見出し画像

太っていても妊娠はできる。でも・・・【5・最終話】

胆石症を抱えたまま、無事出産。
しかし、翌日なんと胆石発作が再発してしまったのだ。
「手術するしかない」そう思い、産んだばかりの我が子を残し、県外の総合病院へ。
下半身が爆裂に痛い中、精密検査を受けるのであった・・・

前回までのあらすじはコチラ↓

総合病院での精密検査

どうやら、私の胆石発作は妊娠性のものではなく、もう歯止めがきかない状態で、他にも何か大きな病気がひそんでいるか精密検査をした。
項目は血液検査という簡単なものではなく、MRIからCT、胃カメラ、レントゲンのフルコース。

渡された書類に、
①MRI・・・2階〇〇室
②CT・・・地下1階〇〇室
③胃カメラ・・・5階〇〇室

おいおい、どれだけ移動させられるんだ!下半身くっっっそ痛いのに。。。
出産は交通事故レベルと言われているように、まともに歩けやしない。
なんとか手すりにつかまりながら歩き進める。

そして、その場所その場所にいる看護師に、説明書を渡すたびに、備考に書かれた文字を見て、

「え?昨日出産!?!?何かの間違いでは?」と言われ、

「いや、昨日出産したんですよ(キラン)」という会話をその都度した。

出産した次の日に、子供を置いて精密検査をするなんてあり得ない。
あの発作が起きなければ今頃私は母乳をあげて・・・と考えると、情けない気持ちでいっぱいだった。

胃カメラの麻酔が喉だけだったので、ぶっとい管を入れる時に嗚咽がひどく、下半身に力が入ってしまい、それはそれは本当に痛かった。
二重苦、三重苦というのはこういうことだ。

子供の顔を思い浮かべ、必死に耐えた。

検査は2日間にわたって行われた。
夜病院では、旦那さんが撮ってくれた可愛い我が子を見ながら眠りについた。

精密検査の結果、やはり胆のうにタピオカ並みの数の胆石がずっしり溜まっていた。
小さいと流れてしまったり、石があっても発作が起こらない方もいるが、私の場合はリスクしかない出来方だった。
もう、手術は避けられない。覚悟を決めて同意書にサインをした。

胆嚢摘出術当日~人生初めての全身麻酔~

手術当日、出産してからたったの3日後のことだった。
足に血栓ができないように、着圧サポーターのようなものをつけ、その時をじっと待つ。

数々の胆石発作も、出産も、その後の検査もすべて乗り越えてきたのだから、もう怖いものはなかった。

母親と旦那さんが様子を見に来てくれた。
ー手術室に入った姿が最期だったー
とならないように、「私に何かあったら息子をよろしくお願いします」とだけ言い残し、手術室へ向かった。

へぇ~これが手術室か、と感動するくらいの余裕があった。
ビートルズが流れていて、全然イメージと違う。
不安にならないようにリラックスさせてくれるのか、新しい。

腹腔鏡手術の為、全身麻酔のほかに、硬膜外麻酔も行うという事でまた背中を丸めたが・・・なんせ麻酔が効きにくい体質だという事は3日前に知ったばかりだ。
少し不安を覚えつつも、産婦人科の先生は上手に入れてくれたので、その痛みくらいならと待ち構えた。

・・・ヒドイ。若い女性の麻酔科医師が下手すぎてめちゃめちゃ痛かった。

「あれ?」「どうしよう・・・」カイジのようなザワザワ(汗)
やめてくれ。その独り言しっかり聞こえている。

手術担当医師が「まだ?」としびれを切らすほど、全然入っていかないのだ。

何度も背中に針を刺される。地味に耐えられないくらい痛い。
どこに行っても麻酔運なし。

変に麻酔を入れられて神経を傷つけられても怖いので、全身麻酔のみで行う事になった。
これが後ほど地獄になるとは知らず・・・

全身麻酔が投下され、手で目を煽られたら1秒で眠った。
次に気づいたのは、「・・・さん、終わりましたよ」の一声。
え?まだ10分しか経ってないよね!?

すでに3時間ほど経っていた、割と長丁場の手術だったようだ。
意識が戻った次の瞬間、喉がカラカラに乾いていて唾が飲み込めない、そして・・・

いっっったぁああああああああい!!!!

切腹されたかのような激痛。
腹腔鏡で4ヶ所お腹に穴が空いたが、麻酔が切れ、モロその痛みが襲ってきたのだった。

発作とは別の痛さ。術後の痛み地獄。

とにかく点滴で痛み止めを入れてくれと懇願した。
喉はカラカラなのにお水も飲めない。水を含ませたガーゼを噛むことしか許されなかった。
そして、痛み止めの点滴の強いものをひたすら入れ、意識を飛ばすように寝た。
胆石発作の時は痛くても言葉は発せられた。身体の内側が痛かったからだ。

でも、今回は外傷だ。ぬぐぐ・・・というように話す事すらできない。
痛すぎて痛み止めを切らしたくなかった。
ただ、もしかしたら母乳に影響が出るかも・・・と言われたけれど、もうそれどころではなく、この痛みを薬なしでは耐えられなった。

術後2日は、痛みとの闘い。筋肉を通って胆のうを出しているので、筋肉痛の痛みに近かった。といっても筋肉痛の1万倍くらいの痛さ。

それでも、1日でも早く退院して息子に会いたかった。
もしかしたら母乳はあげられないかもしれないけれど、横にいる事はできると思った。
さすがに、傷口も完全にふさいでいない状態での退院は許可がでなく、5日間入院をした。

無事退院!さぁ戻るぞ我が子の元へ!

「私の事忘れていないかな?」
そんな気持ちで5日ぶりの息子に会えた時は、ゴメンねという気持ちでいっぱいだった。
でも、母ちゃんもうこれで一生胆石発作からは解放されたのだ!
今からすべてを育児に捧げられる。

母乳は薬の影響で水道に捨てるようにぴゅーぴゅー流した。
粉ミルクをごくごく飲む息子が可愛くてたまらなかった。
健康に育ってくれるなら何でもいい。
待たせたね。もう、そばを離れないからね。

私が帰ってくるまで預かってくれた産院、毎日通ってミルクをあげてくれた旦那さん、手術をしてくれた主治医の先生。
本当に感謝してもしきれない。

腕には点滴や採血で20個ほど穴が空いた。
内出血痕もひどかった。
出産したので股も肛門も痛い。
おまけにお腹には腹腔鏡の4個の傷。
そしてもちろん痛みもある。

息子の細くてか弱い足で、慢性痛のお腹を蹴られる。

幸せだ。

痛さも吹っ飛ぶ我が子パワー。

さいごに


こんな経験は二度とないだろう。
というか絶対に勘弁だ。

出産の3日後に全身麻酔の手術とは、とんだネタ多き人生だ。

食生活の乱れがあるにも関わらずすんなり妊娠したことに調子に乗りすぎた。
太っていても妊娠はできる。でも・・・

私の場合は、罰が当たった。
息子が教えてくれたんだと思う。

「お母さん、健康に気を付けてね。早く元気になって僕を育ててね」


ー完ー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?