「双極性障害(躁うつ病)について教えてください」



「双極性障害」
うつ状態と、対極の躁状態がくりかえし現れる。うつ状態の期間のほうが長いことが多い。
うつ状態では死にたくなるなど、症状によって生命の危機をもたらす。
一方で、躁状態の時に人間関係、社会的信用、仕事や家庭といった人生の基盤を大きく損なってしまう。多くの場合、「躁」に自覚できない。大きなトラブルを起こしても、それに気づけない。

最初の病相(うつ状態あるいは躁状態)から、次の病相まで、5年くらいの間隔がある。
躁やうつが治まっている期間は何の症状もなく、健常な状態になる。
しかし、この期間に薬を飲まないでいると、繰り返し躁状態やうつ状態が起こる。
治療がされないと、急速交代型(年間に4回以上の病相があること)へと移行し、薬も効きにくくなる

双極性障害は治療が遅れる場合が多い。
躁状態や軽躁状態の自覚がない場合が多く、うつ病だと思って受診しても躁状態や軽躁状態が医師に伝わらない場合、治療がうまく進まない。

「躁状態」
家庭や仕事に重大な支障があり、人生に大きな傷跡を残す恐れがあり、入院が必要になる激しい状態。
寝ることなく動き回り続ける。多弁になって家族や周囲が疲労する。
仕事や勉強にはエネルギッシュに取り組むが、ひとつのことに集中できず、仕上げられない。
高額な買い物をして何千万円という借金や法的な問題を引き起こす。
失敗の可能性が高いことに次々と手を出す。社会的信用を一気に失って仕事を失う。
自分には超能力があるといった誇大妄想をもつ。

「軽躁状態」
明らかに気分が高揚している。いつもとは人が変わったように元気。
短時間の睡眠でも平気で動き回る。明らかに「ハイ」に見える。普段より調子がよい。
仕事もはかどるけれど、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態。
いつもに比べて人間関係に積極的になる。少し行き過ぎという感じを受ける場合もある。

「うつ状態」
具合が悪いと感じるのは、うつ状態の時。
早朝覚醒/食欲の減退(行進)/体重の増減/疲れやすい/やる気が出ない/自責感/自殺念慮など…、
5つ以上が2週間以上毎日出ている状態。
抑うつ気分…うっとうしい気分が一日中、何日も続く
興味・喜びの喪失…全てに興味をもてなくなり、何をしても楽しいとか嬉しい気分がもてなくなる。

二つの分類

「I型」…「うつ状態」と「激しい躁状態」が起こる。
「II型」…「うつ状態」と「軽躁状態」が起こる。

対処
「薬物療法」
それまでと変わらない生活をおくることが十分に可能。
気分安定薬…リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン。
海外の医学の違い
ラモトリギン(日本では難治性のてんかんに有効)
クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールなど(日本では統合失調症に有効)

基本はリチウムだが、副作用が強い。血中濃度を測りながら使う必要がある。飲み合わせも確認が必要。
副作用…飲み始めに下痢、食欲不振、喉の渇き、多尿、手の震え、ふらつき、
うつ状態の時には、三環系抗うつ薬と呼ばれる古いタイプの抗うつ薬は避けたほうがよい。
アクティベーションシンドローム…焦燥感などが強まって悪化してしまう状態が起きやすいのでは?

うつ状態で病院に行った時に、過去の躁状態について話をしそこなった場合は注意が必要。
医師はうつ状態から双極性障害の可能性について注意を払うことができない。
うつ病として治療を受けているけれど、過去に躁状態や軽躁状態があったなら必ず医師に伝える。
「うつ病の診断で抗うつ薬を飲んで症状が悪化した」人は、双極性障害である可能性を医師に報告する。

精神科の治療は、副作用との戦い。
リチウムの副作用は、けっして軽いものではない。
しかし副作用のない薬はなく、双極性障害の治療薬は限られてる。
「副作用が出たから合わない」とやめてしまうと、回復できる可能性を失うことになる。
薬には副作用があることを前提とする。
病気のコントロールに、副作用と折り合いをつける必要がある。

何も症状がない時でも、大丈夫と思っても、薬の副作用がつらくても、薬を飲み続けること。
薬の副作用が強ければ、これを最小限にする方法を、医師と相談しながら考える。
薬を飲んでいても再発する場合はある。再発の兆候を把握しておき、異変を感じたらすぐに受診する。

「心理療法」
病気の性質や薬の作用と副作用を理解する。
再発のしるしは何なのかを自分自身で把握することを目指す。
再発した時に、最初に出る症状(初期徴候)を確認し、本人と家族で共有することが大事。
再発のきっかけになりやすいストレスを事前に予測し、それに対する対処法などを学ぶことも有効。
規則正しい生活をおくることも、双極性障害の治療にはよい効果がある。
徹夜を避け、朝は日の光を浴び、散歩などの軽い運動をする、など一定のスケジュールで生活する。

「認知療法」
うつ状態を乗り切るための考え方を身につけるのが目的。
うつ状態では物事の考え方が否定的になり、些細なことでも自分を責めてしまう。
「○○ができなかった」⇒「△△はできた」と肯定的に捉える練習をする。

「対人関係・社会リズム療法」
社会(生活)リズムの乱れが症状の悪化の誘因となることが知られている。
対人関係から生じるストレスやこの病気にかかってしまったことに対するストレスを軽減させるためには、現在の対人関係の問題(ストレス)を解決し、家族や職場・学校の仲間、友人などとの良好な人間関係を回復させることが有効。よい対人関係ができると、周囲の人たちに病気を受け入れてもらうことができ、サポートを受けることができる。治療の動機づけと症状の改善に繋がる。
社会生活のリズムを規則正しく整えるというのは、起床や出勤、夕食などの時間や他人から受けた刺激の度合い、イベントなどを記録することで、自分の生活リズムがどのようなものか、どんな場合に自分の社会リズムが不規則になりやすいかを理解し、修正できるようにすること。一目で生活のリズムがわかるような、自分の生活に合わせた表を作ってみるのがよい。

「家族療法」
家族の理解を深め、家族が協力して病気に立ち向かえるようにする。
服薬の継続に加え、家族の協力が大変重要。家族の負担を軽減し、ストレスの緩和の役割もある。

参考資料

https://www.smilenavigator.jp/soukyoku/about/
双極性障害とは - 原因、症状、治療方法などの解説 | すまいるナビゲーター

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_bipolar.html#:~:text=%E5%8F%8C%E6%A5%B5%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AF%E3%80%81%E7%B2%BE%E7%A5%9E,%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%88%E3%81%99%E3%80%81%E6%85%A2%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 総合サイト 
双極性障害(躁うつ病)|病名から知る|こころの病気を知る ..

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?