打牌批判の問題?

はじめに

麻雀界隈で打牌批判に関する議論が最近盛り上がっていたので、自分も考えたことを書いてみようと思った。
ただ、打牌批判の内容については既に麻雀プロを始めとした多くの人が意見を表明していることもあり、敢えてここで細かく述べることはよそう。更に言うなら、事の発端となった件について打牌批判そのものについて論じるのは本質的ではないと思っている。
では何が問題なのか?今回はそれを述べていこうと思う。

(一応打牌批判の内容について一つだけ言及すると、よく言われている話だが「受け手によって基準が変わるから打牌批判の定義って難しいよね」ということだ。故に悪意を持った人間のみならず、そうでない者も意識無く打牌批判をしてしまうことがあるのだろう。
これは後で書くことに大きく関係してくるので最初に触れておく。)

俺がルールと言えない風潮

さて、そもそも起きた事象は「ある私設リーグの主催者が打牌批判を禁止していたにも関わらず従わない視聴者がおり、それによってモチベーションが低下し選手としての出場を見送ることとなった」という話である。
これによって前述の通り様々な人が打牌批判に関する議論を一斉に展開し始めた訳だが、私がまず思ったのは
「そもそも打牌批判の善悪以前に、主催者が管理する場所でその指示に従わない者が一定数いる状況がまかり通っていることがおかしいのではないか?」
ということだ。

管理する場所というと分かりにくいが配信者であればその人の配信や動画のコメント欄がそれに該当する。
そして、YouTubeだけではなくほとんどのプラットフォームでは管理者がその場所のルールを決める。当然従わない者を排除(コメント削除やBAN)する権限も管理者が持っている。それなのになぜこんなことになるのだろうか?

まず、コメント削除に関して何らかの基準を決めておく必要があるのが課題だ。冒頭に述べたように「打牌批判の定義は難しい」からなのだが、ここで重要な事は上記の通り基準は管理者の独断で決めてよいというところにある。その基準が気にくわない視聴者はさっさと去れ。まさに管理者の特権である。

しかしながら、それをしにくい風潮こそが今回の根本的な問題の一つではないだろうか。つまりコメント削除やBANに関しての心理的なハードルの高さだ。

確かになるべくならやりたくないことだろう。しかし自己防衛の手段として、自分のチャンネルに投稿されたコメントを自分のルールに則って削除するという行為はもっとカジュアルに行われて良いはずだ。投稿する側は気軽にコメントを打てるのだから、削除も気軽にできなければ不公平ではないか。
そういう風潮であれば、今回の件も主催者のモチベーション低下を多少は緩和できていたかもしれない。コメントが削除されてしまった視聴者も悪意がなかったのであれば必要以上に気に病むことなく、次回から気を付けようくらいのメンタルでいたいものだ。

俺がルールと言えないフィールド

ここまで述べてきたことは全て「主催者の管理が及ぶ場所」においての話でしかない。
今盛り上がっている打牌批判論は、それ以外の場所についても議論の対象に含んでしまっているのではないだろうか?

すなわちX(Twitter)、5ch、個人のブログ…といったところだ。これらの場所に上記の対策は通用しない。「郷に入りては郷に従え」と言えるのは自分の領域内のみ。そこを飛び出して打牌批判を禁止したい、ということになるとこれはもう不可能だ。

当然、打牌批判の域を越えた誹謗中傷はその場所がどこであれ非難されてしかるべきで、そのような書き込みを行った者は法的な責任を取らねばならなくなることも出てくるだろう。
しかし、「あの場面は自分なら打6sだったかな…」みたいな書き込み(これも人によっては打牌批判と捉えるだろう)がそのような誹謗中傷に当たらないことは法律に詳しくない私でもわかる。
それすらもネット世界のあらゆる場所から駆逐したいというのは土台無理な話で、最初からオープンな場でリーグ戦なんかやるなということになってしまう。かろうじて「本人の目に入らないと思われる所に書いてください」とお願いするくらいが関の山である。

長々と書いてきたが、要は話の範囲が広がりすぎた、としか言いようがない。
漠然と全ての打牌批判を禁止するのではなく、「自分の管理する場所において」「自分が打牌批判だと判断する」行為を禁止すれば良かった。それであれば打牌批判の定義のような面倒な議論は発生する余地がない。自分がルールそのものだからだ。
ところがそれ以外の場所になると、誹謗中傷の基準は司法が裁いてくれたとしても打牌批判の統一された基準なんて誰も決められない。制御ができないのである。

まとめと余談

何ともやるせない話だが、今回の件に関しては「ネット上の有象無象の言動をコントロールしようとすること自体が困難なので、せめて自分の管理できる範囲においてはしっかり自己防衛する」ということが結論だと私は思っている。

もしかしたら主催者も自分の管理する場所に限った意図で打牌批判禁止を発信したのかもしれない。しかし世間はこれを打牌批判そのものに対する一般論として捉えてしまっている節がある。だからこそここまで議論が白熱している。
本来は「参加者が嫌な思いをせずにリーグに臨めるようにする」ことが最大の目的のはずで、リーグ戦を利用して打牌批判議論に一石を投じたかったという訳では無いだろう。

余談として、今回のリーグ参加候補者が自身の配信で同卓者を批判するような発言をしていたとしてダブルスタンダード扱いされていたが、これも話が本質から外れて打牌批判に対する一般的な批判論に発散してしまった故の悲劇と言える。
本来であれば、自分の配信で打牌批判をしようが何の問題も無い。嫌なら見なければいいだけだし、それで視聴者が減るのであればその不利益を被るのは自分だからだ。麻雀プロでも無い人間に「麻雀界のイメージが~」なんて使命を背負わせるのもナンセンスである。

「リーグ戦においては主催者に従って打牌批判はしない。それ以外の自分のチャンネルでは自分がルールだから好きにする。」これの何が問題なのだろうか?
管理者が決めたその場所のルールは守ろうね、という簡単な話で終わっていればこんなことにはなっていなかったように思う。しかし打牌批判そのものに焦点が当てられてしまったため、じゃあお前はどうなんだよ、と思う人間が出てくるのも致し方ないことだろう。

このリーグは前から楽しみにしていたこともあり、今回この記事を書いてみた。
リーグが始まった当初、主催者が選手として出るのってどうなんだ?と正直思っていた部分もあったが、蓋を開けてみれば公平性に問題があったわけでもなく、今回辞退となったのは素直に残念だと思う。
そして私としても、自分の当初の意図を越えて話の規模を大きくしてしまうと思わぬリスクがあるということを自戒として、この記事を締め括りたい。

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