ANTの基本プレイとサイドプラン

過去の記事三本立てです。
今も変わらぬ人気を誇るANT。
プレイに関する基本的な思想や、各カードの選択理由、サイドボードプランなどの記事です。
一本目は2013年(ギタクシア派の調査使用可)と古く、二本目は2019年末(夏の帳登場後)となっていますが、どちらも非常に分かり易く、これからANTに触れてみたいプレイヤーのお手本となるだろう記事です。
三本目はPVによる主要なコンボデッキに対する「いつ、なにを、どうやって使って妨害するか」のガイド。
コンボデッキ紹介記事はあっても、コンボデッキをいかに邪魔するかの記事は少ないため、こちらも非常に参考になります。使う側も使われる側も。
外に出にくい朝に、昼に、夜に、どうぞ読んでみて下さい。


Legacy Storm Primer

by Adam Prosak

2013/03/14


《苦悶の触手/Tendrils of Agony》はクセになる。
コンボの〆として必要なスロットが(ほぼ)一枚だけのデッキを使うのは最高な気分だ。

コンボデッキはLegacyの未来だ。
Legacyに存在する様々なデッキ全てに対応するのは難しく、こちらから積極的に攻撃をしかけていくというのは、それだけでより強力な戦術となる。
コンボデッキは他のデッキに比べて、圧倒的な力を有しており、非常に積極的な戦術を持っている。
開幕に出て来た《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》を笑ってやろうじゃないか。

しかし、コンボデッキとはなんだろう?
そこには一般的に三つの判断基準がある。
安定性、柔軟性、そして速度だ。


○安定性

特定のコンボデッキは何もすることがない時がある。
例えば、「The Spanish Inquisition」(黒単の《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》デッキ)は頻繁に何も出来ないことがある。
Legacyのコンボデッキは、妨害が無ければだいたい3ターン前後にはコンボを成立させるのが望ましい。

加えて、コンボを成立させておきながら、ゲームに負けてしまうのはダメだ。
「Sneak and Show」デッキにおいては《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul,the Aeon’s Torn》を出す事がコンボ成立と言える。
しかしながら、これは15点のダメージを与え「滅殺」で6枚のパーマネントを飛ばすだけだ。
それだけでは対戦相手を殺せない!
コンボを成立させながら負けてしまう事ほど情けない事は無い。


○柔軟性

Legacyでは、使われるコンボデッキが多いにも関わらず、相互に干渉しあうフォーマットでもある。
《Force of Will》はこのフォーマットの最重要カードの一枚で、《思考囲い/Thoughtseize》の様なハンデス呪文は「嗜み」となりつつある。
《不毛の大地/Wasteland》もまた非常に人気なカードだ。
これらは、多くのコンボデッキが頭を悩ませるカードとなっている。
また、どのコンボデッキも特定の対策カードを気に掛ける必要があり、
デッキにもよるが、《神聖の力線/Leyline of Sanctity》、《Karakas》、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》などのカードはゲームプランを崩壊させてしまう。
柔軟性のあるデッキというのは、こうした対策カードに対抗する事が出来る。
もしもたった一枚の《思考囲い》もしくは《Force of Will》で十分な妨害になるのだとしたら、柔軟性に欠けるデッキと言える。

一般的に、最も柔軟なデッキと言うのは、「死に札」がほとんど無いデッキだ。
コンボを成立させる前の段階で、そのカードはゲームに影響を与えるだろうか?
引きたくもなく、コンボのスタートも助けない代表例として、《コーリスの子/Children of korlis》や《ナルコメーバ/Narcomoeba》などが挙げられる。


○速度

速度と言うのは、対抗力としても見なされる。
もしも対戦相手が《思考囲い》を抱えていたとしても、1キルされてしまっては元も子もない。
「ゴブリンの放火砲」デッキや、「The Spy」といったデッキには、速度がある。
残念ながら、《Force of Will》はピッチスペルなので、いくら速くとも《Force of Will》を超える事は出来ないのだが。
要は、対戦相手がこちらに干渉してくる時(それは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》であったり、《Hymn to Tourach》、《相殺/Counterbalance》、《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》だったりする)、そうしたカードと戦う最良の方法は、単純にそれらが機能し始める前にコンボを成立させてしまう事だ。

速度というのは、コンボデッキ同士のマッチにおいても、最重要な要因の一つで、
ほとんどのコンボデッキは妨害手段よりもコンボを守る手段にスロットを割いており、そのためにコンボ同士は純粋な速度勝負になりがちだ。
私の見解では、最も優れた防衛手段は、ハンデス呪文と《Force of Will》で、これらは必要ならば相手への妨害にも使う事が出来る。

こうして見たように、安定性、柔軟性、速度はLegacyのコンボデッキの重要ポイントとなる。
では、「Storm」デッキはどうか。
他のデッキの方が、速く、より安定していて、柔軟性に優れているとしても、私は他のデッキがこの三つの要素を同時に満たしているとは思っていない。


The Deck

Ad Nauseam Tendrils

// Lands
2 [UNH] Island
1 [UNH] Swamp
2 [WL] Gemstone Mine
4 [ON] Polluted Delta
3 [ZEN] Scalding Tarn
2 [B] Underground Sea
1 [B] Volcanic Island

// Spells
4 [M12] Ponder
4 [M11] Preordain
1 [SC] Tendrils of Agony
1 [ISD] Past in Flames
2 [JU] Cabal Therapy
4 [TE] Lotus Petal
4 [MI] Lion’s Eye Diamond
4 [DIS] Infernal Tutor
1 [ALA] Ad Nauseam
4 [IA] Brainstorm
4 [TE] Dark Ritual
4 [TO] Cabal Ritual
4 [US] Duress
4 [NPH] Gitaxian Probe

// Sideboard
SB: 2 [DIS] Ignorant Bliss
SB: 3 [US] Carpet of Flowers
SB: 4 [RTR] Abrupt Decay
SB: 2 [ON] Chain of Vapor
SB: 1 [JU] Cabal Therapy
SB: 1 [NE] Massacre
SB: 1 [B] Tropical Island
SB: 1 [LG] Karakas


このデッキの大きな特徴の一つが、コンボの成立に関して実に多芸な事だ。
理想的な初手ならば1キルも可能だが、より正確に言えば、このデッキは手札を整えながら、妨害を投げ込み、そうして3-4ターン目にコンボを成立させる。

1《苦悶の触手》

この他に9つの呪文を唱えたまえ。
それからこれをキャストするんだ!
どの手順を踏んでもこのカードのプレイに行き着くが、「9つの呪文を唱える」という部分は様々だ。

4《渦巻く知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
4《定業/Preordain》
4《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》

これらはこのデッキでとても気に入っている部分だ。
ドローを補い、手札を整える事が、コンボデッキの本質と言える。
このデッキでのキャントリップは、Legacyに存在するコンボデッキの中で最も理に適っている。
そして、これらのドロー呪文は柔軟性をも与えている。
もしもコンボパーツの一つが妨害されてしまったのなら、キャントリップによってそれを探しに行くことも出来るし、あるいは別のルートを探す事も出来る。

2《島/Island》
1《沼/Swamp》

基本土地は《不毛の大地》の存在するフォーマットでは大切なものだ。
《不毛の大地》に為すすべなくやられる事ほどムカつく事はない。
《島》が二枚なのは、仕掛けに入る前のターンで欲しいのは青マナだからだ。
《沼》は主として早期にハンデスを使う時に必要となる。
《不毛の大地》をケアする必要があるのは準備段階だけだと知っておいて欲しい。だから、仕掛けるターンには特殊土地も機能する。

4《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《沸騰する小湖/Scalding Tarn》

キャントリップ呪文の操作だけではなく、《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》のスレッショルド達成にも一役買う。
キャントリップとフェッチランドの組み合わせは、このデッキにとってとても重要。
他のLegacyデッキでもキャントリップ技術は役に立つので、ここで簡単に紹介しておこう。

シャッフル手段が無い時に使うのは、《定業》>《思案》>《渦巻く知識》の順になる。
何故かと言うと、《渦巻く知識》で戻したカードをシャッフルしてしまうのが、最高に強力なライブラリー操作だからだ。
このLegacy環境を定義付ける程に。
《渦巻く知識》や《思案》+フェッチランドというのは、かなり強力である一方で見落とされがちな組み合わせでもある。
フェッチランドがあれば、フェッチを切る前に望む枚数を引けるという点を除けば、《思案》は一種の《衝動/Impulse》と見なせる。
《ギタクシア派の調査》があれば、フェッチを切る前に《思案》で見た二枚目を同一ターンにドローする事も出来る。

これらのキャントリップを上手く使う事は、あなたが望むような手札に整えていくことや、どのようにゲームを進めていくかという事に多少なりとも関わってくる。
もしも相手の手札を覗き見る事が出来たなら、それはより一層簡単なものになるだろう!

2《宝石鉱山/Gemstone Mine》
2《Underground Sea》
1《Volcanic Island》

二色以上出る土地だ。
二枚の《Underground Sea》と一枚の《Volcanic Island》以上を探してくる必要はなく、残りは《宝石鉱山》で良い。
《宝石鉱山》に乗っている三つのカウンターというのは十分な数で、赤マナや緑マナがコストの呪文が数枚あるため、《宝石鉱山》は《Underground Sea》よりも優秀だろう。
滅多にないけれど、《宝石鉱山》からカウンターが無くなって墓地に落ちても、それは《陰謀団の儀式》のスレッショルドに貢献する。

4《陰謀団の儀式》
4《暗黒の儀式》

このデッキにおける最重要カードだ。
《炎の中の過去/Past in Flame》ルートの場合は、基本的に(もちろんいつもではないけれど!)あなたはこれらの内から二枚が必要となる。
《陰謀団の儀式》はよく微妙だなんて言われるけれど、それは《暗黒の儀式》と比べるからだ。
このデッキは《暗黒の儀式》無しではとてもプレイ出来るものではないのだから、それと比べるのは現実的じゃない。
《暗黒の儀式》はマナ加速の大黒柱だろう。
《陰謀団の儀式》は次点だが、それでもなお素晴らしいカードで、コンボ中に黒マナを増やしてくれる。(大抵はそこに《炎の中の過去》をキャストするための赤マナも必要だ)

4《水蓮の花びら/Lotus Petal》

これはデッキ中で最も弱いマナ加速だが、爆発力を得るために重要なカードだ。
他のマナ加速は複数のマナを与えてくれるが、《水蓮の花びら》はどんな色のマナでも与えてくれるし、《むかつき/Ad Nauseams》でめくれた時に嬉しい。
このデッキでの《水蓮の花びら》の必要度は他のデッキのそれと比べても最少だろうが、それでも爆発力を与えてくれるカードではある。

4《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》

Legacy版《Black Lotus》。
このカードと一緒に使う基本的なカードは…

4《冥府の教示者/Inffernal Tutor》

この《Demonic Tutor》と一緒に使う。
理想的な状況で《冥府の教示者》と《ライオンの瞳のダイアモンド》を一緒に使えば、実質《Black Lotus》+《Demonic Tutor》を使っているのと一緒で、これらのカードには他に多くの用途がある。
後で紹介しよう!

1《苦悶の触手》
1《炎の中の過去》
1《むかつき》

中核となるカードだ。
これら三枚は、《冥府の教示者》と組み合わせることで、「始動」カードとなる。
どれもが《苦悶の触手》のために致死量のストーム数を稼ぎ出せるようになっている。
16枚のキャントリップが入っていれば、人を殺すには十分だ。

私は《金属モックス/Chrome Mox》といったカードを使う気がなく、このデッキは《むかつき》を最大限活かすデッキではない。
このデッキをプレイしていて、《むかつき》で10枚引いてターンを返すというのはよくある。
私は土地を置けるか、黒マナが浮いていない限りは、このカードをキャストしたくない。
ハンド0から始めた場合、最低でも《むかつき》は以下のカード全てがめくれる事を求めてくる。

・《水蓮の花びら》
・《水蓮の花びら》二枚目 or 《暗黒の儀式》
・追加の《儀式》あるいは二枚の《水蓮の花びら》
・《苦悶の触手》or 《冥府の教示者》+《ライオンの瞳のダイアモンド》 or 《炎の中の過去》+(大抵)《ライオンの瞳のダイアモンド》
そしてその他のカード。

ライブラリートップから15枚やそこらで4枚以上のコンボカードを見つけ出すのは容易ではないが、黒1マナを浮かせることで《水蓮の花びら》を探す必要がなくなる。
平均的に何枚引けるか分かったところで、いつが止め時かの判断基準にはならないけれど、大抵は《むかつき》で2桁のカードが手に入る。
しかし、《むかつき》は呪文を生み出す最良のドローエンジンでも無ければ、確実に相手を殺せる保障も無い。
その代わり、《炎の中の過去》はストーム発生装置としては望ましい。

《炎の中の過去》が世に出たことで、それまで墓地利用でストームを稼ぐカードの筆頭だった《不正利得/Ill-Gotten Gains》は取って代わられた。
《不正利得》は良いカードだが、《Force of Will》やそれに類するカウンター呪文にはイマイチで、ハンデスを防衛手段として採用する時、《不正利得》はストームデッキに本当に適していなかった。
デッキに「3色目」を足す事になるけれど、《炎の中の過去》は単純にそれだけの価値があり、コンボ成立を保障してくれる。
赤マナの出所で時々頭を悩ませるが、それもアーティファクトから捻出可能だ。

《炎の中の過去》は《むかつき》よりもいくつか異なる点を要求してくる。
墓地対策(《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》でさえ)はしばしば《炎の中の過去》ルートを取り去ってしまう。
たまに赤マナが問題になる。
少なくとも黒1マナを浮かせた状態で、マナアーティファクトでは無く、《儀式》を必要とする。
《暗黒の儀式》→《陰謀団の儀式》→《冥府の教示者》からの《炎の中の過去》という流れはこのデッキで非常に一般的なルートで、《苦悶の触手》を探してくる《冥府の教示者》をフラッシュバックするのに十分な黒マナが確保できる。

ストーム数を稼ぐ方法として、《冥府の教示者》の連鎖もあり得る。
10マナ残っていて、6枚のスペルを唱え終わった(決してこういう状況が無いわけじゃない)後、7番目の呪文が「暴勇」の《冥府の教示者》ならば、自分自身で十分なストームを稼ぎ出せる。《炎の中の過去》や《むかつき》が無くともだ。
単純にもう一枚の《冥府の教示者》を手に入れれば良い。
《教示者》→《教示者》→《教示者》→《苦悶の触手》。これで致命傷となる。

最後に、よく見落とされがちなルートは、単純に《苦悶の触手》を撃つルートだ。
このデッキを使っていて最も面白い場面の一つは、ドローステップに《苦悶の触手》を引き、それで相手を殺してしまえた時だ。
キャントリップや、相手の呪文、ライフを積極的に犠牲にする行為(例えば、《思考囲い》、《森の知恵/Sylvan Library》、フェッチランド等)によって《苦悶の触手》のキルラインは下がっていく。
基本的には上記の組み合わせが必要になるが、一旦《苦悶の触手》を引いたなら、このルートも視野に入れて欲しい。

4《強迫/Duress》
2《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
0《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
0《思考囲い》

《サリア》の様なパーマネントでの妨害手段よりもスタックに乗る妨害手段(《対抗呪文/Counterspell》など)の方が一般的なので、ハンデス呪文はこのデッキにとって最高の防衛手段となる。
加えて、パーマネントでの妨害手段はしばしばサイドボードに見られ、それは《神聖の力線》の人気でうかがい知れる。
落とす価値のあるクリーチャーが非常に少ないので、《強迫》は最高の手段だ。
次点として、《陰謀団式療法》(フラッシュバックはしないが)、《思考囲い》、《コジレックの審問》などがある。

《ギタクシア派の調査》との組み合わせや事前に《強迫》を使う事で、いとも容易く《陰謀団式療法》は最高のハンデスとなる。
二種八枚体制にする時、《陰謀団式療法》は外せない。
《コジレックの審問》は《Force of Will》を抜く事が出来ず、《思考囲い》は《むかつき》と相性が悪く、特に《ギタクシア派の調査》が既にライフに関して競合している。
《むかつき》の部分でも言ったように、《むかつき》の扱いが簡単なデッキでは無い。
ライフを失わせないハンデス呪文がより強力な《むかつき》を可能にする。
最後に、このデッキでは六枚という妨害枚数が正しい数字だろう。
余りにハンデスを入れ過ぎると、マナ加速や「始動」カードを引くことがとても難しくなる。

0《燃え立つ願い/Burning Wish》
0《Grim Tutor》

これはおそらくこのデッキで最も議論を呼ぶ箇所で、
なぜ四枚の《冥府の教示者》以外の《教示者》を入れないのか。
その理由は二つある。

1)《燃え立つ願い》と《Grim Tutor》は厳密に言えば《冥府の教示者》に劣り、それほどこの二枚が役に立つ事も少ない。
だいたいが毎ターン土地を置く枚数よりも引いてくる土地の枚数の方が少ないのだから、《冥府の教示者》を「暴勇」でキャストするのは笑えるほど簡単だ。
15枚の土地というのは、それほど大きな悩みのタネにはならない。
《燃え立つ願い》は、出来る事と出来ない事を比べた場合に、このデッキにおいては酷いカードだと言える。

まず、《燃え立つ願い》はストームエンジンにアクセス出来ない!
これは大きな問題だ。
もしもこれでサイドボードの《炎の中の過去》を対象に取ってきたとしても、後で《苦悶の触手》を取ってくるためのチューターが墓地に落ちていない。
この場合、二枚目のチューターか、十分な青マナでもって二枚目のチューターを探してくる事が求められる。
毎回一枚引くために《燃え立つ願い》を十分な数入れるとして、それが二枚必要となれば、それはもうダメダメだ!

そして《燃え立つ願い》はフィニッシャーとなるソーサリーを持ってくるが、《時のらせん/Time Spiral》、《先細りの収益/Diminishing Returns》、《巣穴からの総出/Empty the Warrens》などには全て欠点がある。
《むかつき》はインスタントなので問題外だ。
そして、《燃え立つ願い》はコンボの過程に赤マナを必要とする(《炎の中の過去》よりも先にだ)。
《目くらまし/Daze》や《呪文貫き/Spell Pierce》などの厄介なカウンターがある時は、それがネックになる。

《Grim Tutor》は確かに《燃え立つ願い》よりか幾らかはマシだけれど、それでも悪いカードだ。
まず、3マナというのは2マナと比べて非常に重たい。
《炎の中の過去》でのループ中に、追加の2マナと余分の6ライフを捻り出すのは厄介だろう。
黒1マナから《暗黒の儀式》→《陰謀団の儀式》と生み出したマナを《Grim Tutor》は使い尽くしてしまう。これは大変なことだ。
《Grim Tutor》と《炎の中の過去》の相性は悪いが、《むかつき》との相性もよろしくない。
余分なマナコストのせいで、めくれた時に余分なライフを支払わなければならず、キャスト時の3ライフロスは《むかつき》でドロー出来る枚数を制限してしまう。
《むかつき》を使った時、他のチューターであれば許容出来る残りライフよりも遥かに早くめくるのを止めなければならなくなる。

2)もし複数のチューターを引いた場合、《冥府の教示者》で「暴勇」するのが困難になる。
確かに、《渦巻く知識》という魔法のカードでその問題は解消出来るだろうが、そんな事よりももっと大事な役割が《渦巻く知識》にはある。
「非暴勇」状態の《冥府の教示者》はそれでも、《暗黒の儀式》や《陰謀団の儀式》でマナの都合を付けてその状態を脱する事が出来る。
《燃え立つ願い》と《Grim Tutor》は複数あった場合に処理が難しい。
他のストームデッキでは《金属モックス/Chrome Mox》によってこの問題が多少は軽くなるが、そういったデッキはこういった滅多に無い状況(しかも容易に避けられる)をケアする一方で、安定性と柔軟性を犠牲にしている。
要するに、二種目のチューターは《冥府の教示者》の足を引っ張るという事だ。

もし同型再録があれば、このデッキはおそらく6枚か7枚の《冥府の教示者》を欲しくなるだろう。
しかし、代替品は《冥府の教示者》よりも悪い。
二枚目の《むかつき》がこのデッキにとって次善の一枚だとしても、そこにはリスクが伴うのだ。


○Sideboarding

原則として、サイドボーディングは少しだけ行うに留める。
なぜならメインボードはストームで殺すために最適化されているからだ。
それらを取り去ってしまうと、ストームでの勝利が困難になる。
これは非常に重要な点だ。

2 [DIS] Ignorant Bliss
3 [US] Carpet of Flowers
4 [RTR] Abrupt Decay
2 [ON] Chain of Vapor
1 [JU] Cabal Therapy
1 [NE] Massacre
1 [B] Tropical Island
1 [LG] Karakas

Legacyというフォーマットには使用に耐え得るデッキがそれこそ無数にあり、特定のマッチアップにのみサイドカードを割くのは無謀と言える。
幸いにも、ストームというデッキは基本の勝ち筋がブレないので、サイドボードを非常に小さな焦点に絞れる。
相手の戦略に対して、土地・マナ加速・妨害を上手く組み合わせていく。
そうでない場合は、対策の対策カードを入れるために中核となる部分を多少減らす必要がある。
以下が一般的なサイドボーディングのやり方だ。

・コンボのミラーマッチ専用
(例 「Storm」や《ゴブリンの放火砲》、《実物提示教育/Show and Tell》)

-1《島/Island》

+1《陰謀団式療法》

速度が重要なら、15枚目の土地を抜くことが出来る。
この戦いにはマナがタイトな事を咎める《不毛の大地》はいないのだから。
反対に、追加のハンデス呪文は非常に役に立つ。

重要なのは:速度だ。相手がゆっくりなのに付け込んで大量のキャントリップで手札を整える。ハンデスが時間を稼いでくれる。


・マナ否定系の青デッキ
(例 「RUG Delver」)

-2《陰謀団の儀式》
-2《定業》

+3《花の絨毯/Carpet of Flowers》
+1《Tropical Island》

《定業》はキャントリップの中で最も弱く、真っ先に抜ける。
とは言え、二枚よりも少なくすると動き辛くなるのでオススメしない。
《紅蓮破/Pyroblast》がキャントリップの少ない初手を咎めてくるし、それによってドローステップにただカードを引くだけになってしまう。

重要なのは:マナを伸ばす事。《呪文貫き》や《目くらまし》に引っかからなくなるまで。


・《Force of Will》+ハンデスデッキ
(例 「BUG」各種、「Stoneblade」)

変更は無し。
全て必要で、メインデッキが既に最良だ。
もしも《不毛の大地》が見えないなら、《沼/Swamp》を抜いて《無知の喜び/Ignorant Bliss》を入れる。
もしも相手が《Hymn to Tourach》を入れているのなら、《無知の喜び》のために《ギタクシア派の調査》は抜ける。

重要なのは:キャントリップカード、特に《渦巻く知識》だ。
手札が攻撃されていて、手札の呪文が脅かされているなら、手札を整えるというのが非常に重要になってくる。
その機会を逃さないように。
早期の《強迫》で相手のハンデス呪文の一枚を抜いたら、二枚目は相手の《Force of Will》のために取っておく。


・《Force of Will》無しのハンデスデッキ
(例 「Jund」、「Manaless Dredge」)

-2《陰謀団式療法》

+2《無知の喜び》

上と同じ理由だが、ハンデス呪文の重要度が劣る。
相手のサイドカードとしては、《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》が一般的だろう。


・対策クリーチャー入りデッキ
(例 「Elves」、「Burn」、「Maverick」、「Death and Taxes」)

-5 ハンデス呪文
-x《ギタクシア派の調査》

+1《Karakas》
+1《虐殺/Massacre》
+2《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
+x《突然の衰微/Abrupt Decay》
+1《Tropical Island》

流動的だ。
《不毛の大地》をケアするために土地を16枚にするが、17枚では多すぎる。
《精神壊しの罠》対策として少なくとも一枚はハンデスを残しておきたいが、基本的には要らない。
《突然の衰微》は2マナが重い事と、緑マナが《不毛の大地》を呼び込む事から、対策クリーチャーへの対策としてはイマイチだが、時には対処方法が複数必要になるマッチもある。

「Elves」は他のデッキと比べて速度は速いが、干渉手段は少ない。
なので妨害手段をサイドインしてくるだろう。
「Burn」の対策カードはだいたいが《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》になる。

重要なのは:先手では2キルすること。
これらのデッキに対しては常に有効な戦略だ。
それに失敗しても、マナ基盤を固めながら手札を整えれば、複数の対策パーマネントを押しのける事が出来る。


最後に、サイドボードスペースに入れる価値が無いカードたち。

・《巣穴からの総出》

何もしない。
《苦悶の触手》が相手のライフを0にしてくれる。
Legacyのデッキは《巣穴からの総出》から出た12体のゴブリンを安々と処理できてしまう。それが1ターン目ないし2ターン目だとしてもだ。
例えば、《拘留の宝球/Detention Sphere》、《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》、《仕組まれた疫病/Engineered Plague》など多くのカードによって処理される。


・《闇の腹心/Dark Confidant》や《ザンディッドの大群/Xantid Swarm》といったクリーチャー

単純に言って、このデッキに対してサイド後に役割のあるカードだけで60枚を構成出来るLegacyデッキはそう多くない。
多くのカードが使用に耐えるほどLegacy環境が多種多様なのは、このデッキにとっては利点と言える。
このデッキはメジャーな干渉手段は避けられる。
よって、対戦相手は《闇の腹心》や《ザンディッドの大群》などのカードに当たることを期待していくらかの除去手段をデッキに残したままにするだろう。
そういった無価値なカードに、わざわざ価値を与えてやる必要は無い。


・墓地対策

繰り返しになるが、ストームのサイドボーディングは最少ながらも重要な部分だ。
このデッキでいかにサイドボーディングするかよりも、基本となるゲームプランをしっかりと身に着ける方が重要だ。
相手のデッキの「メインデッキ専用」カードが対策カードに変わっただけで、第1ゲームと第2ゲームで相手のデッキはほとんど変わっていないと考えても良い。
それでも多くのマッチは似通ったものになる。


○Tips and Tricks

《渦巻く知識》はこのデッキでは非常に強力で、ハンデスから手札を守るという効果はこのカードの最も重要な効果の一つだ。
《思案》と《定業》も似たようなことが出来るが、守るべきはあなたのライブラリートップではなく、あなたの手札だ。

《冥府の教示者》+《ライオンの瞳のダイアモンド》は基本的に《Black Lotus》+《Demonic Tutor》であって、このデッキの中核を担うコンボと言える。
実際、《むかつき》をスタックに乗せた時に《ダイアモンド》を取っておくのはしばしば正しい行動で、それは後々の《冥府の教示者》の「暴勇」を補助する。

《炎の中の過去》+《ライオンの瞳のダイアモンド》もまた並外れたコンボだ。
よくあるプレイとして、《炎の中の過去》が、《ダイアモンド》で捨てたカードに「フラッシュバック」を付ける。
もしそこに《冥府の教示者》が含まれていれば、《暗黒の儀式》や《陰謀団の儀式》といった必要な物をチューターしてくる。
《炎の中の過去》ルートで行く時に通常は、墓地から青い呪文を三回唱えるために《ダイアモンド》から青3マナを作る。

あなたが《むかつき》または《炎の中の過去》後に大量のキャントリップを唱える必要がある時、適切な順序は、《ギタクシア派の調査》(ライフで)→《思案》→《定業》→《ギタクシア派の調査》(マナで)→《渦巻く知識》となる。(最後のキャントリップ呪文が《渦巻く知識》ならば)
これは同じカードを使わずに最も深くライブラリーを掘れる順序だ。

実戦で《苦悶の触手》の素撃ちをしなければいけない時、《渦巻く知識》で《触手》をトップに積み、二枚目のキャントリップに対応して《ライオンの瞳のダイアモンド》を割る。
これは、複数のキャントリップで《苦悶の触手》の素撃ちをする時に、《ライオンの瞳のダイアモンド》を有効に使う手順。(《ダイアモンド》自体が0マナという事を除いて)

《蒸気の連鎖》はストーム稼ぎのために《水蓮の花びら》と《ライオンの瞳のダイアモンド》をコピーで戻す事が出来る。
《苦悶の触手》を素撃ちする時にのみ必要なテクニックだが、案外そういう場面というのはやってくるものだ。

《冥府の教示者》に対応して《無知の喜び》を使っても「暴勇」を達成できる。
繰り返しになるが、このデッキは単にプレイングで「暴勇」を達成することが出来るように組まれているので、こういったケースは稀。

《花の絨毯》はマナ加速の様に働く。
第2メインにマナを生み出そう。

《苦悶の触手》を引いた時、他に「始動」カードが無ければストームを10稼ぐのは難しいが、可能ではある。
手札を最大の七枚として、相手の補助なしで致死量のストームを稼ぐために別の呪文を三つ探し当てる必要がある。
《冥府の教示者》は呪文二つ分として数えられるが、《冥府の教示者》があれば、他のルートへの道も拓かれる。
この方法はキャントリップで他の呪文を探し当てるという負荷がかかるものの、理に適ったルートでもある。


「Storm」は素晴らしいデッキだ。
より経験を積めば、更なる道が拓ける。
これはMagicをやる上で素晴らしく偉大な事で、あなたが知識を深める程にそれは報われるだろう。
まるで自分自身がレベルアップするように。
願わくば、この指南があなたにとっての一歩になる事を。

読んでくれてありがとう。

Adam Prosak
記事



Eye of the Storm:Legacy Ad Nauseam Tendrils Deck Guide

by Cyrus Corman-Gill

2019/10/04


つい先日のGP AtlantaをStormを使って制した。
私にとって、GPでの勝利とPro Tourへの参加は子供の頃からの夢だったんだ。
大好きなフォーマットで大好きなデッキを使って、夢を叶えた。
きっとこの経験は忘れがたいものになるだろう。

全てのゲームを克明に思い出すのは難しい。
他の大会の優勝者と同じように、いくつか良いプレイをして、いくつかミスを犯して、そして幸運に助けられた。
ほとんどのゲームはStormデッキで「仕事」を行ったに過ぎない。
キャントリップを唱え、ハンデスによって打ち消しを引き出し、だいたい4ターン目に《炎の中の過去/Past in Flames》を探してきて勝利する。
これがStormの流れであり、本当に素晴らしい「仕事」でもある。

GPでの私の当たり順は以下の通りだ。

Day1

・2-0 Bye
・2-0 Bye
・2-0 Sneak and Show
・2-1 Humans
・2-1 Moon Stompy
・2-0 RIP Helm Bant
・2-0 Golgari Depths
・2-1 4c Snow Control
・2-0 Temur Delver

Day2

・2-0 Temur Delver
・2-0 Temur Delver
・0-2 Burn
・2-1 Golgari Depths
・2-0 Jeskai Mentor
・0-0-3 ID

Top8

・2-1 Hogaak
・2-0 Burn
・2-1 Temur Delver


Stormをプレイするのと、“マジック”をプレイするのとでは大きな違いがある。
他のデッキとは戦いの軸が異なるため、他のデッキで気にすべき事柄が、Stormを使っている時は気にならない。
このため、Stormは高い習熟度を必要とする。
このデッキが最も厄介なデッキだと言うつもりはないが、相手に何もさせずに勝ててしまうStormは、極論“マジック”をしていないと言っても過言ではない。
しかし、このデッキを大規模トーナメントで乗りこなせるまでには多大な時間を要した。
そして勝ち始めるまでには、更に長い年月がかかった。
本稿では、デッキリストとキーカードへの理解を深め、デッキを使う際のテクニックを共有し、使用者の多いLegacyデッキへの寸評を交えたサイドボードガイドとともに、Stormデッキに親しんでもらえたらと思っている。

Ad Nauseam Tendrils Storm

Land
4 x Polluted Delta
4 x Misty Rainforest
2 x Underground Sea
1 x Volcanic Island
1 x Tropical Island
1 x Bayou
1 x Snow-Covered Swamp
1 x Snow-Covered Island

Spells
4 x Brainstorm
4 x Dark Ritual
4 x Thoughtseize
4 x Duress
4 x Ponder
4 x Preordain
4 x Cabal Ritual
4 x Infernal Tutor
1 x Dark Petition
2 x Past in Flames
1 x Tendrils of Agony
1 x Ad Nauseam
4 x Lion’s Eye Diamond
4 x Lotus Petal

Sideboard
2 x Abrupt Decay
2 x Veil of Summer
1 x Xantid Swarm
2 x Flusterstorm
2 x Chain of Vapor
2 x Echoing Truth
2 x Hurkyl’s Recall
1 x Massacre
1 x Empty the Warrens


○キーカード

Stormデッキで最も重要なのは決め手となる呪文だ。
私は《冥府の教示者/Infernal Tutor》4、《闇の誓願/Dark Petition》1、《むかつき/Ad Nauseam》1、《炎の中の過去》2、そして《苦悶の触手/Tendrils of Agony》1の計9枚を採用している。
これらは重要かつ異なる性質を持つカードで、個別に見ていく必要がある。


『《冥府の教示者/Infernal Tutor》』

《冥府の教示者》は最も引き込みたいカードだ。
キャントリップでシャッフルしてしまうのは勿体ない。
また、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》とのシナジーが素晴らしい。
《冥府の教示者》を唱える前に、優先権を宣言し、《冥府の教示者》を唱えつつ《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動。
すると、「暴勇」効果を得つつ、探してきたカードを唱えるための3マナが供給されるという寸法だ。
《ダイアモンド》無しに「暴勇」させようとするのはまるでパズルのようであり、数ターン前から準備をしておく必要がある。
余分な《冥府の教示者》は手札の中で増やしたいカードに変換してしまう。
最も一般的なのはハンデスとマナ加速を増やすやり方だが、サイド後にこの動きをする際は《外科的摘出/Surgical Extraction》をケアすべきだろう。

《闇の誓願》は5枚目の《教示者》としての役割を持つ。
このカードの良い点は、「暴勇」させる手間がいらないことだ。
覚えておいて欲しいのは、コンボ中に余剰な《教示者》で1マナ増やしたい場合には、《ライオンの瞳のダイアモンド》か「スレッショルド」済みの《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》を探してくる必要がある。
「魔巧」の達成は容易だが、弱点にもなる。
特に《虚空の力線/Leyline of the Void》、《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》、《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》、そしてインスタントスピードで出てきた時の《ボジューカの沼/Bojuka Bog》などを相手にする時は「魔巧」の達成が難しい。


『《むかつき/Ad Nauseam》』

このカードを好まないプレイヤーの多くは、『むかつき死』の経験者だろう。
私自身はライフ15点以上からこのカードを解決して負けたゲームはほとんど無い。
《むかつき》を除いた平均マナコストは、およそ0.95となる。(むかつきはスタック上にあるため)
私はいつもだいたい10枚前後を《むかつき》によってめくるようにし、ライフも5点以上に留めるようにしている。
10枚のカードで必ずしもゲームに勝てるわけではないが、もしマナが浮いていれば勝てる場合もあるし、そうでなくても補充した手札で次のターンには勝てるだろう。
テクニックとして、《むかつき》はインスタントなので、相手のターンに唱えるとかなりの量を抱えて自分のターンを迎える事ができる。
コンボ中に《むかつき》の弱点となるのは、黒マナが多く必要な事と、「暴勇」したい時に困る事だ。
もしもマナが浮いていたり、土地がまだ置けるのならば、《ライオンの瞳のダイアモンド》は割らずに取っておいた方が良い。
《むかつき》は墓地対策への切り札であり、コンボデッキ相手に速度で勝る手段でもある。


『《炎の中の過去/Past in Flames》』

このカードはデッキの主エンジンと言える。
引いた時の強さがすさまじいのでこのカードを2枚採用しているが、更に増やすのはやりすぎだろう。
《炎の中の過去》を引いた時点で一旦手を止めて、ゲームに勝てるかどうかをチェックする。
私の場合は、キャントリップが3枚以上あれば何かしらゲームに勝つためのカードが見つかるだろうと考えている。
Stormを使っている人々が犯しがちなミスはほぼ全て《炎の中の過去》に関係していると言って良い。

《炎の中の過去》を引いた際の使い方には以下の様なパターンがある。

・もしも十分なマナと、墓地にハンデスがある場合は《炎の中の過去》がハンデスとして機能する。
対戦相手は《炎の中の過去》の表裏を打ち消さざるを得ないからだ。

・アーティファクトマナを場に並べ、《炎の中の過去》を引けた時点で、相手の《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》などのハンデススペルを帳消しにしてしまえる。

・《炎の中の過去》で墓地のキャントリップを使って手札を補充し、次のターンに《炎の中の過去》をフラッシュバックしてコンボをスタートさせる。

・《教示者》で探したいカードが既に手札にある場合は、手札の《教示者》を追加のマナやハンデスカードのために使えるようになる。
一般的な動きは、《冥府の教示者》を唱えつつ《ライオンの瞳のダイアモンド》からマナを出して「暴勇」を達成しつつ《炎の中の過去》を墓地に落とす。
《冥府の教示者》で探してきた《陰謀団の儀式》も合わせて《炎の中の過去》をフラッシュバックしゲームに勝利する。


『《苦悶の触手/Tendrils of Agony》』

ゲームに勝つ唯一にして最高の道具だ。
手札に十分なカードがある場合は、《苦悶の触手》それ自体がエンジンとなる事もある。
打消し呪文への耐性が非常に高いものの、1ターン中にキャントリップや《冥府の教示者》を複数回唱える必要があり、かつ相手のライフが低くないと決めきれない。
もし私が《苦悶の触手》を引いた場合、手札が8枚になるまでキャントリップを貯め込み、ゲームの勝利を試みるだろう。
忘れてはいけないのは、「ストーム」は誘発型効果なので《もみ消し/Stifle》出来る事を対戦相手に教えてあげて欲しい。


○デッキの使い方とテクニック

Stormの平均キルターンは3.5だ。
このデッキの長所は、1ターン目に勝ってしまう可能性がある一方で、対戦相手をハンデスで妨害しながらリソースを積み上げていき、出来る限りゲームを長引かせても強いという点だ。
このデッキには4つの勝ち筋がある。

1.《炎の中の過去》
2.《むかつき》
3.《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4. 呪文を繋げての《苦悶の触手》

・早い内からハンデスを用いて、相手のプランと、こちらに関係するカードが何かを知る必要がある。
そして、キャントリップを駆使して最もガードが薄そうな勝ち筋を選んでいく。

・コンボ中はマナの増加量に注目すると計算が楽になる。
つまり、『《暗黒の儀式/Dark Ritual》は1マナで唱えると3マナを生むから~』というのは余計な思考ということ。単に『2マナ増える』と考えれば良い。

・マリガンにこだわりすぎない。
私は青い土地とキャントリップ(あるいは決定打となるカード)があればほぼどんな手札でもキープする。
7枚で始めるのがストームカウント10の達成を最も容易にするからだ。
何にせよ、マリガンによって手札が1枚減ってしまうのはデメリットと言える。

・もし特定のカードを探しているのなら、まずは《定業/Preordain》、次いで《思案/Ponder》、その後で《渦まく知識/Brainstorm》と使うのが良い。

・土地が2枚しか場に無い時、《定業》の前にフェッチランドを使うのはほとんどの場合で正しい選択で、1枚を引いて、もう1枚をライブラリートップに温存しておくプレイが可能になる。

・反対に、決して《渦まく知識》と《思案》の前にフェッチランドを使ってはいけない。

・出来るだけ《渦まく知識》は温存した方が良く、使う場合は必ずシャッフル手段を用意したい。
Stormデッキにはその時々で余分なカードがあり、それは過剰なマナソースだったり、決定打だったり、土地だったり、ハンデスだったり。そういったものをデッキに戻してしまえる《渦まく知識》は重要だ。
「《渦まく知識》ロック」(戻した2枚を再び引かなければいけない状況)に陥ったゲームはほぼ負け確ではあるが、もしも1ターンキルが出来そうならば恐れずにオールインした方が良い。

・デッキトップが分かっていて自分に優先権がある場合には、キャントリップを唱えてから《ライオンの瞳のダイアモンド》を使用する事で、そのデッキトップの呪文を唱える事ができる。

・マナソースは積極的にシャッフルしてしまって良い。
デッキ中の31/60枚がマナソースであり、いずれにせよ引くからだ。
余分なマナソースは無駄でしかない。

・あまりに多くの土地を引くと「暴勇」しなくなるため、キャントリップを使う際には土地が手札に残らないように気を付けなければいけない。

・コンボターンに向けてハンデスを温存する。
どうでも良い物を《思考囲い/Thoughtseize》した後で、《意志の力/Force of Will》を引かれたらたまったものじゃない。

・《冥府の教示者》の「暴勇」が必要な時に、《強迫/Duress》は自分自身を対象に取れないが、《思考囲い》なら対象に取れる。

・そのカードが重要なカードだと対戦相手に誤認させる事が出来れば、デッキ中の全てのカードがハンデススペルと同様の役割を持つ。
私が対戦相手から打ち消し呪文を釣り出すためによくやるのは、土地を置く前にキャントリップを唱えたり、コンボを開始するつもりがないのに《暗黒の儀式》を使ったりといった手法だ。
大抵こちらだけが一方的に相手の手札内容を知っているので、その情報格差を利用して相手のミスを誘う。

・いつコンボを開始すべきか判断する時、青いフェアデッキと対戦中なら「どうだろうか?」と自問自答すると良い方向に進みがちだが、青くないデッキの場合はゲームが長引くほど悪くなっていく。

・冠雪の基本土地を使用する。
これは冗談だが、実際に私はこれによってマッチに勝利した。
Humansを使う対戦相手が、こちらを4c Snow Controlと勘違いして《翻弄する魔道士/Meddling Mage》で間違ったカードを指定したんだ。

・ハンデスを多用する相手に対して、手札の中で最も価値の高いカードがアーティファクトマナなら(大抵《ライオンの瞳のダイアモンド》だが)、場に出してしまうと相手は対処できなくなる。

・《狼狽の嵐/Flusterstorm》は《冥府の教示者》の「暴勇」を妨げるカードではなく、コンボ開始ターンに余分に青マナを1つ要求するカードだ。
「暴勇」を達成したいなら、自分のスペルを対象に《狼狽の嵐》を唱え、その後で全てのコピーの対象をオリジナルの《狼狽の嵐》にする。
支払わないことを選択すればオリジナルが打ち消されるので、その後で自分のスペルを解決する。

・自分のアーティファクトにバウンススペルを使う事でもストームカウントを稼げる。

・もしも1ターンキルが狙えそうなら狙っていく。


○デッキ相性とサイドボーディング

Stormデッキのサイドボーディングに関して、重要なのはデッキの根幹をいじり過ぎない事だ。
一般的には、ハンデス呪文を除去呪文と交換し、相手のデッキに合わせて勝ち筋を選定し、もしも長期戦が予想されるならばマナソースを減らす。

レガシー環境は広大なため全てのデッキを網羅できないが、今回は大会で対面する機会が多そうなデッキについて説明しよう。

Temur Delver

Out
・《むかつき》1
・《炎の中の過去》1
・《闇の誓願》1

In
・《突然の衰微/Abrupt Decay》2
・《巣穴からの総出》1

これはStormデッキが最も得意とするマッチアップの内の一つだ。
そして今現在Stormデッキを使う最大の理由の一つでもある。
このマッチアップでは、相手のカードの大半を無駄牌に変えてしまって勝利する。
《目くらまし/Daze》や《呪文貫き/Spell Pierce》に引っかからないように動き、フェッチランドで基本土地を持ってくることで《不毛の大地/Wasteland》を回避。ハンデス呪文で相手の手札から確定カウンターを剥ぎ取る。

こういった理由から、ソフトカウンターや墓地対策、それにクリーチャーの群れに弱い(かつ重い)カードがサイドアウト対象となる。
Temur Delverは8体以上のゴブリンを処理するのが苦手なため、ソフトカウンターをくぐり抜けつつ早期に仕掛けられる《巣穴からの総出》をサイドインしている。
《突然の衰微》は《無のロッド/Null Rod》、《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》、そして《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》などへの解答となる。

このマッチアップにおけるキーポイントは、忍耐力と土地を置く事だ。
もしも序盤に闇雲にコンボを開始したのなら、おそらくは負けてしまうだろう。
コンボを開始せざるを得ないところまでゲームを引き延ばせば、大方勝てる。


UWx Control

Out
・《炎の中の過去》1
・《闇の誓願》1
・《陰謀団の儀式》1
・《水蓮の花びら》1

In
・《突然の衰微》2
・《夏の帳/Veil of Summer》2

とどのつまり、このマッチアップで問題となるのは相手が《相殺/Counterbalance》を取っているかどうかによる。
もし《相殺》を取っているのなら、厳しい。
そうでなければ、相性は良い。
《安らかなる眠り/Rest in Peace》があるので《炎の中の過去》と《闇の誓願》はサイドアウトする。
更に、ゲームの長期化が予想されるため数枚のマナソースを削る。
代わりにサイドインする緑絡みのカードは、ロック手段への解答と追加の妨害手段だ。


Golgari Depths

Out
《強迫》4
《炎の中の過去》1
《闇の誓願》1

In
《夏の帳》2
《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》2
《残響する真実/Echoing Truth》2

これも最高のマッチアップだ。
コンボスピードはこちらの方が早く、場に出たアーティファクトに対して相手のハンデスは役に立たず、《マリット・レイジ》に「待った」をかけるカードが4枚あるのも嬉しい。

《強迫》は土地とクリーチャーを抜けないため、効果が薄い。
《闇の誓願》と《炎の中の過去》は《輪作/Crop Rotation》で《ボジューカの沼》を持ってこられる動きに対して弱い。


4c Snow Control

Out
・《炎の中の過去》1
・《闇の誓願》1
・《陰謀団の儀式》1
・《水蓮の花びら》1
・《定業》1

In
・《突然の衰微》2
・《夏の帳》2
・《巣穴からの総出》1

このマッチアップは激しい戦いになる。相手からの多角的な妨害に耐えながら勝ち筋を探さねばならない。
ハンデスや《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》によって計画を台無しにされないように。


Sneak and Show

Out
・《沼/Swamp》1
・《定業》2
・《炎の中の過去》1

In
・《ザンティッドの大群/Xantid Swarm》
・《狼狽の嵐》2
・《蒸気の連鎖》1

相性は五分だが、Storm側が少しだけ有利だろう。
あなたは相手のベストハンドに対抗できず、相手もこちらのベストハンドには対抗できない。
しかし、能動的に相手のコンボパーツや妨害手段に干渉できるという理由から、コンボ対決においてはハンデスの方がカウンター呪文に勝っている。

Stormデッキのマナベースは《不毛の大地》の存在を考えて構築されている。
従って、コンボデッキに対しては《沼》をサイドアウトする事がよくある。
長々とゲームを続ける気もないので《定業》はサイドアウトし、《墓掘りの檻》を考えて《炎の中の過去》も抜く。
《狼狽の嵐》は《実物提示教育/Show and Tell》に対して強烈に効き、《蒸気の連鎖》は《神聖の力線/Leyline of Sanctity》や《墓掘りの檻》に対する解答となる。


Mirror

Out
・《沼》1
・《定業》2
・《陰謀団の儀式》1

In
・《狼狽の嵐》2
・《夏の帳》2

同型戦は《夏の帳》の登場によって大きく変わった。
《夏の帳》一枚にボコられないように立ち回るに越したことはないが、私の場合は相手が《夏の帳》を引いていない事に賭けてスタートする。
引かれて、解決されてしまえば、どっちみちそのゲームに勝てる見込みはかなり低い。
マナアーティファクトを場に出し、ハンデスで相手に持たれたくない物を落とし、そして相手よりも良いドローを祈るんだ。


Death and Taxes

Out
・《強迫》4
・《定業》2
・《炎の中の過去》1
・《闇の誓願》1

In
・《突然の衰微》2
・《蒸気の連鎖》2
・《残響する真実》2
・《虐殺/Massacre》1
・《巣穴からの総出》1

相性は良い。
D&Tの持つクロックは非常に遅く、1体程度のヘイトベアーではStormデッキは止まらない。
《定業》を減らす理由は、このカードが一番削りやすいカードだからだ。
また、ここでも《安らかなる眠り》があるので《炎の中の過去》と《闇の誓願》はサイドアウトする。
《巣穴からの総出》はヘイトベアーが戦場に居る状況下では優秀な勝ち筋で、その際には《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystics》からの《殴打頭蓋/Batterskull》を念頭に置く必要がある。
ヘイトベアー対策として大量の除去をサイドインする。

そして最も重要なのはしっかりと土地を置く事。
冗談に聞こえるかも知れないが、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》で2倍マナがかかる状況でも、土地さえ並べていればコンボは開始できる。


Chalice of the Void Decks

Out
・《強迫》4
・《定業》2
・《炎の中の過去》1
・《闇の誓願》1

In
・《突然の衰微》2
・《蒸気の連鎖》1
・《残響する真実》2
・《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》2
・《巣穴からの総出》1

ここまで読んだ皆さんの中には、Stormデッキは《相殺》以外には苦手なマッチアップが無いんじゃないかと疑っている人が居るかも知れない。
ああ、これがその苦手なデッキさ。
《虚空の杯/Chalice of the Void》デッキは非常に困難な相性だ。
Death and Taxes戦と同じようにサイドアウトする。
《虚空の杯》に対する解答を多く投入するものの、キャントリップが止められてしまうため、デッキを掘り進むのが難しくなる。
幸運を味方につけて《巣穴からの総出》を唱えるなど、出来る限り早期に決着をつけてしまいたい。
Stormデッキは1ターンキルも可能なので、理論上は無理ゲーの無いデッキではあるが、《虚空の杯》デッキは限りなく無理ゲーに近い相手と言える。


私がGPを獲った実感はまだない。
Stormはレガシーで最も強力なデッキであり、やる程にやりがいの感じられるデッキでもある。
最近の環境はミッドレンジの兵器を振り回す様相を呈しており、フェアなデッキ同士がお互いを出し抜こうとしている。
GP本戦中、多くの対戦相手が《レンと六番/Wrenn and Sx》や《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》ならまだしも、《呪詛飲み/Hexdrinker》でさえもタップアウトで出してきた。
私はCore Set2020が出てからずっと同じ75枚を使い続けていて、このリストのままEternal WeekendとGP Bolognaにも参加するつもりでいる。
フェアな脅威を出すためにタップアウトするプレイヤーだらけの環境なら、《暗黒の儀式》は最高の1枚であり続けるだろう。

ここまで読んでくれた皆さんありがとう。
優先権を忘れずに、数多の屍を築こうじゃないか!

記事



PV’s Playhouse - How to Disrupt Combo in Legacy

2014/11/12

Paulo Vitor Damo da Rosa

Hello!

現在の競技シーンで、Legacyは最も強力な事が出来るフォーマットだ。
最も強力なカードがあって、最高のドロー手段はもちろん、高速マナ捻出や、最速のコンボなどがある。

これにより、Legacyで全く妨害要素の無いデッキが成功を収めるのは非常に稀だ。
もしも対戦相手に好きなようにさせていたら……多分、彼らはあなたを速やかに圧倒するだろうね。
【Elves】のような少数派は強力な戦術を持つ事によって、対戦相手に妨害を強制する。
非コンボプレイヤーは、コンボを止めるために多大なスロットを費やさなければいけない。

しかし、理解して欲しいのは、単に妨害するだけでは不十分ということだ。
つまり、妨害というのは効果的に使う必要がある。
人々は一般的に、『ハンデスで妨害する』だったり『キークリーチャーを除去し続ける』、『コンボのキーパーツをカウンターする』と考えているけれど、それ以上の考えは無い場合が多い。
ハンデスで何を抜く必要があるか?
キークリーチャーはどれか?
コンボのキーパーツはどれか?
《暗黒の儀式/Dark Ritual》よりも《むかつき/Ad Nauseam》をカウンターしようと《Force of Will》を温存し、結果的にそのせいで敗北した試合はたくさんあるだろう。

これが今日話したいことだ。
Legacyでの妨害について。
より詳しく言うなら、このフォーマットで最も人気なコンボデッキに対して、何を使い、いつ、どうやってそれを使うのか、という事だ。


○Sneak and Show

【Sneak and Show】は「青いコンボ」デッキとして最も人気があると考えている。
コンボデッキでありながらカウンター呪文も入っている。
参考として以下にリストを(このリストは必ずしも僕がオススメするリストではない。ただ最新版のリストを見つけてきただけだ)。

Sneak and Show ,Brad Nelson

3 島/Island
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
2 裏切り者の都/City of Traitors
4 Volcanic Island
3 古の墳墓/Ancient Tomb
3 霧深い雨林/Misty Rainforest

4 引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn
4 グリセルブランドGriselbrand

4 水蓮の花びら/Lotus Petal
4 騙し討ち/Sneak Attack
4 Force of Will
4 呪文貫き/Spell Pierce
4 渦まく知識/Brainstorm
4 実物提示教育/Show and Tell
4 思案/Ponder
3 ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe
2 圧伏/Overmaster

Sideboard
2 墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
3 紅蓮地獄/Pyroclasm
1 血染めの月/Blood Moon
3 防御の光網/Defense Grid
4 神聖の力線/Leyline of Sanctity
2 破壊放題/Shattering Spree


【Sneak and Show】は《騙し討ち》か《実物提示教育》のどちらかを解決し、デカブツを場に出す事を目的としている。
したがって、最適な妨害方法は、上記のどちらかを止める事となる。
とは言え、デッキ全体がコンボであり、ドローであり、妨害でもあるこのデッキを止めるのは容易ではないため、勝つために少なくともいくつかの圧力を必要とする。


○Counterspells

カウンター呪文は基本的に妨害の最たるものだ。
なぜなら、《渦まく知識》からトップデッキまで、ありとあらゆるものを阻止出来るのだから。
難しいのは、何をカウンターすべきかの理解だ。
《騙し討ち》と《実物提示教育》は言うまでもない。
この二枚をカウンターしないのなら、何を打ち消すというのか。
私はほとんどのリストが《時を越えた探索/Dig Through Time》を数枚採用するだろうと思っている。
なので、それも対象になる。
しかし、キャントリップ呪文は評価するのが少しばかり難しい。

今カウンターするか、後でかを決める時、自問自動する。
『もし今カウンターしないとして、より良い物を後からカウンターする機会があるだろうか?』
僕の定石では、コンボパーツでなければカウンターしない。例外的に、カウンターしたい物に当てられなくなる、という確たる理由がある場合を除いて。
これには、多くの理由がある。


・自分のカウンターが非確定である

カウンターには二種類ある。確定でカウンター出来る物と、非確定の物だ。
確定とは、どんな物でもカウンター出来て、《対抗呪文/Counterspell》、《Force of Will》、《紅蓮破/Pyroblast》などがそれにあたる。
非確定とは、状況によって機能するもので、《呪文貫き》、《目くらまし/Daze》、《狼狽の嵐/Flusterstorm》などになる。
一般的に、有効期限の短い非確定カウンターは出来るだけ早く使いたい。
もし僕が《呪文貫き》をあなたの《渦まく知識》に使わないとしたら、あなたが《実物提示教育》をキャストする際に《呪文貫き》分もお支払い頂きたい時だ
一方で、確定カウンターは可能な限り手札に抱えておきたい。どんなものであれ鍵となる呪文を消せるのだから。

【Sneak and Show】はコンボを完遂させるまでにマナのかかるデッキなので、非確定カウンターはゲームを通して有用だと言える(例えば、2マナを浮かせた状態で《騙し討ち》をプレイするのは簡単では無い)。
また、コンボパーツが赤い(《騙し討ち》)ので、《紅蓮破》は多少気軽に使って良い。


・十分なマナが無い

これはとても簡潔だ。
想像してみて欲しい。僕には二枚のカウンターと2マナがある。
あなたがドロー呪文を唱えた場合、普通はそれによって引いてきた呪文に僕はカウンターを当てる。
この場合はドロー呪文を解決させて良い。
しかし、僕が一つしか呪文を唱えられないとしたら、それを今すぐカウンターする事も意味を持つ。
なぜなら、手の内にあるもう一枚のカウンターは、その状況で何の役にも立たないからだ。
基本的に、マナが詰まり気味なら、僕はマナを全て使ってしまいたい。

また、返しのターンにタップアウトしたい時も使ってしまう。
例えば、僕が《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》と《呪文貫き》を持っている場合だ。
あなたが第1ターンに《思案》を使った。
僕は100%このタイミングで《呪文貫き》を使う。そうして返しに僕は《石鍛冶の神秘家》をタップアウトで出す。こうなると《呪文貫き》は使えないからだ。
僕はあなたがコンボを仕掛ける機会を最小にしたいので、こうした1対1交換も厭わない。


・打ち消し合戦を回避したい

時に、こちらにはマナがあって、相手には無い状況で、相手が呪文を仕掛けたくてモジモジしているのを察する場合がある。
言うなれば、相手が手札に《紅蓮破》を抱えながら、《直観/Intuition》で三枚の土地を選び出すような場合だ。
もしも僕が《直観》に《Force of Will》を使わなければ、相手はアンタップし、四枚目の土地を置き、それから《紅蓮破》のマナを立てたまま《実物提示教育》を唱えるだろう。
この場合は、《直観》をカウンターする事で仕掛けを挫いた方が良い。


・手札に入ってしまったカードは打ち消せない

【Sneak and Show】は二枚コンボだが、その片方はとても打ち消されやすい。
もしあなたの手札に三枚の《実物提示教育》があるものの《グリセルブランド》が無いのなら、僕はあなたが相方を探すのを止める必要がある。
つまり、ドローソースをカウンターするということだ。
もしも手札に三枚の《実物提示教育》を抱えながら、あなたが相方を見つければ…僕はその全てを阻止する事は出来ない。


・ディスカード

ハンデス戦略は【Sneak and Show】に対して有効と言える。
理由として、コンボパーツが両方とも手札に揃っている必要があるからだ。
もしも相手にマナが無い場面(1ターン目など)でハンデス出来るのなら、ほぼそうした方が良い。
《渦まく知識》でコンボパーツを隠されるのは何としても避けたい。

何を捨てさせるか、というのは相手が何を持っているか、自分が何を持っているか次第だ。
相手が二枚の発射台と一枚の弾を持っているなら、捨てさせるのは弾で、逆もまた然り。
もし追加のハンデスカードを持っているのなら、《渦まく知識》を捨てさせる。
あなた自身がコンボデッキを使っていないのであれば、ほとんどの場合で相手のカウンターよりも、コンボパーツ自体を捨てさせるのが正しい。

《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》は特別だ。これは《実物提示教育》にスタックでプレイ可能で、相手が場に出そうとした物を奪い去れる。
しかし、相手が弾を一枚しか持っていないというのを知っているのでなければ、僕は速やかに《ヴェンディリオン三人衆》をプレイする事をオススメする。
相手の《実物提示教育》にドヤ顔で合わせたら、《グリセルブランド》が三枚なんて手札を見せられた日には赤面してしまう。
《ヴェンディリオン三人衆》はクロックでもあるので、早期に出したい。


・ヘイトベアー

ヘイトベアーというのは一般的に何らかの妨害効果を持った2マナのクリーチャーを指すが、ここでは更に軽いクリーチャーというところまで定義を広げたい(《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》とかね)。
これらは大抵は他に妨害手段を持たない緑や白のデッキに入っている。

もしもあなたが《スレイベンの守護者、サリア/Thalia,Guardian of Thraben》や《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を持っているのなら、出来る限り早くプレイした方が良い。
これらはコンボ自体を止めるわけではなく、コンボの準備を止めるだけだからだ。
《翻弄する魔道士》についてだけど、僕は普段《実物提示教育》を指定するのが最高だと考えていて、最もマナコストが軽いからというのが理由だ。

もし《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》(や《真髄の針/Pithing Needle》)を持っているのなら、大抵は相手が《実物提示教育》を使うまで待つのが正しい。
それから、相手が出したもの(《グリセルブランド》か《騙し討ち》)を《ファイレクシアの破棄者》で指定する。
そうだね、もし相手が《エムラクール》を出したら、それはあなたが白単を使っていたツケという事になる。

もしも相手が3マナを立てながら《実物提示教育》をキャストしないのなら、《騙し討ち》を指定しながらクリーチャーを送り出そう。
まず、もしも相手が《実物提示教育》を持っているのなら、既にキャストしているという事。
次に、例え7枚ドローを使えないとしてもただの7/7絆魂に負ける可能性があるという事。
なので、それらを止めるためにプレイした方が良い。


○Elves

Elves ,Kazu Negri

2 森/Forest
2 Bayou
4 霧深い雨林/Misty Rainforst
4 新緑の地下墓地/Verdant Catacombs
2 樹木茂る山麓/Wooded Foothills
4 ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle

2 樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers
2 孔底のビヒモス/Craterhoof Behemoth
4 死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman
4 エルフの幻想家/Elvish Visionary
4 遺産のドルイド/Heritage Druid
4 イラクサの歩哨/Nettle Sentinel
4 クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger
4 ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote
2 ドライアドの東屋/Dryad Arbor

4 垣間見る自然/Glimpse of Nature
4 緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith
4 自然の秩序/Natural Order

Sideboard
1 真髄の針/Pithing Needle
1 再利用の賢者/Reclamation Sage
1 漁る軟泥/Scavenging Ooze
1 世界棘のワーム/Worldspine Wurm
1 森の知恵/Sylvan Library
3 突然の衰微/Abrupt Decay
3 思考囲い/Thoughtseize
1 大祖始/Progenitus


メインコンボは《垣間見る自然》をプレイするところから始まり、大量のエルフをキャストし、大量にカードを引き、《遺産のドルイド》と《イラクサの歩哨》によって大量のマナを生成する。
基本的には、色々な部分で妨害を受けるが、【Elves】を妨害する事が即ちあなたの勝利を意味するわけでは無い。
もしもあなたが場に10体のエルフを並べているのなら、僕が《孔底のビヒモス》を止めたところで、さして気にも留めないだろう。次のターンには僕を踏み潰せるのだから。
というわけで、【Elves】を止めるには彼らの基盤を叩く必要がある。


・打ち消し

【Elves】には二種類の“マストカウンター”が存在する。
《垣間見る自然》と《自然の秩序》だ。
確定カウンターはいつだってこの二枚のために温存すべきだ。
しかし、【Elves】は大量のマナを持つため非確定カウンターは惜しみなく使った方が良いが……エルフを《目くらまし》たり、《緑の太陽の頂点》に《呪文貫き》出来る機会を逃してはいけない。
もし相手が《垣間見る自然》をキャストしたら、あなたの手札の《呪文貫き》や《狼狽の嵐》を使う。
どちらにせよ相手がもう一枚呪文をキャスト出来ないとしても、少なくとも相手のマナを縛るべきだ。
もし僕が《目くらまし》を持っているのなら、基本的には待つ。
なぜなら、相手が三体目のエルフを出すためにタップアウトする可能性があり、それを見てから三体目に《目くらまし》を当てれば、相手はそれ以上マナを生み出せなくなる。


・ディスカード

【Elves】は二種類のリソースによって成り立っている。マナとカードだ。
ハンデスする時、あなたは相手の手札で少ない方を見つける必要がある。そして少ない方を捨てさせる。
多くの場合、彼らは大量のマナを持っているが、それによって多大な仕事をする(つまり《垣間見る自然》と《自然の秩序》の事だ)ので、マナを捨てさせるのに臆病になってはいけない。

またあなたが何をプレイしているかにも依る。
もし仕掛けの速いデッキを使っているのなら、マナを奪い去るのが良い戦略となる。相手が復帰する前に仕留める事が可能だからだ。
もし遅いデッキを使っているのなら、おそらく全てのマナを奪い去るのは無理だろう。相手はもっと多くのカードを引くだろうからね。


・除去

もしも大量の除去呪文があるのなら、それはまさに虐殺と言える。
【Elves】は多くのクリーチャーを必要とするので、盤面から多くを取り除くのは有効な手だし、例えば《死儀礼のシャーマン》を処理するのは、早期の《自然の秩序》を止める事にもなる。
もしも一枚だけ除去呪文(《稲妻/Lightning Bolt》とか)を持っていたら、相手がコンボを仕掛けるのを待った方が良い。
相手のプランを邪魔出来るタイミングをじっと待つ。例としては、三体目のエルフがキャストされたのに合わせて《遺産のドルイド》を処理する、という具合だ。
この状況では、ほぼ《遺産のドルイド》を狙うべきだ。
もしも《遺産のドルイド》が複数居たり、《樺の知識のレインジャー》が居るのなら、その場合は《イラクサの歩哨》を処理するのが最善の策だろう。


○Storm

Ad Nauseam Tendrils ,Randolph Gille

2 島/Island
1 沼/Swamp
2 霧深い雨林/Misty Rainforest
4 汚染された三角州/Polluted Delta
2 沸騰する小湖/Scalding Tarn
1 Tropical Island
2 Underground Sea
1 Volcanic Island

4 ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond
4 水蓮の花びら/Lotus Petal
1 むかつき/Ad Nauseam
4 渦まく知識/Brainstorm
4 陰謀団の儀式/Cabal Ritual
4 暗黒の儀式/Dark Ritual
3 陰謀団式療法/Cabal Therapy
4 強迫/Durass
4 ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe
1 Grim Tutor
4 冥府の教示者/Infernal Tutor
1 炎の中の過去/Past in Flame
4 思案/Ponder
2 定業/Preordain
1 苦悶の触手/Tendrils of Agony

Sideboard
3 花の絨毯/Carpet of Flowers
2 夜の戦慄/Dread of Night
4 突然の衰微/Abrupt Decay
2 蒸気の連鎖/Chain of Vapor
1 残響する真実/Echoing Truth
1 ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall
1 虐殺/Massacre
1 Karakas


【Storm】は大量のマナ加速によって《むかつき》か《炎の中の過去》をキャストし、巨大な《苦悶の触手》によってゲームを終わらせる。
【Storm】と対峙するゲームはいつも非常に独特で、あなたが何を持っているか次第で、早くにも遅くにも妨害する事が出来る。
この点においては、【Storm】は根本的に【Elves】と異なる。
もしもあなたが彼らのフィニッシュを邪魔したら、彼らはそのままゲームにも負けてしまうだろう。従って、待つ事は非常に有効な戦術になる。


・打ち消し

カウンターはここでも最高の解答となる。
特にこのマッチアップにおけるカウンターは相手の目論見全てを挫くため、ハンデスよりも優秀と言える。
もしもあなたが《暗黒の儀式》から《むかつき》をキャストし、僕がそれを《Force of Will》したら、あなたは《儀式》も《むかつき》も失ってしまう。
もし僕が《思考囲い》であなたの《むかつき》を奪い去っていたら、あなたは《暗黒の儀式》を使わなかっただろう。

【Storm】というデッキは基本的に質よりも量を重視するデッキなので、僕は非確定カウンターをドローソースに当てたい。
彼らは大量のマナも持っているため、非確定カウンターは使える内に使っておきたいというのもある。
《呪文貫き》で相手の《渦まく知識》がカウンター出来そうな時は絶対に逃さない。
《紅蓮破》は常にドローソースを狙うべきだ。それ以外に当て所が無いのだから。
彼らのハンデスに関しては、僕は手札を知られていない状態での《陰謀団式療法》は決してカウンターしない(当たるかどうか試して欲しい。あまりに多くの人がおよそあなたのデッキに入っていないカードを指定する事に驚くだろう)。
《強迫》に対しては、もしも1対1交換が出来るのならば使う(《対抗呪文》とか)が、《Force of Will》の場合はほとんど使わない。

【Storm】デッキの《儀式》をカウンターするか否かというのは、常に難しい問題だ。
もしあなたが《儀式》をカウンターした場合、大抵はそのターンは相手の動きを止められる。
もしあなたが待った場合、あなたは相手の全てを浪費させられるかも知れない。
しかし、彼らは物量に任せてくるかも知れないし、《強迫》を引き込むかも知れないし、《炎の中の過去》をフラッシュバックまでしてくるかも知れない。

《儀式》をカウンターするかどうかは、相手が何を持っているかよりも、自分が何を持っているか、の方が判断基準となる。
もしあなたがこの《儀式》をカウンターした場合、彼らが再びコンボを開始するより前に仕留め切れる確信が持てるだろうか。
もし確信があるなら、カウンターすべきだ。
もし確信が持てないなら、温存しておく。
時に、彼らはスタックを積み上げる。例えば、《儀式》から《儀式》をキャストしたりだ。その段になれば、《儀式》をカウンターするのに見合ったリソースを彼らも費やしたと言えるだろう。
しかし、僕はこの事に関して忠告したい。

経験上ほとんどの場合で、本当に次のターンに彼らを仕留められるのでない限り、《儀式》はカウンターしない。
色々考えてみたけれど、このデッキは仕掛けるカードよりもマナを生み出すカードの方が多く、そのため相手のマナ加速を全てカウンターしようとするのは時間を稼ぎたいのでもない限り、意味が無い。
彼らはカウンターを持たない(ハンデスのみ)ので、ほとんどの人はコンボを開始する前にハンデスをキャストしてくる。
なので、あなたの《Force of Will》は彼らのエンドカードのために存在している。
“マストカウンター”なのは《冥府の教示者》と《むかつき》だ。
もしこれらを処理出来たのなら、彼らが大量のマナと《炎の中の過去》を引いていない限りはほとんど勝ったと言える。


・ディスカード

ハンデスもまた【Storm】に対して有効だが、カウンターには劣る。アドバンテージを取れないからだ。
【Elves】相手と同様に、マナとカードアドバンテージの二方面から締め付ける事が可能で、これまた【Elves】同様にカードアドバンテージの面で優位を取るのはより簡単だ。
ほとんどの場合で捨てさせたいのは《冥府の教示者》と《むかつき》で、その後は《渦まく知識》《思案》と続く。
僕がマナ加速よりもドローソースを優先させたいのは、彼らのデッキがマナ加速だらけという点に由来する。
マナ加速を捨てさせる場面があるとすれば、彼らが複数枚の《冥府の教示者》を持っているか、あるいは彼らを失速させたい場合だ。


・墓地対策

上記二つのコンボデッキと違い、【Storm】は墓地対策の影響を受けるカードとして《陰謀団の儀式》と《炎の中の過去》の二枚を持つ。
これらは両方ともスタックで対応可能なので、《大祖始の遺産》といったカードをアクティベートさせない理由が無い(「探査」カードが採用されたらこれも変わるかも知れないけれど)。

多くの場合、これが起こるのは、あなたが《大祖始の遺産》を持っていて、彼らがスレッショルドした《陰謀団の儀式》をキャストした時だ。
そこであなたは彼らにマナ加速を許して《炎の中の過去》まで待つか、マナを縛るかを決定する必要がある。
彼らにとって重要な数字は「7」だ。
これは彼らが《冥府の教示者》から《むかつき》に繋げるためのマナ量になる(もし《苦悶の触手》で直接狙ってくるなら「6」)。
もしスレッショルド無しでこのマナに到達するとあなたが考えるのなら、《大祖始の遺産》は使わない。
もしスレッショルドしないとマナが届かなそうならば、《大祖始の遺産》を使う。
また、超長期戦になって彼らが莫大なマナを持っているのなら、邪魔せず《炎の中の過去》まで待とう。


○Dredge

Dredge ,Joseph Moreno

4 セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum
4 宝石鉱山/Gemstone Mine
4 マナの合流点/Mana Confluence

4 ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll
4 ゴルガリの凶漢/Golgari Thug
4 イチョリッド/Ichorid
4 ナルコメーバ/Narcomoeba
3 朽ちゆくインプ/Putrid Imp
4 臭い草のインプ/Stinkweed Imp

4 ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond
4 黄泉からの橋/Bridge from Below
1 暗黒破/Darkblast
3 打開/Breakthough
4 陰謀団式療法/Cabal Therapy
4 入念な研究/Careful Study
1 戦慄の復活/Dread Return
4 信仰無き物あさり/Faithless Looting

Sideboard
3 水蓮の花びら/Lotus Petal
2 トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt
1 灰燼の乗り手/Ashen Rider
3 突然の衰微/Abrupt Decay
2 炎の嵐/Firestorm (訳注:原文では《Firestorm Phenix》)
1 エメリアの盾、イオナ/Iona,Shield of Emeria
1 戦慄の復活/Dread Return
2 真鍮の都/City of Brass


【Dredge】は発掘持ちのカードを墓地に落とし、毎ターンカードを引く代わりに自身のライブラリーを削り《イチョリッド》や《ナルコメーバ》、《黄泉からの橋》によって勝利するデッキだ。
【Dredge】を止める最善策は彼らの墓地を全て除外してしまうか、共鳴者を消してしまうかの二通りある。


・打ち消し

【Dredge】に対して、僕は常に最初の共鳴者をカウンターする。
対戦相手が土地を置き、マナを出し、何かをプレイしたら、僕はそれが何かに関わらずカウンターする(《陰謀団式療法》じゃなければね)。
これは《朽ちゆくインプ》に《Force of Will》を使う事を意味している。
一旦「発掘」が始まってしまえば、あなたに止める手立ては無くなってしまうので、初動を止める必要がある。

もし既に発掘カードが墓地にあるのなら、ドローカードをカウンターしたい。
《入念な研究》、《信仰無き物あさり》、これらは全て1ターン内に複数回の発掘を行う。
《戦慄の復活》のためにカウンターを温存しないように。
《陰謀団式療法》によって奪い取られるし、ほとんどの場合は《戦慄の復活》すら必要ない事が多い。


・ディスカード

カウンターと同様に、共鳴者を捨てさせる。
発掘持ちを捨てさせてはいけない。


・墓地対策

墓地対策の使用タイミングは、墓地対策からどれ程の恩恵を受けたいかによって変わってくる。
もしも《トーモッドの墓所》でいくばくかの優位を得たいなら、早い方が良い。
発掘持ちを除外して、序盤の攻勢を削ぐ。
しかし、もしもゲームに勝ちたいと思うのなら、待った方が良い。
彼らにいくらか行動させ、悪い事が起きた時に対応して動くんだ。
《トーモッドの墓所》を起動する重要なタイミングというのは、対戦相手のライブラリーから《ナルコメーバ》や《陰謀団式療法》が落ちた時や、発掘持ちを失いそうな時や、《黄泉からの橋》によってゾンビを得ようとしている時、《戦慄の復活》をフラッシュバックした時、などだ。

個人的にはギリギリまで待つのが好みだ。
僕は墓地対策を持っていても、ほとんど動かずに発掘させ、何か悪い事が起きそうになったらそれを止める。
もし相手のドローソースに対応しても、彼らは後から新しい発掘持ちを引いてきて捨てるだけだ。それって良くないよね。

場に《トーモッドの墓所》が出ていると、彼らのゲームプランは非常に面倒になる。
彼らは伸び伸びプレイするために、《トーモッドの墓所》を使うように迫ってくるだろう。
これはLoL(注1)でAnnie(注2)を相手にしている時に似ている。
あなたは常にFlash→Tibbersコンボに注意を払う必要があり、あなたは普段とは異なったプレイをするようになる。
彼らのアビリティがクールダウンの時に、あなたは色々と出来るようになる。怯える必要が無いからだ。
僕は出来る限り相手を脅かしていたいんだ。

注 LoL:League of Legendsというdotaゲー
注2 Annie:LoLに出て来るプレイヤーキャラクター。MageキャラでありながらAssasin並の瞬間火力を併せ持つ(執筆当時)。lvl6になった瞬間のFlash→Tibberコンボが凶悪


○Reanimator

Reanimator ,Craig Spitzer

1 島/Island
1 沼/Swamp
1 Bayou
2 霧深い雨林/Misty Rainforest
4 汚染された三角州/Polluted Delta
4 Underground Sea
1 新緑の地下墓地/Verdant Catacombs

1 潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant
1 大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn,Grand Cenobite
4 グリセルブランド/Griselbrand
1 エメリアの盾、イオナ/Iona,Shield of Emeria

4 水蓮の花びら/Lotus Petal
2 動く死体/Animate Dead
4 渦まく知識/Brainstorm
3 目くらまし/Daze
4 納墓/Entomb
4 Force of Will
4 入念な研究/Careful Study
3 死体発掘/Exhume
4 思案/Ponder
4 再活性/Reanimate
3 思考囲い/Thoughtseize

Sideboard
2 真髄の針/Pithing Needle
2 トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt
1 灰燼の乗り手/Ashen Rider
3 突然の衰微/Abrupt Decay
1 棺の追放/Coffin Purge
1 強迫/Duress
2 虐殺/Massacre
3 実物提示教育/Show and Tell


【Reanimator】はデカブツ(主に《グリセルブランド》)を墓地に投げ捨て、《再活性》や《死体発掘》で釣り上げるデッキを指す。
止める手段は二つある。
デカブツが墓地に行くのを止めるか、一生墓地にいてもらうかだ。


・打ち消し

【Reanimator】戦でカウンターに関する最大の問題は、墓地に何かを置くルーターカードをカウンターするかどうかだ。
一旦デカブツが墓地に行ってしまえば、全てのリアニメイト呪文がマストカウンターになり、もうお手上げとなる。

このデッキにはルーターカードが8枚存在し、《入念な研究》と《納墓》がそれだ。
《思考囲い》を自分自身に使う事も出来るので、それも勘定すれば11枚になる。
リアニメイト手段は9枚。《死体発掘》、《動く死体》、《再活性》。

純粋に数学的に見れば、リアニメイト呪文の方が少ないのでそちらをカウンターした方が良さそうに見える。
しかし、《思考囲い》がリアニメイト呪文を通すために使われると考えると、ルーターカードをカウンターした方が良さそうになる。その内の7枚は同時に手札にデカブツが必要だとなると、尚更だ。

【Reanimator】に対して、僕が最もカウンターしたいのは《納墓》だ。
《納墓》はノーリスクで彼らの望む事をする。
僕が《納墓》をカウンターするのは、彼らの猶予を少なくするという事でもある。
もしも《納墓》の解決を許し、返すターンで彼らが《思考囲い》をプレイしたり、《Force of Will》を引かれたりしたら最低だ。

《入念な研究》は事情が異なり、手札にデカブツが居る必要があり、そのデカブツはデッキ中に非常に少ない。
もし彼らがデカブツを捨てられるなら、カードを二枚引いてる分《納墓》よりも優秀と言えるね。
デカブツが手札に無い状況ならば、それを解決させたい。
僕の性分では、彼らの手札に《グリセルブランド》が居るという疑惑が濃い場合にのみ《入念な研究》に対して《Force of Will》を使い、普段は非確定カウンターを使う。


・ディスカード

このマッチアップでのハンデスは、「相手の手札でより少ない種類の物を捨てさせる」というモットーを復唱する事になる。
もし二枚のルーターカードと一枚のリアニメイト手段だった場合はリアニメイト手段を。
一枚なのがルーターカードなのであれば、そちらを。
もし《納墓》と《再活性》が両方ある手札を見た場合、毎回《納墓》を捨てさせている。
もし彼らが《入念な研究》と《再活性》を持ち、デカブツを持ち合わせていないのなら、僕は《再活性》を捨てさせる。
《入念な研究》とデカブツを合わせ持っていたら、《納墓》より優先して《入念な研究》を捨てさせる。


・墓地対策

難しい事じゃない、ただ単にリアニメイト呪文に対応して使えば良いだけだ。
しかし《死体発掘》には気を付ける必要がある。
《死体発掘》は対象を取らないため、もしも彼らが二枚の《グリセルブランド》を持っていた場合、一枚を取り除いただけでは不十分だ。
また、彼らは《大祖始の遺産》を解決させてから、《死体発掘》の解決前に《納墓》を唱える事も出来る。

さて、それじゃ要約するよ!

・非確定カウンターはドローソースに使って、確定カウンターはコンボパーツに使う。

・もしマナの制約がある状態で手札にカウンターが溜まってるなら、使える限り使う。

・ハンデスを使う時、相手の問題点を見つける。何が足りてないのかを見極めて、それを捨てさせる。それは通常は“何かをするカード”だけれど、マナソースという事もあり得る。

・【Dredge】を相手にしている時は、墓地にカードを送る最序盤の動きを阻止する。これがゲームで最も重要な部分になる。もし使い切りの墓地対策(《大祖始の遺産》など)を使っているのなら、起動するのはギリギリまで待ってから。


この記事がみなさんの役に立つことを、それじゃNew Jerseyでは幸運を!


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追伸

みんなで青いデッキを使おう。本当に頼むよ!

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ここまでお読み下さってありがとうございます。
お疲れが出ませんように。
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