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車椅子ママの妊娠出産アンケートの結果

ウィルチェアファミリーでは2020.2~3.15日までの間、車椅子ママへの妊娠出産アンケートを実施しました。

対象者は妊娠出産時既に車椅子を使用していた女性です。

回答は8件で、十分なサンプルがとれなかったためアンケート調査としての信頼性には欠けますが、貴重なお話がたくさんありましたので結果を公開させていただきます。

医療関係者の皆様、セラピストの皆様、
学生さんや、これからパパやママになることを考えている車椅子ユーザーの方に見ていただければと思ます。

Q.あなたの障害は?

頚髄損傷 3名 骨形成不全 2名 二分脊椎 2名 両下肢機能全廃 1名

Q.妊娠時に不安だったことは?

・体の変化によってできないことが増える不安

・陣痛時に助けてくれる人がいなかったらどうしようという不安

・帝王切開への不安

・トイレコントロールや移乗が自分でできなくなるかもという、ADLが著しく低下することへの不安

・第一子の時は未知で、自分がどの程度育児に携われるかといった漠然としたものだったように思う。普通の母親のようにはできないことは最初からわかっていたので、自分なりの育児をしないといけないことに対して漠然とした先の見えない不安

どこまで自分の体が妊娠に耐えられるかわからず、情報がほとんどなかったこと

・歩行が不安定なので、しりもちをついた時などお腹の赤ちゃんに影響がないか不安だった

・妊娠の過程で骨盤や肋骨の骨折の可能性があった

・褥瘡

・赤ちゃんが無事に産まれてきてくれるか。障害がないか

障害者が子どもを持つ事を世間から非難されるのでは?と不安だった

・自分で自分の世話も完全に出来ない人間(自分)が子どもを産んで育てて良いものか、育てる事はできるだろうか?という不安

・胎教にいいとされる事(運動・外出)を生活に取り入れられなかったのと、バランスの良い食事が出来なかったので子どもがちゃんと育っているか不安だった

・無事に産めるか?という不安
(母体と子ども、どちらも絶対安全には済まないと思っていた)

・お腹が大きくなった時にどうなるのかとか

Q.妊娠中に大変だったことは?その解決方法は?


・移乗はベッドは横付けではなく縦に移乗することで隙間に落ちないようにした

・排泄のコントロールは尿もれについては大きめのパッドを当てて処置していたが、便についてはついてはコントロールが難しくその都度対処するしかなかった

・諸々の痛みに関してはベッドに横になったり休憩をとる時間を多めにするなどして、身体的に無理にならないようにしていた

出産に前向きな医師を探すまでが大変

・事前に車椅子の改造をしたり、ヘルパー時間を増やしたりと、前もって準備を重ねていました

・妊娠後期、動きづらかった。寝返りもしにくかった。トコちゃんベルトを病院から借りて付けてました

・お腹の重みで座位がとりにくくなり、背中が車椅子の背もたれに刺さり痛かった

・排便は酸化マグネシウムでコントロールした

・動きの制限や尿路感染症があったが無理をしないことしかなかった

・排便は胎児になるべく負担の少ない方法に変える事が出来なかった。妊娠前と同じ下剤、方法で排便していたが、妊娠中はなかなかうまく出来なかった

・清潔を保つ為 排便後はシャワーで汚れを洗い流すようにしていました。(お腹に阻まれてトイレで局部を清潔にするのが難しかった。ウォシュレットがあれば違うかも?)

・お腹がとにかく重たかった。これは障害関係なくすべての妊婦さんが思う事だと思いますが、腹筋や下半身で支えられない車椅子ユーザーだと感じ方も違うのかな?と思いました

・体重は妊娠前とほとんど変化は無く、お腹もあまり目立ちませんでしたが、座っていても寝転がっていても楽にはなりませんでした

Q.妊娠中のトラブルはありましたか?(身体的なこと・病院や周囲の人とのこと等)

・夫の両親が出産を大反対

・旦那の親が「あなたたちが育てられるわけないので生まれた子供は実家に連れて行き私たちが育てるから」と本気で言っていて怖かった

・尿路感染2回、貧血が酷い、切迫早産で入院

・浮腫、貧血

・腎臓、膀胱、尿道トラブル

・重い膀胱炎・尿道炎

・妊娠初期に肺血栓になった事

・切迫早産により妊娠中に管理入院

Q.どんな機関に相談されましたか?

・担当医

・子育て支援センター

・病院の産婦人科

・妊娠出産に関しては、病院に相談した

・保健師さん・病院のケースワーカーさん 自分から積極的に相談に行った訳ではなく、母子手帳をもらいに行ったら保健師さんが定期的に電話や訪問で見守ってくれて、 総合病院の産科にかかったらケースワーカーさんが「何かあったら相談して」と出産まで担当についてくれました

Q.妊娠出産に関して欲しかった情報やサービスは?

・他の車椅子ママがどんな育児グッズ(ベビーベッドや抱っこ紐)を使っているか。何処の病院にどんな車椅子ユーザーの事例があるか

・同じ障害のある人の体験、データ、帝王切開が目標の妊婦のため、NICUを利用する人のための情報

・同じ障害の人の経験談

・車のチャイルドシートへの乗せ下ろし方法や抱っこ紐、ベビーカーなど車いすで利用できるのかという情報

・頚髄損傷レベルの妊娠出産マニュアル

・WCFさんが今発信している様な情報
(車椅子での育児方法、車椅子ユーザーでも使える育児グッズの紹介、子どもの精神的なケア)

・経験者・当事者同士で相談や意見交換できる場所(WCFさんが管理しているLINEのオープンチャット)

・妊娠中どうしてたかや、どう出産したのか、育児はどうしていたかなど

Q.妊娠出産についてご自身の体験を教えてください。

予想していた何もトラブルがなかったのは、奇跡的だった。特に1人目出産の時に、子宮底部切開という、子宮を大きく切るものだったので、2人目が子宮破裂のリスクが高かった。理解してくれる医師に出会うのが何より大事。医師を探すのに苦労した
泌尿器科が昔からの主治医で総合病院だったので、先生同士の連携もしてほしかったので、そこの産婦人科に通いました。
流産、不妊治療を経て妊娠、出産後、車は介護用車両の助手席が回転して降りてくるタイプの座席にチャイルドシートを取り付け、乗せ下ろしをしていた。主人も車いすなので抱っこ紐はたくさん試着して体に合うのを探した。ベビーカーは改造をして車いすに装着できるようにしていた。その他色々あります。
妊娠は、自然妊娠でしたが、21週で切迫早産。出産まで4ヶ月弱、入院。最悪30週での出産を視野に入れていましたが、37週での計画帝王切開となりました。妊娠中は、気をつけていても尿路感染になりやすいですし、貧血も酷くて大変だった事を記憶しています。幸いにも褥瘡は出来なかったですが、切迫早産の入院は、24時間点滴をするので大変でした。でも脊髄損傷を受傷した時の入院とは違い、全然辛くはなかったですね。生命の誕生の為の入院でしたから。
常に不安が付きものでしたが、元気に大きくなる姿を目にする度に嬉しさが込み上げてきました。
どんな妊婦さんも大変ですが、やはり障害ならではの排泄障害や動きが制限せれてるのに更に動けなくなるのは辛かったです。
でも周りのサポートのおかげで無事に妊娠出産できたのを感謝しています。
妊娠中も計画帝王切開も産後の肥立ちも特にトラブルはありませんでしたが
身体の回復を自覚できたのは出産から1年以上経ってからでした。障害や病気は関係なく個人差かもしれませんが、産後間もなく社会復帰したり活動している方を見ると、自分はダメなた人間に思えて落ち込みました。車椅子ユーザーが妊娠・出産・育児をするとなると周りからサポートしてもらう事が多くなると思いますが、恵まれた環境で何故なかなか回復出来ないのかと落ち込まず、頼れるものは頼って休んでほしいです。
経膣分娩に挑戦しなかった事をしばらくモヤモヤしていました。
私は頑張れば経膣分娩可能かもしれないと産科の医師に言われました。
しかし整形外科の医師から「脚に力が入る場合は骨折の恐れがある。どうしても経膣分娩を希望するなら止めないが、育児をする事を考えるなら帝王切開をすすめる」と言われ(あくまで私の場合です)
とにかく赤ちゃんが無事に生まれてくれれば良いと考えていたので子どもへの全身麻酔の影響に不安はありましたが、帝王切開を選びました。

私は幼い頃 大腿骨を骨折し、元々両下肢に麻痺がある為にギブスによる治療が出来ず、ベッド上で針金を貫通させた足を吊っていました。
長い期間 ベッドから動かなかった為に、骨折した大腿骨が回復しようと多くの栄養が吸収し、骨頭部が壊死してしまいました。
骨頭部の再建手術をするのに自分の骨盤を切り取って移植しましたがうまく定着しませんでした。
その為、私は片方の骨盤(腸骨)の一部がありません。
妊娠した時に、この骨盤では赤ちゃんを支えられないのでは⁉︎と不安でしたが、
医師からは腸骨が欠けているのは赤ちゃんにはほとんど影響も問題も無いと言われました。
妊娠中もトラブルはなく、順調に育ち、元気に生まれてきてくれました。骨盤が歪むと聞いていたので、産後すぐレントゲンを撮ってもらいましたが、計画帝王切開だったためか妊娠前のレントゲンと比べて大きな変化はなかったらしいです。
自然妊娠で赤ちゃんを授かりました。
ですが妊娠初期(妊娠に気づいてから1週間後くらい)に肺血栓で意識を失い、幸い意識を失った時に旦那がいたので救急車を呼んでもらい、助かりましたが危うく死にかけました。
妊娠中は血栓になりやすいようで、弾性ストッキング等で予防をすればよかったと反省です…。
救急搬送されてからヘパリン(血液サラサラにするやつ)の点滴を24時間受け続けて出産後までかなりの長期入院となりました。
憧れのマタニティライフがしんどい入院生活となってしまいましたが、夫も家族もしょっちゅう会いにきてくれ、ナースや先生達もよくして下さり、なんとか長い入院生活を乗り切れました。
私は予定帝王切開だったのですが、予定通りその日を迎え、全身麻酔だったので赤ちゃんが生まれた瞬間も分からず、出産した実感はあまりなかったですが、無事に産まれてきてくれてよかったです。

Q.これから妊娠・出産・育児をするかもしれない車椅子ユーザーへのメッセージをお願いします。

車椅子ユーザーであるがゆえに、通常の妊娠出産の情報では不十分なことが多々あります。そんなときに、似たような身体状況にある方々がどのような工夫をして育児をしていたか、直接お話を聞いたりブログを拝見したりすることで、徐々に自分も準備ができていったように思います。ただ、いちから探し出すのは困難でした。知り合いの知り合いを頼ってやっと体験談を得ることができました。なので、これから妊娠、出産を経験する車椅子ユーザーたちが知らないことで迷ったり後悔したりすることがないよう、疑問や不安がひとつでも解消できるよう、私自身が経験してきたことで役に立つことが少しでもあるなら、惜しむことなく情報提供していきたいと思います。
可能性は誰にもわからないので、信頼できる医師に出会うのが大切。また公的機関と粘り強く交渉を重ねること。育児は短期勝負ではなく、ずっと続くもので、にっちもさっちもいかないことがたくさんあるから。
悩みごとは積極的に自分から発信すれば、身近な人(家族や友人など)やSNSでも相談にのってくれます。諦めないでほしいです。
できる!と信じることです。まずは想像をしてみる。それができたらきっと実現できます。たくさんの人の経験を聞き、たくさんの人の力を借りて、ぜひ妊娠出産を楽しんでほしいです。
サポートしてもらえる環境があるなら子供をもつことを考えてみて下さい。
周りの車椅子ママさんは、ホントに色んな事に頑張っていて尊敬できます。不安は必ずあります。
でも多分、産まれてきてくれたら、ホントに嬉しさしかありません。今の世の中SNSで色んな情報を手にする事が出来るので、車椅子の先輩ママさん達に色々聞いて、妊娠、出産、育児が出来るといいなぁーと思います。
障害があって日常で車椅子が必要な私にはきっと妊娠も出産も育児も出来ないだろうと思って生きてきました。
子どもを持たずに2人で生活していこうと夫と話し合い結婚しました。
しかし、元々子どもが好きだった事とパパになった夫を見たい気持ちが抑えきれず、ほぼ無計画で妊娠に至りました。結婚を機にずっと住んでいた場所を引っ越し、新しくかかる事になった医療機関とは信頼関係をきちんと築けないままで、心から不安や悩みを相談出来る医師や看護師や助産師も居らず
すぐ会える距離に友達は居らず実家のみならず親戚も遠方で
ひたすらネットで妊娠出産育児をしている車椅子ユーザーは居ないか探すようなとても孤独な妊婦生活でした。育児に慣れてきてからは、
育児を手助けしてくれるヘルパーさんを探すのに大変な思いをしています。どれも「車椅子でもパパママになれる」という考えが少なくとも自分の中で当たり前だったら、もっと事前に色々準備出来たのでは?と考えてしまいます。結婚する相手やタイミングも違っていたかもしれません。子の性格や特性によっても子育ての大変さは変わるので、生まれて来なければわからない事も沢山ありますが、育児は人の手がいくらあっても足りません。
妊娠前からヘルパー制度を利用して繋がりをつくっておいたり、
結婚して引っ越しをするなら育児を意識した場所を選んだり、
ご近所さんと仲良くしたり、信頼できる医療機関に妊娠出産育児について日頃から相談をしたりリハビリや運動で少しでも体力をつけるのも大切です。
障害があっても子どもの為に出来る事は沢山あるはずです。また、大人になってから病気や事故で受傷して車椅子生活になった方ばかりでなく、生まれつき障害があったり、まだ幼い内に障害を負った子にも、将来自分で家族を作れる可能性があると知ってもらいたいです。その中で「家族は作らない」「パートナーとだけ生きていく」「子どもは作らない」「ひとりがいい」という考えは尊重されるべきだと思います。ただ、障害や病気がある「だけ」で諦めて欲しくはないです。
私も最初は色々悩みましたが、1つ言えることは子供を産んで本当によかったと思います。
今はみんなで協力しながら毎日楽しく育児をしています。

まとめ

ご回答いただいた8名の方、ありがとうございました。
8名の方のご経験、いかがでしたでしょうか?

子どもを持つことが全てでは無いけれど
持ちたいと思ってる人が「障害を理由に子どもを持つ選択を諦めないで欲しい」という思いは、ウィルチェアファミリーの思いでもあります。

またこうした経験や、車椅子ユーザーの声が
医療関係者の方々やセラピストの方々にも届いて欲しい
願っています。

ウィルチェアファミリーでは今後も皆様の経験をひとつにまとめ、これからの人に繋げて行けるように尽力していきたいと思います。

うちはこうだったよ!私はこうしたよ!などのお話がありましたら、是非ウィルチェアファミリーにお寄せください。

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