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withコロナ時代に考える結婚式映像における組織マネジメントとは

■ウェビナー詳細

開催日:2021年10月21日(木)
時刻:15:00~16:00
主催:株式会社ウィーブ

-トークテーマ-
『withコロナ時代に考える結婚式映像における組織マネジメントとは?』

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安藤 正樹 様 (ファシリテーター)
株式会社リクシィ 代表取締役
森木 岳明 (ゲストスピーカー)
株式会社目黒雅叙園 副総支配人 営業本部長
乙田 昌伸(スピーカー)
株式会社ウィーブ 取締役副社長

はじめに

安藤:それでは簡単に自己紹介をお願いいたします。
乙田:株式会社ウィーブの乙田です。婚礼業界27年目です。ドレス業界に20年、ウィーブにジョインして7年になります。根っからのウェディング馬鹿と言われる人間ですね笑

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安藤:笑!ありがとうございます。それでは、今日のメインゲストの森木さんです。よろしくお願いいたします。
森木:東京目黒にありますホテル雅叙園東京の森木です。我々もコロナ禍で非常に厳しい1年を過ごしてまいりました。そんな中でオファーを頂いた際には何がお話できるのかなと思っていましたが、新郎新婦様へ向けての良い取り組みを広めながら、各社が成功体験を積めたらと考えています。
安藤:ありがとうございます。新しい取り組みに際して、プランナー様のマネジメントをどのように進めていったら良いのかなど、そういったところ深くお話を伺えればと思います。

「想い出プラスMovie」とは

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安藤:まず、想い出プラスMovieと今回のセミナーの趣旨についてご紹介をお願いいたします。
乙田:想い出プラスMovieは
・記録映像(一般的に挙式から披露宴まで)
・無料で撮影(新郎新婦様にも、会場様にも費用がかからない)
・後からサンプルを見て購入
といったサービスになります。
エンドロールや写真をご購入されるお客様が増える一方で、予算の関係もあり記録映像をご注文されるお客様は減っています。とはいえ、購入しておいたら良かったということで、結婚式が終わってから後悔されるお客様が非常に多いのも事実です。
つまり、会場様からすると売り漏れになりますし、お客様からすると後で欲しくなっても二度と買えない商品ということになります。
後悔されるお客様をゼロにしようということで始まったサービスが想い出プラスMovieであり、2年間ほどトライアルして大赤字を出しながら仕組み作りに試行錯誤し、半分ほどのお客様に買っていただけるようになりました。

本日は、実際に弊社のサービスを導入いただいている雅叙園の森木様から生の声をお届けすることで、何か皆様の参考になればと思います。森木さんからは厳しいお言葉があるかもしれませんが、お手柔らかにお願いいたします。笑

雅叙園様でのサービス導入について

安藤:森木さんは実際にホテル雅叙園東京で想い出プラスMovieを導入されているんですよね?
森木:サービスを導入してから3年、4年近くになります。ウィーブさんは引出物の事業をされていた経緯でお付き合いがありました。乙田さんが新しい事業をされるということでお話を伺いましたが、業界のこれまでの仕組みと違ったサービスだったので、当初は本当に売れるの?という感じでした。

安藤:最初不安に思われた中でも導入されたのは、乙田さんの素晴らしい提案力の賜物ですか?

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乙田:いやいや、そんなことないと思いますよ笑
森木:そのとき既に他ホテルでも実績がおありだったので、我々も納得感を持って導入いたしました。


安藤:契約導入後、お客様へのご案内が活発なケースとそうでないケースというのがあるとお伺いしております。雅叙園さんの場合はスタートはどのような形でしたか。
森木:実際にサービスをお客様にご案内するのは我々ではなくプランナーです。どのようにご案内をするのかといった仕組み、雰囲気を作っていくのが我々の仕事になります。
当初は、新しい記録映像の商品という程度にしかプランナーの目には写っていなかったように思います。当時、既に記録映像の業者さんと2社ほどお付き合いがありましたので、3社目みたいな感覚だったようです。今から考えると、あまり力を入れられていなかったようなところもあるとは思います。

安藤:そういった導入直後の会場様に対して、乙田さんのほうから働きかけることなどありましたか?
乙田:改めてプランナー様向けに再説明会をしてサービスをご紹介したり、我々の実績をベースにマネージメントサイドの方と打ち合わせをしつつ目標設定をしたりしました。プランナー様にできるだけ負担のないような方法を常に模索しています。

安藤:雅叙園さんの場合、スタート時は何割くらいの方から撮影の許可をいただけていたのでしょうか?
森木:当初は10%いくかいかないか程度でした。
安藤:今ではどのくらいですか?
森木:今は50%から60%くらいの方に撮影の許可を頂いています。


プランナーの意欲を上げるために

安藤:もとともと10%だったところから50~60%まで上げられた秘訣などお伺いできますでしょうか。
森木:一番良かったと思うのは、ご購入いただいたお客様からの感想をレポートにまとめて共有いただいたことだと思います。プランナーの意欲を駆り立てるのは、やはりそういったお客様の声なんだというところを再認識いたしました。

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(実際に届いたお客様直筆のアンケート)

また、コロナ禍で結婚式の少人数化が進んでおり、当然売上も減少傾向にあります。その中で気をつけていたのは、ただ単価アップということではなく、本当にお客様にとって価値のあるものを紹介しようということで、2018年の終わり頃から積極的に取り組んできました。想い出プラスMovieはその取り組みのうちの1つです。
他にも、プランナー全員とのミーティングの中で、月次で送客実績を共有するようにしています。そこで案内がうまくできているメンバーの成功体験を共有して、目標管理を行いました。

森木:結婚式は、当日を迎えるまでは新郎新婦様には目に見えないサービスであり、そういう意味では、想い出プラスMovieは確認してから買えるのですごく画期的なサービスです。これをお客様に紹介しない手はないということで、全員で、「このサービスはお客様のためになるサービスだ」という認識を合わせました。
売上重視、単価重視だとプランナーは値段だけでお勧めしてしまいますが、値段と共にしっかりとその価値をわかっていれば、色々な選択肢をお客様にご提案できます。

安藤:森木さんのマネージメントの方針とお客様の声が相まって、プランナー様の理解が一気に進んだということですね。
森木:そうですね。「撮っておいたら良かった」というのは売り文句のように聞こえますが、現実としてお客様の声としてたくさん上がってきたものですから、プランナーとして新郎新婦様が後悔されないようにという思いが強くなっていったのだと思います。

安藤:導入後、スピーディに進むということもありますか?
乙田:トップダウンで行われるというケースも中にはあり、その場合は早いです。半ば強制的にスタートしたサービスだったとしても、お客様の声の聞いているうちに、これは価値のあるサービスだよねという認識を持っていただいているように思います。映像のことだけでなく、結婚式自体に対するうれしいお言葉も多いので。
安藤:やはりお客様の声は大事ですね。とはいえ数字重視の会場様もあり、会場のスタイルに合わせてスピード感をもって新しい取り組みを進められればよいですね。

画像_ブーケ握る新郎新婦

結婚式の映像の価値はどう変化しているのか

乙田:今、結婚式をされるお客様が減っている中で、結婚式の映像を残しておきたいと思っていただけるお客様が増えていることはすごく嬉しく思います。
安藤:森木さん、コロナを経てお客様への提供価値の変更はありましたか?森木:当社も2020年は約1000組が式を延期されました。そんな中、苦渋の決断で結婚式を決行された方も多く、そのような状況で来ていただけたゲストには心から楽しんでいただきたいという思いを強く持っていらっしゃいます。トレンドとしてのゲスト思考ではなく本当の意味で楽しんでほしいという思いです。そのため、料理や飲み物のは単価アップしています。想い出プラスMovieは「撮っておいてよかった」という商品ですが、ご新郎ご新婦からすると「結婚式をやっておいてよかった」という思い。これが想い出プラスの受注に繋がっているという気がします。また、事前の記録映像が下がっているかというとそうではなく、映像全体の売上が上がっています。

「安心感」が求められる時代に

森木:今は業界問わず「安心感」がキーワードになっています。両親やゲストに安心してもらいたい。想い出プラスMovieに関してはサンプルを見てから買えるという点が安心感を担保できているのだと思います。
安藤:たしかに、そういう意味では時代に合ったサービスですね。乙田さん、コロナ禍で導入会場や撮影数は増えましたか?
乙田:撮影数は2019年(コロナ前)の150%~160%くらいになっています。お客様やプランナー様の中で記録映像の価値が上がってきているのだと思います。もちろんご新郎ご新婦様にとって予算の問題は難しく、どれかを削るかといえば映像になりがちですが、ご両親がご購入に絡んでいるパターンがとても多いことがデータにも出ているんです。

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(親御様の購入比率は約30%)

森木:最近のトピックとして親御様のご購入が多いという声は現場からも上がっています。想い出プラスMovieのカメラマンは、ちゃんと親御様にも説明をしてくれます。親御様も、娘さん息子さんに対して、「こんなときによく頑張って式を挙げたね、せっかくだから買っておこうね。」という気持ちをお持ちなのだと思います。また、従来の後売りビデオはチャペルの固定カメラなどだったんですが、想い出プラスMovieは重要なシーンがプロの視点できちんと抑えられているんです。ここも安心感に繋がっています。

「お客様の声」の素晴らしいところ

安藤:最後に、新しいものを現場で取り入れていく際の現場への落とし込みについて、もう少し詳しく教えてください。もしタイムマシンがあったら、森木さんは過去に戻ってどのような落とし込みを行いますか?
森木:想い出プラスMovieの実績を確認すると、1月~10月で送客率は60%、購入があったのは40%。現在は取引先の中では悪くないと思います。
もしタイムマシンがあるなら、間違いなくお客様の声をもっと早い段階で共有していますね。
安藤:やはりそこですか。前回も似た話が出て、お客様の声や体験をプランナーが語れることは大事という話になりました。
乙田:元々サービス向上のためにお客様の声を集め始めたのですが、ビデオグラファーのモチベーションアップにも繋がっています。彼らが撮影後にお客様の声を聞くことは少ないですから。

安藤:ここで森木さんに来ている質問をご紹介します。

質問:プランナーに対するインセンティブは行っていますか?もしくは表彰制度など。

森木:インセンティブは取引会社さんから提案をいただくことも多いのですが、一切行っていません。その代わり、実績は皆で共有し、称えることをしっかり行っています。プランナーに長く働いてもらうためには、お金ではなく、実績管理やお客様の声でやりがいを高めていくことが大事だと考えています。

安藤:なるほど。ところで、お客様の声を他のサービスなどで詳しく知ることはありますか?
森木:結婚式全体へのアンケートはありますが、単体のサービスでは想い出プラスMovie以外はないです。よくセールスで他社の会場でのお声を共有してもらうのですが、やはり実際の自分たちのお客様のものの場合は捉え方が違います。
安藤:そうですよね。それぞれの項目を詳しく聞いてると質問項目がものすごい数になっちゃいますもんね笑
森木:我々としては、なぜ「要らない」とおっしゃっていたのに「欲しい」と思われたのか?が知りたいわけです。
乙田:私はお客様の声は「四方良し」な取り組みだと思っています。
プランナー様の記録映像への考え方が変わってお客様へ積極的にお勧めをすると、事前映像も売れるので、他の映像会社様も幸せになります。お客様も「残せてよかった」という思いになっていただけますし、我々もたくさん撮影機会をいただけます。

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まとめ

安藤:さて、ここまでの話をまとめると、結婚式場で現場と新しい取り組みを始める際に大切なことは、「何を提供したいのか」や「お客様からのニーズは何なのか」というものが大きな幹として存在して、そこにお客様の声や目標管理、表彰などによって葉っぱがついて一本の木が施策として完成され、結果として売上という実がなるようなイメージなのかなと思いました。森木さん、合っていますか?
森木:そうですね。そこの幹の部分がないと、現場スタッフも何をしたらいいのかわからなくなってしまいますしね。

安藤:ですよね。それでは、最後に一言ずつお願いします。
乙田:森木さんとこんなに長い時間、想い出プラスMovieやその他のことについて語り合ったことはなく、とても勉強になりました!パートナーと会場が、その先のお客様のために何ができるか?ということを真剣に考え、どんどん新しい発想をしていかなければいけないと思いました。
森木:今日はありがとうございました。コロナで大変な中でしたが、実は我々は、結婚式だけでなく「前後のタイムライン」を強化しようという取り組みを進めています。つまり、前撮りや記念日のお食事で喜んでいただくなど、結婚式の前後のタイミングにおいて本当にやるべきことをやれていなかったかもしれないなと。
婚礼のお客様と、生涯顧客としてずっとお付き合いするためにどうしたらいいか、真剣に向き合うときが来ていると思っています。皆さん、まだまだ苦しい状況とは思いますが、今しかできない取り組みをしっかりして、来年に備えましょう。今後も一緒に業界を盛り上げていきましょう。

次回のセミナーは、森木さんの盟友でもある、VIVACEst の衣川さんです!映像の提案方法について、とことん深堀りする予定です。
皆様、ぜひご視聴ください!

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