【千葉市少年自然の家にプレーパークを作る②】
そのあとは、池の壁にセメントを塗る作業をみんな興味津々に手伝ってくれた。
職人の方は、「子どもたちがいなかったらただのきつい作業だったよ」と話していたし、大人にとってそのように感じる作業を、子どもはキラキラした顔でおこなっていて、子どもたちは新しいことや挑戦がこんなに好きなんだと気づいた。挑戦することをためらったり、大きな勇気を必要として躊躇してしまうようになるのはいつ頃からなのだろうと気になった。また、新たに本などで勉強してみたいと思う。
この写真のように、普通なら絶対に触ることのできない大きな機械にも職人さんが挑戦させてくれた。
危険だから近づくな、と普通は言うところを、優しく見守りながら挑戦させてあげる。
この形がまさにプレーパークが目指す形であると思う。この少年は「すげぇ楽しいーー!」と言いながら力を必要とする大変な作業をかなり長い時間ずっと続けていた。
午前中の作業を終えるとお昼の時間だ。
地元の農家さんが作った野菜を、地元のシェフの方がバーベキューで調理してくれて、
最高のお天気の中で芝生に座ってお昼を食べた。
今回は千葉市少年自然の家のバーベキュー広場の一般利用に対する、プロモーションビデオの撮影も同時に行なっていたので、地元の農家さんに来てもらうことで、その野菜の美味しさを伝え、広告になるように設計しマッチングされていた。
農家の酒巻さんが話してくれた話も、広い世界に向けられた大きな話ばかりでとても面白かった。
酒巻さんの育てている野菜は農薬だけでなく、肥料も石灰も、人工的なものを一切加えず、自然の力だけで育てているそうだ。だから、育つのも遅ければ出来上がる野菜もとても小さかったりする。だけど、自分の力で育った野菜には真の栄養が詰まっていて、私たちの体に真のエネルギーを与えてくれる。
筋肉をつけるのに私たちはプロテインを飲んだりするが、それでついた筋肉は大きな筋肉に見えて、実は見せかけにすぎない。本当の強い力が出る筋肉は自分の力で大きくしないと強くはならない。外部からの栄養に頼って身についた筋肉は即席の筋肉で飾り物にすぎないと酒巻さんは話していた。
酒巻さんの野菜は食べたことがないくらい甘くて、自分の力になるような感覚が本当にあった。
「この世界は人間が作っていて、その人間は食べ物からできている。つまり、世界は食べ物が作っているのだ。」
それなのに、今の農業はとにかく回転率を上げるために肥料を大量に与え、大きくて立派で形の良い野菜を作ることに必死になっている。これでは農業ではなくて工場で生産しているのと変わらない。酒巻さんはそれが嫌いで、世界を作る食べ物に大きな大きな思いを込めて大切に野菜を育てている。
この話は教育に通ずる部分があると思った。自分で育つ力を持っているものに対して、過剰に栄養を与えて大きく育てようとしてしまうと、本来の力を失ってしまう。見せかけだけの立派な人間になってしまうのではないか。どれだけ成長が遅かろうと、どれだけ小さい成長であろうと、その本人の力で成長することが大切で、大人があれこれと心配して先回りし、道を作って歩かせるような構図は私も望まない。
そう言った意味で、酒巻さんと私の考えには似ている部分があって、私も肥料なし、石灰なし、無農薬の教育を目指しているのだとその話を通して明確になった。
「無農薬の教育」
これはかなり面白いのではないかと我ながら考えている。
害となる虫を私たちが取り除いてしまっては、強く成長できない。困難と向き合いながらそれを跳ね除けて成長する力を身につけて育ってほしいと思う。
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