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【大分】2020年シーズンレビュー 〈選手編① ~GK&DF編~〉

あけましておめでとうございます。
本年もそこそこくらいで朽ち果てないように生きていきます。スタジアム行きてぇ~!

ぼやき終わり。切り替え!トランジッション!!!!

選手総括の第1弾。GK&DF編、スタートです!

2019シーズンの選手振り返りはこちら
GK編
DF編

GK
1.高木駿(17試合1530分)

復活のギー

2020年。高木駿の序盤はいつもとは異なっていた。
開幕のルヴァン杯でハイボールの処理をミスってPK献上。7~8月は名古屋、清水、鹿島の3試合で11失点。不動の守護神は古巣川崎F戦からスタメンの座をムンに明け渡してしまい、カップ戦のメンバーに回される。
そこから1ヶ月半ほど空いた25節浦和戦からスタメンに返り咲くと、最終節こそベンチになるったがリーグ戦の半分でゴールマウスを守り続けた。

高木がスタメンから外れたのはコンディション不良のせいだろう。チーム状態も悪く、課題のハイボールがさらけ出されてしまったり、高木本人もビルドアップで「決め打ち」が多く、容易にカットされる場面が多くあった。

ある種納得のいくベンチ落ちではあったが、ここからが高木の凄い所。ベンチからでもムードメーカーとしてチームの雰囲気づくりに大きく貢献。

試合前のアップだろうか。めっちゃカメラ目線でサムズアップ。このベンチ入ったからには自分よりもチームのために、みたいな振舞いってなかなかできない。ピッチ外でも頑張れる選手は応援したくなるよなぁ~。
去年から比べると出場機会が半分になり、悔しいシーズンだったはず。でもそれ以上に、高木駿って人の魅力がたくさん感じ取れたシーズンだった。

22.ムンキョンゴン(17試合1530分)

大きな背中

2019年、4番手だったGKが高木からスタメンを奪い、ゴールを守る。4年前に韓国から日本に来て、一生懸命日本語を覚えて。なかなか陽の目を見ることがなかった選手が、GKって1枠しかないポジションで日本のトップリーグでプレーできたこと、そしてそれが大分だったことが本当に良かったなぁ……って思う。そして周りがどうこうではなく、本人が実力で掴んだポジションってのが本当に凄い。
チームが絶不調だった9節川崎F戦からスタメン。ムンの良さはハイボールの処理能力の高さと、高木とは違ったビルドアップができる事だろう。
ハイボールの高さ、強さは身長や腕の長さもあるが、ステップワークだったり空間認知の力が必要で、そこがまず上手い。そしてゴール前の混戦で思ったより身体が伸ばせなくても面を作ってブロックしたり、キャッチではなくパンチングに切り替えてるみたいな判断も良かった。
ビルドアップではDFラインに入り込み、前でゲームを作る高木とは違い、ゴールマウスからの飛び出しは控えめながらも的確に味方にボールを付けられた。そして、飛び出さないということは相手FWにコースを切られながらプレッシャーをかけられるという事。そんな場合であっても慌てず、相手を引き込んでパス。ギリギリまでパスコースを読ませない事においてはムンの方が上であった。

このGKのビルドアップにおけるスキルの違いは片野坂監督の戦術の幅を広げた。相手FWがGKまでプレッシャーにくるならムン、一度ブロックを作るのを優先するなら高木、みたいな使い分けで考えていたはず。そこまで使い分けができる!と判断させるほどムンは積み上げてきた。ゴール前にムン。それを後ろからみれたらきっと背中が大きく見えただろう。現地でしっかりみたかった……

今年は兵役の関係で大邱FCに移籍。1on1のシュートストップを磨けば、これからもっともっと良い選手になるはず。いつか韓国代表としてゴールマウスを守るムンキョンゴンをみたい。本当にありがとうございました。

44.吉田舜(0試合0分)

すきっ歯

大卒初年度から群馬で正GKを務めた吉田だったが、大分ではベンチ入りこそあれど、リーグ・カップ戦共に出場はゼロ。悔しいシーズンとなった。
ライナー性のパントキックは一見の価値あり。厳しい大分のGKトレーニングを積んでピッチで輝く姿をみたい。(すきっ歯くらいしか絞り出せんかった。ごめん)

42.勝木翔也(0試合0分)
※2種登録

ユース所属のGK。去年はユースの試合を観に行けたけど今年はそもそも昭和電工ドームにすら行けず……無念。見たかったぞ……
おそらく進学。追う。

DF
2.香川勇気(16試合1239分/2A)
LWB,CB

魅惑の左足

あらやだ!イケメン!それでいてサッカーが上手い。ズルいぞ!なんか分けろ!

2020年、片野坂トリニータにとって最重要だった左利きのWBとして加入すると、綺麗なキックフォームからピンポイントで前線へ繋げるクロスをみせるだけでなく、意表を突いてシャドウにスルーパスをしてみたり。守備ではちゃんと戻れる機動力と球際の強さに加え、地味にヘディングも強かった超人。左の香川-三竿のホットラインはそれまで大分の売りだった右サイドを上回る出来であった。
1回だけ出た左CBでは、思ったよりもアングルを作れずにバックパスおじさんと化したが、それもお茶目に見えるくらいバチボコにWBでハマっていた。
後半戦は怪我で離脱。彼の復帰が最大の補強だ。

3.三竿雄斗(34試合2748分/3A)
CB,LWB

1人2役の3竿

上手いこと言えました(満足)
2020年、チーム唯一の全試合出場をした三竿。本当にお疲れ様でした。MVPです。
2年目となった2020年はフル稼働をして怪我がちな印象を完全に払拭。左CB、左WBと2つのポジションを器用にこなした。
局面を変えるのが上手く、試合の流れがわかってる選手。今年、彼のプレーで唸ったのは引き出しの多さだ。フリーなら持ち運べるし剥がせる。同じサイドにスルーパスだけでなく、背後を突いて逆サイドのWBに振ってみたりと前を向けばなんでもできるのに加え、ゴールを背にしてのプレーも上手かった。
サイドで詰まって逆サイドに作り直し……ゴールに背を向けてCBやGKに戻す場面がよく見られるが、たまーに意表を突いて左足アウトサイドで弾くようにボランチに付けてプレッシャーにきた相手の背後を突く。これがタイミングといい精度といい本当に上手い。プレスにくる相手選手も「まぁ下げるやろ」って油断してる所を出し抜く狡猾さは上手い選手じゃなきゃできない。相手のプレスの「矢印を折る」プレーができる三竿雄斗。上手い。今年は3ゴールくらい決めてくれ~!

5.鈴木義宜(33試合2970分)
CB

ハイスタンダード

守備職人、カイザー・ノリ。
今年も凄く身体を張ってくれたし、凄く繋いでくれるし、凄くキャプテンだし?頼れる守備職人、という評価は確固たるものだった。警告も3枚とクリーンだし、脳震盪でドクターストップのかかった32節札幌戦以外の全ての試合にフル出場。鉄人・ノリ5号といったところ(ガシャーンガシャーン

凄く高いレベルでの、まさに不動のCBであった。が、昨年と比べると、その高い平均値が故にあまり変化がない1年でもあった。トーマスデン(浦和)みたいにCBからシャドウにパスをズバズバつけるような戦術的変更もなく、裏へサイドへ相手を引き付けながらプレスの矢印をひたすら折る。当たり前を当たり前にこなしてしまうからこその絶対的な信頼。大分の守備の顔と言えば、まず鈴木義宜。それは、とても幸せな事ではあるが、裏を返すとそれは、今以上が望まれない、とも言える。
プロは厳しい。安泰は衰退だ。今は自分以上が居ないかも知れないが、もしその上位互換が来たら?という一般人には想像もつかないプレッシャーと戦い、日々勝ち抜いているからこそプロのサッカー選手なのだと思う。
大分でやれることは全てやれた。だからこそ、新しい環境を選んだのだと思う。クラブとしてのステップアップがどうこう、ではなくプロサッカー選手、鈴木義宜としての判断。J3から共に駆け上がり、移籍金も残してくれた。それでも引き留める理由があるか、と言われると無いと感じる。大分でバンディエラ、という選択肢でなく新たな挑戦。移籍先がロティーナ清水ってのはとっても面倒だけど鈴木義宜のチャレンジをこれからも見ていきたい。ありがとうございました。

15.小出悠太(14試合791分/3A)
RWB,CB

サイドの狂戦士(バーサーカー)

大分トリニータ甲府支部(クソ失礼)から来ていただいたバーサーカー。サイドでバタバタして球際でバチバチして、なんか目がイッちゃってる感があった。いつも背中に火ィついてんのか?ってくらい忙しなかったけど馬力はあるし体力はあるし、ちゃっかり3アシストしてるしとりあえずは器用なんだろう。
加入時のイメージは義宜的な寡黙な守備職人だったので未だになれない。CBの時はドタバタ感3割増でよくわからんうちに前向いてる!?みたいな不思議な選手。今季はドタバタからCKのこぼれ球でもいいから決めてほしい。セットプレーェ……ダイジィ……

星雄次(10試合550分)
LWB

キラリ輝く

あざとかわいいが定着して3年。すっかりチームに馴染み、伊佐やさんぺーからのハイプレスをほっしゃんスマイルで往なす(たぶんあんま聞いてない)星は契約満了となった。
加入初年度からずーーーーーっと口酸っぱく言っていた左足のクロスなんとかせぇ!問題の改善がやっっっっっと見られたシーズンであったが遅すぎた印象。カットインは対策され、内側におびき寄せられて奪われる姿はとても切なかった。
星の魅力的なカットインは三竿の補助により武器となり、4バック的な采配によりアップダウンやスピードで強みを見せることができたが、1vs1で勝ち筋が少ないというのはJ1ではネックとなってしまった。それでも右足からのクロスは年々マシ……上手くなり、プレースキッカーも任せられるまでになった。

チーム事情で左WBがもう1人戦力になったなら、2019年アウェイ川崎F戦のようにシャドウや逆の右WBとして見られる機会が多かったかもしれない。が、タラレバはタラレバの域を越えない。星のキャラクターや、積極的で時に愚直にも見られるカットインは今季はみられない。寂しいがこれも人生。サヨナラだけが人生ではない。新潟と共に再びJ1での対戦を心から待ちわびている。

29.岩田智輝(30試合2700分/2G2A)
CB,RWB

大分発、世界へ。

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!智輝ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!行かないで!行かないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

岩田智輝。彼も義宜同様、大分でやれることをやりきってくれました。彼の凄い所は成長しつつ、引き出しを増やしてから世界のシティ・フットボール・グループのお眼鏡に叶ったわけだ。凄い。
智輝に関しては、みんなの知ってる通り。CB(HV)として最高のタイミングでゴールに関与できるオーバーラップに、対人(地上戦)絶対負けないマン。2020シーズンはそれに加えサイドチェンジを的確なタイミングで、高い精度でやってのけた。そのポテンシャルの高さでは、もう予算的に大分では囲えないのは明白。これから世界へ羽ばたくであろう選手なのだからしゃーない。でっかくなった。

ここからは彼とマリノスの今季のちょっとした展望で締めたいと思う。話半分で聞いてほしい。

2020年のマリノスは4-1-2-3(4-2-3-1)を基準にハイテンションなサッカーでリーグを制した次のシーズン。対策をされてもどかしい1年だった。ポステコグルー監督はハイライン・ハイプレスの「オープン上等!」はベースにしつつも、新たな引き出しを求めたのが9月頃から始まった3バックとの併用だ。
オープンなゲームは消耗が激しく、ACLとの掛け持ちや過密日程では続ける事が難しいという判断だろう。仲川輝人の離脱を含め、ワイドな選手が幅を取れなかったり、幅を取ってもそこからが詰まるのもネックだったはず。だから相手を見て、行く行かないの判断という引き出しを増やすために3バックとの併用、だったのかなーと。第10節の大分戦ではらしくないチグハグさが見られたが、後の戦術変更を見るとなんか腑に落ちた。あんまり見てないから知らんけど。
この3バックに関しては約1ヶ月ほど(8試合)で一度封印となったが、今季は相手や流れによって最終ラインの3枚、4枚の併用をするのがなんとなく想像できる。そこで白羽の矢が立ったのが智輝だった、と。
対人強くてオーバーラップもできて、ミドルレンジからの展開でもシュート、クロス、サイドチェンジと引き出しが多い。まさにうってつけだ。ポジション的に松原健と丸かぶりだが、同郷の先輩を喰うぐらいの活躍ができるはず。横浜でもバリバリに活躍して「トリニータブランド」の実力を見せつけてほしい。大分発、横浜経由、世界へ。大分戦以外でバリバリに活躍してほしい。

30.高橋祐翔(0試合0分)

未完の大器

トップチームではGKの吉田舜と共にリーグ戦の出場はゼロ。チーム唯一のリーグ戦ベンチ入りすらなく、悔しいプロ初年度だった。
189cmの長身に左利き。でっかいポテンシャルはロマンの塊だ。今季はJFLの覇者、ヴェルスパ大分へ育成型期限付き移籍。ここでポジションを奪えるかどうかで未来は大きく変わるはず。一回り大きくなって帰ってきてほしい。

30.田中優也(0試合0分)
※2種登録

ユース所属の選手。
2019年、たまたまタイミングがあったため観に行ったプリンスリーグ九州vs日章学園高校戦で右CBをしてた記憶。当時2種登録だった矢野太一(→産業能率大)、西城響也(→日本体育大)、工藤大雅(→立命館大)を観に行ってGKの木戸雄登(→桐蔭横浜大)に驚いたのは覚えてる。が、同じ試合に出てた彼までは追えなかったなぁ……なんか試合中めっちゃコーチングされてたような……絞り出した記憶過ぎて確かでないが。ユースっ子も追いたかったけど、コロナで行けなかった。惜しいことをしました……

41.刀根亮輔(17試合594分)
CB

復活のトニー

Myアウォーズで特別賞(カムバック賞)に選んだトニー。リーグ戦の半分である17試合に出場って凄い。メインは終盤の守備固めとしての起用であったが、ピッチに入って1stプレーで相手にバチバチに当たりに行ってた。風貌も相まって威圧感が凄い。
片野坂さんはDFラインをあまり変えたがらない監督であるが、過密日程の昨年は、疲労を考慮して刀根の出番が増えた印象もある。途中出場でもすぐにゲームに入れるDFってめっちゃ信頼できるため、重宝された。掴んだチャンスを逃さないって気迫がプレーから伝わってきた選手。そりゃ推せます。
今季は義宜や智輝が抜け、新たなDFが入ってくる。そんな中でもたぶん刀根ならやってくれる!って自信を持って言える。今季も楽しみ。

45.工藤宗大(0試合0分)
※2種登録

これまたユースっ子。
観に行ってた日章学園戦にはベンチ入りもしてなかったため詳細は不明。183cmと身長はそこそこある。たぶん進学だろうからそっちでみたい。(内容の薄さ、ごめんやで

49.羽田健人(20試合856分)
CH,CB

研究室のヌシ©️伊勢トリさん

全くフレッシュ感の無い新卒。大学でスーツを着て歩けば謎に会釈をされる筆者にとってシンパシーを感じざるを得ないのだ……
関西大学の時はまず前見てロングパスを狙う意識がある選手、ってイメージ。プロ1年目の"デビュー戦"の5節G大阪との試合では左CBで失点に絡んだが、10節の横浜FM戦から3試合連続で中盤の高さ補強の守備固め要員で出場したかと思うと、14節FC東京戦からは中盤の選手として先発出場を果たした。
まさかまさかのコンバートでびっくりしたが、試合を重ねる毎に、1stタッチの位置(アングルの作り方)やポジショニングがめきめきと成長していった。特にポジショニングはサボらない。細かく動き直してうまーくライン間やチャンネルに入り込んでビルドアップの出口として機能していった。25節浦和戦では持ち前の読みの良さと勤勉さを生かしてパスカットを連発。前線3人と連動して相手ボランチを潰し続けた。また、チームの戦術的な欠陥であるサイドからの攻め上がりの際にバイタルエリア誰埋めるの問題もちゃっかり解決してみせた。
終盤戦では小林裕紀の復活もあり出番は限られたが、本職であるCBとして義宜の欠場の穴埋めをした時には、G大阪戦の時には見られなかった余裕が佇まいから感じられ、シュートブロックでは義宜さながらの身体の投げ出しを見せた。スピードでぶっちぎられると手が出る悪癖が見えたりと、まだまだ改善点はあるが、プロ1年目ながら中堅並の安定感を見せてくれた。
髭を剃ると年相応の新卒感があるのがチャームポイントなのも良かったです。

次回はMF編!
開幕までになんとかするつもりで!頑張りマッスル。

写真は大分トリニータ公式サイト大分トリニータ公式Twitterより引用。

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