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ドイツサッカーの強さの秘訣!!パートナークラブ(クラブ間での育成提携)という存在

はじめに

「クラブ単位で育成する日本」「地域単位で育成するドイツ」の違い。

ドイツにはVereinkooperation(フェアインコーペラツィオン=クラブ提携)というものが存在します。言い換えればパートナークラブという存在です。日本であまりないであろうドイツのクラブ間での育成提携について今回は紹介したいと思います。

パートナークラブとは

日本ではJリーグの下部組織以外で、中学(Jr.ユース)と高校間での一貫育成というのは近年よく耳にするようになりました。しかし、公に行なっているところは少なく、「あのJr.ユースクラブと○○高校は繋がってるらしいよ。」、「あのJr.ユースクラブで活躍すれば○○高校へ入りやすいらしいよ。」といった感じか、指導者同士の繋がりで、「よく○○高校へ進む。」、もしくは高校からすると「○○Jr.ユースからよく来てもらっている。」といった繋がりがほとんどかではないかと思います。

ドイツではクラブ間での育成提携(パートナークラブ)というものが存在し、同年代での選手の交流や移籍などが行われています。主にブンデスリーガのクラブやドイツサッカー協会に認められた Nachwuchs Leistungs Zentrum(NLZ:ナーハブゥフ•ライストゥングス・ツェントルム=育成強化センター)のクラブ が複数の街クラブをパートナークラブとして抱えています。クラブ単位でタレント発掘、育成、強化などを行うのではなく、街クラブと協力し、地域で選手を発掘し、地域で選手と育てるという意識がドイツにはあるように感じます。その一つがこのパートナークラブという存在です。


パートナークラブとなるメリット

街クラブがブンデスリーガクラブのパートナークラブとなるメリットとしては、

・公にパートナークラブと名乗ることが出来るので、クラブとしての信頼度、期待度が上がる。
・ブンデスリーガクラブとの交流(練習参加、練習試合、移籍、指導者育成など)
・ブンデスリーガクラブと共に活動が出来る。 
など

パートナークラブを抱えるメリット

パートナークラブを抱える側のメリットとしては、

・タレント発掘を広範囲で行うことが出来る
・同じ哲学の元、幅広く選手育成が出来る
・選手の移籍先の確保
など


実際の活動について

各クラブによってその活動内容は異なりますが、ブンデスリーガのアカデミーチームへ選手を送り、タレントを育成していくことに違いはないでしょう。

ある街クラブ所属の選手がブンデスリーガのアカデミーから評価は受けているが、アカデミーに在籍していてはチャンスが少ない(良い選手ではあるがまだ実力が満たない)と判断された選手は、一旦パートナークラブに所属し、チームの主力として試合経験などを積みます。シーズン中にアカデミーへ練習参加し、実力のチェックなどが行われ、そこで認められれば翌シーズンの移籍へと繋がります。また、すでにアカデミーに所属している選手が翌シーズンはチームに残れないと評価された場合に移籍先の選択肢としてパートナークラブがその役割を果たします。

選手のみでなく指導者の交流も行われています。アカデミーでアシスタントコーチをしてる指導者がメインのコーチとして経験を積む場としてもパートナークラブがその役割を果たします。

アカデミーには地域や年代に応じたスカウトがいますが、実際にタレントを発掘することやその選手を見に行くに個人では限界があります。そんな時にパートナークラブの指導者などから情報提供をもらうことでその負担は軽減し、目の行き届く範囲が広がります。

また選手個人の練習参加のみでなく、チームとして練習試合も行なっています。


どのクラブがパートナークラブを抱えているのか

今回はヘッセン州フランクフルトを本拠地とするアイントラハト・フランクフルトFSVフランクフルト、ラインラント=プファルツ州マインツを本拠地とする1.FSVマインツ05の3クラブのパートナークラブについて紹介します。

アイントラハト・フランクフルト(2019/20:ブンデスリーガ1部)

・TSGヴィーゼック
・Spvgg.05 オーバーラート
・1.FCエアレンゼー1906

クラブH.P.より

1.FSVマインツ05(2019/20:ブンデスリーガ1部)

・1.FCマイセンハイム
・VfRヴォルマティア・ヴォルムス
・シュポルトフロインデ・アイスバッハタール
・VFBマールブルク
・ユニコーン・サッカーアカデミー
・DJK SV フェニックス・シファーシュタット
・JFV ライン−フンスリュック

クラブH.P.より

FSVフランクフルト(2019/20:4部リーグ ※2015/16:ブンデスリーガ2部)

・TuS マッカビ・フランクフルト
・SG ボーンハイム1945・グリューン-ヴァイス
・SV ヴィクトリア・プロイセン07
・SG エーゲルスバッハ1874

http://www.fsv-frankfurt.de/cms/index.php?id=841

クラブH.P.より

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最後に

ヘッセン州とその周辺には強豪クラブと呼ばれるブンデスリーガのクラブや元ブンデスリーガのクラブが6つ存在します。各クラブがパートナークラブと協力し、選手の発掘や育成などを行なっていますが、育成年代においてはブンデスリーガクラブ間での移籍も珍しくありません。各クラブがそれぞれの役割や立ち位置は把握し、選手によって良い選択肢を与えられるように努めています。

また選手を一つのクラブで抱え込むのではなく、パートナークラブと協力し育成する。時には地域でその選手を育成していく。パートナークラブの存在やその意識がドイツが育成大国である要因のひとつであることに違いはないでしょう。


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