見出し画像

レストラン・居酒屋の改善ポイント

ピンチをチャンスに変えていくために、お店が暇な時こそ見直しと新しい挑戦をするのに最適だと考えます。過去のコンサルティング経験から、結果が出やすいポイントを挙げていきます。ぜひ参考にしてみてください。 意外と、レストランだけでなく企業でも使える要素もあります。

1)売れ筋、死に筋の選別を行いメニューを「減らす」
不安になって増やしすぎたり、お客さんの要望を聞きすぎたりした結果、メニューがとても増えているケース。
居酒屋だからといって「冷奴」「きんぴら」「漬物」などの突き出し系メニュー、焼き鳥屋だからといって「かわ」「ずり」「手羽先」「豚とろ」「野菜串」などが必ず要るとは限りません。
お客さんの層などによってはこれらの定番メニューですらも実はあまりオーダーがない、というようなこともあります。
時間ができた今だからこそ、メニューごとの売上を分析したりして、死に筋メニューは思い切って外した方が良いです。
またこれは時間が経つと変わっていくものなので、2-3ヶ月に1度など見直す必要があります。

ドリンクも同様で、最近日本酒にこだわる居酒屋さんが増えていますが、自分の好みの銘柄を増やしていった結果、30とか40種類とかがオンメニューしているお店も多くあります。いくら冷蔵庫で保管しても開栓してしまえば劣化します。常時10種類と決めてきっちり管理したお酒を出した方が回転も鮮度も良くなるはずです。もちろんその10種類の中で、日によって銘柄を変えていくのはとても良いと思います。

2)ドリンクの戦略を固める
調理部門を動かさずに売上を作ることができるドリンクメニューは、コストとして見られがちなフロアスタッフの貴重な貢献余地です。仕入れの酒屋さんの提案をそのままに、ハイボールやチューハイなどを並べているケースが多いです。
ハイボールひとつとっても、新鮮なレモンや珍しいジンジャーエールと組み合わせるだけで違った味わいとなり、ウリになり得ます。
また最近ではノンアルコール志向のお客様も増えているので、これらのお客さんに水や烏龍茶以外の選択肢を提示できないものか? 検討する余地が大いにあります。
これらの「割り物」は利益率も高いため、安易に生ビールのおかわりをすすめさせるのではなく、オリジナルかつ満足度の高いものを押した方が良いです。

3)案内を出す
1Fだと中が見えないお店、2Fとか3Fにあるお店は、極端にウォークインが減ります。なので対策として、店内の様子の写真を店外に掲示したり、「カウンター席あります」とか「本日空きあり」など、気軽に入れるための案内が必要です。
これがないとフラッと入りにくいものなのです。

「歓迎会承ります」とか「宴会歓迎!」などと書くだけでは団体の予約は入らないです。独自の売りは何なのか? 自分のお店でパーティーをするとどんなメリットがあるのか? 具体的に訴求することが大切です。そもそもお客さんは、4名でも歓迎なことや、最大キャパシティは何名なのかとか、椅子をどければ立食パーティーに対応できる、なんてことは「言わないと知らないし、わからない」です。

4)主張をする
なぜお店をスタートしたんでしょうか? 創業したときはどんな状況だったんでしょうか? 今まで思い出深かったことはどんなことでしょうか?
どんなお店にもそれぞれの熱い思いがあり、そこから物語が始まったはずです。
長い間お店を経営していると、毎日の営業のことが優先されてしまい、そういった「思い」をあえてお客さんに語る機会が少なくなっていくものです。
が、そういった「思い」は、お客さんに対して語り続けるべきと考えます。それが関係を結ぶフックになるからです。
メニューなど「商品レベル」で訴求できる時代は過ぎていますので、「思い」とか「考え」を広く伝えてそこに共感してもらって通ってもらう方が良いと思います。
そういう「主張」を、メニューのトップページに盛り込んだり、直接カウンター越しに語るということを今一度、見直してみると良いです。

5)顧客台帳を作る

お客さんが常連化するポイントは「自分のことを覚えてくれていると実感したとき」です。たとえば僕がたまに行くバイキングレストランは、訪問のたびに「このお店は〜〜〜といったシステムになっておりまして」と説明されます。仕組み上、理解はできるのですが、全然良い気分ではありません。
全てのお客さんを記録するのは難しいでしょうが、顔の浮かぶ常連さんくらいは、ノートに、名前と特徴、過去にどんな料理を出したかなどを記録して、スタッフで共有してみてはどうでしょうか? 特にそのお客さんの予約が入ったときには、絶対に満足してもらうという意気込みを高めるためにも、情報の共有があったほうが良いです。
レストランの場合は、予約の際に必ず名前と電話番号の伝達があります。簡単なソフトで良いので、電話番号でお客さんを管理する仕組みを作ってみてはどうでしょうか?

6)情報を引き出す
お客さんからの予約の電話。人数を聞く。電話番号を聞く。終わり。
忙しいのでゆっくり相手にしてられないのはわかりますが、どういう目的なのか? 食べたいメニューはあるのか? どういうシチュエーションなのか? など、後少し聞くことで、満足度が高められることもあるはずです。

7)相互理解を深める
たいていの場合、お店の中に対立構造があります。キッチンスタッフはフロアスタッフに「ダラダラしてないで、作った料理をさっさと持っていけよ」と思ってる。
フロアスタッフは「ドリンク作りに忙しいんだからそんなすぐに対応できないよ」と思ってる。

キッチンとフロアは、考え方も時間のペースも違うので、対立構造が生まれやすいです。この対立によって相互理解が減り、ギスギスしたお店になります。

暇な時をチャンスとみなして、たとえばフロアスタッフにじゃがいもの皮むきをしてもらったり、下ごしらえを手伝ってもらう。あるいは、まかないを急いで作ってもらう。逆にキッチンスタッフには、オーダー取りや、ドリンクサーブをしてもらう。
お互いの仕事の大変さがリアルに理解できれば、リスペクトも生まれ、連係が図りやすくなります。こればかりは、体感しないとなかなかわからないので、時間のある今だからこそ、実験的に取り組んで、相互理解を深めるのが良いです。

8)情報共有をする
7と関連しますが、キッチンスタッフが思っている以上に、フロアスタッフには情報が共有されていません。たとえば「今日はすごく良い鯛が入ってる」とか、「今日のスープはかなり仕上がってる」といったことは、特に言うまでもないと思っているかもしれませんが、フロアスタッフにとっては、お客さんとの会話の凄く良いきっかけなんです。

逆に、フロアスタッフは、お客さんを見て「男性4名グループだから、コースは早いテンポで出した方が良さそう」とか、「食べるペースが落ちているから、次の料理は少なくてもいいかもしれない」とか、「メイン料理にめちゃくちゃ喜んでいました」とかそういうことをキッチンに伝えるだけで、キッチンスタッフはペース配分や心のゆとりが生まれるものです。
そうやって、「キッチンが作りたいもの・自信があるもの」を「フロアがしっかりおすすめして・売る」。「フロアの情報を生かして、キッチンが工夫する」というサイクルが出来たとき、お店に一体感が生まれます。

余談ですがこのサイクルこそ、タブレットによるセルフオーダーを超えるためのヒントなんです。セルフオーダーの場合はお客さんが自分で考えて決めてしまうため、お店の押しを適切に伝える部分がどうしても不足します。人が介在して臨機応変にその日・その時の押しを伝えて受注するというのは強みになりえます。

9)気づきを引き出す日本人は本当に気が利きます。なので上層部から見たら「単なるバイト」であっても、何かに気づいていたり、感じていることは色々あるものです。
朝礼や終礼をして情報を伝達することも大切ですが、1on1で短い時間でも、気になることや意見を聞き出してみると、思わぬヒントがあるものです。

10)新しい発見をして取り込む情報があふれている時代ですが、メニューや盛り付けの情報はネット検索で手に入っても、お店の雰囲気や、オペレーションのスピードなどの情報は、やはりお店に行かないとわかりません。
行ってみて始めて「ウニと牛肉って意外と面白い組み合わせだな」とか、「見た目がきれいだったら思わず写真に撮ってしまうな」とか、「カウンターに大将がどっしりいるとちょっとビビってしまうな」とか、体感できるものです。 不景気で手取りが減ってくると外食頻度も落ちがちですが、それでもなお、新しいヒントは街に転がっているものです。

以上です。ご質問やご意見などはコメント欄やメッセージにていただけましたらうれしく思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?