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洋行 前日
6月30日、曇り。
夜中激しい風雨に晒されていた名古屋の路上はもう殆ど乾いていた。平日でも十分混んでいる構内を、重いスーツケースを引き摺りながら新幹線に乗車。
名古屋-小田原間はトンネルであまり景色が見えなかったが、時々顔を覗かせる山に沿った住宅地や靄のかかった海は、旅情を感じるには充分の景色だった。
11時過ぎに品川に到着。うんざりするような蒸し暑さ。
車窓から見える大井町、大森は、どこも工事していた。東京はいつでも工事しているけど、そんなにして最終的にどうなりたいのと、来る度に思う。
前泊した蒲田は、飲み屋街というイメージそのままで、細い路地に入れば雰囲気のいい居酒屋が所狭しと並んでいるし、人の数も負けないくらい多い賑やな場所である。
信濃路でアジフライ定食とアサヒの633を注文。冷凍のアジをオーバースローで油に投げ入れる角刈りの店員が、厨房でショートホープを咥えているような最高の店。
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東京の友人と会う為、新宿へ訪った。名古屋の女子大小路を更に大きく、酷くしたような街。歩く人全員いきりたっているように見える。
歌舞伎町で、中学か高校時分の同級生とすれ違った。異性に異常な執着を抱いていた同級生。ブランド物の小さな鞄をさげ、顔の肌だけ白い男に置いていかれないよう、歩いていた。
旅行に際しての荷造りは、早いうちにと思い思いつ、結局前日の深夜までほったらかしにしていた。日本に居るうちは、どこでも必要な物が手に入るだろうからとたかを括っていたため、なかなか気が入らなかったのである。実際、バスタオルや携帯用の枕など、今日になって持っておいた方が良さそうと思いついた物は全て蒲田で買えたので、困ることは無かった。スーツケースが少し重くなったのは困ったけど。
不要になった荷物は、ドイツに捨てて帰りたい。
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