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イベント① サロン と、フランス語

 サロン=salonの語源は、応接間。フランスでは昔、貴族や宮廷の社交界のことをこう呼んでいた。日本人が描くサロンのイメージとしても、華やかで洗練された談話(部屋)が付きまとう。しかし現代では、多くの商業イベントが salon de ~と呼ばれている。

 その一部を紹介すると、salon du cheval()、salon du chocolat(チョコレート)、salon de l'agriculture(農産物)、salon du livre(本)、種類は違うがsalon de l'emploi public(就職説明会?)など。

 おおよそのところ、現代ではサロンと名のつくものは、いわば特定の業界・分野が開催する展示会だといえそうだ。観光者向け、趣味人向け、ビジネス向けとどんな種類でもあり、expo=展覧会、foire=見本市、(少々異なるけど)festival=祭りと様々な言い方をする。どれも商業目的込みで、多くの人に商品を認知してもらう場として機能している。

 いいかえると、(大規模なものなら)東京ビックサイトやインテックス大阪など、日本各地で毎日のように開催されるイベントとそう違いはない(有名な会場はPorte de Versailles)。

 日本でこういったイベントに行くことは年に一、二度だったけど、この国で赤ん坊同然のぼくにとっては、いろんな業界の入り口としてとっても重宝する。イベントに行く人は知っているように、突然行ってもその分野がどういうものかは大してわからないけれども、なんとなく楽しめるのだ。

 それに、こういったイベントは万国共通らしい。販売業者ごとにブースをもち、各種講演やトークショーがプログラムされ、初心者も楽しめる体験コーナーが設けてある。一部では事前に招待券が配られ、客は市場価格より割安で商品を試すことができる。あと、幼児向け遊戯スペースが確保されているのはさすがフランス。子連れでも安心だ。

 最後に、誤解のないようにいうと、いまでも昔のような社交的サロンはあるのかもしれない、ということ。フランス人は、何の分野でも仲間でグループを作るからだ。こちらで秋田犬のサークルがあると聞いたときはさすがに驚いた。それと、仏語は一つの言葉にいろんな意味がある事が基本で、salonという単語は美術でも使われる。フランス語は、単語自体は何百年も変わらない一方で、時代によって様々な意味に派生・変化してきた。だから、文脈によって意味が異なることも多い。

 各イベントを紹介するのは次回から。

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