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WEリーグの観客数と消化試合 

なぜWEリーグは消化試合が生まれるのか

三強の存在とリーグ戦の仕組み

現在のWEリーグは12チームの1リーグ制で行われている。よって昇格もなければ降格もない。特にWEリーグの中では三強と呼ばれるチームが存在する。INAC神戸レオネッサ、三菱重工浦和レッズレディース、日テレ東京ヴェルディベレーザの3チームである。この3チームで今までの日本女子サッカーのタイトルの9割以上を占めるなど圧倒的な歴史と伝統のを持っている。当然、リーグ戦のような総当たり戦では一発勝負のトーナメントと異なり本来の実力通りの結果になりやすい。2021-22シーズンに開始したWEリーグも現在3シーズン目だが上位は決まってこの3チーム。今シーズンは現在新潟が3位に入っており優勝争いに加わっているが終盤まで粘れるかは微妙なところだ。なによりこの3チームは勝点の取りこぼしが少ない。そのため残りの多くのチームはリーグ戦の早い段階から優勝争いから脱落している。

初年度優勝したINACは勝点50で優勝した。4位の千葉が勝点34。INACは16節の段階で勝点35に乗せている。もっと言うと12節の段階で勝点26であり、6位の広島の勝点25を上回っている。全20試合のうち10試合終わった段階で優勝の可能性がなくなっているのだ。2022-23シーズンだと4位の仙台でさえ11試合終了時点で優勝の可能性がなくなっている。シーズンの約半分が優勝の可能性がなくなった試合となっているのだ。

今シーズンはチーム数が12チームに増えた事もあり昨シーズン以上に優勝が潰えるのが早くなる。すでに5位の大宮は残り全勝しても勝点44、浦和が3勝した時点で並ばれる。最短、後2試合で5位以下のチームは優勝の可能性がなくなる。

もちろん、各チーム目標は優勝だけではないはずだ。それでも試合に負けたとしても降格がないリーグだとどうしても消化試合の様な雰囲気は醸し出される。「絶対に負けられない」という試合にはなりにくい。そうなってしまうと、いくら真剣勝負の試合だからと言っても観客増にはつながりにくい。プロ野球で言うところのオープン戦に近い感覚になるだろう。


消化試合を減らすには

リーグを分ける

手っ取り早く消化試合を減らすにはリーグを分ければよい。しかし現在のWEリーグは12チーム。6チームずつ分けるだけではチーム数的にも物足りない。1つの案として挙げるのは1リーグ内に2つのリーグを作る方法だ。前年度の成績により上位6チーム(カテゴリーA)と下位6チーム(カテゴリーB)にまず分ける。そのあとは今まで通りのリーグ戦を行うのだが対戦回数を変える。同カテゴリーとの対戦は3回、別カテゴリーとの対戦は1回にする。それらすべての結果を同カテゴリーのチームと競う。(イメージ的にはプロ野球の交流戦と同じ)そしてカテゴリーAの最下位は自動降格。5位はカテゴリーBの2位と入替戦を行う。こうすればリーグ自体は1つだが上位と下位の2つのリーグが存在しているように感じるためカテゴリーAを目指す昇格の目標やカテゴリーBに落ちないようにする残留目標が生まれやすい。

チーム数を増やす

そもそも12チームで少ないならチーム数を増やせばよい。なでしこリーグを例にしても16チームあれば8チームずつの2リーグ制ができる。では、4チームどうやって増やすか。簡単なのはなでしこリーグのチームが参入すること。現在のWEリーグの参入条件は厳しい。セレッソが今シーズンから参入したが今後さらに参入するチームがあるかと言われると数年はかかると思われる。そこで参入条件の緩和が必須。まず観客数。

これはコロナ前の2019年になでしこ1部に所属していた現WEリーグチームの平均観客数である。新潟や仙台の様に増加したクラブもあるがINACや千葉、長野のように減少しているチームも存在する。

上の表は昨シーズンのなでしこ1部の各チーム平均入場者数である。500人以下のチームが多い中でスフィーダ世田谷のように900以上の観客数を誇るチームも存在する。仮にこれらのチームがWEリーグのチームと対戦すれば相手サポーターの数も現在のなでしこリーグより増えることが予想されるため平均観客数は+100は考えられる。となるとオルカ、スフィーダの2チームは観客数だけで見れば千葉と大きな差がないといえる。また、なでしこ2部でも湯郷Belleやヴィアマテラス宮﨑のように800人以上の平均観客数を記録しているチームもあるため参入の条件としてはクリアとみなしても良い。


Jリーグの秋春制による影響

今後JリーグがWEリーグと同じ秋春制になることでサポーターの取り合いも発生する。現在でも同日に別会場で男女が試合をしているなど両方を応援しているサポーターからすると辛い状況になっている。今後日程が被ることが増える可能性が高い。また日程が被るとJリーグの方に行くサポーターが多いことからWEリーグの観客数減少の要因にもなる。複数のチームだWヘッダーを行うなどの施策を打ち出すものの効果はいまひとつ。さらにスタジアムの使用問題も発生する中で今後日程の決め方についても策を練る必要がある。


おまけ

ホームに強いチーム、アウェイに強いチーム

今シーズン、新潟がホームで全勝中なんです。そこで気になったのでホームに強いチーム、アウェイに強いチームを調べてみました。

WEリーグでのホーム、アウェイの全成績

12チーム中7チームでホームの方が平均勝点が高い結果となりました。その中でもアウェイとの差が大きい広島(0.33)、長野(0.53)、セレッソ(0.33)はホームに強いチームと言えるでしょう。逆にアウェイに強いチームはベレーザ(0.34)、大宮(0.34)でした。サッカーではホームチームの勝率が50~60%と有利な面を考慮するとアウェイで0.3以上も高いベレーザと大宮は特殊な例と言えそうです。

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