弱者のための生存戦略
人間ははるか昔に自分達より遥かに大きなマンモスを狩っていました。
その際に人類は四六時中マンモスを追いかけ続けて疲弊させ、その果てに仕留めるという方法で狩りを行っていたという説があります。
デュエプレNDでは現在3強と呼ばれるデッキが確立され、そのあまりに高いデッキパワーによって大半のデッキが閉め出されることになってしまいました。
そんなマンモスデッキ達に対抗するために、知恵を絞ったある天才はマンモスを倒した人類と同じ方法を取ります。
もの凄く長い時間をかけて相手の力を削いでゆき、最後に自身の最高戦力をぶつけて勝利する、それこそがトリガーロージアでした。
その天才はマンモス達に勝てないと嘆く仲間に対して、勝ち方を示すことができると大いに喜びました。
しかし、その天才の予想とは裏腹にトリガーロージアは歓迎されるどころか大きく嫌われることになってしまったのです。
天才は多くのデュエリストがどのような物の考え方をしていたのかを読み違えてしまったのです。
彼らの多くはただ勝つことを求めていたのではなく、気持ちよく勝つ、
すなわち"強者としての勝利"
を求めていたのです。
環境トップに君臨するマンモスを自身の豪腕で殴り倒すような、そんな気持ちの良い勝利を求めていたのです。
しかし、トリガーロージアにはそんなものなどありませんでした。確かな経験と少しの幸運によって勝利を泥臭くも勝ち取る。そういったデッキだったのです。
マンモスの反撃に遭い、敗れることも決して少なくありませんでした。
更に悲劇的なのは、トリガーロージアは戦い方を選べなかったことです。
どうやっても必ずロージアを着地させる必要があり、どうやってもかなりの時間をかけざるを得ない。そのデッキの性質によって、デッキの強い弱いを問わずほぼすべてのデッキに長時間をかけてそれをしなければならなかったのです。
その結果として、トリガーロージアは他のすべてのデッキから害悪な遅延デッキの烙印を押されることになったのです。
マンモスとして振る舞えば様々な戦い方をすることができる。プレイヤーはマンモスのそんな生き様に憧れていたのであって、決して弱者としての自分を受け入れた上で弱者の生存戦略を取ってマンモスを倒そうなどとは考えてもいなかったのです。
その結果として天才の発明であったトリガーロージアとそれを生み出し、広めた天才は多くのデュエリストから糾弾されることとなったのでした。