#10「自分の過去について(つまりそれは物語)」



正直自分の過去はあまり語りたくないし、
 あまり思い出したくない部分もあるのだけれど
 とりあえず、この時期失くして今の自分はないので、
 受け入れるつもりで、書いてみようと思う。
 飛び込むどころではない、飛び降りるくらいの、気持ちで。

――――――

小学生の頃から勉強が苦手だった
 そしてぼくには年の離れた兄がいた
 よく比較されたし、叱責もされた。
 両親は僕からみて機嫌屋でいつどんなタイミングで怒るか、
 主張が変わるか、全く分からなかった。

子どもの頃は無自覚に駄目だと言われて
 頑張れなかったときもあるけれど、
 でもなんとか努力は続けて

努力しても努力しても、
 学校のテストはあまり評価が上がらなくて
 成績が上がった背景には個人塾の出会いがあるのだけれど、
 それまではとにかく要領が悪く、
 どれだけ頑張ってもあまり成績は伸びず。
そんなんだから、先生にも否定をされたりしたけれど
 そんなことは通り過ぎていった。

多感な時期になって、青年期に差し掛かる。
 その時に、確信した。
 これ以上ここにいたら自分はダメになる。
 早くここから出て行かなくては。

 でも自分に一人で生きて行く力があるとはどうしても思えなかった
 自分はダメだ。いや、そんなことはない。でも。でも。
 そんな揺らぎの中にいつもいた。

 大学生の頃に、あれはそういう意味だったのか、
 と自分の中の過去の物語と今の自分が繋がった。
 丁度実習前の事前学習で児童関係の本や虐待の本を読んでいた頃だった。

それはとても衝撃的で心に穴が開くんじゃないかと言うほど痛くて、
 ひどいものだった。

どれだけ自分は自分の悲しみと痛みに無自覚でいたんだろう、
 それだけが分かった。

――――――

就職と同時に家を出て、駄目な自分と嫌と言うほど向き合うことになる。

今まであまりこの話をしたことはないけれど
 言葉にしていいのであれば、毎日毎日死にたいと思っていた。
それは、潜在的には、ずっと、ずっと、そう思って生きてきた。

心がちゃんと育っていないまま働くことがいかに大変か。
自分のことも守りながら誰かを支援することがいかに大変か。
人生に、自分自身に、世界に、はめられたと思った。

―――――――

それでも、今さら諦めるわけにはかなかった。

そして努力の果てに、
 今こうしてぼくは明日新人研修だな、とか思いながら、
 文章を綴っている。

書いていて、「よくここまでたどり着いたな」と思ったし
 「よく死ななかったな」とも思った

仕事上の話だから詳しくは語れないけれど
まだこの間に色々あったんだ。
何度も死にたいと思ったし、実際死ぬんじゃないかとも思った。

―――――――

今も、その悲しみは誰にも見えない場所で、ひっそりと影を作っている。

ぼくの食の細さを心配して
 「どうして食べないんですか?」と聞かれるけれど
まさか「死にたいから」とは言えない。

――――――

ぼくには生きて行く希望があまりない。
生きて行かなくちゃいけない理由があまりない
死んでしまっても構わないと思う。
 一ミリという薄さでもって、それは思う。

痛みによって人が怖いと思うようになったし
今でも人と距離を置くことは簡単にためらいなくできてしまうし
すぐに人を信じ切ってしまうようなところもあるし
でも、心の奥では怖がっていて、信じたくないとも思っている。
とても難しい心理状態だ。

生きることはサバイバルだと思っているし、
自分という資材をフル稼働して
 生きて行くための戦略と戦術でもって生き抜く弱肉強食の競争で

そういう中で努力を積み重ねた先に、
 他の人からの「頭がいい」という評価があると思うと
そうみられるために積み重ねた努力を天秤にかけたら、
 「もっと幸せなやり方があったはずなのに」とやりきれなくなる。

―――――

ぼくはただ融通が利かず記憶力が悪く、要領が悪く、
 人付き合いも微妙だから、
 人間性の向上と知識とありとあらゆる失敗からの判例を頭に叩き込んで、
 事例化して原則にたに過ぎない
 だから新しい領域の挑戦はひどく臆病だし、全然上手くいかない。

――――――

こんな自分からは一生変われないんだとも思う。
そういう感じがあるから、
 基本的には、とても警戒心が強く傷つきやすく
 そして、果てしなく絶望している。

―――――

死にたいとかは口にすると
 「そんなことを言ってはいけない」と言われたら、
 もう誰かの前では二度と言わない、と思った。
この人なら、と言う人に打ち明けたこともあったけれど、駄目だった

今から振り返ると、そんなことを受け入れるなんてすごく大変だし、
 普通無理だって思うし
 子どもの頃のぼくは移り気が激しくて長続きせず、
 それはそれは育てにくい子供だったと思う。

そういう意味で、
 両親がぼくの心にちゃんと根付いて信頼関係を結ぶことが、
 どれだけ難しいか。

僕は本当に難しい子供だったと思う。
 今の僕が昔の自分を見たら「これは大変なケースだな」て思うだろう。


この物語には被害者がきっと存在せず、
哀しみだけが、残ってしまったのだ。

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