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フィリピンの貧困層の人々と1年間、関わって見えてきたもの

こんにちは。経済学部4回生のIKKIです。
文部科学省と民間企業が協働で実施する「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」に採用され、大学を休学し、フィリピンのセブ島で貧困層の人を支援するNGO団体でインターンシップを行いました。

【トビタテ!留学JAPANとは?】
まず初めに、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」について簡単に触れさせていただきますね。
これは官民協働の奨学金プログラムで、アカデミックな留学だけではなくインターンシップやボランティア、フィールドワークなどの実践活動をする留学が対象となります。
留学プランも自分で設計することができ、自由度が高い一方、自分で描いた留学を実現する実行力も求められます。
私は海外で授業を受けるだけではなく、現地で働いて、その経験からでたくさんの事を学びたい、と考えていたので、このプログラムに応募しました。

画像1【なぜフィリピンでインターンシップ?】
そのなかでインターンシップを選んだ理由は「私は座学で学ぶより、体を動かしながら学ぶ方が多くの事を学べる人間」だからです。
小学校から大学まで多くの事に挑戦してきた私ですが、ワークアウトで学んだことの方が定着しやすい人間だという事に気が付きました。

フィリピンを選んだ理由についてですが、私はフィリピンという国を選んだというよりも、インターンシップをしたいNGO団体がフィリピンにあったので、国としては自動的にフィリピンを選んだという事になります。

【トビタテ!留学の目的】
私が持つ自分の理想像は「立場の弱い人々の役に立つことができる人」です。
私はその理想像にどうしたら近づけるのかを考えた時、まずは立場の弱い人々の考え方、ニーズを知る必要がある、と考えました。そしてそのニーズもその人々の住む地区や環境によって大きく異なります。

誰かの役に立つためには「自分の価値観を押し付けるのではなく、多種多様な価値観を理解すること、そして本当に必要とされていること(ニーズ)を見つける力が必要だ」と考えました。そこで、私は海外の貧困地区で暮らしている人々と密接に関わり、彼らの成長や生活を支援しながら、様々な人の価値観、考え方を学びたいと思いました。

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↑上の写真は私が支援していた貧困地区の中には目の前に富裕層の人が住んでいる家があるという状況もあります。

【インターンシップ生としての役割・仕事】
私が行っていた主なインターン活動は

・NGO団体の活動についてブログ発信
・奨学金を支給している子どもたちの学習支援
・貧困地区(ゴミ山や墓地)に暮らす人々への支援活動
・医療支援活動
・被災地支援
・貧困層の人々への自立支援プロジェクト企画・運営
・ボランティアツアーの企画・運営

です。

上記の支援活動の中で3つの支援活動について具体的に説明させていただきます。

① 奨学金を支給している子どもたちの学習支援
私がインターンシップをしていたNGO団体では貧困層の子どもたちの中から、本当にフィリピンの貧困問題を解決したい、という意思を持っている子どもたちに対して、教育費、生活費の支払いを援助する奨学金制度がありました。その制度を利用し、私たちは彼らに宿題の配布、学校の宿題の解説、授業の展開を行っていました。

彼らの家は貧困地区にあり、夜は電気をつけることができず、インターネットも使えないため、学校の宿題で出されるパワーポイント資料の作成やプリントの印刷をすることができません。そのため、子どもたちはNGO団体のオフィスで印刷やパワーポイント資料の作成を行っています。

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↑奨学金を支給している子どもたちとの集合写真です。

② 被災地支援
貧困層の人が暮らしている地域では火災が非常に多いです。(理由を話せば、長くなるので、控えさせていただきます。)
火災の被害に遭われた方は、近くの避難所に移動するのですが、貯蓄がない貧困層の人々はご飯を買うことができません。政府も多発している火災の1つ1つに対して支援する予算もありません。

そこで、私たちは服や食料、生活用品を配布していました。ここでは何世帯が被害に遭ったのかを調査し、彼らは何を必要としているのかヒアリングを行って、物資の調達・配給を行うまでがインターン生の業務でした。

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上の写真は火災が起こった後の写真です。下の写真は避難所で生活している人へ服の配布を行った時の写真です。

③ 医療支援活動
想像できるかと思いますが、貧困層の人々、特に幼い子は数多くの病気を持っています。中にはもちろん「命」に関わる病気を持つ子もいます。しかし、彼らには医療費を払うお金がありません。
そこで、私たちが医療費を負担し、その子が助かるまで面倒を見ています。そのため、子どもの状況を確認するために定期的に家に訪問したり、子どもの容態の経過を記録したりすることなどがインターン生の業務でした。

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↑この子どもは重い病気を患ってしまい、病院に連れていった時の写真です。

貧困地域で、多角的な活動に携わることができ、その1つの1つの活動を通して、多くの考え方、価値観を知る事ができ、貴重な経験になりました。

【当初の目的に対する達成度】
当初の目的である「様々な人の価値観、考え方を学ぶ」ということは私の中で、少しは理解することができたと思っています。
しかし、技術的なスキルではなく、「考え方・価値観」のように目に見えないものは、やはり長い時間を共にしないとみえてこないものもたくさんあるなと思いました。
1年間、フィリピンのセブ島で貧困層の人と関わり、生活してきましたが、1年間という短い期間では全てを理解したと断言できないのが正直な部分ではあります。

【その他にみえてきたもの】
上記で挙げたインターンシップ活動をしていくにあたって見えてきたものがありました。それは「家族・友人・恋人とのつながり」の重要性です。
「当たり前なこと」と思うかもしれません。しかし、少なくとも私はインターンをする前まで、これの本当の重要さに気づいていませんでした。
貧困層の人々はお金がありません。食べ物もありません。家もありません。しかし彼らには「家族・友人・恋人」がいます。彼らはそれに感謝し、幸せを感じています。だからこそ、彼らは彼らに比べて多くの物を持っている日本人の我々より、笑い、楽しんでいます。

「世界はすごい勢いで変化」しています。昨日正しかったことが今日は正しくないかもしれません。逆もまたありえます。
去年の今頃、誰がこの新型コロナウィルス感染症の影響を予想できたでしょうか。少なくとも私は予想できませんでした。つまり、この世から「絶対」という考えが無くなってきており、可変的なことが増えてきました。だからこそ私は「不変な物」の重要性が増すと思います。

その1つが「家族・友人・恋人との繋がり」という人との繋がりです。「家族が大切(ちなみに私は生粋のマザコンです。笑)」、「友人が大切」、「恋人が大切」のようなものはどの時代になっても「絶対」に変わらないものだということを、笑顔が絶えない、フィリピン人から教わりました。だから私にとっての大切な物は「人との繋がり」であり、こんな考え方を知って欲しい、ということになります。

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【新しくできた、なりたい自分】
私は海外でインターンシップ活動をすると決めた時、「立場の弱い人々の役に立つことができる人」になることが目標でした。
しかし、インターンシップ活動を通して「立場の弱い人って誰の事なのか」、「自分の環境と相手の環境を比較して、勝手に相手について、立場が弱いと思いこんでいるだけではないのだろうか」と考えるようになりました。

私が出会ったフィリピンの貧困層で暮らす人々は、日々生きていることに感謝していました。お金がなくても家もなくても食べ物がなくても幸せを感じていました。私が思い描いていた「立場の弱い人々」という想像と現実は大きくかけ離れているものがありました。
そして、私は彼らにあって日本人の私たちにないものは「自分らしく生きる」という事なのではないかとも考えるようになりました。

先進国の日本だからこそ「学力」「生産性」「効率性」「経済発展」を求められすぎていて、人が持っている「自分らしさ」を社会に出せていないのではないか。
「自分らしさ」という言葉は他人が決めつけるものではなく、「自分」が決めることなのではないか、ということです。

だからこそ私が今持つ将来の目標は

「人が自分らしさを出して生きていける環境を作る人」

になりました。
その将来の目標を達成するために用いる具体的な方法は明確に決まっていないのですが、人生の目標として掲げ、ライフワークとして取り組んでいきたいと思います。

【最後に】
 長すぎる文章を最後まで読んでくださってありがとうございます。(笑)
最後に私からここまで読んでくださった皆様へメッセージを送れたらと思います。

「自分を大好きになって下さい」

いやいや、「自分は自分のこと大好きだよ」と思っている方、「もっと大好きになって下さい」。そして、「自分の事なんか大好きになれないよ」と思っている方に私の大好きな歌の歌詞を送ります。

人生生きてるだけで丸儲け

嫌なことがあったら逃げても良いと思います。失敗したって良いと思います。
でも、そこで自分をダメな人だと思わないで欲しい、自分を嫌いにならないで欲しい。だって失敗しても逃げても生きてますから。周りの人が自分の事を好きかどうかは分からなくて、コントロールすることもできません。でも、自分が自分を好きになることはコントロールできます。
私は「人は自分が自分を大好きになれば自分らしく生きていける。そして、自分のことを大好きな人が家族や友人のことを大好きになることができる」と信じています。

ここまで読んで下さった方に心から感謝申し上げます。

IKKI