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サ-ビス② 仕事ゆったり、休憩たっぷり、始終のんびり

 数年で帰国する多くの貧乏な日本人が、時間をかけざるを得なくなるのが家事やその他の日常生活です。というのは、レストランは基本高いので日頃はパスタをつくり、休日は、洗濯機がない人はコインランドリーへ、時には日本の何倍も多い排水詮のつまりや水漏れ、配電設備の不具合に対応し、わざわざ予約しないと医者にも行けません。のんびりした行政サービスのことは以前書きました

 スーパーのレジが混んでいるのは当たり前。というか混んでいても、レジの手は急いでいる気配を微塵も感じさせません。「お客様を待たせてはいけない」なんて訓練させられている日本がバカらしくなります。

 気の合う客と話し込むおばさんや、客に適当なことを言ってごまかすおねえちゃん、ある宅配の仕事中のおにーちゃんは「友達に偶然会ったからちょっとお茶してくるわ」といってしばらく帰ってこないことも。

 フランスの小説に『麗しのオルタンス』というものがありますが、そこにでてくる八百屋の中年男は、仕事をする気がまったく感じられません。一日中店の前に立って、通りを歩く女性を観察しているだけのエロ親父です。

 もちろん、忙しそうに働く人もいますが、基本的に、日本人とは仕事に対する考え方が全く違うようです。自分の仕事が多すぎて大変なら他の人に任せる、仕事がやりづらいときは同僚や上司に文句を言うことができないなんて空気はありません。そもそも日本人が大切にする空気なるものを壊すことにあまり抵抗がありません。(上司にへつらうのは当然あります)

 仕事でのミスも、日本のように大げさに問題として扱われるよりは、またやったよ、仕事できないなアイツという感じで受け止められることもあるようです。たとえば、ある人が運搬中の荷物の中身をぶちまけたことがありました。日本なら見る間にその場の空気が重くなるのですが、こちらではやらかした本人が凹むくらいで済みそうです(笑) やらかした本人が悪いのであって、無駄な連帯責任なんてありません。

 店側は客に対して、もみ手で対応しません。呼び込みをするのも、一部のマルシェや屋台くらいです。大抵の店は客を取りにいく感じでなく、客が来るのを待っているだけです。高いお店になればなるほど接客はきちんとしていますが、基本的に店側の考えは、

 「お金をくれるのはあなただけど、わたしとあなたは対等よ。私はサービスをあなたに提供して、その対価としてあなたはお金を払う、単純なことよ。もし気に入らなければ、あなたはわたし以外の店を選ぶこともできるのよ。だから、言わせてもらえば、お客もこちらで選びたいのよね。見た目の悪い客はできればお断りしたいわ。それに、ある程度以上のレストランなら、混雑時の二人組女性客もお断り。単価が安いものを少ししか頼まないから、その分稼ぎが悪くなるのよね。」(←実際にあるそうです)

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