withコロナ時代に考える結婚式の映像価値とは?

皆さんはじめまして、ウィーブの長岡です。
先日、弊社主催のウェビナーを開催いたしましたので、そのレポートをお届けしたいと思います。

初めてのウェビナー企画ということで、参加者が居なかったらどうしようななんて心配をしておりましたが、ありがたいことに多種多様な業種の方にご参加いただきました。

ウィーブでは、『映像』の角度から結婚式に携わる方々のお役に立てる無料ウェブセミナーを全4回お届けする予定にしており、今回のウェビナーはその第1段という位置付けです。
今後もお役立ち情報をウェビナーなどを通じて発信してまいりますので、気軽にご参加ください。

■ウェビナー詳細

開催日:2021年9月30日(木)
時刻:15:00~16:00
主催:株式会社ウィーブ

『withコロナ時代に考える結婚式の映像価値とは?』

-トークテーマ-
・結婚式における「記録映像の価値」について

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安藤 正樹 様 (ファシリテーター)
株式会社リクシィ 代表取締役
佐伯 エリ 様(ゲストスピーカー)
フリーウェディングプランナー
乙田 昌伸(スピーカー)
株式会社ウィーブ 取締役副社長

はじめに

安藤:それでは、今回のウェビナーの趣旨を主催の乙田さんのほうから軽くご説明いただきたいと思います。

乙田:今日は、記録映像の価値や魅力について、改めて皆さんと考える場を設けたいなという思いからウェビナーを開催させていただきました。よろしくお願いいたします。

安藤:ありがとうございます。私もよくブライダル関係のウェビナーに登壇させていただきますが、映像にフォーカスしたものは初めてになります。しっかり役割を果たしていけたらと思います。
また、今日はゲストに佐伯さんをお迎えしております。改めて自己紹介のほうをお願いいたします。

佐伯:皆さんこんにちは。群馬県でフリーのウェディングプランナーをしている佐伯エリと申します。
2002年からウェディングプランナーをしており、来年で20年になります。式場に15年ほどおり、そこでは管理職までさせていただきました。2018年にフリー転向しており、プランナー業の他にもウェディングプランナー向けの学びのプラットフォームの運営や、プランナーとキャプテンの両軸から人材育成のコンサルティングなんかも行っております。
映像は私も大事に思っているので、参加できて嬉しいです。

乙田:私個人はウェディングの業界に入り26年、ウィーブにはジョインして7年目になります。
ウィーブの簡単な紹介をさせていただくと、2000年8月に設立され、もともとはブライダル業界ではなくシステム関係の仕事がメインでしたが、様々なきっかけがあり今ではブライダルに携わっております。
記録映像の事業は始めてから7年目になります。

安藤:私も短く自己紹介させていただくと、リクシィという会社で代表をやっておりまして、結婚式場様向けのコンサルや人材紹介をやらせていただいております。

「想い出プラスMovie」とは

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安藤:今日は様々な方に参加いただいておりますので、冒頭では、想い出プラスMovieとはどういったサービスなのかをシェアしてから始めたいと思います。それでは、乙田さんのほうからお願いいたします。

乙田:本当に話すと1時間終わってしまうので、ざっくりご説明いたします。
想い出プラスMovie
・記録映像(一般的に挙式から披露宴まで)
・無料で撮影(新郎新婦様にも、会場様にも費用がかからない)
・後からサンプルを見て購入
といったサービスになります。
近年、記録映像の代わりにエンドロールをご注文される新郎新婦様が増えており、どこの会場様でも記録映像の販売率は20%ほどに留まることがほとんどです。しかし、そもそもエンドロールと記録映像の価値や魅力は全くの別物です。
そのため、記録映像を買わなかったことで後悔されるお客様が非常に多くいらっしゃいます。
こういった後悔をされるお客様をゼロにしたいということで事業が始まりました。
今では、250を超える会場様でご導入いただいております。

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安藤:すごいですね。250会場を超えるということですが、佐伯さんが会場でプランナーをされていたときは想い出プラスMovieはまだなかった時代ですか?

佐伯:式場には2018年までいたので、産まれてたかもしれないですけど、出会っておりませんでした。

記録映像の価値について

安藤:私も前職で結婚式場で役員をやっていましたが、記録映像フォーカスの話というのはそんなにしてなかったなと。
撮っておいたほうが良いというのは感覚的には分かるのですが、そこにどういった価値があるのか、結婚式場で扱うに当たってどういったポイントがあるのかお伺いしていきたいと思います。

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佐伯:記録映像って意外と結婚式の歴史としては昔からあって、親御さんの世代では撮るのが当たり前でした。
当日残るものと言えば、写真かエンドロールかこの記録映像だと思いますが、記録映像はこの3つの中でも格段に情報量が多く、そこが一番の魅力だと思います。
また、記録映像は見返すことで、断片的な記憶を補完してくれる、より強固なものにしてくれるといった役割があると思います。
逆にこのSNSの時代に、写真というのは手に取りやすく手軽に友人に見せるという点で魅力的ですね。

安藤:写真の場合、写っているものの中で何がメインで何がサブか決まってきますが、映像だと良い意味で混じってきますよね。見返した際にそこが自然に入ってくることで、文字通り記憶が記録されていくように思います。
乙田さんどうですか。

乙田:ほとんど話していただいたとおりです笑。
他の事例ですと、あまり縁起の良い話ではありませんが、結婚式を終えられてからも買うつもりはなかったお客様で、来席されていた親族の方が亡くなられて、ご生前のお姿が残っている映像が欲しいということでお問い合わせいただいたこともあります。
こういった映像が欲しい瞬間がいつなのかというのは、人それぞれでなかなか難しいですが、いずれ、必ず見たくなる瞬間は来るのではないかと思います。
また、緊張していたり、中座の間に見られなかったゲストの様子などが、記録として残っているところも記録映像の魅力であり価値だと思います。

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(実際に届いたお客様直筆のアンケート)

安藤:私も今の奥様と結婚式を3回やっているのですが、記録映像を見ると、こういうことが起きてたのかという驚きが毎回あります。
他にも、親御様が見られるというケースも多いでしょうか。

乙田:我々のサービスで言うと、親御様が何らかの形でご購入に関係されているケースが7割ほどあります。

佐伯:自分たちにとっても、親御様にとっても共通の思い出の記録として、記録映像があるっていうのはいい事ですよね。

安藤:先程の乙田さんの話をお伺いしていて、父が話している姿を残しているのは、結婚式の記録映像くらいだなと思いました。

乙田:あえて残すということはなかなか無いですね。
記録映像をお子様や、お友達に見せるということは、結婚式への憧れといったような観点から、文化の継承において非常に大きな価値がありますので、今一度、業界全体で価値を認識していただければと思います。

イラスト_家族でビデオ鑑賞

受注について

安藤想い出プラスMovieは買うかどうかは結婚式の後に決められますが、一般的な記録映像は結婚式前に決めることが多いですよね。
そこで、打ち合わせの際にいかにお客様に価値をイメージしていただけるかが大事かなと思いますがいかがでしょうか。

乙田:プランナー様の力は非常に大きいと思います。
事前にご注文いただく記録映像が売れないということは、我々の撮影が増えることにも繋がりますが、一旦、そこの部分は置いておいて、記録映像全体をきちんと販売できるだけの説得力がプランナー様にあると、業界への影響力も大きいのではないかと思います。

安藤:文化として伝承されていくわけですものね。
私が乙田さんのお話でびっくりしたのが、記録映像の受注率が20%しかないというお話がありました。

乙田:30%超えていたら凄い努力されていると思います。稀に50%超えていますというような会場様もいらっしゃいますけどね。

安藤:佐伯さんの肌感覚でもそのぐらいですか?

佐伯:昔のほうがご提案しやすかったというのはあります。私が企業に勤めている間に売り方も変わってきたなというのは感じています。

安藤:スマートフォンの影響も大きいですよね。

佐伯:そうですね。皆さんお持ちなので大きいですね。

乙田:私も2回結婚していて、1回目のときは映像は残したのですが、写真は頼みませんでした。友達に撮ってもらったのですが、いざ現像してみるとポンコツみたいな写真ばかりでした。当時はインスタントカメラを使っていましたので、今とは時代が違いますからスマートフォンでもそこそこのクオリティのものが撮れるとは思いますが、やはりプロのカメラマンさんが撮られる写真は違います。

安藤:2回目はどうされましたか?

乙田:もちろん全部、頼みました。

イラスト_ゲスト2名

音楽について

安藤:佐伯さんから見て受注のところというのは、単純に売れれば良いということではないと思いますが、ポイントというのはございますか?

佐伯:プランナー側で言うと、先ほどのご提案方法が変わってきたというところで音楽著作権の問題があります。音楽が差し替わってしまうということで躊躇されるお客様が多いです。それを凌ぐ価値をプランナーが伝えなきゃいけないと思います。
それと同時に、全国のウェディングプランナーの代表として言いますが、差し替わるフリー音源がおしゃれであれば問題ない、ご提案しやすくなると思います。そこは作る側の皆様と一緒に、良いものにアップデートしていけたらいいなと。

安藤:良いお話を頂きました。差し替わった後の音楽というところが一つテーマになりますね。これに関して映像会社さんを代表して乙田さんからコメントをいただければと思います。

乙田:我々の場合は基本的に差し替えになってしまいますが、お客様からのご希望があればオプションとしてISUMに申請して、使用できる楽曲を全て入れますということをやっております。それでも一部、使用できない楽曲というのはございますが。(※音楽を差し替える場合、使用する音楽はお任せいただいており、ご指定は承っておりません。オプションをご注文の場合はISUMリストにある楽曲のみ、現場音のまま収録いたします。ISUMリストにない楽曲については別の音楽に差し替えをいたしますが、その場合も、使用する音楽をお選びいただくことはできません)

佐伯:洋楽がすごくハードルが高いですよね。他にも、ISUMの中に欲しい楽曲がなかったというパターンもありますので、色々な方向からアップデートが必要かと思います。

安藤:ちなみに、ISUMの申請を行うというのはどこの会社さんもされているのですか?

乙田:やってるところがほとんどだと思います。

佐伯:追加料金がかかりますけどね。

乙田:我々の中でも音楽の部分は非常に大事にしており、毎回、映像関係の会議の中でも必ず議題に上がります。どのような形にすればお客様により良い形で商品をご提供できるか、常に注力しております。

撮影について

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安藤:それでは、撮影や編集のポイントなど式場様の観点でどういったところを重視すべきかなどお伺いしたいと思います。

佐伯:やはり、新郎新婦様が後からご覧になられて嬉しいのは、エンドロールには入ってこないゲストの方々からのコメントがあります。
撮影の際のポイントで言うと、ゲストの方にインタビューする際にいきなりお声がけするのではなく、場作り、雰囲気作りをすることで、より良いコメントが撮れると思います。
そういったインタビューのための訓練も、映像会社さんにお任せするのではなく、会場全体が一体となって、どのような映像を2人の未来のために残すのかという取り組みがあればいいですね。

安藤:どういった質問が良いか、例などございますか?

佐伯:具体的な例はすぐには出てこないのですが、インタビューの際にいきなりメインになる質問をしてしまう人が多いので、その前に1つ、2つ温度感を高めるための質問ができれば良いと思います。初めからカメラを構えてしまうとハードルが高くなってしまうので。

安藤:いきなりコメントしてくれって言われても難しいですよね。そういった切り口の取組みというのは想い出プラスMovieではされてらっしゃいますか?

乙田:我々のサービスでもゲストコメントはかなり重要視しております。60~70名様の規模の結婚式であれば、可能な限りゲストの方、全員からコメントを頂くようにしております。
インタビューの部分では現在、弊社の撮影に協力してくださっているビデオグラファーさんが全国に580名ほどいらっしゃいます。もちろん、その中にはインタビューが得意な方とそうでない方がいらっしゃいますので、我々が定期的に開催している講習会のほうでノウハウの共有や、情報交換の場を設けさせていただいております。
こちらの講習会はコロナ禍ということもあり、オンラインで開催しております。

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(コロナ前に行われた講習会の様子)

質疑応答

安藤:視聴者の方よりいただいた質問を取り上げさせていただきます。
「受注率50%について質問です。ホテル、式場、ゲストハウス、レストランと分解するとどのカテゴリが良い、悪いというのはございますか。また列席者の人数は関係しますか?」

乙田:若干の上下はありますが、あまりカテゴリで良い、悪いというのはないですね。

安藤:人数の点はいかがでしょうか?

乙田:ゲストコメントが減ってしまうとご購入には至らないだろうということを想定しており、元々は30名様以上の結婚式しか撮影に入らないという形を取っておりました。
ただ、コロナ禍ということもあり、少人数で結婚式をされる新郎新婦様が増えておりますので、現在は人数に関係なく撮影させていただいております。
気持ち程度、受注率は下がる印象です。

安藤:逆に受注率の差はどこで出ますか?

乙田:会場様によって良い、悪いということはあまりなく、逆に突出して良い会場様というのはございます。
プランナーの皆様が映像についてのお客様へのアプリーチに力を入れてらっしゃるのではないかと思います。

安藤:「DVDプレイヤーが無いからと断れるケースも多いのですが、そこへの切り返しはどうしたら良いでしょうか?」
こちらについて佐伯さん、いかがでしょうか?

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佐伯:それはデータ納品も併せてできたら良いですよね。

安藤:データ納品はないという形のサービスも多いものですか?

乙田:多いでしょうね。

佐伯:両方欲しいですけどね。そのほうがご提案しやすいと思います。

安藤:「今、お付き合いのある映像会社さんとコラボしてアフタームービーを提供することは可能でしょうか?」
コラボの内容にもよるかと思いますが、乙田さんいかがでしょうか?

乙田:既にさせていただいているケースもございますので、コラボの仕方にもよりますが、可能だと思います。

安藤:「親御様からコメントを頂くときの良いお声がけをご教授いただけると幸いです。」
ということですので、佐伯さんからお願いいたしっます。

佐伯:一番、大切なのはタイミングだと思います。
気持ちも忙しいし、披露宴中だと気を回してることもあるので、気持ちに余白のあるタイミングが良いですね。

安藤:実は結婚式が終わった後が良いかもしれないですね。
乙田さんからございますか?

乙田:インタビューするタイミング、内容は社内や講習会でも話題に上がってきます。内容というよりは、どういった空気感で聞くかが大事だと思います。

安藤:タイミングと入り方で決まるということですかね。

提案について

安藤:こういった提案が大切だよねというところがあれば、ざっくりとですか佐伯さんにお伺いしていきたいと思います。

佐伯
:そんなことって思われちゃうかもしれないですけど、自分の言葉で真っ直ぐに体験談を伝えられるかどうかだと思います。今は、自分の娘が私の結婚式の映像を初めて見たときの体験談を伝えていますが、まだ結婚もしてない、子供もいないときには、上司から教わった上司の体験談を伝えていました。
私の体験談をお伝えして、結婚式の当日に思いがけないことや面白かった出来事があったとしても、丸ごと記録として未来に持っていけるのが記録映像の価値だというところが伝わることで、撮りますというお客様が多かったです。

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安藤:記録映像を撮っていて良かったというエピソードをきちんと持っておくのがポイントですかね。

佐伯:記録映像が自分の人生に何をもたらしてくれたのかというのをしっかり伝えられると、お客様も価値を理解してくださると思います。
セールスをするって怖いことで、売るって悪いことのようになりがちなんですけど、そうではなくて本当に必要なものだと、価値を伝えるのが私の義務だと感じました。

安藤:「インタビュー中にイベントが進行してしまい、会場様と揉めてしまうような方へうまいアドバイスをお願いします。当人は良いものを作ろうという情熱にあふれているがゆえだと思います。」
最後に幾つかコメント頂いてもよろしいでしょうか?

佐伯:当日のミーティングなどになると思いますが、きちんと確認することですかね。
後はキャプテンや司会者さんとのコミュニケーションですね。個々の仕事をするのではなく、全体で作り上げるものなので。

安藤:「記録映像の打合せをする際に、最初から見ないから要りませんと言われ、切り返しの言葉が見つかりません。そのような場合、どのように展開すれば良いでしょうか、押し売りにならないトークなどご教授いただけると幸いです。」
というご質問を頂いております。

佐伯:私は、どんなに好きな映画でも毎月は見ないですよね、結婚式の映像って頻繁に見ることだけが価値じゃないと言っています。
何かの折に出してきて見ることで、記憶が蘇ってきたり、そのときになって新たに感じることがあったりするものです。
映画と一緒で、頻繁に見るためのものじゃないんだよってお伝えしています。

イラスト_新郎新婦

結びに

皆さん、最後までお読みいただきありがとうございました。

1時間ちょっとの対談ではありましたが非常に濃密な内容で、様々な観点から記録映像について考えられる機会になったのではないでしょうか。
今回のウェビナーが少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。

今後も、結婚式における『映像』について情報発信していければと思います。

次回のウェビナー

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開催日:2021年10月21日(木)
時刻:15:00~16:00  
主催:株式会社ウィーブ

『withコロナ時代に考える結婚式映像における組織マネジメントとは』

-トークテーマ-
・「組織マネジメント」について

安藤 正樹 様 (ファシリテーター)
株式会社リクシィ 代表取締役
森木 岳明 様(ゲストスピーカー)
株式会社目黒雅叙園 副総支配人 営業本部長
乙田 昌伸(スピーカー)
株式会社ウィーブ 取締役副社長

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