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ヒンデンブルグ・リサーチ

 ヒンデンブルグ・リサーチとは?

 今回は少しマニアックな話を書いていこうと思う。皆さんは「ヒンデンブルグ・リサーチ」という企業を聞いたことがあるだろうか?投資をやっている人や経済に詳しい方は聞いたことがあるかも知れない。

 この企業は空売りを専門とする調査会社(ヘッジファンド)で、ニューヨークに拠点を構え少数精鋭で会社を運営している。社歴は浅く2017年に設立された。彼らのターゲットは数字を「誇張」している企業である。金融界の「探偵」とも言える彼らが作成するレポートは空売り投資家にとっては有益となっている。

 それでも悪事を暴いている善人とまでは言えない。あくまでも彼らは可能性について言及しているだけであり、その調査に基づき空売りを仕掛けているだけである。

何者なのか?

 ヒンデンブルグ・リサーチの創設者はネイサン・アンダーソン氏である。彼は金融業界でエリートとして活躍してきた訳ではない。大学はコネチカット大学を卒業しソフトウェア会社や金融会社を数社渡り歩いた後、ヒンデンブルグ・リサーチを創業した。ハーヴァード大学やシカゴ大学で MBAを取得した訳でもない。

 ただ彼は疑問に思ったことをとことん突き詰めて考える癖がある。仲間と共に徹底的に会社を調べ上げ異変を察知したらそれを丹念にレポートに纏めて公表すると共に空売りを行う。彼はそういう人間なのである。

狙われた企業

 さてここからは今年に入りヒンデンブルグ・リサーチに狙われた企業を2社紹介していく。まず初めにインドのアダニである。今年1月にインド一の富豪であるゴータム・アダニ氏が創業したアダニ・グループが不正会計を行なっている可能性がある旨のレポートを発表した。これによりアダニ・グループの時価総額が20兆円吹き飛び、グループ会社は増資を延期し、インドの証券取引委員会が調査に乗り出す始末である。

 次にアイカーン・エンタープライジズである。この会社はカール・アイカーン氏が創業した投資会社であるが、この会社もヒンデンブルグ・リサーチの餌食になった。ヒンデンブルグ・リサーチが発表したレポートによれば、評価額の一部について不相応でありその評価は過大であるとしている。このレポートが発表されて以来、アイカーン氏の会社は40%程度下落している。また、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると検察官が同社のコーポレート・ガヴァナンスや企業価値などについて調査していることが分かった。但し、如何なる訴追も今のところされていない。アイカーン氏はアクティヴィストとして有名だが、その彼が標的になり資産は1兆3,600億円減少した。

 狙った企業は逃さず大幅な下落をしている一方で、しばしば訴訟問題を抱えることもありある意味ハイリスクハイリターンな手法である。今回の記事を以て空売り専門のヒンデンブルグ・リサーチの実態が垣間見られたところで、この名前を見たら「何かあるのではないか?」と思ってニュースを見るのも面白いかも知れない。

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