない。
私は長い間《針》のおかげで成功を収めてきた。
《不毛の大地》に始まり、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》や《霊気の薬瓶/Aether Vial》を刺して。
アーティファクトが偶然にも《タルモゴイフ》を大きくすることもある。(《思考掃き/Thought Scour》によって)
《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》はマナはかかるが、このスロットに入る別の選択肢だ。

いくつかのトーナメントに参加し、テストプレイを重ね、多くの人とTwitter上での意見交換を通して、いくつかの一般的な質問が出て来た。


<FAQ>

Q.
「このデッキって、《不毛の大地》に弱くない?」

A.
弱くない。
純粋にマナ源が多いからだ。
例えば、一般的なRUGは三色目のために11枚のマナ源を用意する。(8枚のフェッチランドと、3枚のDuallandだ)
そして追加で3枚のDuallandを加えて14枚の青マナ源が入っている。
そのためにこのデッキには《不毛の大地》を入れていない。
それによって、足した色へアクセスする手段が11枚と変わらずで、青マナ源は17枚となる。
RUGと同じだけのキャントリップ手段が入っているので、《不毛の大地》に多少邪魔されても、コンスタントにマナベースを確保できる。

最も重要なのは、《死儀礼のシャーマン》が《極楽鳥/Birds of Paradise》のようにマナ供給の面で活躍することだ。
注意すべきは《死儀礼》が黒マナでも緑マナでも場に出せるという事で、それによって第1ターンにフェッチで持ってくるべき土地の選択が楽になる。


Q.
「BUGよりもこのデッキをプレイする利点は?」

A.
《稲妻》は素晴らしい。
相手の《死儀礼》への解答になるのみならず、ゲームを終わらせる一手にもなる。
いくらかの火力と、《死儀礼》によって、今までよりも《秘密を掘り下げる者》が早くゲームに決着を付けられるようになる。

サイドにはレガシー環境の半分に刺さる《赤霊破/Red Elemental Blast》もある。


Q.
「このデッキで何をメタってるの? マッチアップ相性は?」

A.
今までのところ、その結果が分かる程には数をこなしていない。
トーナメントに三回出て、(そのうち二回は60人程度の小さな大会だ)10-3だった。
短く要点をまとめたので、見ていこう。

3-0 BUG
2-0 RUG

これはテンポデッキミラーの経験が活きた結果だと思うが、二大勢力相手に上手くやれたのは良いことだ。
《死儀礼のシャーマン》が動き出すと、《不毛の大地》で土地を壊される状況もかなり許容できるし、《稲妻》が相手の《死儀礼》に待ったをかける。

もし相手が1ターン目に《死儀礼のシャーマン》を出した時に欲しいドローが《稲妻》なのは明白だろう。
他に選択肢は無い。
もし相手が《稲妻》に《目くらまし》を使ってきたら、《Force of Will》することを勧める。
《死儀礼》に《Force of Will》を使わなければ、解答を見つける時間を得られそうにないからだ。

サイド後は、《喉首狙い/Go for the Throat》が《死儀礼》や《タルモゴイフ》、《墓忍び/Tombstalker》たちを食う。
もし私がBUGをプレイしていたら、メインデッキの除去を分けるか、サイドの《大渦の脈動》のためにスペースを空けるだろう。
いくつかの脅威のマナコストは3よりも大きい。

1-1 Sneak Show
0-1 Ad Naus

このマッチでは、《Force of Will》のピッチコストとして間違ったカードを選び、《思考囲い》で間違ったカードを抜き、彼が《突然の衰微/Abrupt Decay》を持っている時に《クローサの掌握/Krosan Grip》を使って《死儀礼》の起動を無駄にしたり。
とにかく上手くプレイ出来なかった。

コンボデッキに対しては、《もみ消し》の無いRUGとしてプレイし、《Hymn to Tourach》の無いTeam Americaとしてプレイする。それはあたかもセーフネットの無い綱渡りのようなものだ。
典型的なテンポvsコンボデッキよりは不測の事態に対処できないが、勝つ事は可能だ。

2-0 Esper Blade

《剣を鋤に》デッキに対して《敏捷なマングース》と《神ジェイス》を使うのは何て素晴らしいんだ。

サイド後は、エスパープレイヤーの対《神ジェイス》兵器である《未練ある魂/Lingering Souls》を《夜の戦慄/Dread of Night》で封殺する。
あるゲームでは、《夜の戦慄》と《殴打頭蓋/Batterskull》への《クローサの掌握》を両方とも引き、対戦相手は場の《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》と0/1になった《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》を悔しそうに眺めていた。

このマッチアップは、より多くの《マングース》とより少ない《タルモゴイフ》でデッキを組めば良かったと思うマッチの一つだ。

1-1 Miracles

Miraclesは様々な種類があり、これもまた別のものだ。
《針》は《師範の占い独楽》を指定しながら突然出てくる。こいつは素晴らしい。
サイド後、《死儀礼》と《タルモゴイフ》を削り、ほとんどの《稲妻》を抜く、そして《赤霊破》と《思考囲い》を入れる。
《敏捷なマングース》は《終末》されるまでの最高の相棒で、残りの半分は《神ジェイス》で勝てば良い。

覚えておいてほしいのは、Miraclesは、部族デッキが《霊気の薬瓶》を求めるように、《師範の占い独楽》を求めるということだ。
確実に《独楽》は止めなければならない。

1-0 Nic Fit(Vs.the deck’s creator,no less)


これは全く決定的な結果ではないが、いくつかのトーナメントに出た結果ではある。
ひょっとすると、なぜ私がこのデッキに興奮しているのか分かってもらえるかもしれない。

どうしても私は他の選択肢よりも《思考掃き》を優先しているのか?

《思考掃き》はブルーカウントであり、デッキの潤滑油であり、《秘密を掘り下げる者》が裏返るためのスペルカウントでもある。
加えて、このカードは《敏捷なマングース》のスレッショルド達成をも助けている。

《思考掃き》は、知恵を貸してくれない《森の知恵/Sylvan Library》や、渦まかない《渦まく知識》による機能不全を解消できるキャントリップ呪文だ。

しかしながらサイド後は気を付けなければならない。
《思考掃き》を自身に使うのにスタックして最高のクリーチャーを《水没/Submerge》されてしまうかもしれない!
幸いなことに、《思考掃き》は対戦相手も対象に取れるので、フェッチランド-《水没》絡みのプレイングよりは簡単だ。

Q.
「《不毛の大地》や《もみ消し》を入れることは考慮に値するか?」

A.
もちろん――酷い結果になるだろう。
不幸なことに、《もみ消し》と《死儀礼のシャーマン》は競合してしまう。
もし《もみ消し》がない状態で、相手が基本土地をフェッチしてきた場合、こちらの《不毛の大地》は機能せず、プランが丸ごと崩壊してしまう。
もし《もみ消し》を構えたり、ハンドの土地が《不毛の大地》などで《死儀礼のシャーマン》を迅速に展開できなければ、《シャーマン》の強みを失ってしまう。

《秘密を掘り下げる者》も1ターン目に出すのが最善だけれど、2ターン目でも悪くはない。
《秘密を掘り下げる者》はタップ能力を持たず、純粋にアタックに行くのが仕事だからだ。
また、《秘密を掘り下げる者》も《もみ消し》も青いカードなので、後半に引いてきても、《Force of Will》の餌にしてしまえる。
《死儀礼のシャーマン》によって、あなたの計画はある程度固まってしまう。
1ターン目に彼をプレイしなければ、ゲームプラン自体が損なわれることになる。
《もみ消し》にも似たような性質があるので、その二枚を両方入れるというのは、あたかも二つのジグソーパズルを混ぜ合わせてしまうかのようだ。

Q.
「《目くらまし》は《不毛の大地》抜きでも機能するの?」

A.
機能しないとでも?
しばらくレガシーをプレイした者として、この疑問に私は驚いた。
けれど、少ししてから意味が分かった。
確かに、最近のテンポデッキは《目くらまし》と《不毛の大地》を両方入れている。

このデッキは十分な圧力をかけられるので、《目くらまし》は機能する。
たまに、《秘密を掘り下げる者》が裏返り、相手の何かを《目くらまし》で弾いたら、それで勝ててしまう時がある。

The Oldschoolの作った四色スレッショルドは三枚だけ《目くらまし》が入っていたが、それにはマナ加速用の《死儀礼》が入っていなかった。
《神ジェイス》を4ターン目に繰り出す必要があるわけではない事に注意したい。
よりテンポ重視のデッキを使う時は、より我慢強くあらねばならない。
《Force of Will》で《秘密を掘り下げる者》を守る必要があるため、盤面の優位を犠牲にし、重要なカードの解決を許さなければならない場面もある。
そうして、ハンド0、土地0、ライフは少なく、ただ3/2クリーチャーがいるのみ、そんな状況で勝たなければいけない。
あるいは、対戦相手がどうでもいいクリーチャーの対処に手間取っている間は、スペルの使用を控える必要がある。
時には、自分の土地を全て戻さなければならない時もあるが、そうなった場合の結果は上々で、さして重大でもない。

閑話休題。

Q.
「なぜメインにハンデスがないの?」

A.
メインに《思考囲い》を入れるのは強力な選択だが、単純にスペースが無い。
コンボデッキに対して、《突然の衰微》と入れ替える形でサイドからハンデスカードを入れるのが美しいと判断した。

理由の大部分は、このデッキが何をフェッチするかという考えがベースにある。
もし《Underground Sea》をフェッチした場合、だいたいは《死儀礼のシャーマン》の用意があり、1ターン目に《思考囲い》を使うことはないだろう。
仮に《死儀礼》を用意せずに《Underground Sea》をフェッチするのは、他の脅威と妨害手段のプレイを損なっている。
加えて、1ターン目のドローが《稲妻》、2ターン目のドローが《タルモゴイフ》というチグハグなトップデッキもあり得る。
もし、黒マナを探してキャントリップする間に手札で腐っているのが《突然の衰微》ならば、まだなんとかなる。
けれど、それが《思考囲い》だったら、おそらくは死んでいるだろう。

もしコンボだらけの環境ならば、メインにハンデスカードを入れることを勧める。
その時は《Force of Will》のためのブルーカウントに注意して。
そして、早期にもっと多くの黒マナが必要になるため、マナベースを見直す必要がある。大抵は、
-1《Underground Sea》
-1《Volcanic Island》
+1フェッチランド
+1《Badlands》
になるだろう。
早々に《Badlands》をフェッチで持ってくることは、《Counterspell》のトップデッキを最悪のものにするので、あなたは代わりに《Spell Snare》を入れるかもしれないが、それはそれで大部分のコンボデッキに具合が悪くなる。
なんという悪循環だろうか。

Q.
「白を足すのは?」

A.
上記の色の組み合わせには確かに白が入っていないが、これは選択の結果だ。
この組み合わせをテストする時間はないが、白を足す利点が2~3個あると思う。

以下が私の出発点だ。

<BUGW Delver>

Main Deck

3 [B] Tundra
1 [B] Bayou
2 [B] Tropical Island
2 [B] Underground Sea
4 [ON] Polluted Delta
1 [ON] Flooded Strand
4 [ZEN] Misty Rainforest
3 [PS] Meddling Mage
4 [FUT] Tarmogoyf
3 [RTR] Deathrite Shaman
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
2 [NPH] Gitaxian Probe
4 [M12] Ponder
4 [MM] Brainstorm
4 [IA] Swords to Plowshares
3 [LRW] Thoughtseize
2 [TE] Counterspell
4 [AL] Force of Will
4 [NE] Daze
2 [WWK] Jace, the Mind Sculptor


このリストは今回のGRUB版と同じ手法に倣ったものだが、今はまだ考え中の物だ。

《翻弄する魔道士》は私の肌をぞくぞくさせる。
《秘密を掘り下げる者》は、明確な理由がないままの《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》をメインデッキに居続けさせる。
最近の環境では、《翻弄する魔道士》は《突然の衰微》から仲間たちを守る数少ない手段の一つだ。
もう一つの解答として、サイドが定位置の《誤った指図/Misdirection》と《方向転換/Divert》があるが、《Hymn》を使うデッキ相手にはとんでもないトップデッキとなる。

《翻弄する魔道士》にはそうした問題が無い。
多くのクリーチャーよりも劣っているとしても、盤面を構築している間に相手のデッキ内の最も脅威となるカードを遮断してくれる。

《敏捷なマングース》と違って、《魔道士》は装備することができるので、《梅澤の十手》は現実的なサイドボードプランとなる。

《翻弄する魔道士》は正しく使うのが難しく見えるカードで、実際その通りだが、このカードを使うことで、あなたのスキルはより上がるだろう。
レガシーの多くのデッキが実際は一つのカードに依存していて、《実物提示教育/Show and Tell》だったり、《むかつき/Ad Nauseum》や、待機中の《祖先の幻視/Ancestral Vision》、または《終末》などを指定すると手こずらせることが出来る。
更に、《ギタクシア派の調査》や《思考囲い》、《神ジェイス》さえも《魔道士》は補助輪の様に扱う。

《神ジェイス》について言わせてもらえば、《翻弄する魔道士》との良い感じのコンボがいくつかある。
《神ジェイス》の検閲能力で相手のライブラリートップにあるカードを指定する方法以外で言えば、バウンスしたクリーチャーを指定したり、あるいは《魔道士》自体をバウンスして指定し直したり。
序盤で指定したカードが、後半でも重要とは限らないからだ。


今回はここまで。
願わくば、あなたがたっぷりと考えられますように。

記事


Owen’s Win - Power of Secrets

Owen Turtenwald

2013/02/10


プロツアー「ギルド門侵犯」がまさに今週に迫っていて、私は起きている時間は全てその準備に充てている。
この事については前にも言ったし、他のライターがオープンに書いているけれど、私はテストプレイの結果を1ミリだって公開しないつもりでいるんだ。

プロツアーというのは他のMtGトーナメントとは全く異なる性質を持ち、新しいテクに関して全員が神経を尖らせている。
私が初めてプロツアーに臨んだValenciaは混迷そのものだった。
トーナメントが始まる少し前に、個人的に《鋭い痛み/Flaring Pain》をサイドボードに入れたんだ。
というのも、サイドボードに《一瞬の平和/Moment’s Peace》を入れたコンボプレイヤーがぶつぶつ言っているのを聞いて、私のゴブリンデッキでは永遠に勝てないと思ったからだ。

実際のイベントでは、たった一枚の《一瞬の平和》とも遭遇せず、完全にその枠が無駄になってしまった。

別の面白い話としては、《鳩散らし/Dovescape》が場にある状態での《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を除去する方法を求めた人々が《古の法の神/Kami of Ancient Law》と《ロノムのユニコーン/Ronom Unicorn》をそれぞれ$15で買い求めていた事だ。
《不朽の理想/Enduring Ideal》コンボデッキはこの大会の語り草だが、それがいかに早く、いかに強烈かということを披露することで人々が適切な振る舞いをするようになった事もまた、新しく刺激的な情報によるものだ。

私はしばしば言っているが、マジックにおいて「状況」というのはとても重要な事だ。
長々とした説明を抜きにしても、例えば《稲妻/Lightning Bolt》が一般的に使われる環境で、高コストのタフネス3クリーチャーを使うにはそれなりの正当性がなければならない。
もしも《鳩散らし》をどうにか出来るのなら、エンチャント破壊としては《天啓の光/Ray of Revelation》の方が《古の法の神》よりも良いと見なす事が出来る。
同様に、対戦相手のライフが残り2の時は《ショック/Shock》の方が《炎の斬りつけ/Flame Slash》よりも良いが、もし対戦相手が《Lady Orca》を場に出すなら《炎の斬りつけ》の方がより良いだろう。

プロツアーのような場所では、勝ち進んでいく上で、主要なチームの誰かを倒さなければならない事は知っているだろう。
もしもあなた以外の全てが大きなチームに属していると知ることが出来たなら、15人の猛者たちにサイドボードで対抗することが出来る。

Team Fireballの全員が《Affinity》(あるいは《鍛えられた鋼/Tempered Steel》)を使用すると分かったとしよう。
別な方法を取らずとも、何枚かの《古の遺恨/Ancient Grudge》をサイドに積めば本当に楽になる。
そうした追加がマッチアップを大いに変化させ、あなたが《Affinity》を倒すことでトーナメントで良い成績を残すならば、そこには情報の絶対的な価値がある。

人々が情報を得る手段もまた非常に馬鹿げたものだ。
何度か経験があるのだが、トーナメントの直前にバイヤーブースで私がカードを買い、それを周りで見ていた人々が、私が使うデッキと、私がそれを共有するだろうという事を友人たちに伝えた。
そして、彼らは私を倒すためにデッキを変更し、私や私と同じデッキを使う人間とペアリングし勝利を収めたものの、劣ったデッキリストを用いたために、環境にいる私以外のデッキに対して苦しみ続けなければならなくなった。
重要な情報は迅速に広まるが、その重要性には注意を払わなければいけない。

同じようなことはローカルトーナメントでも経験がある。
考えてみて欲しい。
あなたは毎週FNMに出ているが、その店には優秀な「Caw-Blade」使いがいるために毎回準優勝止まりになっている。
一体何回負けたら、彼を倒すためだけにデッキを変えようとするだろう?
あなたはその店の他のプレイヤーの大部分をボコれるだろうという確信がある。
同時に、「Caw-Blade」使いはあなたを含めた全員を毎週毎週ボコれる確信があり、ボコれる間はそれを使うことを止めない。

ある週、あなたは決意し、彼を叩きのめし、とうとう全てに勝利した。
彼は何をするだろうか?
あなたに負け(おそらくはあなたのデッキリスト変更によって)ながら、再び同じデッキで現れるだろうか?
これはメタゲームが非常に有益、あるいはとんでもなく傷つきやすいという事に気付く良い例だ。
もしあなたがやり過ぎてサイドボードにまで強烈な変更を加えたら、その店で《赤単》を使う他の誰かに負け始めるだろう。

ここにある大きな違いは、FNMの場合はあなたが参加者20人の大会だと知っているし、特定の人とペアリングされると知っているし、誰が何を使っているかを知っている。
プロツアーでは、400人のプレイヤーが参加している。
なので、特定のチームが使うデッキについての噂話が真実だったとしても、それによる変更が有利になる、または有利な相性だと思っているデッキに対して、変更を加えてもまだ余裕があるという考えには、全く信頼性がない。

同様の事として、サイドボーディングの重要性についても誇張することは出来ない。
サイドボードカードが「ちゃんと働く」ことが重大だというのはよく知っているだろう。
先月、私はLegacyMOCSに向けて準備していて、「RUG」デッキのサイドボードに《精神怖しの罠/Mindbreak Trap》を試していた。
私は「Belcher」デッキと《冥府の教示者/Infernal Tutor》デッキがかなりの数いると予想していて、実によくメタに合致したサイドカードのように思えた。

3枚の《罠》によって妨害しようと画策したが、サイド後のゲームでは《罠》を引いても負けてしまった。
本当にメイン戦の相性が悪い(まさにこの組み合わせがそうだ)時に、あなたは効果的なサイドカードを求めるだろう。
そして、それ自体で勝利出来るカードならば最高のサイドカードだ。

問題は私がデッキに加えた「別の」カードにあって、《呪文貫き/Spell Pierce》、《目くらまし/Daze》、《Force of Will》、そして《精神壊しの罠》は私に大量の手札を抱えさせ、相手がコンボをスタートさせるまでじっと待たせ続ける。
一般的に私のデッキには迅速なクロックが無く、対戦相手が道筋を立てる前に十分なプレッシャーをかけることが難しい。
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で覗かれることで《罠》の意外性は無くなり、同時にそういったデッキには大抵《陰謀団式療法/Cabal Therapy》と《強迫/Duress》も入っている。

じきに私は《秘儀の研究室/Arcane Laboratory》に目を移したが、これは実に素晴らしい。
コンボプレイヤーたちは私が取るに足らないカウンターしか持っていない事を知っているので、コンボ成立のために1ターン目や2ターン目になりふり構わず動いてくる。
それによって、あなたは2ターンの猶予を得るので、そこから「私の勝ちだ」と宣言する3マナのカードに繋げる動きはかなり魅力的に見える。
私はほとんどの場合で序盤から《思案/Ponder》と《渦巻く知識/Brainstorm》で《秘儀の研究室》とこれを唱えるための土地を探しに行く。(土地18枚の「RUG」デッキでは土地を三枚並べるのは簡単ではない)

興味を持った方のために、LegacyMOCSで使った「RUG Delver」のリストを公開しよう。
私自身は振るわなかったが、このデッキをとても気に入っているし、またすぐにレガシーのトーナメントがあるなら私は確実にこれを使うだろう。
大まかな原型はGP Denverで16位入賞の斎藤が使ったものを参考にしている。


4 [TE] Wasteland
3 [B] Tropical Island
3 [B] Volcanic Island
4 [ZEN] Misty Rainforest
4 [ZEN] Scalding Tarn

4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [OD] Nimble Mongoose
4 [FUT] Tarmogoyf

4 [NE] Daze
4 [AL] Force of Will
4 [5E] Brainstorm
4 [M12] Ponder
4 [B] Lightning Bolt
2 [ROE] Forked Bolt
3 [DKA] Thought Scour
2 [DIS] Spell Snare
3 [ZEN] Spell Pierce

SB: 4 [NE] Submerge
SB: 2 [SC] Sulfuric Vortex
SB: 1 [ISD] Ancient Grudge
SB: 4 [DKA] Grafdigger’s Cage
SB: 3 [US] Arcane Laboratory
SB: 1 [ZEN] Mindbreak Trap


メインは斎藤のものとほぼ同じだが、土地を削って《思考掃き/Thought Scour》を加えた。
《水没/Submerge》とのコンボで《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を殺せるので《思考掃き》を気に入っている。
サイドボードはかなり異なるが、これはメタゲームとサイドボーディング両方の重要性を実際に説明する良い例だ。

四枚目の《秘儀の研究室》ではなく一枚だけ《精神壊しの罠》を入れているのには様々な理由がある。
私は異なるサイドカードを混合させるのが好きで、それによって相手は対処が難しくなるし、もし《秘儀の研究室》と《精神壊しの罠》を一枚ずつ引いたなら、それは《秘儀の研究室》を二枚引くよりもより効果的だ。
更に《精神壊しの罠》は、ポピュラーではないものの「Belcher」デッキのもう一つのコンボルート(注:《巣穴からの総出/Empty the Warrens》)にも対処出来る。

私はかなり多くの「Dredge」デッキが環境にいると予想して、《墓堀りの檻/Grafdigger’s Cage》を四枚入れた。これは死ぬ前ならいつ引いても良く、そして大きな効果をもたらす。
《イチョリッド/Ichorid》、《ナルコメーバ/Narcomoeba》、《陰謀団式療法》、そして《戦慄の復活/Dread Return》を一枚で止められるのはかなりおいしい。
《虚空の力線/Leyline of the Void》は私が墓地利用戦略を対策する場合にもっぱら使うカードだが、私のデッキには《思案》と《渦巻く知識》が入っており、《Force of Will》、《目くらまし》、そして《不毛の大地/Wasteland》でゲームを長引かせつつドロー操作することで、初手を保ちながら特定のカード(たった1マナで全戦略を止めてしまうような物)を探しにいく方が良いと思ったのだ。

二枚の《硫黄の渦/Sulfur Vortex》はお気に入りのサイドカードで、これは他のカードとは別の軸からコントロールデッキを攻撃するカードだ。
コントロールデッキ使いは《剣を鋤に/Swords to Plowshares》、《終末/Terminus》、《非業の死/Perish》などのカードによって私のクリーチャーと戦う、あるいはカードアドバンテージを得ようとするが、それに執着するあまり、単独でゲームを終わらせる《硫黄の渦》の解決を許してしまう。
相手のライフが14の時にこれをキャストし、そのままゆっくりとライフを削り切ってしまったゲームさえあった。
相手は既に《相殺/Counterbalance》+《師範の占い独楽/Sensei’s Divinign Top》コンボを完成させ、《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》まで場に出していたにも関わらずだ。


もしあなたの考えがまとまっていないなら、この記事が役立てばと考えているよ。
プロツアーが終わったら、私は最近のトーナメントとLimitedの戦略に関する記事を書く通常営業に戻るとしよう。


記事


Leaving A Legacy: Secrets of Delver

Rich Shay

2014/06/19


Magicは偉大なゲームだ。
それは間違いない。
が、何年にも渡って何度もこのゲームに戻ってくる理由はそれではない。
もちろん偉大なゲームだというのも理由ではあるが、Magicは素晴らしいコミュニティでもある。
長い年月をこのゲームと過ごし、私は親友やとても仲の良い友人を得た。
Magicはかけがえのないものや、興味を引かれる人物を私の人生に与えてくれた。
昨年、親愛なる友人の結婚式に出席した。
彼と私は、2000年のBrownの集まりでMagicを通して知り合った。
私が博士号を取るためにピッツバーグに越してきた時、そこには知り合いがいなかったんだ。
幸いにも、CMU Magic Club(カーネギーメロン大学)と巡り合えた。
そしたらあっという間に友人が出来た。
過去のSCG Legacy OpenからWaterburyでのVintage熱の高まりまで、その大部分は大会後の友人たちとの食事にある。

この記事を読む皆さんが、何かスタンダードへの鋭い洞察を得ようと期待していないことを望んでいる。
黒単信心をちゃんと回すためには相当な量の練習が必要だとは確信を持って言えるけれど。
そうした上で、Invitationalシーズン2のStandardの成績が3-5だったというのは、悲しいね。
カーネギーメロン大学でのコンピューター科学の博士課程も五年目になる。
私は人々がどのようにパスワードを作成するか、という研究を、きっと皆さんが思っているよりももっとしている。
そして、私は自分のしている事が本当に大好きなので、絶えず変化し新しくなる環境の理解へ向ける時間は少ない。
幸運にも、ピッツバーグはLegacyが盛んで、毎月恒例のVintage大会さえある。
最高のゲームで楽しむために毎週金曜の夜にLegacy大会に参加出来る事に喜びを感じている。

私がInvitationalシーズン2とSCG Legacy Openに持ち込んだのは、【BUG Delver】だ。
このデッキは二度のInvitational Qualifierでも使用したものになる。
私はInvitationalのLegacy部門で8-0を記録し、
続けて75枚中74枚一緒のデッキで、Legacy Openで準優勝を果たした。
Openでの二敗は【Manaless Dredge】と【Death and Taxes】の二つ。
この記事の残りでは、私の使った【BUG Delver】デッキについて話したいと思う。
そして、このデッキは【Team America】ではない。
【Team America】というのは、《Sinkhole》入りの、名前の付かないデッキの事だ。

// Lands
1 [U] Tropical Island
4 [R] Underground Sea
4 [ZEN] Verdant Catacombs
4 [TE] Wasteland
3 [ON] Polluted Delta
2 [ZEN] Misty Rainforest
2 [R] Bayou

// Creatures
4 [FUT] Tarmogoyf
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [RTR] Deathrite Shaman

// Spells
4 [AL] Force of Will
1 [LG] Sylvan Library
4 [5E] Brainstorm
4 [FE] Hymn to Tourach (2)
3 [LRW] Ponder
4 [NE] Daze
4 [RTR] Abrupt Decay
1 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
2 [ISD] Liliana of the Veil
1 [GTC] Dimir Charm

// Sideboard
SB: 1 [LG] Sylvan Library
SB: 1 [WWK] Jace, the Mind Sculptor
SB: 2 [MOR] Vendilion Clique
SB: 1 [CMD] Flusterstorm
SB: 2 [NE] Submerge
SB: 2 [RTR] Golgari Charm
SB: 2 [ZEN] Disfigure
SB: 1 [SOK] Pithing Needle
SB: 1 [WL] Null Rod
SB: 2 [DKA] Grafdigger’s Cage


○The Theory Behind Delver

【Delver】デッキは、かつてAlan Comerが提唱した「Turbo Xerox」理論の延長線上に位置する最新のデッキだ。
この理論は、多量のドローソースを投入し、マナカーブを下げる事で相対的に土地の枚数を切り詰める事が可能になる、というものだ。
ゲームの早い段階では、ドロー手段は土地事故を無くすために機能する。
しかしゲームが進めば、土地を切り詰めたおかげで、土地よりも有用な呪文を多く引き込めるというわけだ。

長年に渡り、このアプローチに合致するカードはいくつも刷られた。
土地を最大限に利用するための構築例として、マスクス・ブロック構築の【Blue Skies】を見て欲しい。
LegacyにおけるTurbo Xeroxとしては、既に【Canadian Threshold】といったデッキが存在していた。
しかし、《秘密を掘り下げる者》が印刷され、全てが一変する。
このTurbo Xeroxデッキは多量の呪文を搭載し、かつ攻撃的なものに変貌を遂げた。
《昆虫》にとって、そこは完璧な居場所となった。
第1ターンに展開する脅威としてのポテンシャルは、このアーキタイプを支配的なデッキに押し上げるのに十分だった。

三色の【Delver】デッキは基本的に三つのタイプに分けられる。

【RUG Delver】は最も攻撃的な構築になる傾向があり、18枚の土地と5~6枚の火力から成る。
このタイプは往々にして《もみ消し》を《目くらまし》や《不毛の大地》と組みあわせて使う事で「マナ否定戦術」を取りながら《タルモゴイフ》と《敏捷なマングース》といった劇的に軽い脅威によって相手に襲い掛かる。
【RUG】はそのクリーチャーと火力によってゲームを終わらせるまでの間、対戦相手が機能不全に陥る事を望むデッキだ。

【UWR】のタイプは【Delver】デッキの中でも少しだけ土地の枚数が多い。
緑の代わりに《石鍛冶の神秘家》と装備品、《剣を鍬に》を加える。
このタイプはいくらか速度が遅く、対戦相手のマナベースへの干渉も少ない。
反面、《安らかなる眠り》や《翻弄する魔道士》、《剣を鍬に》といった強力なサイドカードを多数抱えている。これらは通常の【Delver】デッキでは対処し辛い《墓忍び》などの脅威を対処可能にする。

私が好むDelverデッキは【BUG Delver】だ。
【BUG】には赤が欠けていて、他の【Delver】デッキに入っている《稲妻》を使う事は出来ない。
もしもクリーチャーの攻撃を通す事が出来ないならば、対戦相手の残りライフが2であろうとも、それは完全に安全な状態という事になる。
【RUG Delver】と比べて約6枚程インスタントとソーサリーが少なく、《秘密を掘り下げる者》を《昆虫の逸脱者》に変身させる面から見ても、明らかに悪い。
こうした理由から、【RUG】が【BUG】よりも厳密に悪いと言うつもりはない。
それよりも、【RUG】と【BUG】はメタゲーム上で異なるデッキなのだ。

【RUG Delver】が非常に攻撃的なデッキなのに対して、【BUG Delver】は積極的に仕掛けて行く事も出来れば、同じ位にゲームをコントロールする事も出来る。
それは、【RUG】よりもプレイするのが難しい理由でもある。
【RUG】には実質的に一つの“モード”しかないが、【BUG】は常にその時々での判断を強いられる。
その見返りとして、【BUG】は《秘密を掘り下げる者》よりも良い1マナのクリーチャーを持っている。
《死儀礼のシャーマン》だ。
ほとんどの場合、初動は《秘密を掘り下げる者》よりも《死儀礼のシャーマン》の方が正しく、このカードがいかに強力か過大評価するのはほぼ不可能な程に強い。

《秘密を掘り下げる者》について論ずると言ったが、《死儀礼のシャーマン》は特筆に値する。
【RUG Delver】と対峙した際、《死儀礼のシャーマン》が除去されなければ、非常に有利になる。
彼は【RUG】が行う「マナ否定戦略」の影響を感じさせないマナ加速となり、時には相手の《秘密を掘り下げる者》や《敏捷なマングース》をブロックする。
そして、一旦盤面が安定すれば、あなた自身さえも《稲妻》圏外へと連れて行ってくれる。


○Notes on Playing BUG Delver

ここまでで、あなたが【BUG Delver】に興味を持つかも知れない理由について話してきた。
そして私は今まであなたが多くの【BUG】レシピを見てきた事も確信している。
次のセクションでは、今までのリストと、私のカード選択との違いについて話して行こう。

しかし、私のデッキを理解する前に、私がどんな風にこのデッキをプレイするかを理解してもらう必要がある。
「これ」と「それ」とを個別に考えて優劣を付けるのは意味の無い事だ。
《墓忍び》と《真の名の宿敵》はどっちが優れている?
この質問には、その背景に基いてしか回答する事が出来ない。
想定するメタゲームと、どんなデッキを使うか、だ。
私の場合はどちらも選ばなかった。
これはデッキにどのようにアプローチするかという私の哲学の自然な結果でもある。

【RUG Delver】に対してはコントロールデッキとして戦う。
彼らの攻勢を止め、安定させ、カードアドバンテージを積み上げる。
【RUG】の唯一の勝ち筋は、《もみ消し》を使ってこちらのマナベースを攻撃し、こちらが安定する前に殴り切ってしまう事だ。
当然不安に思う事はない。勝てる。少しだけ彼らの攻勢を押し留め、火力圏外に保ち、後は道なりに、だ。
こちらは《突然の衰微》で《タルモゴイフ》を処理するが、【RUG】がこちらの《タルモゴイフ》をどうにかするには骨が折れるはずだ。
《ヴェールのリリアナ》は大きな存在で、基本的に相手のクリーチャーと交換した後、相手に《稲妻》を無駄にさせるか、敗北かを選ばせる。
実際、どっちでも良い。
数枚の火力が尽きてしまえば、【RUG】は《ヴェールのリリアナ》をどうにかする手段がほとんど無くなる。
サイド後は、より多くの、そして効率的な除去を投入し、代わりに《Force of Will》をサイドアウトする。
《水没》をタダで撃つのは非常に重要だが、そうするためには《島》を場に置き続けていなければいけない事を忘れてはいけない。

打って変わって【Miracles】戦では、コントロールの様に動いてはいけない。
彼らはこちらよりもずっとコントロール力に優れているからだ。
代わりに、彼らが《精神を刻む者、ジェイス》や《師範の占い独楽》でゲームをコントロールする前にクリーチャーで殴り切る必要がある。
【Miracles】は非常に人気のあるデッキで、私の【BUG】は特に【Miracles】に相性が良いように構築した。
《突然の衰微》は《相殺》関連を機能不全にし、おそらく彼らはそのほとんどをサイドアウトするだろう。
《ヴェールのリリアナ》と《精神を刻む者、ジェイス》も当然強いが、《森の知恵》は相当タフな一枚だ。
カードを引くためにライフを差し出す行為を咎める手段が、【Miracles】には無い。
実際、こちらのクリーチャーが農場送りにされるため、カードを引くためのライフには困らないだろう。

サイド後は、追加の《ジェイス》と《森の知恵》が投入される。
【Miracles】に効果的な《ヴェンディリオン三人衆》もある。
《ヴェンディリオン三人衆》は彼らの《ジェイス》にプレッシャーをかけ、始末することが出来る。
加えて、「奇跡」の誘発スタックで彼らの手札から剥ぎ取って「奇跡」を止めるのも可能にしてくれる。
《ヴェンディリオン三人衆》を手札に戻す《Karakas》には少し気を付けなければいけない。
《無のロッド》と《真髄の針》は《師範の占い独楽》を止めるために重要なカードで、どちらも汎用性がある。
《ジェイス》と《師範の占い独楽》の二枚は、【Miracles】デッキと戦う上で放置してはいけないカードだ。

対コンボデッキでは、妨害しつつ速やかにクロックを用意する必要がある。
コンボデッキはこちらよりも確実に速いため、妨害要素は不可欠であると同時に、リソースを貯めさせるための時間を相手に与えてはいけない。
先週末の対【Sneak and Show】戦での事だ。(実際このデッキとは六回当たった)
第1ゲーム、私は《タルモゴイフ》を用意するも、3ターン目に二枚のカウンターに後押しされた《実物提示教育》を通された。
私は二枚目の《タルモゴイフ》と《秘密を掘り下げる者》を持っていた。
相手はデーモンによって私から7点のライフを吸い取る。
私の《秘密を掘り下げる者》は裏返り、二体の《タルモゴイフ》で攻撃。
相手は再びデーモンで殴ってきて、それを《昆虫の逸脱者》でブロックしながら、それ自体に《突然の衰微》。
返しの攻撃で私は勝利した。
これは積極的に仕掛けつつ、要所を押さえた例の一つだ。

【Elves】との相性はサイド前はひどいものだが、サイド後はだいぶマシになる。
もしも青いデッキで【Elves】との対戦経験が無いのなら、彼らは非常に掴み所の無い相手に感じられるだろう。
彼らは八枚の致命的なソーサリーを持っていて尚、それらの《自然の秩序》や《垣間見る自然》が無くとも容易に勝つことが出来る。
こちらにとって最も悪いのは、彼らの《ワイアウッドの共生虫》が《エルフの幻想家》と一緒になってこちらよりも多くのカードを引き増す事だ。
サイド前に彼らを倒すためには、しばしば最適なタイミングで《Force of Will》を持っている事が要求される。(必ずしも最適な戦略ではないが)
明るい話題としては、サイドボードがかなり助けてくれる。
私が大会で【Elves】と対峙した際には、ほぼ第1ゲームは落とすものの、マッチには勝利している。
《墓堀りの檻》はこのマッチアップで重要で、《自然の秩序》、《緑の太陽の頂点》やフェッチランドから《ドライアドの東屋》が出て来る事さえも封じる。
《ゴルガリの魔除け》は彼らのクリーチャーのほとんどを始末し、《見栄え損ない》と《水没》は彼らの持つ全てに対処可能だ。


○My Build of BUG

上記の相性と私がどのように戦うかについての話は、私がなぜこの様な構築に至ったかを理解する上で重要な事だ。
私は多くの【BUG】リストが《Force of Will》を三枚しか採用していない事に気が付き、その理由を理解した。
《Force of Will》はミラーマッチや《霊気の薬瓶》をプレイしたがるデッキとの対戦で欲しいカードでは無い。
その一方で、《Force of Will》が最大級に必要になるデッキもこの環境には多数存在している。コンボデッキや【Elves】、【Miracles】などがそうだ。
デッキに四枚の《Force of Will》を入れるだけでなく、それを支えるだけの十分な青いカードがデッキに入っているかも重要になる。
私は21枚の青いカードを入れ、四枚揃いの《Force of Will》を減量しようとは思わない。
これは、以降の選択を意味のあるものにする構築上の制約でもある。

次に議論したいのは《Hymn to Tourach》だ。
このカードは妨害手段でありアドバンテージ源でもあり、2マナとしては破格のカードだ。
《不毛の大地》同様、《Hymn》は対戦相手からゲームを進行する上で必要な資源を奪い去る事でイージーウィンをもたらす場合がある。
【RUG Delver】や【Miracles】、コンボデッキと対戦する際に、一枚のカードと2マナが相手のカード二枚と交換になるのは、それだけで嬉しい。
《Hymn》は【RUG】に対して特に効き、私はサイドアウトしない。
【RUG】のカードは全て強く、土地は少ししか入っていない。
なので、《Hymn》を当てて捨てさせたそれらのカードが、彼らにとっては必要な物かも知れない。
そうこうする内に、【RUG】の手札は無くなるだろう。
そうなればしめたもので、もはや彼らにこちらを止める術はなく、焼ききる火力も残ってはいないだろう。

反対に、私は《思考囲い》が好きではない。
《Force of Will》と《Hymn to Tourach》は経験上【Miracles】に対して効果的だ。
《思考囲い》は【RUG】に対してこちらが取る、遅いカードアドバンテージを積み重ねる戦略に全く合致しない。そればかりか、相手のバーン戦略に合致してしまう。
既に十一枚もの1マナ呪文があり、不足しているということは無い。
カードそのものとしての《思考囲い》は評価しているが、メインデッキに採用するカードでは無いと思っている。

他の青くない選択肢としては、《見栄え損ない》などは検討に値するが、四枚の《Force of Will》と噛み合わない。
《見栄え損ない》は良いカードだが、最大まで《Force of Will》を入れながらもっとメインから除去を採用したいならば、《海賊の魔除け》や《ディミーアの魔除け》といったカードを入れる必要があるだろう。
《ディミーアの魔除け》はバランスの良いカードだ。
【Miracles】や「Elves」に対してはゲームを終わらせるソーサリーを止める役割を持つ。
そうしたソーサリーを持たないデッキに対しては彼らのクリーチャーを処理する。
私はいつの日か《ディミーアの魔除け》の三番目のモードを使って《秘密を掘り下げる者》を変身させつつ《タルモゴイフ》を大きくしたいと願い続けている。
そうした日はまだ来そうにないが。
もしも《海賊の魔除け》が《死儀礼のシャーマン》を処理出来たのなら、一も二も無く採用したのに。

最後に、《精神を刻む者、ジェイス》だ。
彼は青く、【Miracles】に対して絶大な影響力を持ち、時にはそれ以外のデッキに対しても素晴らしい働きをする。
ほとんどの人々がこのスロットを《真の名の宿敵》などにしている事は知っている。
けれど、《ジェイス》は1マナ多いだけでそれ以上の事をやってのける。
他のカードで過去に試したのは、《トレストの密偵長、エドリック》だ。
彼もまた青く、《ジェイス》同様に大量のカードを引かせてくれる。
しかし、もしも基本的な12体のクリーチャーに追加で入れるとすれば、私は《ヴェンディリオン三人衆》を入れるだろう。
二枚の《三人衆》はサイドボードに入っているが、非常に強力で、私は一枚をメインに移す事を考えている。

このデッキをプレイした上で、かつて試したものの、上手くいかなかったいくつかのカードについて話す価値があるだろう。
《思案》は素晴らしいカードで、四枚目がダメだとは言えない。
3~4枚の土地を並べている時の《思案》は偉大だ。
けれど、そこに到達するまでの《思案》はただの土地探しカードだ。
私はゲームの最初の数ターンを、《思案》する事よりも自分の脅威を展開したり、相手の脅威への解答へ充てたい。
とは言え、《思案》は青く、Vintageで制限カードになる程度には良いカードだ。
なので、四枚目の《思案》が間違っているとは言えない。

私は《闇の腹心》には不満を抱いている。
基本的に四枚の《Force of Will》を入れている時にはプレイ可能なカードではなく、青くもない。
しかし、《Force of Will》が三枚の時でさえも、《闇の腹心》は対戦相手を勝たせるのが非常に上手い。
こちらのマナカーブはいくらか高く、《師範の占い独楽》も無いために、盤面の《闇の腹心》から自分自身を守る術が無い。
《闇の腹心》入りでプレイしていた時、頻繁に彼を自分自身で処理しなければいけない事に気が付いた。それ程に彼を腹心でいさせるには金がかかる。

もしLegacyをやるなら、このデッキで楽しんで欲しい。
楽しくないデッキなら、私は使おうと思わないからね。
もしLegacyをやっていないなら、一度やってみることを強くオススメしたい。
現時点でお気に入りのフォーマットだし、どんなデッキで楽しもうとも、Legacyはあなたのためにあるのだから。


記事


Cruising to Victory in New jersey(ニュージャージー 勝利への巡航)

by Bob Huang 2014/10/3


「タルキール覇王譚」のスポイラーが出始めた時、《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》が青緑系のテンポデッキに入る可能性があると目されていた。
このカードは《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》を貫通し、適切なカードを「探査」すれば、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と一緒になって場をめちゃめちゃに出来る。
《稲妻/Lightning Bolt》や《突然の衰微/Abrupt Decay》でも落ちない!
けれど、私はもっと良く知っていなければならなかったんだ。
「ラヴニカへの回帰」が二枚の青くないカードでもってLegacy界に衝撃を与えた、という事は例外だったのだと。(二枚というのは《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と《突然の衰微》のことだ》)
「タルキール覇王譚」はそうではなかった。


《宝船の巡航/Treasure Cruise》

《時を超えた探索/Dig Through Time》

新しいぶっ壊れを知るべきだ。
Carsten Kotterは九月中旬にはこの二枚にスポットライトを当てていて、実際の価値よりも正当な評価を受けていないと訴えていた。
この二枚はそれこそ《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》のようだと。
発表当初はその真価を認められていなかった《ジェイス》も全ての青いコントロールデッキの「勝利手段」兼「カードアドバンテージ獲得手段」としての地位を得た。
将来的には、《宝船の巡航》は青いテンポデッキと青いミッドレンジデッキの核となるだろう。
《時を超えた探索》は少し手際が必要だが、コンボを完成させる事や、特定の解答を見つけ出すのに長けている。
そうしたデッキは墓地を肥やすのがゆっくりなものだが、逆にマナを浮かせてターンを相手に渡せるデッキでもある。
つまり、コントロールデッキと遅めのコンボデッキには《時を超えた探索》が馴染むだろう。

いくつかのデッキを見ていこう!


【UR Delver】

色々な形で《宝船の巡航》を試したが、最終的には【UR Delver】に決めた。


// Lands
4 [B] Volcanic Island
1 [ON] Flooded Strand
4 [ZEN] Scalding Tarn
2 [UNH] Island
1 [UNH] Mountain
4 [ON] Polluted Delta
1 [ON] Wooded Foothills

// Creatures
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [KTK] Monastery Swiftspear
4 [M14] Young Pyromancer

// Spells
4 [KTK] Treasure Cruise
4 [M12] Ponder
4 [NE] Daze
4 [5E] Brainstorm
4 [AL] Force of Will
4 [B] Lightning Bolt
1 [LG] Chain Lightning
4 [NPH] Gitaxian Probe
2 [ROE] Forked Bolt

// Sideboard
SB: 2 [M12] Grim Lavamancer
SB: 3 [IA] Pyroblast
SB: 2 [DKA] Grafdigger’s Cage
SB: 1 [SHM] Smash to Smithereens
SB: 2 [SC] Sulfuric Vortex
SB: 2 [9E] Blood Moon
SB: 2 [RTR] Pithing Needle
SB: 1 [WL] Null Rod


ある晩、私はこのデッキとMO上で出合った。
使っていたのはBen Winokurだ。
私は彼のリストを手に入れ、いくつかの改良を加えた。しかし、このデッキの着想の大部分は彼によるもので、賞賛は彼こそが受けるべきだ。
私がこのデッキに最初に付けた名前は『Humans on a Boat on Fire』というものだったが、キャッチーでは無かったため友人たちに案を募った。
『Viking Funeral(海賊たちの葬列)』はかなり良い線いっていた。
他のデッキがたくさんの人間をこしらえ、そいつらをクルージングに誘い、火を付けた上で対戦相手に返してやるってのはどうだろう?

様々なデッキをテストした後で、私は「Viking Funeral」を使うことに決めた。
このデッキが、《宝船の巡航》がリーガルになって最初の週で最も強いデッキだと考えたからだ。
土曜日のLegacy Open Trialと日曜日のLegacy Openを合算した私の戦績は、13勝1敗2分(二つともIDだ)という凄まじいものだった。
非常に幸運にも恵まれて、【Deathblade】を使うErik Smith、【Infect】のAlex Bertoncini、【Burn】のMike Flores、【Miracles】のReid Duke、【Shardless BUG】のDave Shielsを下した。
どのプレイヤーも各人のデッキに精通していた(私よりも)が、私は勝利に向かって邁進することが出来た。
なぜなら、私のデッキは不合理な程に強力だったばかりか、全く予想されていないものだったからだ。
テストによって分かった《宝船の巡航》の爆発力と、力強いサイドボードプランも互いに干渉し合わなかった。

みんな、単純に準備不足だったんだ。
多くのプレイヤーは《宝船の巡航》を使っておらず、使っているとしても一枚か二枚だけだった。
【BUG Delver】を使いTop8入賞のStephen Mannは対フェアデッキでの《宝船の巡航》について信じきれなかったが、四枚揃いで使っておけば良かったと言っていた。
《Ancestral Recall》はタダ強なんだ。

人々は《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》(私はこの子をテイラー スウィフト スピアーと呼んでいる)について多くの疑問を持っていた。
彼女はこのデッキにおいて実に良い働きをする。
一度戦場に出れば、全てのキャントリップは1点のダメージと見なせる。
そう、《稲妻》は潜在的に4点になるということだ。
《宝船の巡航》も彼女の燃料を補給する重要な役割を持つ。
彼女は通常3/4位で、一度か二度は5/6にまで到達する。
つまり、「赤い《タルモゴイフ》」という説明の方が、「新しい《ゴブリンの先達/Goblin Guide》」よりも適切だと思っている。
それでも、《僧院の速槍》を使うにあたって、一定の構築制約はある。
ダメージを出すためには、戦闘前メインフェイズに呪文を唱える必要がある。
加えて、キャントリップしていない時の彼女は非常に弱い。
なので、私は《不毛の大地/Wasteland》とピッチコストの無い受動的な青い呪文を切り捨てることにした。
また、《発展の代価/Price of Progress》も取らないことにした。
これは《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》と《僧院の速槍》が早期に呪文を唱えることを求めるのに対し、《発展の代価》が「待ちたい」カードだからだ。
幸運な事に、多くの対戦相手が《不毛の大地》と《発展の代価》を警戒したプレイングをしてくれた。

デッキのその他の部分は、非常に素直なものだ。
フェアなクリーチャーデッキに対しては、序盤の脅威を排除しつつ《宝船の巡航》の物量で圧倒する。
アンフェアなデッキに対しては、キャントリップでカウンターを集めつつ非常に速いクロックで圧力をかけて行く。
アンフェアデッキは実際もっと難しいマッチアップだが、私は【Sneak and Show】を二度、【Infect】を一度、【Reanimator】を一度倒している。
もしもコンボデッキがつまずいたら、4ターン目までに殺し切るのも難しい話じゃない。
そして時には、【Show and Tell】系列のデッキがコンボを完成させた後でさえ勝つことが出来る。
週末には《グリセルブランド/Griselbrand》と《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul,the Aeon’s Torn》の両方とダメージレースを繰り広げたんだ。

サイドボードに関しては、《僧院の速槍》とアンチシナジーということで、青いカウンターは取り除いた。
代わりに、《真髄の針/Pithing Needle》、《墓堀の檻/Grafdigger’s Cage》、《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》といった攻められるカードを取った。
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》+《相殺/Counterbalance》ロックは抗うのが非常に難しいので、《紅蓮破/Pyroblast》をカウンター呪文として採用した。これは、サイドボードから【Miracles】と共に【Show and Tell】デッキをメタるためだ。
週末中、私のサイドボードは尋常じゃない強さだった。というのも、人々は【UR Delver】がパーマネントを主体としたサイドボーディングをするとは予想していなかったからだ。
それによって、私は【Miracles】と【Show and Tell】を両方とも二回ずつ倒した。
もしこの先使うとすれば、私は何枚かの《発展の代価》を入れて、無警戒な相手にお咎めプレイをするだろう。

「Viking Funeral」は第1週としては、素晴らしい選択だったが、他の【Delver】デッキが《宝船の巡航》を四枚揃いで入れ出すようになるとグッと辛くなるだろう。
もし対戦相手がこちらの脅威を絶えず排除出来るならば、キャントリップをクリーチャーを探すために使わなければならず、そうして脅威を展開できたとしても、それは2ターン目から前に進めていない、ということでもある。
こうした欠点にもかかわらず、《グリセルブランド》とダメージレースが出来るような火力を出せる【Delver】デッキを他に見つけられないというのも確かな事だ。

○【Jeskai Delver】

今週末最も調整したのがJeskai Delverだった。以下は私が調整していたものだ。


// Lands
4 [ZEN] Arid Mesa
4 [TE] Wasteland
3 [B] Volcanic Island
4 [B] Tundra
1 [ZEN] Misty Rainforest
4 [ON] Flooded Strand

// Creatures
2 [C13] True-Name Nemesis
4 [WWK] Stoneforge Mystic
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration

// Spells
4 [IA] Brainstorm
1 [BOK] Umezawa’s Jitte
1 [NPH] Batterskull
2 [ZEN] Spell Pierce
2 [IA] Swords to Plowshares
4 [M11] Lightning Bolt
4 [AL] Force of Will
4 [NE] Daze
4 [KTK] Treasure Cruise
4 [M12] Ponder


色々なDelverデッキを試す中で、墓地耐性が最も高いという理由で私は【Jeskai Delver】と【UR Delver】が好きだ。
余分な《宝船の巡航》は《渦まく知識/Brainstorm》や《Force of Will》の餌に出来るので、もしも対戦相手が《安らかなる眠り/Rest in Peace》の様なカードをサイドインしてきた時にも効果的に運用できる。
このデッキの《宝船の巡航》はゲームが長引いた際の完璧な解答になり、《Ancestaral Recall》が解決すれば《殴打頭蓋/Batterskull》のための5マナを用意することも非常に容易になるのは明白だ。
《呪文貫き/Spell Pierce》を削ったことは、対コンボ戦における第1ゲームをより悪いものにする。
これは《宝船の巡航》を四枚入れた際の最も大きな欠点の一つとなる。
クリーチャーを入れていないデッキがこの【Jeskai Delver】とマッチしたいと思うのは、今まで通りだ。
しかし、【Elves】 対 【Jeskai】戦は以前は簡単なものではなかったが、【Jeskai】側が除去を連発した後で容易に燃料補給できるようになったため、【Elves】側には不利益しか無い。


【BUG Delver】

// Lands
4 [ZEN] Verdant Catacombs
4 [TE] Wasteland
4 [ON] Polluted Delta
1 [ZEN] Misty Rainforest
3 [B] Tropical Island
3 [B] Underground Sea

// Creatures
4 [FUT] Tarmogoyf
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [RTR] Deathrite Shaman

// Spells
4 [AL] Force of Will
4 [5E] Brainstorm
4 [NE] Daze
4 [RTR] Abrupt Decay
1 [ZEN] Disfigure
4 [M12] Ponder
4 [KTK] Treasure Cruise
4 [LRW] Thoughtseize


分かってる分かってる。長い事《Hymn to Tourach》を愛してきたんだから。
でもね、《思考囲い/Thoughtseize》の方が《宝船の巡航》を巡るこの世界にはマッチしてるんだ。
《思考囲い》なら、あなたを《宝船の巡航》を解決させる最初の人間にしてくれる。
墓地に依存するデッキに《宝船の巡航》を入れるのは間違っているように見えるかも知れないけれど、私は大抵の場合、相手の墓地を食い荒らすので特に問題はなかった。
付け加えると、一枚でも《宝船の巡航》を解決させれば、それで自分の墓地を肥やすのは容易になる。
《死儀礼のシャーマン》は相手の「探査」を制限する事が出来るので、より良いものとなった。
全体として、私が【BUG Delver】の主要な欠点として挙げるのは、予想された通りの強さでしかない、という点だ。
互いに土地が五枚以上並んでいる時、《タルモゴイフ》と《突然の衰微》をキャストすることは、何度も何度も繰り返し《殴打頭蓋》を出す事ほどパワフルな行動ではない。
加えて、《安らかなる眠り》の様な対策カードの影響を大きく受けるため、《安らかなる眠り》を入れてくる類のデッキには《宝船の巡航》を何枚かサイドアウトする必要があると思う。
しかし、個々のカードパワーは非常に高いため、【BUG Delver】は引き続き良い成績を残すだろうと予想している。


【RUG Delver】

この《宝船の巡航》による狂乱の最中で、【RUG】はどの位置にいるのか。
率直に言って、この新しい世界の変革に対応する必要があると考えている。
論理的に、適切な《もみ消し/Stifle》と《不毛の大地》によってRUGは古典的な形に落ち着くだろうが、私は「Viking Funeral」のテスト中にそういった古典的な【RUG】に1ゲームさえも落とすことが無かった。
《宝船の巡航》を入れない場合、【RUG Delver】は序盤に全てを注ぎ込まなければいけなくなるが、現状ではそうした戦略が上手くいくとは思えない。
さようなら、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》
こんにちは、《Ancestral Recall》


// Lands
4 [TE] Wasteland
3 [B] Volcanic Island
1 [ZEN] Scalding Tarn
3 [B] Tropical Island
4 [ZEN] Misty Rainforest
4 [ON] Wooded Foothills

// Creatures
4 [ISD] Delver of Secrets/Insectile Aberration
4 [FUT] Tarmogoyf
3 [M14] Young Pyromancer

// Spells
2 [ZEN] Spell Pierce
4 [NE] Daze
4 [5E] Brainstorm
4 [M12] Ponder
4 [AL] Force of Will
4 [B] Lightning Bolt
1 [ROE] Forked Bolt
4 [KTK] Treasure Cruise
3 [NPH] Gitaxian Probe


このバージョンの【RUG】は非常に【UR Delver】に似ているが、《クローサの掌握/Krosan Grip》や《古えの遺恨/Ancient Grudge》を含むより多くのサイドボードを取れる。
《呪文貫き》や《もみ消し》には個人的な因縁があるが、それらはコンボデッキに対して疑いようの無い強さをもっており、【RUG】構築では考慮されるカードだ。


しかし、【Delver】デッキだけが《宝船の巡航》を上手く使えるわけじゃない。
このカードは【EsperBlade】や【Deathblade】の様なデッキにも非常に良く合う。
私は【Delver】デッキではなく、より強力なカードを入れ、《真の名の宿敵》の様な抵抗力のある脅威を盛り込んだ【BUGミッドレンジ】を視野に入れることも出来た。
そうしたデッキにおける《宝船の巡航》の適正枚数は2枚ないし3枚だろう。
なぜならカードが重く、速度が遅いからだ。


《時を超えた探索》もまた非常にパワフルで、コンボデッキやコントロールデッキととても上手くマッチする。
これによって【OmniTell】は再びTier1のデッキとして返り咲けるだろうか。


// Lands
3 [UNH] Island
3 [TE] Ancient Tomb
3 [EX] City of Traitors
4 [ON] Flooded Strand
4 [ZEN] Misty Rainforest
1 [ZEN] Scalding Tarn
2 [R] Volcanic Island

// Creatures
4 [ROE] Emrakul, the Aeons Torn

// Spells
1 [TE] Intuition
4 [US] Show and Tell
4 [IA] Brainstorm
4 [M10] Ponder
4 [M13] Omniscience
4 [AL] Force of Will
4 [M11] Preordain
4 [NPH] Gitaxian Probe
3 [JU] Cunning Wish
4 [KTK] Dig Through Time

// Sideboard
SB: 1 [TE] Intuition
SB: 4 [M11] Leyline of Sanctity
SB: 1 [DS] Echoing Truth
SB: 1 [ZEN] Ravenous Trap
SB: 1 [CMD] Flusterstorm
SB: 2 [CHK] Boseiju, Who Shelters All
SB: 3 [10E] Pyroclasm


【OmniTell】の欠点は、常に単体では何もしない《無限への突入/Enter the Infinite》を含む三枚コンボだということだ。
Logan Mizeの最新のリストでは、代わりに《全知/Omniscience》からの《エムラクール》でフィニッシュしている。
《時を超えた探索》はこのデッキにおいて素晴らしいカードで、欠けたコンボパーツを探したり、ハンデスの効果を和らげる。
《狡猾な願い/Cunning Wish》からの《直観/Intuition》で《エムラクール》を見つけるように、《全知》からの《時を超えた探索》では失敗する方が難しい。

私は《時を超えた探索》が【Miracles】においても大きな可能性を秘めていると感じている。
Reidは私との対戦で《時を超えた探索》を解決したが、対面していてとても恐ろしかった。
《時を超えた探索》をプレイするための適正枚数についてはちょっと自信がないが、ハッキリしている事は、プレイ可能な8マナ域の呪文の存在は、《相殺》によって対戦相手の《宝船の巡航》を打ち消せるという事でもある。


○Cards to Play in the New World

上記に示したのは、この新しい「タルキール覇王譚」のカードと合致する構築だ。
これらのデッキがより革新的になっていくのを確信しているし、フォーマットが大きく移り変わって行く様を見るのも楽しい。
ぶっ壊れた性能ではあるけれど、《宝船の巡航》と《時を超えた探索》が第二の《精神的つまずき/Mental Misstep》だとは考えていない。
《精神的つまずき》のコストは実質的に僅かなライフだけだった。
しかし、《宝船の巡航》と《時を超えた探索》は実際にいくつかの準備が必要となる。

この二枚には三つの大きな弱点があると思う。
とにもかくにも一つ目は、これらのカードが4ターン目より前にキャスト出来る事は非常に稀だということだ。そしてコンボデッキは大抵それ以前に仕掛ける事が出来る。
これはサイドボード前の第1ゲームの観点から見た時、【Sneak and Show】や【Storm】デッキなどのコンボデッキにとっては追い風で、【Delver】系列にとっては向かい風だろう。
二つ目、「探査」カードは墓地を要求する。
つまり、《死儀礼のシャーマン》、《安らかなる眠り》、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》といったカードの価値が高まり、メインデッキへの昇格すらあり得る。
しかし、このどれもが自動で解決してくれるわけではない。
《死儀礼のシャーマン》は除去されるし、《大祖始の遺産》は引くのが遅すぎると意味がなく、墓地に依存しない脅威を展開したり、《渦まく知識》や《Force of Will》を適切に運用できれば、《安らかなる眠り》も機能しない。
三つ目、これらのカードは全て青く、多くのキャントリップを求めるということだ。
《紅蓮破》の様に青いカード全般に対して素晴らしいカードや、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》の様にキャントリップ対策になるカードはその価値を高める。

現在、《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》としっかり噛み合う強デッキは存在しないが、【Junk Depth】は彼を欲しがるかも知れない。
《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》は以前は可用性ギリギリの所にいたが、現在では2枚以上をドローするデッキに対しての完封手段になる。
このスピリットが非常に脆いとしても、【Death and Taxes】には《ルーンの母/Mother of Runes》がおり、一体でも残るように《迷宮の霊魂》を四枚入れる事が出来る。
似たようなものとして、《概念泥棒/Notion Thief》の株も上がっている。
《ダク・フェイデン/Dack Fayden》+《概念泥棒》のコンボがLegacy級になる日のために私は生きているんだけど、誰か気付いてた?

「ラヴニカへの回帰」以来、停滞していたLegacy環境は現在とても大きく揺れている。
革新の向こう側にいる諸君に幸運を!


記事


Deck Guide - Legacy Sultai Delver

by Andrea Mengucci

2015/5/11

PPTQシーズン中のLegacyは忘れられがちなフォーマットではあるが、最もスキルが報われ、やりがいのあるフォーマットである事に変わりは無い。

という事で、今回はこの環境最高のデッキの一つだと思っているデッキについて分析したい。
そう、Sultai Delverだ。
このデッキはハンデスでコンボデッキの大部分と渡り合い、《突然の衰微》と《Hymn to Tourach》を含めたカウンター群でフェアデッキとやり合う。

構築には色々あるが、私のリストを公開するので、その選択について議論しよう。


Sultai Delver

4*《不毛の大地》
4*《汚染された三角州》
3*《新緑の地下墓地》
2*《霧深い雨林》
4*《Underground Sea》
2*《Tropical Island》
1*《Bayou》

4*《秘密を掘り下げる者》
4*《タルモゴイフ》
4*《死儀礼のシャーマン》
2*《闇の腹心》

1*《ヴェールのリリアナ》
1*《残忍な切断》
4*《渦まく知識》
4*《思案》
4*《突然の衰微》
4*《目くらまし》
3*《Force of Will》
3*《Hymn to Tourach》
2*《思考囲い》

サイドボード
2*《真髄の針》
1*《墓掘りの檻》
3*《見栄え損ない》
2*《ゴルガリの魔除け》
1*《狼狽の嵐》
1*《呪文貫き》
1*《Force of Will》
1*《思考囲い》
1*《ヴェンディリオン三人衆》
1*《森の知恵》
1*《Hymn to Tourach》


○クリーチャー

《タルモゴイフ》、《秘密を掘り下げる者》、《死儀礼のシャーマン》といった必須の12体を除いて、2、3の選択肢がある。

・《闇の腹心》
 Miraclesに対して素晴らしい。残ライフを考えなくて良いし、すぐに除去するためには《剣を鍬に》を必要とする。
《稲妻》を入れたデッキに対しては、ライフを失う事と、1:1交換を取られるという弱点がある。

・《黄金牙、タシグル》
 あたかもカードアドバンテージを供給する追加の《タルモゴイフ》ではあるが、《大祖始の遺産》や《安らかなる眠り》のせいでキャスト出来ないかも知れず、更には《タルモゴイフ》や《死儀礼のシャーマン》と上手く噛み合わない。
また彼の能力は、《目くらまし》、《思考囲い》、《Hymn to Tourach》といった終盤戦で死に札となるカードを抱えるデッキでは本当に輝かない。

・《墓忍び》
 コンボデッキへの最速のクロック。
エルフの頭上を越え、《稲妻》と《罰する火》に屈さない。しかし、《精神を刻む者、ジェイス》に対して非常に相性が悪く、《闇の腹心》と同居も出来ない。
この事も含み、相当メタゲームに依存する。
もしあなたがイタリアなどのMiraclesで溢れたヨーロッパメタでプレイするなら、良い選択とは言えない。

・《真の名の宿敵》
 非常に対処が難しい一枚だが、3マナかかる上、《石鍛冶の神秘家》と組み合わさった時にこそ輝くカードだ。
加えて、サイドボードの《ゴルガリの魔除け》と相性が悪く、価値が無い。


○スペル

ここの自由度はかなりのものだけれど、やっぱりお決まりの、
4《渦まく知識》、4《思案》、4《突然の衰微》、4《目くらまし》、そして3か4の《Force of Will》。

・《ヴェールのリリアナ》
 対Miraclesカードはたくさん取りたい。
そしてこのカードは同マッチアップで素晴らしい。
しかし、彼女もまた3マナで、《秘密を掘り下げる者》を裏返す事にも寄与しない。
そういうわけで、私は一挿しにしている。

・《残忍な切断》
 これはとても刺激的な一枚だ。
あまり多くの人がこのカードを使っているところを見ないが、私は他に「探査」カードが無い事から、一枚はデッキに入れるのが容易だと気付いた。
2~3ターン以降には無償の《剣を鍬に》として活躍する。

・《Hymn to Tourach》
 純粋なカードアドバンテージで、早期に使うほどに効果を増す。
このカードは基本的に誰にでも効く。《萎れ葉のしもべ》デッキ以外には。
これはJeskaiやTemurなどの他のDelverデッキに対するメインウェポンになるが、相手が先手2ターン目に《石鍛冶の神秘家》をプレイしてきたとしたら理想的ではない。
しかし、結局はアドバンテージを取っている事に気が付くだろう。
メイン三枚、サイドに一枚が適正枚数だと考えている。

・《思考囲い》
 ハンデスカードはコンボデッキに対しては常に効果があるが、対戦相手が解決した《石鍛冶の神秘家》によってもたらされる《殴打頭蓋》に対処可能な数少ない方法だ。
もし《石鍛冶の神秘家》デッキと対戦し、あなたが《死儀礼のシャーマン》も、《秘密を掘り下げる者》も、《思案》も無ければ、《思考囲い》を使っても良いだろう。そうじゃなければ、私はもう少し先まで取っておく事を提案する。

・《Force of Will》
 後のサイドボード編で分かるだろうけど、私は頻繁に《Force of Will》をサイドアウトするが、メインデッキに入れなくて済む程、余裕ってわけじゃない。
《闇の腹心》でめくれた時に痛すぎるってのも分かって欲しいし、ミラーマッチやアグロデッキ、《霊気の薬瓶》を使うデッキに対しても、最高のカードではない。

・《もみ消し》
 思うに、このデッキはJacob WilsonがSCG Invitationalで8-0したTemur Delverとは全く違うものだ。
このデッキは《目くらまし》と《不毛の大地》を用いたテンポデッキではあるけれど、それに依存し過ぎない。
こちらには《突然の衰微》、《Hymn to Tourach》といった別口の兵器があり、サイドボードによってよりフェアだったり妨害多めだったりと切り替えられる。
《もみ消し》は単純にその役割に合致しない。


サイドボード編

対Miracles

in
1*《森の知恵》
1*《ヴェンディリオン三人衆》
2*《真髄の針》
1*《Force of Will》
1*《呪文貫き》

out
4*《目くらまし》
1*《突然の衰微》
1*《残忍な切断》


《真髄の針》は《師範の占い独楽》や《精神を刻む者、ジェイス》と戦うために私がLegacyをプレイする時は常に入れている。

忘れないで欲しいのは、彼らが「奇跡」カードを引いて公開した(誘発した)として、あなたは《ヴェンディリオン三人衆》をプレイし、対戦相手を対象に取って「奇跡」カードを底に送ることで、プレイする機会を失わせられる。

このマッチアップにおける《呪文貫き》は《狼狽の嵐》より優秀で、なぜなら《ジェイス》や《安らかなる眠り》をカウンター出来るからだ。

彼らは《相殺》をサイドアウトするだろうから、あなたの四枚揃いの《突然の衰微》は対象に困るかもしれないが、あなたをロックしてしまう《相殺》を《衰微》が除去可能だと言う点は尊重してあげよう。

《師範の占い独楽》のドロー能力にスタックするか、彼らがフェッチランドを割った時にスタックする事で、《突然の衰微》が《師範の占い独楽》を壊せる。
これは分の悪い取引になるが、《独楽》に対してならやる価値がある。

常に《終末》は警戒した方が良いが、し過ぎる事は無い。
彼らが《渦まく知識》の後でフェッチランドを使わない時は-ほぼ「奇跡」の準備だろう。

サイド後は《血染めの月》が出て来るかも知れないので、手札に《突然の衰微》を抱えている時に何か不安を感じたら、タップアウトしないようにしよう。

《目くらまし》は先手の時でさえほぼ死に札になる。彼らはこのカードを避けるのが非常に上手だからだ。

このマッチアップはサイド前は五分から不利、サイド後は有利だ。


対OmniShow

in
1*《ヴェンディリオン三人衆》
1*《思考囲い》
1*《Force of Will》
1*《呪文貫き》
1*《狼狽の嵐》
1*《Hymn to Tourach》

out
4*《突然の衰微》
1*《残忍な切断》
1*《不毛の大地》


《全知》人気は《騙し討ち》を凌ぐほどで、これは《不毛の大地》を削る理由になる。《全知》は基本的にはほぼ青単だからね。

彼らが《血染めの月》を持たず、《防御の光網》に効果が無い事から、《突然の衰微》は役立たずになる。

デッキによっては、《紅蓮地獄》のために赤を足しているので、必要以上に戦線を拡大してはいけない。

このマッチアップはこちらが有利で、ハンデスで手札を攻めつつカウンターによって《実物提示教育》の解決を阻む。

もしも《秘密を掘り下げる者》、《死儀礼のシャーマン》、《思考囲い》のどれで始めるか決めかねたら、私は《秘密を掘り下げる者》からをオススメしたい。
このマッチアップでは序盤の脅威こそが鍵となる。


対Elves

in
3*《見栄え損ない》
2*《ゴルガリの魔除け》
1*《狼狽の嵐》
1*《ヴェンディリオン三人衆》
1*《思考囲い》
1*《墓掘りの檻》

out
4*《目くらまし》
3*《Force of Will》
1*《ヴェールのリリアナ》
1*《Hymn to Tourach》


最も相性の悪いマッチアップだ。メインデッキで干渉する手段がほぼ無い。
彼らは序盤から大軍で押し寄せて来て、《垣間見る自然》か《自然の秩序》で勝ってしまう。

サイド後は、《ゴルガリの魔除け》が《自然の秩序》や《垣間見る自然》での被害を軽減し、三枚の《見栄え損ない》でスローダウンさせている間に《秘密を掘り下げる者》や《ヴェンディリオン三人衆》で空から殴る。
《ゴルガリの魔除け》は悲しい事に《闇の腹心》ごと盤面を綺麗にするが、私は《闇の腹心》をサイドアウトしようとは思わない。大事なカードアドバンテージ源だからだ。
あなたが《タルモゴイフ》と《死儀礼のシャーマン》で何とか盤面を維持出来るのなら、《闇の腹心》は非常に重要な役割を担う。

《目くらまし》はElves相手に非常に弱く、デッキ中の青いカードがとても少なくなるために《Force of Will》も決して素晴らしくは無い。


対BUG Delver

先手時

in
3*《見栄え損ない》
1*《森の知恵》
1*《Hymn to Tourach》

out
3*《Force of Will》
2*《思考囲い》


後手時

in
3*《見栄え損ない》
1*《呪文貫き》
1*《狼狽の嵐》
1*《思考囲い》
1*《Hymn to Tourach》

out
3*《Force of Will》
4*《目くらまし》


ご覧の通り、先手後手でこのようにサイドボーディングは変える。

《目くらまし》は後手の時は効果が全然無いのに比べ、先手時には良いカードだ。
しかし、このカードは注意深く使う必要があるし、もし1ターン目に対戦相手が《秘密を掘り下げる者》をプレイしても、あなたが《死儀礼のシャーマン》をプレイしていないのなら、《目くらまし》を叩きつけてはいけない。
土地を伸ばし、彼らよりも先に《Hymn to Tourach》をキャストする必要がある。

また先手時には《森の知恵》をキャストする余裕があるが、後手時には相手に干渉しない呪文をキャストする時間は取り難い。

ミラーマッチは非常にやりがいがあり、選択肢に溢れて非常に楽しい。


対Stoneblade(No Delver)-EsperやJeskai

in
2*《ゴルガリの魔除け》
1*《Hymn to Tourach》
1*《ヴェンディリオン三人衆》
1*《森の知恵》
1*《呪文貫き》
1*《思考囲い》

out
3*《Force of WIll》
4*《目くらまし》


日に日にJeskai Delverを目にする機会が減り、同じ配色で《時を越えた探索》と《対抗呪文》を入れたよりコントロール重視のデッキが増えてきた。

このマッチアップは彼らが《稲妻》でこちらの小さな脅威を除去し、《剣を鍬に》でデカブツを除去するために、とても厳しい。
そして主要な敵は、《石鍛冶の神秘家》だ。

あなたは彼らを《真の名の宿敵》入りコントロールデッキとして扱い、カードアドバンテージで優位を取るようにしたい。

サイド後は《Force of Will》が無いため、彼らの《時を越えた探索》を念頭に入れておくことが非常に重要になる。


対Death & Taxes

in
3*《見栄え損ない》
2*《真髄の針》
2*《ゴルガリの魔除け》
1*《ヴェンディリオン三人衆》
1*《森の知恵》
1*《思考囲い》

out
4*《目くらまし》
3*《Force of Will》
3*《Hymn to Tourach》


もう一つの非常に厳しいマッチアップで、あなたの宿敵は《ミラディンの十字軍》。あなたはこれに対処する手段を見つける事が必須になる。
ハンデスが最良だが、《萎れ葉のしもべ》を捨てさせないようにしなければならず、その点で私は《Hymn to Tourach》が好きでは無い。
一方で、《ヴェールのリリアナ》は「布告」モードもあるし、大丈夫だと分かれば巧妙に+1していく。

《森の知恵》は彼らが《迷宮の霊魂》を展開している場合に機能しないため、《森の知恵》を使う前に確実に破壊したい。さもなければ、たった一枚のカードを引くだけで8点を失う事になる。

彼らは「装備し隊」なため、あなたは常に《突然の衰微》で相手を目論見を挫きたいと思うだろう。
なので、無価値なクリーチャーや《霊気の薬瓶》に《突然の衰微》を浪費してはいけない。

Videos

私はLegacyの大会で出会う主要なアーキタイプを大なり小なりほぼカバーした。
このフォーマットはとても美しくやりがいがあるので、是非あなたにもオススメしたい。

記事


Building Grixis Delver

by Jeff Hoogland

2017/7/20


こんにちは、皆さん!
これからStarCityGames.comでどんどん記事を書いていくつもりの、その第一弾へようこそ。
「誰だよお前」って人のために説明すると、俺はここ数年Twitchの方でストリーミングや戦略記事を書いてきた競技Magicプレイヤーだ。
2013年からSCG Tourで競技Magicにのめりこみ、SCG Tourの週末に何度も残っている。
三つの構築フォーマット全てを股にかけて数十回はOpenのTop8に残ったし、ClassicやIQのTop8にはそれこそ数えきれないくらい残ってる。

構築戦は俺のモチベーションになっていて、このコラムはそこに焦点を当てていくつもりだ。
今回はお気に入りのフォーマットのお気に入りのデッキを紹介したい:レガシーのGrixis Delverだね。


○How’s This for a Sample Size?

直近の二か月、俺がMO上でこのデッキの調整を100戦近くしている間の勝率は80%を超えていた。
このデッキをプレイした三つのLegacyチャレンジイベントにおいて二回のTop8入賞を果たしている。
Legacyにおける俺好みのデッキがGrixis Delverだけではもちろんないけれど、《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》亡き世界では、

客観的に見てこのフォーマットで最も強力なデッキがGrixis Delverだと強く考えている。

今回話したいのは、LegacyのGrixis Delverをあなたがどのように組み、プレイするか、それらについて話す二部構成の最初の一回だ。
第一回では、このアーキタイプでよく使われているカードそれぞれについて検分し、またマッチアップ毎にそれぞれがどういった役割を持つのか説明していきたい。
何故ならLegacyは広大なフォーマットなので、OpenやMOの様なだだっ広い環境と比較すると、あなたが参加するローカルイベントでは幾分かデッキリストが変わってくるからだ。
今回の記事が、あなたがメタゲームを考える上での一助になればと思っている。


○Core Cards

ここで示すカードは、このアーキタイプを使うにあたり、採用していなければいけないカードだ。
これらはこのアーキタイプで成功を収めたデッキリストの大部分で繰り返し記載されている物になる。

・《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
・《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》

まずはデッキ名の由来となり、このデッキ最高のクリーチャーから始めようか。
《秘密を掘り下げる者》は時には弱々しいものの、そうでない時にはこのフェアなLegacyデッキにfree winsをもたらしてくれる。
ゲームの1ターン目に脅威を場に出し、対戦相手が唱える最初の数回をカウンターし、《不毛の大地/Wasteland》でマナソースを奪い、3点ずつ相手を殴っていく。これを一度にやっていくんだ。

《死儀礼のシャーマン》は客観的にLegacyで最高のクリーチャーだ。
ライフを獲得し、対戦相手のライフを吸い、マナ食い虫でもあるこのデッキのマナ供給源にもなる。
それに加えて、DredgeやReanimatorといったデッキにメインデッキから対抗する手段にもなる。

基本的には、これらを四枚ずつ使う事になるだろう。


・《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》

このカードの枚数にはいささかバラつきがあるけれど、2~3枚である事がほとんどだ。
《若き紅蓮術士》は取り合えず使いたいスペルを使っていれば、増加していくプレッシャーとなる。
コントロールデッキに対しては、部隊を横に広げていくことで相手の単体除去の価値を下げるし、クリーチャーデッキ同士の対決では、有り余る程のチャンプブロッカーを生み出して戦況を優位にしていく。


デッキの中心となるクリーチャーの次は、Legacy環境をまとめるインスタントとソーサリーについてだ。

・《渦まく知識/Brainstorm》
・《思案/Ponder》
・《Force of Will》

《渦まく知識》と《思案》は青絡みのアーキタイプであれば驚くほどの安定性をもたらす。
毎ゲーム大量のカードを俺に見せてくれるし、《秘密を掘り下げる者》を裏返すのみならず、状況に応じて必要な解答を探してくることも出来る。
みんなはこれらのドローカードの使い方を熟知しているかも知れないけれど、経験上、何か特定の物を探している時にはこれらを唱えれば、それだけで事足りる。
もし既に手札が十分ならば、新しい物を探しにいく代わりに今手札にある物を使い倒すことに時間をかけるべきだろう。

《Force of Will》は《秘密を掘り下げる者》戦略において素晴らしくマッチする。
不快なデッキを《Force of Will》によって抑え付けている間に素早く終わらせてしまうという使い方以外にも、《秘密を掘り下げる者》などの脅威を守るためにも使える。
Legacyデッキには除去スペルがとても少ない物も多く、それはつまり除去を《Force of Will》するだけで、そのまま勝ててしまうという事でもある。


その他の中心となるカードたちについても見ていこう。

・《稲妻/Lightning Bolt》
・《目くらまし/Daze》
・《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》

《稲妻》は名実ともに強いカードだ。
ある時は対戦相手のクリーチャーへの解答であり、ある時は3点によってゲームの幕引きにもなる。
原則として4積みだろう。

《目くらまし》はもう一つの無料カウンタースペルで、マナを立たせていなくても対戦相手の邪魔が出来る。
終盤には《目くらまし》で土地を手札に戻して、《渦まく知識》で利用することも可能だ。
一般的には3枚かそれ以上入れる。

Magicというゲームは、対戦相手が何のサプライズも持ち合わせていなければとても簡単なゲームだ。
そして《ギタクシア派の調査》は最少のコストで対戦相手のサプライズ要素を取り払ってくれる。
これ自体が《秘密を掘り下げる者》を裏返すカードタイプなのに加えて、《若き紅蓮術士》との相性がとても良い。
2ターン目に出した《若き紅蓮術士》から、すぐにエレメンタルトークンを生成可能にする。
《目くらまし》同様に、一般的には3枚以上の《ギタクシア派の調査》が入る。


多くのGrixis Delverでマナベースは18~19枚で確定している。
二種類の青いフェッチランド、《Tropical Island》を一枚、《Underground Sea》を2~3枚、《Volcanic Island》は3枚、そして4枚の《不毛の大地》。
場合によっては《若き紅蓮術士》などを唱えるために無色マナを使う事もあるが、Grixis Delverではもっと積極的に《不毛の大地》を使っていきたい。基本的にはターン毎に伸びていく土地を止めるための《石の雨/Stone Rain》としてだ。
一枚挿しの《Tropical Island》は《死儀礼のシャーマン》によってライフを獲得するためや、サイドボードに緑のカードを入れている時用に入っている。


○Flex Slots

上記で示した中心となるカードを数えている人がいたなら、メインデッキが50枚かそれ以上になっている事に気付いているだろう。
最後の10枚そこらの枠は、何を対策するかで変更していく部分になる。
毎ゲーム大量のカードを見られるから、一枚挿しのカードを探しにだって行けるって訳さ。

まずはゲームを終わらせるために追加の脅威が必要な場合だ。
このデッキは墓地を肥やすのが上手で、「探査」持ちの脅威を1~2枚入れるのが定石になっている。

・《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
・《墓忍び/Tombstalker》

《グルマグのアンコウ》はより唱えやすく、黒マナ1つのみである事もしばしばだ。
とは言え、ゲームが長引くと地上がゴチャゴチャしがちなLegacyでは《墓忍び》の方が優れている。
あなたが《若き紅蓮術士》で対戦相手のクリーチャーを水際で食い止めている時に、《墓忍び》は上空からゲームを決めに行ける脅威となる。
もし《墓忍び》を使うなら、3枚目の《Underground Sea》も入れるのが賢明だろう。

こうした有用な脅威を踏まえて、時には少しマナがかかっても強力な二種類の脅威が欲しい時もある。

・《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
・《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

Legacyの全てのフェアなマッチアップに対して《真の名の宿敵》は素晴らしい活躍をする。
一度場に出れば、3点ずつ与えるブロックされないクリーチャーとして、必要とあらば防衛役として、あなたの勝利に貢献する。
ありがたい事に《死儀礼のシャーマン》と《若き紅蓮術士》のトークンのおかげで、《悪魔の布告/Diabolic Edict》や《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》から《真の名の宿敵》を守ることが出来る、

《ヴェンディリオン三人衆》は《真の名の宿敵》よりも脆いが、コンボデッキに対する妨害手段付きの脅威となる。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》に対しても有用だ。


例外的に、長期戦になるような環境を予想するなら、こちらにもその準備がある。

・《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
・《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》

《瞬唱の魔道士》は全部やるカードだ。
まだ引いてない特定の解答を探している時にはドローカードに、あと数点のために《稲妻》をフラッシュバックさせ、コンボデッキ相手には2点のクロックとして。

Modernにおける《瞬唱の魔道士》の親友と言えば《コラガンの命令》だが、Legacyにおいても良き相棒だ。
ゲームが長引いてくれば、《コラガンの命令》はほぼ1対2交換になり、《瞬唱の魔道士》と組み合わされば、より大きな価値を生み出す。
《石鍛冶の神秘家》が使用可能なフォーマットにおいて、メインデッキから入り得るアーティファクト破壊は非常に優秀と言えるね。


もしクリーチャー主体の環境なら、メインデッキの除去を《稲妻》4枚から更に増やす。

・《致命的な一押し/Fatal Push》
・《四肢切断/Dismember》
・《二股の稲妻/Forked Bolt》

《致命的な一押し》と《四肢切断》は両方とも確定除去である一方で、《二股の稲妻》は相手の《若き紅蓮術士》やElves向きのカードと言える。
《二股の稲妻》は最悪でも《ショック/Shock》になるので、StormやSneak and Showを相手に回した時に《致命的な一押し》などのカードを引くよりもいくらかマシと言える。
 

《目くらまし》と《Force of Will》がある上で、よりメインデッキに妨害手段が欲しい時。
通常は10枚程度の妨害手段が欲しいが、コンボデッキがどのくらい存在するかによってこの数字は変動する。
Grixis Delverで最も基本的な追加の妨害手段は、

・《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
・《呪文貫き/Spell Pierce》
・《もみ消し/Stifle》

環境への理解があるか、あるいは《ギタクシア派の調査》と合わさった時に《陰謀団式療法》は殊更に強力になる。
《陰謀団式療法》+《ギタクシア派の調査》+《若き紅蓮術士》が一緒になると、最少の労力で対戦相手の手札をだいぶキレイに出来る。
コンボデッキとコントロールデッキに対しても、等しく《陰謀団式療法》は有効だ。

《呪文貫き》は《目くらまし》と《Force of Will》に加えて更にカウンターが欲しい時に採用する。
《陰謀団式療法》よりは劣るが、それでもそこそこ見かけるのでこのセクションで紹介した。

《もみ消し》はGrixis Delverで使える最高のゴチ!カードだ。
フェッチランドは起動型能力を持つことから、《もみ消し》がしばしば1マナの《石の雨》となり、《不毛の大地》や《目くらまし》と手を取り合う関係だ。
とは言え、経験豊富なプレイヤーを相手にした際に《もみ消し》用のマナを立て続けるのはやり辛く、ゲームがスローダウンしてしまいがちになる。


○Sideboard Options

Legacyではとても多くかつ異なるサイドプランがある。今回の様な4色に近いデッキを使っている時は特にそうだ。
様々な状況で効果を発揮するカードや、膨大な選択肢によって、サイドプラン構築の困難さを思い知らされる。

とは言え、多くのGrixis Delverのサイドボードにおいて中心となるカードがいくつかある。

・《古えの遺恨/Ancient Grudge》
・《狼狽の嵐/Flusterstorm》
・《紅蓮破/Pyroblast》
・《外科的摘出/Surgical Extraction》

《古えの遺恨》は強力なアーティファクト破壊かつ、対戦相手が複数のアーティファクトを持つ場合にはアドバンテージ獲得手段にもなる。
最も重要なのは、これのコストが2マナという事で、即ちX=1で置かれた《虚空の杯/Chalice of the Void》を破壊可能という事だ。
《虚空の杯》や《石鍛冶の神秘家》を全く見ないと踏んでも、最低一枚はサイドボードに忍ばせておきたい。

《狼狽の嵐》はスペル主体のコンボデッキとコントロールデッキに対して強力な妨害となる。
より限定的な《呪文貫き》と言えるが、適切に使えばかなり効果的でもある。
多くのGrixis Delverのサイドボードで、少なくとも二枚は見られる。

Legacyにおける青いデッキはGrixis Delverしかいないだろうか? いや、そうではない。
《紅蓮破》はしばしば『気になるスペルをカウンターする』とも読める。たった1マナで。
Stormの様なデッキを相手にした時にも、サイドボードから入れた《紅蓮破》でドロー操作をカウンターして準備を手間取らせたりする。
《赤霊破/Red Elemental Blast》と分ける人もいるだろう。
これは相手に使われる《外科的摘出》や《陰謀団式療法》に対してメリットがある一方で、《紅蓮破》なら好きなパーマネントに空撃ちする事で(もしそれが青ければ破壊する)、《若き紅蓮術士》を誘発させられる。

《外科的摘出》はReanimatorやDredgeといった墓地利用コンボデッキに対して素晴らしいサイドカードで、基本的には、迅速にコンボ成立を目指すデッキへの追加の《Force of Will》として働き、最低でも二枚は持って家を出たい。
また《実物提示教育/Show and Tell》などのコンボデッキに対しても、コンボパーツの最初の一枚をカウンターするか捨てさせた後で「摘出」してしまえる。


もしクリーチャーを横に広げる戦術が多いと予想するなら、場に出た後で掃除するカードを基本的に二枚程度入れたい。

・《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
・《イゼットの静電術士/Izzet Staticaster》
・《Fire Convenant》
・《電謀/Electrickery》

《渋面の溶岩使い》はこの中で最も遅いものの、ゲームが進むにつれて繰り返し使えて、対戦相手へのトドメにもなるのが利点だ。
《イゼットの静電術士》はミラーマッチで微妙なものの、これまた繰り返し使えるのが利点となる。

《Fire Convenant》はハイリス・ハイリターンな一枚で、なぜなら《Fire Convenant》の解決の成否を問わずにライフの支払いが行われるからだ。これは他の青いデッキに対して少々危険を冒すことになる。
《電謀》は初ターンに出た《秘密を掘り下げる者》を除去可能なだけではなく、《若き紅蓮術士》が作り出した陣営も壊滅させられる柔軟性が売りだ。しかし、クリーチャーに1点ずつ与えるのみという効果は少し見劣りする。


Legacy界には、パーマネントによる妨害が正解になるデッキもいくつかある。
Grixisカラーではそういった用途のカードが限定されるが、アーティファクトやエンチャントにいくらか良い選択肢が存在する。

・《無のロッド/Null Rod》
・《真髄の針/Pithing Needle》
・《墓堀りの檻/Grafdigger’s Cage》
・《夜の戦慄/Dread of Night》

《無のロッド》は《石鍛冶の神秘家》に対してだけでなく、Stormに対する妨害にもなる。
これはStormがマナ生成と手札を空にするための両方の目的において《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》に頼っているからだ。

《真髄の針》はアンフェアデッキの《騙し討ち/Sneak Attack》の様なカードへの解答で、それ以外にもフェア気味なデッキにおける装備品や《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》にも刺さる。
《夜の戦慄》はここで挙げた対策カードの中では最も限定的なカードだが、Death & Taxesが多い環境を予想するなら花形だろう。


一般的なGrixis Delverのサイドボードを見たところで、次は少し異なった選択肢にも目を向けてみよう。

・《悪魔の布告》
・《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
・《悪意の大梟/Baleful Strix》
・《苦い真理/Painful Truths》

《悪魔の布告》は《稲妻》で処理するには大きすぎるクリーチャーと同様に《真の名の宿敵》を処理するのに使える。
特筆すべきは、これで20/20の《マリットレイジ》にも対抗出来る点だ。

5色を生み出せるデッキでは、《仕組まれた爆薬》が適切な場面で似非全体除去として働く。
盤面からゴブリントークンを一掃することも、悩みの種のプレインズウォーカーも、全て処理し得る。
サイド後に相手から何が飛び出してくるか分からない時にはとても良いカードだ。

《悪意の大梟》と《苦い真理》は遅いデッキを相手にした時の長期戦用アイテムとして選択される。
《悪意の大梟》はDelverのミラーマッチで有用なのと同様にデカブツで殴ってこようとするデッキに対して素晴らしい。
《苦い真理》はとにかくカードアドバンテージをくれるし、Death & Taxesが《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》を出していれば、4枚ドローだって可能だ。


○Wrapping Up

準備はいいかい? ここまで話してきた様々な選択肢を一つの形にしてみよう。
ここ最近、MO上で上手く行っている俺のGrixis Delverはこんな感じになっている。

クリーチャー(14)
4*《死儀礼のシャーマン》
4*《秘密を掘り下げる者》
1*《グルマグのアンコウ》
1*《瞬唱の魔道士》
1*《真の名の宿敵》
3*《若き紅蓮術士》

土地(19)
2*《溢れかえる岸部/Flooded Strand》
2*《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2*《汚染された三角州/Polluted Delta》
2*《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1*《Tropical Island》
3*《Underground Sea》
3*《Volcanic Island》
4*《不毛の大地》

スペル(27)
4*《渦まく知識》
3*《目くらまし》
4*《Force of Will》
1*《コラガンの命令》
4*《稲妻》
3*《陰謀団式療法》
4*《ギタクシア派の調査》
4*《思案》

サイドボード
1*《無のロッド》
1*《渋面の溶岩使い》
1*《真の名の宿敵》
1*《古えの遺恨》
2*《悪魔の布告》
2*《狼狽の嵐》
1*《コラガンの命令》
2*《紅蓮破》
3*《外科的摘出》
1*《二股の稲妻》

このリストは最近のMO Legacyチャレンジで勝った時に使ったものだ。
メインデッキに《瞬唱の魔道士》、《コラガンの命令》、《真の名の宿敵》などのフェアなマッチアップ志向の物が入っている。
サイドボードにはアーティファクトを目の敵にして二枚目の《コラガンの命令》、《古えの遺恨》、《無のロッド》を採用。
Death & Taxesのような《石鍛冶の神秘家》を使ったデッキはGrixis Delverにとってキツいマッチアップなので、どんなデッキと当たるか分からない広いフィールドに行く際は、対策した方が良いと思う。


ここまで読んでくれてありがとう。
もしここで紹介したGrixis Delverのカード選択に疑問があればコメント欄から質問して欲しい!
もしデッキを使うに際した基本的な疑問もあれば、気軽に聞いてくれ。
このGrixis Delver入門記事の第2弾では、多様なマッチアップにおける《秘密を掘り下げる者》の役割や、判断、Delverデッキでのマリガン基準なんかを議論するつもりだ。


ありがとう!

記事


Playing Grixis Delver:Part 2

by Jeff Hoogland

2017/08/01


前回の記事ではGrixis Delverというアーキタイプで見られる様々なカードについて考察した。
今回は特定のデッキリストを取り上げて、それに関して話を進めていくつもりだ。
そして、Legacyをやる上でよく当たるマッチアップと、それらに対して俺がどうやってサイドボーディングしているかを見ていこう。
締めには、このデッキを使う上で判断を下さなきゃいけない基本的な場面についても例示していこうと思う。

本稿を始める前に、俺が最近使ってるリストはこれだ。

Grixis Delver

土地*19
2《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1《Tropical Island》
3《Underground Sea》
3《Volcanic Island》
4《不毛の大地/Wasteland》

クリーチャー*14
4《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
1《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
1《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
3《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》

スペル*27
4《渦まく知識/Brainstorm》
3《目くらまし/Daze》
4《Force of Will》
1《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
4《稲妻/Lightning Bolt》
3《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4《思案/Ponder》

サイドボード
1《無のロッド/Null Rod》
1《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
1《真の名の宿敵》
1《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2《悪魔の布告/Diabolic Edict》
2《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《コラガンの命令》
2《紅蓮破/Pyroblast》
3《外科的摘出/Surgical Extraction》
1《二股の稲妻/Forked Bolt》


○Specifics About This Configuration

Grixis Delverは一般的にLegacy環境に存在するコンボデッキに対しての備えは万全と言える。
一方で、アドを稼ごうとするフェアなMidrangeデッキに対してはやや分が悪い。
俺が使っているこのデッキでは、コンボデッキ耐性は保ちつつ、キツイと言われるマッチアップを改善しようと尖ったカードを数枚仕込んでいる。

俺が妨害手段として《陰謀団式療法》を気に入ってるのは、こいつならゲームが長引いても有用性が持続するからだ。
対して《もみ消し/Stifle》みたいなカードは一度対戦相手がマナベースを伸ばせば無用の長物となってしまう。
同様に、フェアデッキに対するマナ否定戦術が好みじゃないのも手伝って四枚目の《目くらまし》を解雇した。

世の中には《真の名の宿敵》がリストに不在のGrixis Delverが結構あるけれど、こいつを使わずにGrixis Delverをプレイするなんて俺には想像つかないね。
不利が付くマッチアップ全てにおいて強力なカードで、一旦解決してしまえば単独でゲームを勝ちに導く事もしばしばだ。
もしもフェアデッキが多数存在するフィールドを予想するなら、あなたがDelverに入れられる最高のカードは《真の名の宿敵》になる。


○Matchups

Legacyには本当に多くの異なるデッキが存在する。実際、その多くのマッチアップの全てについて俺は書けるだろう。
とは言え今回は、ここ最近のトレンドな相手との相性を押さえていこうと思う。
もしもここに含まれていないデッキと当たった時には、デッキの類似性や何をしなければいけないか、という点から類推できるはずだ。

○Storm

Stormのようなスペル主体のコンボはGrixis Delverにとって好相性と言える。
こちらには大量の妨害手段と、十分なプレッシャーがある。
このマッチアップで最も大事な事の一つは、《目くらまし》等の“ソフトな”カウンターを相手の準備を挫くために使うという事だ。
大抵コンボを開始する時には浮きマナがあるものなので、《目くらまし》の当て所は最序盤の《思案》や《渦まく知識》が最高だ。
もしも相手の手札が最悪だと知っているならば、《目くらまし》によってフェッチランドを砕かせるのも一手になる。悪い手札を残すことを強制できるのだから。
俺のデッキリストだと、サイドボーディングはこんな感じになる。

IN
2《狼狽の嵐》
2《紅蓮破》
1《無のロッド》
2《外科的摘出》

OUT
4《稲妻》
1《真の名の宿敵》
1《コラガンの命令》
1《グルマグのアンコウ》

《真の名の宿敵》、《コラガンの命令》、《グルマグのアンコウ》はいささか遅すぎる。
《稲妻》は時折ゲームの決着を1ターン早めてくれるが、そうでない時は対戦相手がサイドボードからクリーチャープランを取ってこない限りは無価値だから抜く。

《狼狽の嵐》はこのマッチアップで最高のカードにして、実質的には確定カウンターだ。
《紅蓮破》はコンボパーツを弾けないが、ドローソースを消すことで相手をスローダウンさせて時間を稼ぐ。
《無のロッド》は全てのアーティファクトの能力をマナ能力も含めて停止させる。これは相手の《水蓮の花びら/Lotus Petal》や《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》がただの置物になるという事だ。

《外科的摘出》は様々なマッチアップでエースというわけではないが、とても多芸だ。
もし《冥府の教示者/Infernal Tutor》を《摘出》できれば、相手はゲームに勝つのが困難になるだろう。
単に《陰謀団式療法》のコールのために使っても良い。
ここで《陰謀団式療法》について一言。たまに対戦相手がこちらのハンデスに対応して《渦まく知識》をする事がある。そこで《外科的摘出》を使えば相手の新しい手札を《陰謀団式療法》のコール前に見られるだけでなく、相手がデッキトップに隠した二枚をもシャッフルで消してしまえる。


○B/R Reanimator

これもまた好相性な相手になる。
《別館の大長/Chancellor of the Annex》含みの狂った初動を抜きにすれば、こちらが提供する妨害の山から復帰するのが基本的には不可能なデッキだ。

IN
2《狼狽の嵐》
2《悪魔の布告》
3《外科的摘出》

OUT
4《稲妻》
1《真の名の宿敵》
1《コラガンの命令》
1《グルマグのアンコウ》

《外科的摘出》と《狼狽の嵐》がコンボを止め、《悪魔の布告》がすり抜けて場に出てしまったデカブツを処理する。


○Sneak and Show

ほどほどのマッチアップで、対Stormに似ている。
ここでもソフトカウンターを積極的に使っていく。
ターンが進むと対戦相手は《水蓮の花びら》や《古えの墳墓/Ancient Tomb》によって追加のマナを確保しやすくなるからだ。

IN
2《狼狽の嵐》
2《紅蓮破》
2《外科的摘出》

OUT
4《稲妻》
1《真の名の宿敵》
1《グルマグのアンコウ》

理想的な動きは《実物提示教育/Show and Tell》か《騙し討ち/Sneak Attack》の一枚目を捨てさせるか打ち消してから、《外科的摘出》する。
もしも相手が《防御の光網/Defense Grid》を入れてきそうなら二枚目の《コラガンの命令》を追加するのもそう悪くないだろう。


○Death and Taxes

このマッチアップはこちらの対策が十分でないと難しくなり得る。
幸運にも今回のデッキリストには、Death & Taxes等のアーティファクトに立脚したフェアデッキへの対策がしっかり取られている。
実際、土地の採用枚数も19枚なので、このマッチアップでよく起こる《不毛の大地》によるDeath and Taxes側の“free wins”確率を減少させている。

IN
1《真の名の宿敵》
2《悪魔の布告》
1《渋面の溶岩使い》
1《二股の稲妻》
1《コラガンの命令》
1《無のロッド》
1《古えの遺恨》

OUT
4《Force of Will》
3《目くらまし》
1《陰謀団式療法》

こちらの打消しは《霊気の薬瓶/Aether Vial》と《魂の洞窟/Cavern of Souls》にとって無力化される。
また、基本的に引いたカードは盤面に影響を与えるものでありたい。
このマッチアップはお互いに消耗戦に終始するため、僅かな劣勢をトップデッキで跳ね返せる可能性を常に残しておきたい。
そして基本的には《不毛の大地》を積極的に仕掛けていく事はしない。
《真の名の宿敵》のための無色マナも必要だし、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》がこちらのスペルに課税してくるからだ。


○Miracles

《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》があるなしに関わらず、《終末/Terminus》に根差した青白コントロールデッキを人々は使い続ける。
このマッチアップで最重要なのは、《終末》が及ぼす影響を最小限にすることだ。
たった一枚の《死儀礼のシャーマン》だってこの解答になる。
一人でライフを吸い尽くすし、相手の《瞬唱の魔道士》の価値も下げる。
《真の名の宿敵》を解決したならば、基本的には相手が対処するまで何も戦場に送り出す必要は無い。
また、《目くらまし》も積極的に使っていく。ゲームが長引けば死に札になるからだ。

IN
2《狼狽の嵐》
2《外科的摘出》
1《真の名の宿敵》
2《紅蓮破》
1《コラガンの命令》

OUT
4《Force of Will》
3《目くらまし》
1《稲妻》

注目すべき重要な点は、《僧院の導師/Monastery Mentor》がサイドボードにいるかどうか。
《僧院の導師》にゲームをかすめ取られない限りは、有利なマッチアップだ。
《外科的摘出》をフェアデッキ相手に入れるのは一見奇妙に映るかも知れない。
《瞬唱の魔道士》のフラッシュバックを止めるという使い方以外にも、《終末》の誘発に対応して墓地に落ちている《終末》を《摘出》する事で、1対1交換になる上に対戦相手の最大の武器をも奪う事になる。


○U/W/X Stoneforge Mystic

《独楽》不在の世界でも青主体の《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》デッキ群は追い風傾向にある。
《稲妻》と《紅蓮破》のために赤を足したものや、純粋な青白構成のものがある。
このマッチアップはDelverにとってゲーム1はやや不利だが、Death & Taxes戦同様に、サイド後には優秀な武器を大量に保有している。

IN
1《渋面の溶岩使い》
1《真の名の宿敵》
2《紅蓮破》
1《コラガンの命令》
1《無のロッド》
1《古えの遺恨》
2《悪魔の布告》

OUT
4《Force of Will》
3《目くらまし》
2《陰謀団式療法》

このゲームでの《真の名の宿敵》はお互いにとって最重要カードだ。
《石鍛冶》デッキが採用する全体除去はMiraclesほど数は多くなく、サイドから数枚の《至高の評決/Supreme Verdict》が入ってくる位だろう。
とは言え、戦線を拡大し過ぎないように注意する必要がある。


○Grixis Delver Mirror

経験上、このミラーマッチには二つの「ステージ」がある。
一つは簡単で、どちらかが《不毛の大地》によって対戦相手にゲームをさせないという残忍な「ステージ」だ。
序盤には追加の土地を探すためにドロースペルを使いたい。

《不毛の大地》を巡る攻防をやり終えたら、今度はどちらの脅威が生き残るかの勝負になる。
どのクリーチャーも場に留まり続けられるならゲームに勝利をもたらすが、その中でも《秘密を掘り下げる者》は一段上のクリーチャーになりがちだ。
《真の名の宿敵》はここでも最重要カードで、解決さえしてしまえば、除去する事がとても困難になる。
次に最重要なのは《若き紅蓮術士》で、これは迅速に戦線を横に広げる事でピン除去では対応できなくなるからだ。

IN
2《狼狽の嵐》
2《紅蓮破》
1《真の名の宿敵》
1《渋面の溶岩使い》
1《コラガンの命令》

OUT
2《Force of Will》
2《目くらまし》
3《陰謀団式療法》

対戦相手の手札からカードを抜くよりも、重要なターンにこちらのカードを「通す」カードの方が強いため、数枚のカウンタースペルを残しておきたい。
ミラーマッチではトップ合戦になりがちで、手札が空の対戦相手へのハンデス手段は非常に虚しい。


○Four-Color Leovold

このマッチアップはキツい。特に第1ゲームはキツい。
Four-Color Leovoldは環境に存在するフェアデッキをサイドボーディング前から叩き潰すために作られたデッキで、それはGrixis Delver相手でも変わらない。
第1ゲームでは相手の準備が出来る前に《秘密を掘り下げる者》によって可能な限り積極的に攻め、そのまま殴り切れればワンチャンスある。

IN
2《狼狽の嵐》
1《渋面の溶岩使い》
1《真の名の宿敵》
2《紅蓮破》
1《コラガンの命令》

OUT
4《Force of Will》
3《目くらまし》

サイド後は強力なカードと無意味な打ち消しセットをそっくりそのまま入れ替える。
他のフェアデッキとの対戦同様、《真の名の宿敵》が最重要カードになる。
無理矢理にでも相手の場に《真の名の宿敵》と《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold,Emissary of Trest》が定着しないようにし続けたい。


○Elves

難しいマッチアップの一つで、最近使ってる構成だと有効な武器がそう多くない。
手っ取り早い勝ち筋は、《秘密を掘り下げる者》を素早く裏返し、相手の大きなアクションを弾きながら殴り倒す事だ。
《真の名の宿敵》が地上を止めている間に空から殴り倒す。

IN
1《渋面の溶岩使い》
1《二股の稲妻》
1《真の名の宿敵》

OUT
1《コラガンの命令》
1《グルマグのアンコウ》
1《目くらまし》


○Lands

これもまたキツいマッチアップだ。
可能な限り積極的に攻めていきたい。
唯一慎重になる必要があるのは《不毛の大地》の取り扱いだ。
特にゲーム1では相手のコンボに対する最高の対抗手段になる。

IN
3《外科的摘出》
2《悪魔の布告》
1《真の名の宿敵》

OUT
2《稲妻》
1《コラガンの命令》
3《陰謀団式療法》

サイド後はより勝ちのチャンスが生じる。
《悪魔の布告》は20/20のマリットレイジトークンを退場させられるし、《外科的摘出》は繰り返すコンボや《罰する火/Punishing Fire》を取り除く助けになる。
ほとんどのLandsプレイヤーはサイド後にGrixis Delverへの対策として《不屈の追跡者/Tireless Tracker》をサイドインすると考えるべきだろう。


○Sequencing

LegacyはMagicにおいて最も複雑なフォーマットの一つだ。
何故なら、全ての連続する決断がゲームに影響を与えるからだ。
今回のデッキではほぼ全てのスペルが1マナかそれ以下なので、何が出来るかの選択肢が複雑に絡み合う。そしてそれは第1ゲームの1ターン目から始まっている。
例として、以下の初手を検討してみよう。

・《死儀礼のシャーマン》
・《思案》
・《渦まく知識》
・《稲妻》
・《陰謀団式療法》
・《真の名の宿敵》
・《溢れかえる岸辺》

先手で対戦相手が不明な場合、1ターン目にやることは明白だ。
フェッチランドから《Underground Sea》を持ってきて、《死儀礼のシャーマン》を出す。
これによって戦場を確立しつつ、2ターン目に複数回行動できる。

対戦相手はターンを開始、フェッチランドを砕き、《定業/Preordain》を唱え、こちらにターンを返してきた。
こちらは2枚目の《稲妻》を引いたことで、手札には1マナのスペルが5枚あり、これらを組み合わせて使う事ができる。

まずは二枚目の土地が必要なことが分かる。
次に、《定業》を使うデッキに対して《稲妻》が有用でない事も分かる。

目標は2枚目の土地を探して最大限のカードを見に行く事になる。
もし《渦まく知識》を最初に使うと、3枚のカードを見てから2枚をデッキトップに戻す。
ここに続けて《思案》を使ったとしたら、更にもう1枚のカードを見て、シャッフルを選んだ場合は合計で5枚のカードを見に行った事になる。

ここでもしも《思案》が最初だったなら、3枚見てからシャッフルした場合は4枚目に到達する。
そして《渦まく知識》で更に3枚見るので、2枚目の土地を探すチャンスが合計7枚になる。これは《思案》の前に《渦まく知識》を使って見た5枚よりもより多くのカードを見た事になる。

次は、上記と同じ初手だがGrixis Delverのミラーマッチで後手になった場合について考えてみよう。
対戦相手は《Volcanic Island》から《秘密を掘り下げる者》を置いてターンを渡してきた。
こちらは《目くらまし》を引いて手札は8枚となった。

1ターン目の展開は明白とは言えない。
もしも《死儀礼のシャーマン》を出してターンを返した場合に、何が起きたら最悪だろうか?
そう、対戦相手が《不毛の大地》でこちらの土地を割り、《稲妻》で《死儀礼のシャーマン》を処理したら、文字通りやる事が無くなってしまう。
相手はMagicを続け、こちらは見ているだけだ。

この状況での最適解は、2枚目の土地を探しに《思案》を使う事だ。
これは《不毛の大地》対策にもなるし、Magicを続けられる。
もしも対戦相手が強気に《思案》のカウンターを試みたら、こちらも《目くらまし》で自分自身を守ればよい。


○Wrapping Up

Grixis DelverだけがLegacy最高のデッキではないけれど、特定のカードが必要なメタゲームであってもGrixis Delverには調整の余地が残されている。
今回俺が紹介した構成は、スペル主体のコンボデッキと、《石鍛冶の神秘家》を軸としたフェアデッキの双方に対して有利がつく構成になっている。
毎ゲーム判断が難しく扱うのが困難だが、強力なLegacyのデッキを探しているのなら、Grixis Delverはまさにあなたにうってつけのデッキかも知れない。

俺が構築したGrixis Delverに関してや、今回の記事で示さなかったよりマイナーなマッチアップについて質問があれば、コメント欄で教えてほしい!


記事


Grixis Pyromancer Deck Guide

by Andrea Mengucci

2017/08/17


Grixisカラーはほぼ間違いなくLegacy最高の組み合わせだ。
軽い上に最高の妨害手段と、殴り手たちのラインナップを見れば一目瞭然だろう。

Grixis Delverが最高のデッキである事は周知の事実だが、最近ではコントロールバージョンが話題をさらっている。
というわけで今回はそうしたコントロールバージョンを掘り下げていこうと思う。


Grixis Pyromancer

土地18
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《Underground Sea》
3《Volcanic Island》
1《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1《Badlands》
1《沼/Swamp》
2《島/Island》

クリーチャー9
3《グルマグのアンコウ/Grumag Angelr》
4《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
2《瞬唱の魔導士/Snapcaster Mage》

スペル33
4《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4《稲妻/Lightning Bolt》
4《定業/Preordain》
1《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
4《Force of Will》
4《渦まく知識/Brainstorm》
1《思考囲い/Thoughtseize》
4《思案/Ponder》
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》
1《致命的な一押し/Fatal Push》

サイドボード
2《紅蓮破/Pyroblast》
2《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2《血染めの月/Blood Moon》
2《悪意の大梟/Baleful Strix》
2《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1《苦い真理/Painful Truths》
1《コラガンの命令》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》


・瞬唱の魔道士

《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》無しのフェアデッキなんてそうそう無い。
何故なら《シャーマン》はLegacyでほぼ最高の一枚であるだけでなく、相手が対処出来なければ序盤をぶっ壊してしまうからだ。
しかし、《死儀礼のシャーマン》を使う事は即ち《Toropical Island》が必要になるという事で、《若き紅蓮術士》と《グルマグのアンコウ》を同時に使うとなるといささか具合が悪い。

このコントロールバージョンの原型はGP VegasでPierre Dagenが2敗で駆け抜けた時に使ったものだ。
しばらくこのデッキで遊んだ後で、今のこの形に落ち着いた。

《瞬唱の魔道士》はおそらくLegacy最高のクリーチャーの一人だが、このデッキにとって最高の一枚とは言い難い。何故なら、このデッキは常にマナを使い切って動くし、フラッシュバックし得なスペルも無いからだ。
元のリストでは《瞬唱の魔道士》の代わりに《ヴリンの神童、ジェイス/Jace,Vryn’s Prodigy》が入っていたが、思ったよりは上手く働かなかった。
そこで私は《瞬唱の魔道士》を採用して、その試みはなかなか上手く行ったが…実のところ、この部分は《悪意の大梟》やもっと強烈な《コラガンの命令》、《精神を刻む者、ジェイス》にしても良いだろう。

・定業

多くの人々は(コンボデッキでしか見ない)《定業》が4枚入っているこのリストを見限るだろう。
しかし、16枚もドローソースがあるのは素晴らしい。
出来るだけ早く《グルマグのアンコウ》を着地させる事に貢献したり、《ギタクシア派の調査》+《陰謀団式療法》+《若き紅蓮術士》コンボを素早く揃える手助けになる。
また、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》も《死儀礼のシャーマン》も採用していないため、ゲームプランを構築するための1マナ域が切実に必要なんだ。

ドローソースを繋げていくことはこのデッキにとって重要な事で、
仮に《思案》と《定業》が両方ともハンドにあり、複数のフェッチランドがあるのなら、私は《思案》を先に使いたい。そうすれば、三枚目をシャッフルする事が出来る。
もしもフェッチランドが無ければ、《定業》が先だろう。
《渦まく知識》はゲーム終盤でより強くなるが、Legacyプレイヤーには今更な話だね。

・陰謀団式療法

《陰謀団式療法》はこのデッキにおいて最もアンフェアなカードだ。
そして、このカードによってゲームの大部分に勝利していると言っても過言ではない。
もしも《ギタクシア派の調査》やハンデス手段無しの状態で《陰謀団式療法》だけを握っているのなら、そういった覗き見カードを引くまで握り締めていた方が良い(あるいは相手の手札の中に特定のカードがある事を知るまでは)。
当てずっぽうの《陰謀団式療法》はほとんどの場合、このデッキでは全く意味を成さない。

同じことは《ギタクシア派の調査》にも言える。
もし《陰謀団式療法》や《若き紅蓮術士》を持っていないなら、第1ターンに《調査》してはいけない。もしかしたら第2ターンにエレメンタルトークンを追加出来るかも知れないからだ(相手がコンボデッキの場合はこの限りではない)。


まず初めは受けに回り、相手のハンドと戦場を切り崩した後で、《若き紅蓮術士》と《グルマグのアンコウ》によって一転攻勢をかけるのがこのデッキだ。


○Sideboard Guide

今回のサイドボードは非常に直接的で、分かりやすくなっている。

基本土地が3枚だけで、ゲーム進行に青マナを複数必要とするデッキのサイドボードに《血染めの月》を入れているのが、唯一困惑させる点かも知れない。

そういうわけで、《血染めの月》をサイドインするのは非常に稀だ。
そして、こちらに《血染めの月》が入っている事を知った対戦相手がフェッチランドで基本土地を探し始めたら、さっさと《月》をサイドアウトしてしまおう。

vs Grixis Delver

Out
《精神を刻む者、ジェイス》
《陰謀団式療法》
《Force of Will》4

In
《毒の濁流》
《コラガンの命令》
《悪意の大梟》2
《紅蓮破》2


ゲームを長引かせ、対戦相手の序盤の攻勢と土地破壊を凌ぎ切れば、そこからは優位に立てる。
可能ならばフェッチランドで基本土地を探し(稲妻を使わなきゃいけないなら仕方ないが)、ゲームを終盤までもつれこませる。
《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》は非常に対処が難しいのでサイドボードでの対策を怠らない事。
《コラガンの命令》は彼らに対してそれほど効果的ではないが、カードアドバンテージを生み出すし、終盤に強いカードだ。
Miraclesに倣って《血染めの月》をサイドインしようとは思わない。
もう一度自分が誰なのか思い出してほしい。


vs Sneak and Show

Out
《致命的な一押し》
《コラガンの命令》
《精神を刻む者、ジェイス》
《グルマグのアンコウ》
《稲妻》4

In
《外科的摘出》2
《狼狽の嵐》2
《悪魔の布告》2
《紅蓮破》2

このマッチアップは有利だ。
こちらには大量の妨害と、いくらかのカウンター、そしてDelverデッキに比べると遅いとは言え比較的速いクロックがある。
そして、山盛りのドローソースによって必要なピースを適宜探してこられる。


vs Czech Pile(4-Color Leovold)

Out
《Force of Will》4

In
《コラガンの命令》
《苦い真理》
《紅蓮破》2

このマッチアップは地味でコツコツとした接戦になる。
《コラガンの命令》は特別強いわけではないが、《Force of Will》よりはマシだ。
これがサイドボードに《コラガンの命令》を入れるのが好きな理由。
相手のキーカードは《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold,Emissary of Trest》、《瞬唱の魔道士》そして《精神を刻む者、ジェイス》なので、ハンデススペルと《紅蓮破》の重要度が非常に高い。


vs Death & Taxes

Out
《Force of Will》4

In
《コラガンの命令》
《苦い真理》
《悪意の大梟》2

再び《Force of Will》をサイドアウト。フェアデッキとのマッチアップではあまり活躍出来ない(そして対D&Tでは《霊気の薬瓶/Aether Vial》のせいだ)。
《悪意の大梟》を入れるのは気乗りしないが、他にサイドインしたいものが無い。
ハンデス手段は《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》に対して強力で、《コラガンの命令》はアーティファクト除去で目覚ましい活躍をする。

唯一懸念する部分があるとすれば、それはマナベースを確立できるかだ。
なので、ドローソースで出来るだけ多くの土地をかき集め、終盤に手数で上回れるようにしなければならない。

このデッキは使って楽しい上に、非常に良いデッキだ。
もちろん現在お気に入りのデッキだし、皆さんにも楽しんで欲しいと思っているよ!


記事
https://www.channelfireball.com/articles/grixis-pyromancer-deck-guide/

本人のデッキ解説動画
https://www.youtube.com/watch?v=IyLNr30UIFc

本人のMO動画
https://www.youtube.com/watch?v=cbwKoZIveUY


4C Leovold Deck Guide

Andrea Mengucci 2017/9/12


僕のTwitterをフォローしてくれている方なら、もうご存知だろう。
僕がEternalフォーマットを愛している事も、
僕がLegacyの4C Leovoldに浮気している事も。

4C Leovold

土地
1《Badlands》
1《Bayou》
1《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
1《Tropical Island》
3《Underground Sea》
1《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2《Volcanic Island》
2《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1《島/Island》
1《沼/Swamp》

クリーチャー
3《悪意の大梟/Baleful Strix》
4《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
1《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
2《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold,Emissary of Trest》
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》

スペル
4《思案/Ponder》
2《思考囲い/Thoughtseize》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》
4《渦まく知識/Brainstorm》
1《悪魔の布告/Diabolic Edict》
2《致命的な一押し/Fatal Push》
4《意志の力/Force of Will》
3《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
1《稲妻/Lightning Bolt》
2《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》
1《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》

サイドボード

1《最後の望み、リリアナ/Liliana,the Last Hope》
2《悪魔の布告》
2《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《紅蓮破/Pyroblast》
2《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《墓堀りの檻/Grafdigger’s Cage》
1《思考囲い》
1《水流破/Hydroblast》
1《湿地での被災/Marsh Casualties》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
1《トーラックへの賛歌》


このデッキは元々Czech Pileと呼ばれていて、(幸運にも)今では改名された。
デッキリストは以前から確立されており、ほとんどのプレイヤーがその通りの構築をしている。


・《トーラックへの賛歌》

このカードは打ち消しスペルに取って代わるもので、全てのカードにバリューがあるMidrangeデッキが隆盛している際には2対1交換出来る《賛歌》の方が有用だ。


・《コラガンの命令》

これはLegacy界の新たな保安官であり、メタゲーム上からDeath & Taxesと大方の《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》を叩き落とす。
僕自身、今まで《石鍛冶の神秘家》を好きになった事はなかったけれど、今では彼女を入れたデッキで大会に参加しようなんて思いもしない。
《コラガンの命令》人気がますます高まるなら、なおさらだ。

以前はメインに2枚、サイドに1枚でプレイしていたけれど、二つの大会を終えて気付いたんだ。いつもサイドインしているなって。
だから、僕はメイン3枚にして、《突然の衰微/Abrupt Decay》を解雇した。

《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は(マジで)絶滅してしまった。
と言うわけで、《コラガンの命令》はあなたが処理したいものをあらかた処理出来る。(《血染めの月/Blood Moon》を除いて)


・《悪魔の布告》

これはインスタント・スピードで出てくる《マリット・レイジ》の数少ない処理手段の一つで、《グルマグのアンコウ》と《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》への解答としてメインに1枚挿しするのが好みだ。
サイドの2枚はSneak and Show相手にも素晴らしく、よくサイドインする。


次のカードは多くのプレイヤー間で意見の分かれる一枚だ。それは…

・《不毛の大地/Wasteland》

2枚の《沸騰する小湖》と入れ替わる形で2枚の《不毛の大地》が採用されているリストをよく見かけるだろう。
しかし、非常にマナ食い虫のこのデッキには10枚のフェッチランドと、10枚近いデュアルランドが入っていて、ここに《不毛の大地》まで入ると持ってくる土地の色をミスる余裕さえ無くなってしまう。

《不毛の大地》が大活躍する相手はそう多くない(《燃え柳の木立/Grove of the Burnwillows》と《暗黒の深部/Dark Depths》)ので、僕はメタゲーム上で僅かなパーセントを占めるデッキへの対策よりも、全ての相手に対する安定感を取った。


サイドボードの選択肢は非常に幅広い。
《狼狽の嵐》と《外科的摘出》等のいつもの面子もいるが、その他のスロットは自由だ。

・《最後の望み、リリアナ》

僕はずっとこのカードの愛好家だ。
この二週間で僕らは《ヴェールのリリアナ》と《最後の望み、リリアナ》を同時に戦場に出せるようになり、その事は彼女にとって大きな上方修正と言える。(訳注)
このカードはDeath & Taxes相手に素晴らしい働きをするだけでなく、Grixis系列に対しても上手くやる。

日曜日の大会でこんな事があった。
Grixis Controlを相手にした3ターン目に《レオヴォルド》を出すか、《最後の望み、リリアナ》を出すかの選択を迫られたんだ。
僕は《紅蓮破》を警戒して《リリアナ》の方を選んだけれど、彼は《紅蓮破》と《稲妻》も一緒に持っていた。
結果的にプレインズウォーカーによって巨万の富を築き、更にその差を決定的なものにするために《レオヴォルド》を繰り返し墓地から買い戻した。
忘れちゃいけないのは、このカード自身が《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》への素晴らしい解答になるという事だ。

プレインズウォーカーでアドバンテージを稼ぎたくなるような長期戦を見据えたマッチアップとミラーマッチにおいて、僕は毎回《リリアナ》をサイドインするだろう。


・《水流破》

このカードもまたクールな一枚だと思った。
《血染めの月》への解答が必要だったし、ミラーマッチでは《コラガンの命令》《赤霊破》《若き紅蓮術士》などへの対策になる。


Sidebording Notes

基本的に僕の記事ではサイドプランまで書くのだけれど、ことLegacyについて話す時は別だ。
みんなそれぞれに自分のリストがあるし、Legacyにおいては適切なサイドボード指南をすることは難しい。
なので、マッチアップ毎にどのようにプレイするか、そしてどのカードが良いのか悪いのか、それらを議論する方が良いと思う。

Control Decks(4C Leovold,Grixis Control,Miracles)

これらのマッチアップは長期戦になる。
そしてよりカードアドバンテージを稼げた方が勝者となる。
《トレストの使者、レオヴォルド》は自陣最高のクリーチャーで、《紅蓮破》から守ってあげなければならない。

GrixisとMiraclesを相手にした時は、《血染めの月》にも注意するべきだ。

このマッチアップで《Force of Will》を使いたくない主な理由は《赤霊破》の存在にある。
FoWとREBの交換なんて、絶対にしたくない。

《狼狽の嵐》もそこまで良いサイドカードではない。
唯一、4C Leovoldが使う《トーラックへの賛歌》対策として僕はサイドインする。
いつもではないけど、後手では入れるかな。

もし既にゲームプランがしっかりしてる初手ならば、第1ターンの《思案》に躍起になってはいけない。
例えばそうだね、手札に数枚の土地と数枚のスペルと《トーラックへの賛歌》がある時なんかがそうだ。
特に探し物がないならば、第1ターンの《思案》は不要だと思う。
反対に、終盤では何が必要かよく分かっているので、フェッチランドを絡めてより有効な選択が出来るだろう。

ピン除去も少しだけ残す。
4C Leovoldの《死儀礼のシャーマン》と、Grixis Controlの《若き紅蓮術士》のためで、《致命的な一押し》を1~2枚残すが、《悪魔の布告》は確実にサイドアウトする。

《毒の濁流》も上記の二つのデッキに対して残す。例え相手が《真の名の宿敵》を使っているか分からなくても、2対1交換が出来るし、最悪でも相手に追加のカードを渡さずに《レオヴォルド》を狙い撃てる。


Combo Decks(Sneak and Show,ANT,Reanimator)

これらのマッチアップは有利だ。
大量のハンデスとカウンターのおかげで、対コンボデッキは常に安心感がある。
確かにこちらのクロックは遅いが、終始相手の手札を邪魔していれば、その内ゲームを決める一枚を引くだろう。

基本的にピン除去(《致命的な一押し》《稲妻》《毒の濁流》《コラガンの命令》)は死に札になるが、《悪魔の布告》はSneak and ShowとReanimatorに対して働く。

《レオヴォルド》はここでも狂った強さで、《グリセルブランド/Griselbrand》とやり合う事だって出来る。


Chalice of the Void Decks(Eldrazi,Moon Stompy,4C Loam)

3枚の《コラガンの命令》によって《虚空の杯/Chalice of the Void》がかつてほど絶望的なカードでは無くなり、基本土地を2枚入れたことで《不毛の大地》と《血染めの月》がかつてほど壊滅的なカードでは無くなった。
このマッチアップは、それらをいかに早く揃えられるかにかかっている。

Eldraziが終盤にあなたを踏み潰す手段の一つである《ウギンの目/Eye of Ugin》に対して《不毛の大地》を使いたい気持ちはあるが、そこにさえ目をつむれば、《不毛の大地》と《血染めの月》を避けつつ単純に色マナを引けた方が良いと考えている。

本当にこのマッチアップでサイドイン出来るカードは少ない。
EldraziとMoon Stompyに対して、僕は《Force of Will》には手を付けずに《レオヴォルド》を二枚ともサイドアウトする事で、《悪魔の布告》の枠を空けている。


これで現在のLegacyシーンにおいて至高にして最高のデッキ解説を終わりにしたいと思う。
ぜひみんなにもこのデッキを楽しんで欲しい!


記事


The Evolution Of Delver Decks In Legacy

by Abraham Stein

2019/3/20


《信仰無き物あさり/Faithless Looting》からの《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》。

控えめに言って、現在のモダンシーンは楽しいけれど不満も募る環境だ。
別に私は「2ターン目に3/2飛行の群れでアタック」するデッキや、デッキ内をドローカードで満たしたデッキに不満があると言いたいわけじゃない。

ただ、《孤光のフェニックス》は、いかにデルバーデッキが素晴らしかったのかを私に思い起こさせてくれた。

ゲーム序盤から影響力を持ち、フィニッシュに至るまでの長い期間アドバンテージを取り続けられるデルバーデッキは、ヤミツキになる。
モダンにおいて、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を使い倒す事は難しいとされたが、レガシーではすんなりと使える。

デルバーデッキはレガシー環境の屋台骨だろう。
軽い脅威、妨害、そして除去の束によって、単純なコンボデッキやコントロールデッキとの試合を素早く畳める。
デルバーデッキは時代に合わせて様々な形態をとってきた。
古き良きテンポ重視のティムール型から、より中速志向なジェスカイカラーやスゥルタイカラーになり、最終的にそれらを混ぜ合わせた様なグリクシスデルバーに落ち着いたのがここ二年間の話だ。

当時の環境を支配していた《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》を介してテンポ型と中速型は一つに混ざり合い、グリクシスデルバーは押しも押されぬ最高の選択肢となった。
しかし、《死儀礼のシャーマン》が禁止されて以降、状況は変わり始めている。
順に見ていこう。

Grixis Delver
Clay Spicklemire 7th Place SCG Classic

Creatures (11)
4 Delver of Secrets
2 Gurmag Angler
3 True-Name Nemesis
2 Young Pyromancer

Lands (19)
3 Flooded Strand
1 Misty Rainforest
2 Polluted Delta
3 Scalding Tarn
3 Underground Sea
3 Volcanic Island
4 Wasteland

Spells (30)
4 Brainstorm
4 Daze
1 Dead
4 Force of Will
4 Lightning Bolt
2 Spell Pierce
3 Stifle
2 Inquisition of Kozilek
4 Ponder
2 Bitterblossom

Sideboard
1 Izzet Staticaster
2 Snapcaster Mage
2 Abrade
1 Diabolic Edict
1 Electrickery
2 Flusterstorm
1 Hydroblast
2 Pyroblast
2 Surgical Extraction
1 Bitterblossom


《死儀礼》亡き後、デルバーデッキは新しい道を模索する必要があった。
コンボデッキを妨害し、コントロールデッキから自分の攻め手を守れるような構築を。
言い換えると、この試みは非常に多岐に渡っていった。

《苦花/Bitterblossom》や《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》は他のフェアデッキに対して効率が良いものの、アンフェアなデッキに対しては致命的な程に遅い。
《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》は環境に存在するアンフェアデッキに対する手堅いハンデス手段である一方で、ソーサリーであるため、《もみ消し/Stifle》などのマナ否定戦略との噛み合わせが非常によろしくない。
その上、以前よりも大きな脅威を展開するために僅かにマナカーブが上がってしまった。
これによって、本来なら相手のマナ基盤よりも価値が低いはずの自分のマナ基盤を確保する必要に迫られ、相対的に《目くらまし/Daze》や《不毛の大地/Wasteland》といったカードが弱くなってしまった。

こうした不具合のツケは、レガシーにおいては高くつく。
《暗黒の深部/Dark Depths》と《演劇の舞台/Thespian’s Stage》の人気が高まるにつれて、《血染めの月/Blood Moon》と《基本に帰れ/Back to Basics》の両者はレガシーの定番カードとなっていった。
加えて、土地単やデス&タックスといったデッキがゲーム全体を通してマナ否定を仕掛けてくる中で、土地が18枚の三色デッキを使うのは非常に厳しい。
ましてや、基本土地が一枚も入らないデッキを使うなんて、なおさら危険だ。

私たちは今、一つの王朝が終わり行くのを見届け、
新しい時代の夜明けに立ち会っていると言える。


SCG Syracuseと今シーズンのレガシークラシックの結果を見て、伝統的な「デュアルランド6枚、フェッチランド8枚、《不毛の大地/Wasteland》4枚」の型にはまらない構築を多くのプレイヤーが模索しているのは、当然のように思われた。
やっぱり、基本土地《島/Island》はMagicにおいて最強なのだ。
少しだけ驚いたのは、様々な二色のデルバーデッキが登場し、それぞれがメタゲーム上で固有の役割を持っているところだ。

その内でも最も派手で、おそらく最も馴染み深いのがこの<イゼットデルバー>になる。

Izzet Delver
Austin Collins 5th Place SCGOpen

Creatures (13)
4 Delver of Secrets
3 Pteramander
3 True-Name Nemesis
3 Young Pyromancer

Lands (18)
3 Island
1 Mountain
2 Flooded Strand
1 Polluted Delta
4 Scalding Tarn
2 Volcanic Island
4 Wasteland
1 Wooded Foothills

Spells (29)
4 Brainstorm
4 Daze
4 Force of Will
4 Lightning Bolt
3 Spell Pierce
1 Vapor Snag
3 Chain Lightning
1 Forked Bolt
4 Ponder
1 Preordain

Sideboard
3 Blood Moon
3 Abrade
2 Electrickery
2 Flusterstorm
3 Pyroblast
2 Surgical Extraction


レガシーの歴史の中で、幾度も出てくるイゼットデルバーは、火力とカウンターを搭載したデッキだが、最近ではどこか物足りなさを感じていた。

《プテラマンダー/Pteramander》と若干の《真の名の宿敵》はイゼットデルバーに中盤戦に差し掛かっても戦える力を与えた。
以前のイゼットカラーを相手にする時は結局のところ、向かってくる脅威に除去を当てて、デッキトップからやってくる《稲妻/Lightning Bolt》を何回かカウンターすれば事足りた。
しかし、大きな脅威を採用する事で、以前よりも更に破壊力が増した。

とどのつまり、積極性と破壊性がデルバーデッキにおける二つの主軸であり、イゼットデルバーはその内の積極性にガン振りしたデッキだと言える。
イゼットデッキに対する私の評価は、積極性だけでは全ての問題に対処することは適わず、《目くらまし》や《意志の力/Force of Will》といったカウンタースペルは、環境に存在するコンボデッキに対してのみ上手く機能する、と考えている。


攻勢を妨害によって補助する戦略は強力だが、裏を返せば、妨害を攻勢によって補助する戦術もまた強力だという事だ。

Dimir Shadow
Abraham Stein 31th Place SCG Open

Creatures (14)
4 Death’s Shadow
4 Delver of Secrets
2 Gurmag Angler
4 Street Wraith

Lands (18)
1 Swamp
4 Bloodstained Mire
1 Marsh Flats
3 Polluted Delta
2 Underground Sea
4 Wasteland
3 Watery Grave

Spells (28)
4 Brainstorm
4 Daze
2 Dismember
1 Fatal Push
4 Force of Will
2 Spell Pierce
3 Hymn to Tourach
4 Ponder
4 Thoughtseize

Sideboard
3 Ratchet Bomb
3 Baleful Strix
2 Diabolic Edict
2 Surgical Extraction
2 Liliana, the Last Hope
1 Marsh Casualties
1 Toxic Deluge
1 Bitterblossom


妨害がお好みなら<ディミーアデスシャドウ>こそうってつけのレガシーデッキだと言える。

Ben Friedmanによれば、《稲妻》や《真の名の宿敵》といった最後の数点を詰める手段を欠いたディミーアデスシャドウの様なデッキでは、《秘密を掘り下げる者》の存在は場違いとの事だ。
そう感じている人に対して私は二つ言う事がある。

1.大間違いだ。

2.でもある意味で正しい。

もしかすると私は型にハマり過ぎているのかも知れないが、4枚ずつ入った《目くらまし》《不毛の大地》《秘密を掘り下げる者》が簡単にゲームに勝たせてくれるのも事実だろう。

こんな状況を想像して欲しい。

・先手で土地をプレイ、《秘密を掘り下げる者》を送り出した。

・対戦相手はデュアルランドをプレイして、《思案/Ponder》を解決。

・アップキープにあなたは《目くらまし》をめくって変身させ、《不毛の大地》で相手の土地を割り、更にアドバンテージを広げるために《思案》を唱えた。

こんなゲーム展開はあなたが考えているよりもずっと起こり得る。
そして、《ヴリンの神童、ジェイス/Jace,Vryn’s Prodigy》のような劣った両面カードのために枠を開けるのは、余りにもやり過ぎだというのが私の意見だ。(ちゃんと試したから信じてくれよ)

ディミーアデスシャドウから《秘密を掘り下げる者》を削るもう一つの欠点は、せっかくハンデスをしているのに、序盤の脅威の枚数が減ってしまう事だ。
《秘密を掘り下げる者》の様に速く軽い脅威を使わずに対戦相手をグラつかせるのは容易ではない。
序盤からハンデスを仕掛けても、対戦相手にカムバックする時間を与えたのでは、みすみす勝利を手放しているようなものだ。

この論争をまとめると、消耗戦がお望みの場合は《秘密を掘り下げる者》がその役目を十分に果たせない。なので、抜く構築が正しい。

時々、フェアデッキ同士のサイドボーディングとして、より大きな脅威を繰り出せるようなサイドプランをとる事がある。
その場合は《秘密を掘り下げる者》が負担となる。
こういった理由から、Syracuseでは、Liz Lynnと共同であるデッキを作り上げた。
《秘密を掘り下げる者》が弱いマッチアップではサイドアウトして、より汎用的な《思考囲い/Thoughtseize》や《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》などのテンポを生み出す妨害を投入する構築だ。
このプランは今後ますます増えていき、より洗練されていくだろうと予想している。

数ある二色デルバーの中で、デスシャドウを気に入っているのは、妨害手段の影響が明確に出るからだ。
殴り手は最も大きく、入ってるカードはどれも効率が良い。
サイド後に《悪意の大梟/Baleful Strix》を使ったコントロールプランが取れるのも非常に良い。

しかし、このプランは私たちが1から考えたものではない。
BoltimoreのSCG Classicで決勝に残り、Syracuse OpenでもTop4になったHarlan Frierが使う<アゾリウスデルバー>からインスピレーションを受けたものなんだ。

Azorius Delver
Harlan Frier 4th Place SCG Open

Creatures (12)
4 Delver of Secrets
2 Snapcaster Mage
4 Stoneforge Mystic
2 True-Name Nemesis

Planeswalkers (2)
2 Jace, the Mind Sculptor

Lands (20)
4 Island
2 Plains
4 Flooded Strand
1 Misty Rainforest
2 Polluted Delta
1 Scalding Tarn
2 Tundra
3 Wasteland
1 Windswept Heath

Spells (26)
1 Batterskull
4 Brainstorm
2 Daze
4 Force of Will
3 Spell Pierce
2 Spell Snare
4 Swords to Plowshares
1 Umezawa’s Jitte
1 Council’s Judgment
4 Ponder


Sideboard
1 Engineered Explosives
2 Containment Priest
1 True-Name Nemesis
2 Back to Basics
1 Celestial Purge
2 Disenchant
2 Flusterstorm
2 Surgical Extraction
1 Gideon, Ally of Zendikar
1 Council’s Judgment


Harlanは基本的に不利の付くコンボ戦へのテコ入れとして、《秘密を掘り下げる者》を採用した。
これは《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystics》デッキが長年頭を悩ませていた問題への革新的解決策となった。

全ての二色デルバー中、最もデッキリストが多彩なアゾリウスデルバーにおいて、常に注目しているのがこの《石鍛冶の神秘家》型だ。
もしも長い間眠りについていたこのデッキタイプを私が選ぶなら、この構築にするだろうね。
また、独創性と柔軟性を取り入れるのに十分なフリースペースも確保されている。

このデッキはずっと前から知られていたデッキの正統な進化のように思えるし、マッチアップに応じて受けも攻めも可能なデッキはそれだけで考慮に値する。
相手に対してどのように立ち居振る舞いたいかで、アゾリウスデルバーは《石鍛冶の神秘家》デッキのようにも、《真の名の宿敵》入りの強力な《秘密を掘り下げる者》デッキにもなれる。
柔軟性と奇襲性を併せ持つのは、Magicにおいて最も強力な構築の一つとなる。
そしてそれはレガシー環境なら尚更だ。

実際、週末にかけてMO上のLegacy Challengeで類似したデッキが、Harlan哲学の一歩先を行く構築で優勝している。

Azorius StoneBlade
GUL_DUKAT 1st Place MO Premier Event

Creatures (11)
1 Palace Jailer
2 Snapcaster Mage
4 Stoneforge Mystic
4 True-Name Nemesis

Lands (21)
4 Island
2 Plains
1 Arid Mesa
4 Flooded Strand
1 Misty Rainforest
1 Polluted Delta
2 Scalding Tarn
2 Tundra
3 Wasteland
1 Karakas

Spells (28)
1 Batterskull
4 Brainstorm
2 Counterspell
4 Force of Will
1 Path to Exile
3 Spell Pierce
2 Spell Snare
4 Swords to Plowshares
1 Umezawa’s Jitte
2 Council’s Judgment
4 Ponder

Sideboard
1 Engineered Explosives
3 Tormod’s Crypt
4 Delver of Secrets
1 Palace Jailer
1 Celestial Purge
1 Disenchant
2 Flusterstorm
1 Gideon, Ally of Zendikar
1 Supreme Verdict


サイド後に《秘密を掘り下げる者》を抜くという考え方よりも、そもそもサイドボードに入れてしまおうとGUL_DUKATは決断した。
このプランは、いざという時に大きな戦果を挙げただろう。
これは、デルバーデッキがサイド後によりデカブツを入れようとする際の問題点を、
《石鍛冶の神秘家》デッキのサイドボードにもっと軽い脅威(デルバー)を入れるという逆転の発想で解決している。

デルバーデッキが抱える問題に別角度から切り込んだのは称賛に価するし、私にとっては《宮殿の看守/Palace Jailer》の採用も興味深い。
このカードをデス&タックス以外で見たのは初めてで、これで何が変わったのか私には分からない。
あるいは、時代の最先端に私が乗り遅れているのかもしれない。

けれど、私のようなデルバー愛好家がいたとして、今週末にCincinnatiで行われるチーム構築戦で頭一つ抜けたいと思うなら、新しく刺激的なものを受け入れる必要がある。
初めに言ったように、グリクシスデルバーのような以前からあるデッキが無くなったわけではない。しかし、環境自体が移り変わっている。
ティムールとグリクシスという老いた門番たちはすぐに過去のものになるだろう。
そして、二色の新しい大君主たちが私たちを待っている!
こうしたレガシー環境の変化は珍しいが、私はとてもワクワクとしている。

週末にどんな新しいテクがお披露目されるのか、待ち遠しいよ。


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My Favorite Legacy Deck:Grixis Control

Andrea Mengucci

2019/06/14


先週末、Bolognaで行われたEternal Weekend内の4Seansons Tornamentに参加した。
このイベントは三か月おきに行われていて、私はそこでLegcyやVintageを楽しんでいる。
どちらのフォーマットでも私のお宝であるフルフォイルデッキを見せつけられるし、紙でやるLegacyは楽しい。
とにかく、リアルマジックが大好きなんだ!

《覆いを割く者、ナーセット/Narset,Parter of Veils》登場以来、とにもかくにもグリクシスコントロールの全バージョンを試していた。
まずは《ナーセット》2枚から始めて4枚までいって、最終的には2枚に戻った。
いくつかのローカル大会では非常に好成績を収めたものだから、早く4Seasonsで私のデッキをお披露目したかった。(Youtubeで私の使っていたデッキが見られるよ)
《ナーセット》はゲームを終わらせるほど強く、特に奇跡に対して素晴らしい働きを見せた。
その一方で、押されている状況下では何枚あってもプレイヤーを守ってはくれない。やはり《ジェイス》や《リリアナ》は別格だね。

そんなわけで私が日曜日に使用したデッキは素晴らしいものだったのだけど、参加者186人のイベントを平凡な4-4という成績で終えた。

《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》と《最後の希望、リリアナ/Liliana,the Last Hope》に何度もやられて、早速0-2になった。
でも私はドロップせずに最後までやろうと決めたんだ。だってカジュアルMagicが好きだし、フルフォイルデッキでもっと楽しみたいしね。

《リリアナ》と《宿敵》に関して言えば、このデッキには《アングラスの暴力/Angrath’s Rampage》を採用できた。
このカードは《コラガンの命令/Kolaghaan’s Command》というよりは、《リリアナの勝利/Liliana’s Triumph》に近い。
二枚が似ているので私は「布告」の方を削るだろう。

《リリアナの勝利》は《マリット・レイジ》を処理できるが、《アングラスの暴力》はプレインズウォーカーやアーティファクトにも対処できる。
赤マナを含むソーサリーという点は確かに厄介ではあるが、総評として私は《アングラスの暴力》を推したい。

デッキに《赤霊破/Red Elemental Blast》系を4枚入れるのが好みで、なぜなら青いデッキは未だに王者だし、実際みんなが当たる相手の多くもそうだろう。
《赤霊破》は《瞬唱の魔道士/Snapacaster Mage》、《ナーセット》、《相殺/Counterbalance》、《真の名の宿敵》、《基本に帰れ/Back to Basics》、《実物提示教育/Show and Tell》、そして《精神を刻む者、ジェイス/Jace,the Mind Sculptor》に対処できるため非常に重要だ。
4枚以下なんて私には考えられない。

反対に、もっとイゼットデルバーがいると見込んで採用した2枚の《青霊破/Blue Elemental Blast》については後悔している。2枚目の《リリアナの勝利》にした方が良かっただろう。

もう一度このデッキを使うとしたら、変更するのは以上の二点のみになる。

Andrea Mengucci - Grixis Control

Lands
2 x Badlands
1 x Swamp
2 x Bloodstained Mire
3 x Scalding Tarn
2 x Island
4 x Polluted Delta
3 x Underground Sea
3 x Volcanic Island

Creatures
3 x Snapcaster Mage
4 x Baleful Strix

Spells
4 x Ponder
3 x Kolaghan’s Command
1 x Angrath’s Rampage
2 x Jace, the Mind Sculptor
2 x Inquisition of Kozilek
1 x Toxic Deluge
3 x Hymn to Tourach
1 x Lightning Bolt
1 x Liliana, the Last Hope
2 x Narset, Parter of Veils
4 x Force of Will
3 x Fatal Push
4 x Brainstorm
2 x Thoughtseize

Sideboard
1 x Blue Elemental Blast
2 x Surgical Extraction
1 x Spell Pierce
2 x Red Elemental Blast
2 x Pyroblast
1 x Toxic Deluge
1 x Vendilion Clique
2 x Blood Moon
1 x Nihil Spellbomb
2 x Liliana’s Triumph


このデッキはアドバンテージ合戦に長けているにも関わらず、しばしばガス欠になって火力に飲み込まれてしまう事があるため、《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》の必要性を説く人がいる。
しかし《ナーセット》がいればもう他の勝利手段はいらない。
《精神を刻む者、ジェイス》が見つかれば、それがゲームを終わりに導いてくれる。
長期戦になればデッキ内の全ての解答が欲しくなるので、間違えた脅威に《意志の力/Force of Will》をすることがないようにしたい。

このデッキは《不毛の大地/Wasteland》に非常に弱い。
なので、プランに従い序盤は基本土地をフェッチして、《目くらまし/Daze》や《呪文貫き/Spell Pierce》に気を付けながら3マナ域を唱え始める。
第1ゲームでは《真の名の宿敵》への解答が非常に少ないため、それらの解答を早々に使い切ってしまう事がないように。

私はほとんどのデルバーデッキとの第1ゲームの相性が悪い事にも気付いた。
しかし、サイドから《血染めの月/Blood Moon》と《真の名の宿敵》への解答を増やせば有利になる(例外なのはイゼットデルバーだ。あれは《血染めの月》が効かないから)。

このデッキのサイドボーディングは割と簡単だ。
ミッドレンジデッキや、一般的に《赤霊破》や《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》の効く相手に対しては《意志の力》をサイドアウトする。
もしかすると《真の名の宿敵》や《精神を刻む者、ジェイス》といった爆弾カードがあるかも知れないマッチアップでも《赤霊破》を入れる事がよくある。
多くのゲームでは《血染めの月》がエンドカードになる。
何故かと言うと、相手が奇跡でない限りはどんなデッキに対しても機能するから、というのが理由だ。
もしも奇跡が存在しなければ、私はメインデッキに《血染めの月》を入れるだろう。
ハンデスと組み合わせれば、環境の大部分は死に絶えるはずだ。

このデッキに関して懸念材料があるとすれば、私がグリクシスコントロールをLegacyで使うデッキかどうか疑問に思っている事だ。
私が知っているのは、このデッキが奇跡に対して有利の付く数少ないデッキの一つだという事で、それ以外にはそれなりのカードの束だという事。
Legacyのイベントに出る時はいつだって奇跡の事をかなり意識するので、私はこのデッキを使っている。


現在のLegacyは二つのビッグニュースで揺らいでいる。
一つ目は、モダンホライゾンで、既に《レンと六番/Wrenn and Six》や《否定の力/Force of Negation》といった興味深いカードが多い。
既に十分軽く効果的な手段があるのに、《否定の力》によってフェアデッキがアンフェアデッキに対して更に抵抗しやすくなるだろう。

もう一つのビッグニュースと言うのは、ロンドンマリガンについてだ。

この変更でModernやVintageが受ける程の変化は、Legacyでは起こらないのではと思っている。
この環境では脅威よりも解答の方が強いため、悪化していくコンボデッキと《虚空の杯/Chalice of the Void》デッキに対して《意志の力》と《不毛の大地》でなんとか対処していく事だろう。

来週は私が参加したVintageイベントについてと、Vintage環境における灯争大戦とロンドンマリガンに関する私の考えを紹介しようと思っている。

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Wrenn and Six is Revolutionizing Legacy

Andrea Mengucci

2019/6/16


この前の日曜日、32人の地方大会に二時間半もかけて出向いたレガシー大好きマンというのは、この僕のことさ。
だってこの新しい《レンと六番/Wrenn and Sx》のFoilを使いたいじゃないか!

僕は青いデッキが好きだけど、《レンと六番》は在りし日の《死儀礼のシャーマン/Deathriten Shaman》を思い起こさせ、どんなデッキだってミッドレンジにしてしまう。
そう、デルバーデッキさえもね!

更に前の週末に行われたLegacy Challengeを4Cデルバーで勝ってからこのデッキに夢中になっている。
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を抜いて、《ダク・フェイデン/Dack Fayden》と《罰する火/Punishing Fire》を入れたもっとコントロール寄りのデッキも試したけれど、クロックを置いて積極的に動く事が何よりも称賛されるLegacyの様な環境では、《秘密を掘り下げる者》と《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を入れた一貫性のあるタイプが好みだ。

投稿用のビデオを撮った後、友達ともう少しデッキを回して調整したデッキで7回戦のイベントを駆け抜けた。
もう一度使うなら、以下の様に手直しするね。

Andrea Mengucci’s Four-Color Wrenn and Six

1st Place, 4Seasons Beach 14 July 2019

Lands
1 x 《Badlands》
4 x 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 x 《汚染された三角州/Polluted Delta》
3 x 《Tropical Island》
1 x 《Underground Sea》
3 x 《Volcanic Island》
4 x 《不毛の大地/Wasteland》

Creatures
4 x 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
2 x 《戦慄衆の秘技術士/Dreadhorde Arcanist》
4 x 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1 x 《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》
1 x 《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》

Spells
2 x 《突然の衰微/Abrupt Decay》
4 x 《渦まく知識/Brainstorm》
4 x 《目くらまし/Daze》
4 x 《意志の力/Force of Will》
4 x 《稲妻/Lightning Bolt》
4 x 《思案/Ponder》
2 x 《定業/Preordain》
3 x 《レンと六番/Wrenn and Six》
1 x 《呪文貫き/Spell Pierce》

Sideboard
1 x 《燃えがら蔦/Cindervines》
1 x 《水流破/Hydroblast》
2 x 《リリアナの勝利/Liliana’s Triumph》
2 x 《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》
3 x 《紅蓮破/Pyroblast》
2 x 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 x 《思考囲い/Thoughtseize》
2 x 《冬の宝珠/Winter Orb》


スイスラウンド4連勝、Top8で3連勝ときっちり7連勝してきた。
この事から分かる通り、僕はTop8でスプリットしなかった。
だって自分のデッキが一番強いっていう自負があったし、デルバーデッキとのミラーマッチでも先行が取れたからだ。

イベント中に、デルバーに4回(RUG2回、URとグリクシスが1回ずつ)、ショーテルに1回、エルドラージポストとアルーレンに1回ずつマッチした。
そして、これら全てに有利だと感じた。
奇跡には当たらなかったけど、いつも通り微不利くらいのマッチアップだと思う。
ただ、《レンと六番》が入った事は大きく、この奥義は奇跡とのマッチアップに際して非常にデカい。
ともかく、奇跡の存在はサイドボードに《冬の宝珠》を入れる理由になるね。
このデッキは《血染めの月/Blood Moon》に弱いため、この4色デッキが流行るなら、また月ストンピィが出てくるかも知れない。


・レンと六番

このカードが存在するだけで、デスアンドタックスとタフネス1のクリーチャーを使うフェアデッキは漏れなく断罪されてしまう。
マーヴェリックを好きになった事は一度もないけれど、先月のイベントで優勝していたのは全くの予想外だった。

先行の2ターン目に《レンと六番》を《目くらまし》で送り出せた時は、毎回負ける気がしなかった。
こういった状況で《ルーンの母/Mother of Runes》や《貴族の教主/Noble Hierarch》を処理するつもりはないけれど、《レンと六番》は1点を飛ばすだけのプレインズウォーカーではない。
そういったデッキが長所にしている《不毛の大地/Wasteland》や《リシャーダの港/Rishardan Port》に対する強力な対抗策にもなっているんだ。


・タルモゴイフ

《タルモゴイフ》もまた大活躍だった。
この環境のコイツが、どれだけデカかったのか僕らは忘れてしまっていたんだ。
《致命的な一押し/Fatal Push》や《剣を鋤に/Swords to Plowshares》を前に指をくわえて見ているだけの時もあったけど、最近は《一押し》の数も減り、何本かの《剣を鋤に》なら避けられる。
そう言ったわけで、《タルモゴイフ》は週末中ずっと猛り狂っていた。

そしてこれは2ターン目に出てきた《戦慄衆の秘技術士》に対する最高の解答であると同時に、対戦相手を速やかに倒す主演俳優でもある。
数を減らしているグリクシスコントロールにとって、《悪意の大梟/Baleful Strix》の処理とカードアドバンテージ獲得の両方を行える《レンと六番》はまさに天敵だろう。
また、頻繁に忠誠度1で居残っている《覆いを割く者、ナーセット/Narset,Parter of Veils》も処理できるため、《ナーセット》を使うコントロールデッキなどは割りを食っている。


・疫病を仕組む者
・真の名の宿敵

会場全体を唸らせる大活躍をしたのが《疫病を仕組むもの》だ。
これは処理の難しい対戦相手の《真の名の宿敵》だけを一方的に取り除ける優れもので、おまけでゴブリン対策にもなる。

イベントでは2枚だった《真の名の宿敵》を、なぜ1枚《レオヴォルド》に変えたか。
《レオヴォルド》は唱え辛く、殺されやすいものの、単体でゲームを掌握可能で、
そして最も重要なのが、《レオヴォルド》を1:1交換しようとするのは簡単な事ではないのが理由だ。


・突然の衰微

絶対に黒を足さなければいけないわけではないが、《突然の衰微》と《疫病を仕組むもの》の2つは、こういったデッキが切望しているカードでもある。
《タルモゴイフ》、《レンと6番》、《虚空の杯/Chalice of the Void》、《相殺/Counterbalance》を1枚で処理し切れるカードが使えるのは、Legacy環境において本当に大切な事だ。
《レンと六番》の手助けによって、これらのカードをデッキに足すのはそこまで大変なことではなくなっている。


これが今現在お気に入りのLegaccyデッキで、《レンと六番》はその位置を確かなものにするだろう。
Legacyは以前(非常に受け身で骨の折れるゲームばかりの)よりも良いフォーマットになっていくだろう。
それこそ僕が愛するMagicだよ。


記事


Finally! My First Grand Prix Top 8, with Sultai Delver in Legacy

by Andrea Mengucci

2019/12/03


とうとう時が来た。
76回目のGPにしてようやく、私はTop8に到達したんだ。
自宅から二時間の会場で、フォーマットはレガシー。
もうTop8入賞を果たすならここしか無いだろう。

直近の失敗なんて全然気にしてないし、立ち直りも早く、いつだって意欲的に次のGPに参加する。
だってTop8にも入りたいけど、何よりもMagicFestで競技するのが大好きなんだ。
友達とMagicを通して最高の週末を過ごせるしね。

PTに臨む時に比べると、GPにかける情熱や準備、それに運さえも劣っていたと思う。
これは過去75回のGPに参加してTop16に三回だけ到達し、Top8に一度も入れなかった事が物語っている。

メインイベントには1600人が参加していた。
この中には、私の地元の小さな町からの参加者も12人いて、ほとんどがMagicを10年以上プレイしているものの、PTQやGPへの参加経験がない人たちだった。
セニガッリア(注 イタリア共和国マルケ州)という私の地元にはカードショップがないが、それでも私たちはいつもレガシーで遊んでいる。
12人の内の一人、Lorenzo TassoneがTop4で大会を終えた事からも分かる通り、非常に地元のプレイレベルは高く、これがレガシーを好きでいられる理由かも知れないね。

今回のGPボローニャでは、かつてないほどの写真を撮ったし、たくさんのプレイマットにサインをした。
私のビデオやストリーミングを見てくれた人や私のプレイを見て応援してくれる人たちと交流を持つのが大好きなんだ。
ストリーミングの予定がとてもキツイけど、どうにかヨーロッパのMagicFestには全て出られるようにするし、感謝の気持ちを伝えたいよ。

そろそろMagicの話に戻るとしようか。
どうして私がスゥルタイデルバーに落ち着いたか。
《レンと六番/Wrenn and Six》が禁止されて(少し泣いてから)、スゥルタイに決めるまで友人のZen TakahashiとMTGOで何度か試してみたんだ。
結局、先週日曜日の4SeasonsTournamentsで6-2を記録し、17位に入った事でデッキを決めた。

《悪意の大梟/Baleful Strix》入りミッドレンジをこよなく愛するにも関わらず、私がそれでも《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を使いたかった理由は、現状のレガシーではコンボデッキに対して非常に追い風が吹いており、それらに対して素早いクロックと《目くらまし/Daze》、《不毛の大地/Wasteland》で圧力をかけ続けるのが重要だからだ。
グリクシスや青赤タイプではなくスゥルタイを選んだのは、ミラーマッチの際に他の二つよりもミッドレンジ寄りにサイドプランを変更可能なのが理由だ。

私はデルバーデッキが最多勢力と踏んでいて、それに対して強い構築を作りたかった。
以下が使用した75枚だ。

Sultai Delver

Lands
1 x Bayou
1 x Misty Rainforest
4 x Polluted Delta
2 x Tropical Island
4 x Underground Sea
4 x Verdant Catacombs
4 x Wasteland

Creatures
4 x Delver of Secrets
2 x Gurmag Angler
4 x Tarmogoyf

Noncreature Spells
2 x Oko, Thief of Crowns
2 x Abrupt Decay
4 x Brainstorm
4 x Daze
4 x Fatal Push
2 x Force of Negation
4 x Force of Will
4 x Ponder
4 x Thoughtseize

Sideboard
2 x Baleful Strix
1 x Blue Elemental Blast
1 x Bojuka Bog
1 x Brazen Borrower // Petty Theft
1 x Crop Rotation
1 x Karakas
2 x Liliana, the Last Hope
2 x Plague Engineer
2 x Surgical Extraction
1 x Sylvan Library
1 x Veil of Summer


このリストを使ったZen Takahashiと私がGPボローニャで15位と8位に入れたのはとても嬉しい。
二人合わせた戦績は24-6になる。


○カード選択


《致命的な一押し/Fatal Push》

多くの人が、「奇跡とコンボが人気のあるレガシー環境で、なぜ限定的な除去を4枚取ったのか」と尋ねた。
それは、デルバーデッキとデス&タックスが初日と二日目を通して二大勢力だろうと予想したからだ。

レガシーのデッキを組む時はいつだって、デルバーデッキに対して後手番になった時を想定する。
大量の土地(基本ならなお良し)と大量の軽量スペルを詰め込んだデッキを構築しない限りは、デルバー相手に後手を好む人はいないだろう。
これはつまり、奇跡デッキがデルバーデッキに強くあり続けた理由であり、今大会でMarc Eric Vogtが1マッチしか落とさずにGP優勝した理由でもある。


《否定の力/Force of Negation》

二枚の《否定の力》もまた目を引くカードだろう。
ほぼサイドアウトするカードでありながら、《虚空の杯/Chalice of the Void》とコンボデッキに対抗するために最も必要なカードでもある。

これだけデッキに《意志の力/Force of Will》系が入っていると、青いカードは本当に無駄にならない。
また、長期戦になった時などに《否定の力》は3マナの《否定/Negate》として使用可能な側面もある。
今週末は、ピッチコストを払うよりも3マナを払った回数の方が多かったと断言できるが、これは大会を通してコンボデッキに二回しか当たらなかった上に、そのどちらも低速コンボだったのが理由だろう。


《悪意の大梟》、《輪作/Crop Rotation》

サイドボードに関しては、ミラーマッチで後手になった際に《秘密を掘り下げる者》をサイドアウトして、スゥルタイミッドレンジになる様にした。

ここで《悪意の大梟》が役に立つ。
私は全てのマッチアップで隙間を埋める役割として《悪意の大梟》をサイドインした。
コンボデッキに対しては《意志の力》のピッチコストとなる青いカードとして。
アグロデッキに対しては《秘密を掘り下げる者》や《グルマグのアンコウ/Grumag Angler》に対して1対2交換を取れるカードとして。
そして、アーティファクトタイプを持つために、時には《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を《稲妻/Lightning Bolt》二連発圏外の6/7にまでサイズアップさせる事も可能だ。(テストプレイ中に頻繁に起こった)
なぜ毎試合サイドインするのに、《悪意の大梟》をメインデッキに入れないのか不思議がる人もいるだろう。
それは《悪意の大梟》は様々なサイドプランの橋渡し役でありつつ、そのプランを強固にする役割を持つからだ。

《輪作》、《Karakas》、《ボジューカの沼/Bojuka Bog》

この組み合わせに関しては自信がない。
緑黒デプスの増加に伴い広まった戦略で、私もそれに右に倣えで従ってしまった。
《輪作》+《ボジューカの沼》コンボはテストプレイ中にリアニメイターとドレッジに対して有効だった。
《Karakas》はドローで引いても、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》や《実物提示教育/Show and Tell》に対して非常に強いため、《輪作》を削っても《Karakas》を削るつもりはない。

もし詳細なサイドボードガイドが見たいなら、今週後半に投稿する第二部をお見逃しなく!


記事


Sideboarding with Legacy Sultai Delver

by Andrea Mengucci

2019/12/11


レガシーには無数のデッキが存在し、最も人気のあるデッキでも使用率7%を越えることは難しい。
つまり、全てのデッキへのサイドボードガイドを網羅するのは至難の業という事だ。

そこで今回はGPボロ―ニャ二日目の結果を基に、人気の高いデッキへのサイドボーディングを解説していこうと思う。

4 x Delver of Secrets
2 x Gurmag Angler
4 x Tarmogoyf
2 x Oko, Thief of Crowns
2 x Abrupt Decay
4 x Brainstorm
4 x Daze
4 x Fatal Push
2 x Force of Negation
4 x Force of Will
4 x Ponder
4 x Thoughtseize
1 x Bayou
1 x Misty Rainforest
4 x Polluted Delta
2 x Tropical Island
4 x Underground Sea
4 x Verdant Catacombs
4 x Wasteland

Sideboard
2 x Baleful Strix
1 x Blue Elemental Blast
1 x Bojuka Bog
1 x Brazen Borrower // Petty Theft
1 x Crop Rotation
1 x Karakas
2 x Liliana, the Last Hope
2 x Plague Engineer
2 x Surgical Extraction
1 x Sylvan Library
1 x Veil of Summer


カード選択に疑問点があれば、一つ前の記事を読んでみて欲しい。


Vs 青赤/グリクシス デルバー

先手時

out
4*《意志の力/Force of Will》
2*《否定の力/Force of Negation》
2*《思考囲い/Thoughtseize》
1*《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》

in
2*《悪意の大梟/Baleful Strix》
2*《疫病を仕組む者/Plague Engineer》
2*《最後の望み、リリアナ/Liliana,the Last Hope》
1*《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1*《青霊破/Blue Elemental Blast》
1*《森の知恵/Sylvan Library》

後手時

out
4*《秘密を掘り下げる者》
2*《否定の力》
2*《思考囲い》

in
2*《悪意の大梟》
2*《疫病を仕組む者》
2*《最後の望み、リリアナ》
1*《厚かましい借り手》
1*《青霊破》

最も練習したマッチアップであり、最も人気の高いデッキタイプだろうと予測していたが、それは見事的中した。

Ewlandonが使った《もみ消し/Stifle》入りのものは特にそうだが、先手を取った青赤デルバーとグリクシスデルバーは最高のデルバーデッキと言える。
先手の有利をどんどん積み上げては押し付けていき、最後の数点を《稲妻/Lightning Bolt》で削り切る動きが可能だからだ。
それに対して、スゥルタイデルバーは、最後の3~6点を無理矢理削り取る手段が欠けている。

このマッチアップで理解すべき根幹は、レガシー動画で私が《目くらまし/Daze》ミラーで繰り返し言っているように、どのようにして《目くらまし》を避けるかだ。
相手から飛んでくる《目くらまし》を気にせず、相手の脅威に《意志の力》をぶつける際には、タップアウトしてはいけない。

1ターン目に《思案/Ponder》を使うのは必須ではない。
そして毎ターン効率的にマナを使う必要もない。
《目くらまし》ミラーマッチでは、普段のマジックを軸としながら、よりミニマルなゲーム展開となる。

私はGP会場で4度デルバーデッキと当たり、その全てを2-0で勝利した。
Zenも同様に全てのミラーマッチを制した。
私のサイドボードプランと、デッキ選択がハマった結果と言える。

デルバーミラーにおいて、私が後手限定で《意志の力》を4枚とも残すのを疑問に思う読者もいるだろうが、これは2ターン目に出てくる《戦慄衆の秘技術師/Dreadhorde Arcanist》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》に対してターンを遅らせることなくカウンターを使うためだ。
相手の2ターン目にこちらはまだ《目くらまし》を使えないし、《意志の力》しておけば、こちらの2ターン目に(《目くらまし》を避けて)《致命的な一押し/Fatal Push》や《突然の衰微/Abrupt Decay》を相手の《秘密を掘り下げる者》にぶつける事が可能になる。

ラウンド14でグリクシスデルバーと対面した時には、相手の《秘密を掘り下げる者》→《戦慄衆の秘技術士》という流れを、2ターン目の《意志の力》と《致命的な一押し》によって捌き、《目くらまし》と《不毛の大地/Wasteland》に気を付けながら、《疫病を仕組む者》と《悪意の大梟》によって“ミッドレンジ勝ち”を収めた。

最序盤を切り抜けた後は、相手の《紅蓮破/Pyroblast》に《意志の力》を投げつけても良いし、《渦まく知識/Brainstorm》でシャッフルするまで握っていても良い。
ゲームが長引くと《意志の力》の価値が低下するため、後手で手札に溢れさせないように注意する。


Vs スゥルタイデルバー

in
2*《悪意の大梟》
2*《疫病を仕組む者》
2*《最後の望み、リリアナ》
1*《森の知恵》
1*《厚かましい借り手》
1*《夏の帳/Veil of Summer》

先手時

out
4*《意志の力》
2*《否定の力》
3*《思考囲い》

後手時

out
4*《秘密を掘り下げる者》
2*《否定の力》
3*《思考囲い》

このマッチアップについて長々話すつもりはないが、前段で言った内容とよく似ている。
《夏の帳》の存在を頭の片隅に置いておき、安易に《思考囲い》や《突然の衰微》を投げつけないように。
相手が《夏の帳》を持っていそうな時には、《些細な窃盗》(出来事)よりも《厚かましい借り手》(当事者)としてそのまま出した方が安全な事もある。


Vs デスアンドタックス

in
2*《疫病を仕組む者》
2*《悪意の大梟》
1*《厚かましい借り手》
2*《最後の望み、リリアナ》
1*《森の知恵》
1*《Karakas》

先手時
out
4*《意志の力》
2*《否定の力》
2*《目くらまし》
1*《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》

後手時
out
2*《意志の力》
2*《否定の力》
4*《目くらまし》
1*《グルマグのアンコウ》

デスアンドタックスに有利とされるグリクシス系よりも、スゥルタイデルバーは更にデスアンドタックスに有利だ。
《突然の衰微》を使えるのは最高と言わざるを得ないし、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は解答を迫るのに十分な大きさを持つ。

サイドボーディングは人によって差が出る部分ではあるが、
《疫病を仕組む者》と《最後の望み、リリアナ》は単体で強力かつゲームを勝利に導くカードだ。
《Karakas》は3マナ域に到達するための追加の土地であるとともに、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》への追加の解答にもなるので、私好みと言える。

《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》がこのデッキの急先鋒となり、場に降り立った後で処理する方法は一つしかない。
そこで、出来れば《思考囲い》によって手札から落としてしまいたい。
《思考囲い》はこのマッチアップで非常に有用で、これこそが《思考囲い》を四枚採用し、《コジレックの審問/Inquisitions of Kozilek》を採用しなかった理由だ。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystics》着地後の《殴打頭蓋/Batterskull》をディスカードするのも重要なプレイとなる。
相手が《石鍛冶の神秘家》を手札に抱えているかどうかを確認するために、相手の2ターン目まで《思考囲い》を温存すべきだろう。


Vs 緑黒デプス

2*《悪意の大梟》
1*《厚かましい借り手》
1*《輪作/Crop Rotation》
1*《Karakas》
1*《夏の帳》

先手時
out
3*《思考囲い》
2*《致命的な一押し》
2*《否定の力》

後手時
out
4*《思考囲い》
2*《否定の力》

私はこれが骨のあるマッチアップだとは思っていて、他のコンボデッキを相手にするよりも明確な優位性を見いだせない。
緑黒デプスのサイドボードに《夏の帳》が仕込まれている現状では尚更だ。

個別でも非常に有用なカードたちが、《輪作》パッケージとしてここで輝く。

ラウンド6で緑黒デプス相手にストレート負けした。
なんと2ゲーム目は、一体の《タルモゴイフ》と手札に《夏の帳》と《Karakas》を抱える私を、四体の《エルフの開墾者/Elvish Reclaimer》たちが踏み潰していった。

友人のLorenzo Tassoneはこのマッチアップで勝利を収めて勝ち上がったが、依然としてとても困難なマッチアップであり、緑黒デプス側が僅かに有利だと私は思っている。


Vs 奇跡

out
4*《致命的な一押し》
3*《不毛の大地》

out
2*《最後の望み、リリアナ》
2*《悪意の大梟》
1*《厚かましい借り手》
1*《夏の帳》
1*《森の知恵》

このデッキタイプは非常に多彩な構築が存在し、それらを全て一括りにするのは難しい。
そのため、今回はGP優勝デッキの青白緑オーコ奇跡へのサイドボーディングを紹介する。

厳しいマッチアップとなるが、初日に当たった時は勝つ事ができた。
友人のZenは二日目に二度敗北を喫したため、繰り返しになるがやや不利だと考えている。
しかし、それを好転させる材料も持ち合わせていて、このマッチアップで最も強力なカードは《森の知恵》だ。

あなたは自身のリソースを最大限に増やし、《終末/Terminus》や《夏の帳》に立ち向かう必要がある。
《不毛の大地》をサイドアウトしながら《目くらまし》を残すのは悪手に見えるが、実は重要なカードで、超長期戦になった際に相手が素打ちで使ってくる《意志の力》を《目くらまし》するのはよくある事だ。


Vs ANT

out
4*《致命的な一押し》
2*《突然の衰微》
2*《不毛の大地》

in
2*《外科的摘出》
2*《疫病を仕組む者》
1*《夏の帳》
2*《悪意の大梟》
1*《青霊破》

《悪意の大梟》と《青霊破》はこのマッチアップでとても使用に耐えるカードではないが、デッキの隙間を埋めつつ《意志の力》のピッチコストとしてサイドインしている。

サイドアウトしたカードの中で、《不毛の大地》は他の二種類よりも悪いカードではないが、そこまで相手に刺さらず、こちらとしても過剰なマナは必要ない。

メインデッキは非常に有利で、《思考囲い》と六枚の《力》、《夏の帳》の存在を心に留めながら、相手を攻めたてる。
1ターン目は《思考囲い》ではなく、《秘密を掘り下げる者》を送り出すべきだ。
なぜなら、序盤から圧力をかけていかないと、いくら妨害したところでANTは長期戦の末に勝ちに辿り着いてしまう。


Vs スニークアンドショー

out
4*《致命的な一押し》
1*《不毛の大地》

in
2*《悪意の大梟》
1*《厚かましい借り手》
1*《青霊破》
1*《Karakas》

スゥルタイデルバーを使っていてスニークアンドショーとマッチされるのは嬉しい。
対ANT戦と同様に、こちらのメインデッキには十分な備えがある。

《血染めの月/Blood Moon》をお忘れなく。
マナを立てておき、《突然の衰微》や《青霊破》で叩き割ろう。

ここでも《悪意の大梟》と《厚かましい借り手》は隙間を埋めつつ《力》のコストにもなる枠なので、状況に応じて使えそうな時はそのまま唱えてしまう。

こうして見てみると、対ANTよりも少しだけ怖さはあるかもしれない。
もしも手札に打ち消しがなければ、1ターン目は《秘密を掘り下げる者》ではなく、《思案》や《思考囲い》からスタートしたい。


まだまだ語りたいが、今回はここまで。

レガシー版スゥルタイデルバーは私の大好きなフォーマットの大好きなデッキだ。
独自的かつあらゆるレベルで私のスキルを大いに発揮できる。
みなさんもそういったデッキと巡り合えますように。


記事


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以上です。
ここからはご存知のように、オーコRUGデルバーを筆頭にURデルバー、グリクシスデルバー、BUGデルバーと、デルバー群雄割拠の時代になっていきます。


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