「最強装備完成!伝説のUber配達員」#4
「最強装備完成!伝説のUber配達員」
まだだ、まだ、足りない。
僕がこうしてウーバーイーツの配達を異常にこなすのにはわけがある。
金が欲しいのはもちろんだけれど、
その理由が。
初期投資の4万ちょいをなんとしても回収したい。
登録から21日以内で60配達でボーナス10,000があるんだけれど、それを達成しないと、永遠に回収できない気がするのだ。
初期投資を回収しないと
「また挑戦だけして、終わったよ。まただよ、」になってしまうのだ。
残ったのはチャレンジスピリッツ。それがもう、嫌なのだ。
YouTuberとしてGoProカメラに6万、パソコンやライトなどの機材、
それでいくら回収した?・・・頼むから1円でも回収して見せてくれ
この初期投資を回収できれば、何かが変わる。
何もかも止めて熱心にウーバーするのはそんな理由がある、のだと思う。
さぁ、当日配達が難しくずいぶん遅かったが
最強のスマホホルダーと呼ばれるものが届いた。
さっそくチャリに付ける・・・。おお、スマホが見やすく取り出しやすく、
これは配達が楽になる!
さらに投資を抑えるために100円で買った「チリンチリン」と「ライト」(これは電動バッテリーを消費せずにライトを点灯させたいため)
これもなかなかの出来栄え
(ライトは薄ぐらい畑のある道とかではまったく照らさない)
おお、最強の装備だ。
配達に行きたくてしかたなくなり、まだ全然ピークタイムでもないのに出発・・・・案の定ストレッチタイムになる。
遠くの配達ももう慣れた。足は棒だけど、棒より先になることもない。(肉離れがあるよ)
いろんな仕事、いろんな暮らしがみえる。
お客さんのいないお店、
閉店後もテイクアウトだけは受けつけて、店長一人で暗い中お金を数えているお店、
がんばれ、がんばれ・・・・そう思いながら商品を受け取る。
倍返しだ!でも言いながら配達したいけれど
コロナでマスクもしているし、言葉だって最小限にしなくちゃいけない。
「まいど、どーも!」
「ありがとうございました」は入れたいよな。
短い時間でお客さんが嬉しいことって何だろう?そんなことを
考えながら何度も配達してきた
眼の下のクマはコンシーラーで消した方がいいよな。
げっそりした配達員じゃやだもんな、
なんてコンシーラーを使ったりもしている。
「ゴースト店舗」という言葉があり、
店舗を構えず厨房だけ借りてテイクアウトしている店が多いという。
それもたくさん目の当たりにしてきた。
おお、こういうものか。
例えば、ガストとかにガストなんだけど別のお店の名前で登録していて注文が入ったりする。「~~専門豚丼の~~」みたいな
頼みたくなるようなネーミングのゴースト店舗が多い。
でガストの中で受け取り配達する、というわけだ。
とにかく勉強になる。
気になるのは、たまにつまらなそうに働いている若者、
態度が悪い、とかではなく、つまらなそうなのだ。
なんでだろう・・・
もしかすると、「退屈」なのではないだろうか。
男は賭け事と女の話ばかりで、女は男の愚痴ばかり、
なのかはしらないけれど、いつか現代人は長い長い退屈に
縛られる日が来る、と予見していたのはたしかニーチェだったか、
いろんな哲学者だったか。
いろいろな暮らしの断片が垣間見えるのもおもしろい。
だけど昨日だって、有名なパン屋の前を走っては
「ああ、オカンに買っていってあげよかな」
いや、ダメだ。今、そんな余裕はない。
と思うと情けなくて涙が込み上げてくる。
ああ、いつまですべてを止めて、こんなことしていくのだろう。
次回「世界の果てに飛ばされた半沢直樹、もといダメ沢直樹は何を見る」に続く!
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