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飲食店生き残りのための打ち手(2020年3月版)

まさかの斜め上からのコロナ騒動で、飲食店の経営が厳しさを増しています。2-3月の送別会・卒業パーティーが消え、このままだと4月の行楽・花見・歓迎会需要も流れていきそうです。特に大企業を中心に、組織的に「宴会自粛」を呼びかけていますから、需要が戻るまではかなり時間がかかると読んだ方が良いでしょう。

SAKE Springにもたくさんの飲食店の方が出てくださっていることから、自分なりの企業経営を振り返って、このような緊急事態をなんとか生き抜く上でのマニュアルをまとめてみました。参考になれば幸いです。

【大前提】
1)政府には頼れない・頼らない
安倍首相は何らかの経済対策を実施するなどと表明していますが、リーマンショックでも東日本大震災の例を見ても、街場の飲食店や中小企業の救済はほとんど期待できません。

2)補助金事業は遅い&後払い
補助金事業が出てくるにしてもすでに来年度予算は使い切っていること、年度が変わってしばらくして出てきても、公共事業のほとんどは「後払い」です。事業未履行のリスクを行政は取らないので、5月公募締切でも事業終了が8月として、入金は10月とかです。しかもせいぜい人件費に充てられる程度です。

3)行政の補助金はもっとない
ほとんどの都道府県は福祉や借金返済をまかなうので精一杯、臨時で企業向けの支援をできる余力はありません。

4)特別融資も怪しい
まず「融資」については、たとえそれが無利子・無担保であろうとも、政府系金融機関もしくは銀行を窓口としてしか借りられません。そして、そういった窓口の融資も「審査」があります。こんなタイミングであろうとも、現状口座がない銀行に飛び込みで行ったところで、「過去2年の決算書と直近の試算表(会計途中の決算書)を出せ」と言われ、1-2週間待たされた結果Noの返事が来る可能性が高いです。
すでに取引がある銀行であっても、融資のハードルが一気に下がるかというと考えにくいです。多少は下がるかもしれませんが、元本回収リスクにはどこまでも厳密です。そもそもですが、金融機関にとってみれば「2-3ヶ月のピンチくらいは乗り越えられるように日頃から備えておくべき。それが出来ない時点で貸すのはちょっと危ない」というのが標準の考え方です。

これらを冷静にふまえた上で、打ち手を考えねばなりません。何をすれば良いのでしょうか?

一般的に飲食店の収支構成は以下のようになっています。

■収入・キャッシュイン
1)店内飲食
2)店外飲食(出前・テイクアウト)
3)物販

■支出・キャッシュアウト
1)家賃
2)食材費
3)人件費(社員・アルバイト)
4)水道光熱費
5)販促費
6)雑経費
7)融資返済

事業の基本は「売上を最大に、経費を最小に」です。
飲食店の場合は上記の1-3しかないので、
1が伸びないのであれば2か3を検討するしかありません。

が、単発で2とか3を始めても結局は販促費なり人件費のコストがかかります。ので例えば、

・あと1,000円+で飲み放題、あと+2,000円で食べ放題、など在庫回転を上げたりアップセル取る
・お店に来てくれたお客さんに、「家へのおみやげ」として持ち帰りを進めてみる
・予約制で、家でも食べられる「晩酌セット」をはじめたことを告知する
・料理じゃなくても、お店で仕入れた野菜や魚を売ってあげる

などなど、今目の前にいるお客さんにアプローチすることから始めるのが良いと思います。

上記は1例ではありますが、実際には収入の拡大は短期では結果ができにくいため、そこに注力するよりも、落ち着いて、無駄な経費の削減をすることの方が短期的には重要です。効果が出やすいです。

その際に、利益率の概念を持ちましょう。売上を10万上げることと、経費を10万下げることは、全く違うものであるという考え方です。

上記は1例ではありますが、実際には収入の拡大は

支出について。
1が最も大きな固定費です。大家さんと連絡のつく関係性にあるのなら、直接頭を下げて、「3月〜5月の3ヶ月だけでも家賃を0に。もしくは半額にしてもらえないか。それでもだめなら10万円だけでも値引きしてくれないか」と相談してみてはどうでしょうか。

飲食店の利益率は3-10%ですので、家賃が10万下がればそれは100〜300万円の新たな売上を作ったことと同じになります。

新たな売上を作っていくより、よほど近道で重要な作戦だと思いますので、最優先で検討・交渉をしてみてください。
単なる値下げが無理なのであれば、後払いにしてもらったり、敷金から差し引いてもらうなどの選択肢も提示してみてください。

もっと言えば、毎日夜ご飯を作って届けるから値引きしてくれ、でもなんでも良いと思います。必死な姿勢を見せることが大切です。

続いて3については、【雇用保険に入っているお店】であれば、政府から「休業補償手当」が出る予定です。これはコロナ騒動の結果、休業した際に、日当として8,000円程度×人数が雇用保険から支払われるものです。社員/アルバイトを問わず支給される予定です。書類を記載する手間はかかりますが、これが最も審査が緩く補助になるものとなります。また今回は特例として「事後の報告」も認められています。「本当に休業していたのか?」と聞かれたときにうまく答えられるようにしておいてください(これ以上は口頭でしか言えません)

また同じく3について、アルバイトのスタッフに申し訳ないからと、ついダラダラとシフトを入れていませんか? 本当に仕事がないのであれば、アルバイトのスタッフには数ヶ月だけ頭を下げて、休んでもらうべきです。アルバイトに気を使った結果、お店自体が沈んでしまっては元も子もありません。ここは非情になりきって雇用をいったんストップし、なんとか復活してから、ボーナスを支払うなどで借りを返せば良いと思います。

次に6です。意外と、惰性でダラダラ払っている○○組合費 とか○○雑誌購読料 とかないでしょうか?携帯や電話代も、合わせて数千円とかにできる時代です。通帳を見て謎の引き落としがあるものは全部ストップしましょう。迷ったら全部ストップして、弊害が出たら再開したら良い、くらいに思い切って解約してキャッシュアウトを1円でも減らすことです。

最後に7です。上記の通り、新規の融資はなかなか難しいのが実情ですが、既存の融資の「繰延(リスケジュール)」は、昔はご法度でしたが、時代も変わって金融機関もハードルが下がっています。最速なら今月末の返済から、2-3ヶ月繰延、あるいはこの数ヶ月は金利のみ、とか、相談に乗ってもらえる可能性があります。特に開業したての方は、これだけでも随分変わってくるのではないでしょうか?

はじまりも、そして今も、支配しているのは「空気」で、本当にふとしたことから潮目は変わっていくことでしょう。まるで霧のように。そこまで粘り強く、打てる手を打ち続けましょう!

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