2021年 乙女座の空模様

「役に立ちたい」と言うとき、
そこには「だれか」がいます。
自分以外の誰もいないとき、
「役に立つ」ことはできません。
「だれか」の顔は、
見えることもあれば、
見えないこともあります。
たとえば、明け方、
道の掃除をしている時、
掃除の恩恵を受ける人、
すなわち、
「道を歩く人々」
の顔は、見ることができません。
医師や看護師を目指して学んでいる人は
自分が治療しケアする相手の顔を
まだ、その段階では、
見ることができません。
それでも、自分が働きかける相手として
「だれか」がいて、
その人のために「役に立とう」と
多くの人が日々、頑張っています。

2021年、乙女座の人々は
新たな役割を得ることになりそうです。
あるいは上記の
「医療関係者になるために学ぶ人」
のように、
自分の未来の役割のために、
最初の一歩を踏み出すのかもしれません。
「役割」には、
他者に向かう「職業」もあれば、
家族や身近な人のための役割、
地域医コミュニティでの役割、
友だちや大切な人の心をまもるような、
精神的な役割もあります。
誰かに世話をしてもらうことで、
世話をする人に役割を与える、
ということも、
広い意味での社会的役割です。
先生には生徒が必要で、
料理人には食べてくれる人が必要です。
人から人への働きかけがあるところには
かならず、逆方向の「役割」が生じます。
「役に立つ」ということは、
非常に広い意味を持っているのです。

2021年、あなたは他者との立場性の中で
自分の新たな「役割」を見つけるでしょう。
あるいは、既にそこにあって果たしているのに
意識にのぼらなかった「役割」に
はたと気づかされるのかもしれません。
「なるほど、自分はこの人に対して
こんな役割を果たしていたのか」
と気づくとき、
できることの幅が拡がります。
自信や意欲が湧いてきて、
生活が新しい光を帯びます。

2021年は、日々の役割や作業、
日常的な、ごく現実的な活動が、
あなたを
「遠くに連れて行ってくれる」
時期でもあります。
たとえば、解りやすいところでは、
「新しい仕事について、
出張に行くことになり、
憧れの場所にはじめて出かける」
といったことが考えられます。
もちろん、2021年も
自由に旅することはまだ、
難しい状況だろうと思います。
それでも
「この役割を得たから、
こんな遠くまで来られた!」
という体験ができるかもしれません。
「遠く」とは、
憧れの舞台とか、
憧れの人がいる世界とか、
あるいは全く未知の世界なのかもしれません。
いずれにせよ、
そこは身近な所、慣れたところ、
見知ったところではありません。
一切の古いしがらみに縛られずに、
自由奔放にアイデアを打ち出し、
のびのびと振る舞える
「未来」のような世界であろうと思います。

新しい役割、新しい仕事に就いて、
その役割を果たすために、
新しいことを学ぶ機会を得る人もいるでしょう。
身近な人に誘われて、
ちょっとした活動に参加したところ、
広い世界に連れ出される、
という人もいるかもしれません。
毎日やっていることに疑問を持ち、
少し調べ始めたら、
それが自分の研究テーマとなり、
専門分野となった!
というような展開もあるかもしれません。
あくまで身近な「日常」の中に、
遠い世界への扉が仕込まれている年なのです。

書物の扉に、しばしば
「この本を、○○に捧げる」
と書かれているのを見つけます。
「捧げる」という言葉は
あまり日常的ではありません。
でも、私たちは人生の中で時々、
「全力を挙げて誰かのために頑張る」
という体験をします。
この「誰か」は、
家族や身近な人、愛する人、
あるいはペットの場合もあります。
仕事や他の活動の場で
「この人のために、一肌脱ぐか!」
という覚悟を決める場面もあります。
2021年の乙女座の人の中には、
そんな思いを胸に燃やし、
努力する人も少なくなさそうです。

もちろん、本当に「捨て身」にはなれません。
それでは、共倒れになってしまいます。
2021年の乙女座の人の念頭には
いつも以上に「健康」というテーマが
強く輝いているはずです。
「コロナ禍」の中、
お互いに強く健康を祈り合うことが
ほとんど私たちの日課となりました。
できるだけ感染しないように気を遣うだけでなく、
緊急事態宣言の中で運動すること、
テレワークでストレスを溜めないこと、
心身をなるだけ健康に保つことを、
多くの人が考え、工夫しあいました。
2021年の乙女座の人々は
人のために「役に立つ」には、
まず自分自身が元気でなければならない
ということを、正面から捉えています。
乙女座はもともと、
健康に関心の強い人の多い星座ですが
2021年はその分野でも、
多くを学び、成長できる時間となるはずです。


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[時期について]

1月から2月は、
向学心が高まりそうです。
自分が担っているタスクについて
「もっと成果を挙げるには、
これを学べば良いのだ」
ということが解ってくるでしょう。
訓練の仕方、自分の鍛え方を
新たに発見する人もいるはずです。

3月から4月は、
かなり大きなターニングポイントが
巡ってくるかもしれません。
人間関係や社会的立場が
がらっと変わる可能性もあります。
この変化は、ここだけのものではなく、
2022年に跨がって展開していく、
大スケールのプロセスです。

5月から7月は特に、
人間関係が大きく動きそうです。
公私ともに出会いに恵まれますし、
アツい仲間にサポートしてもらえる場面もあるかもしれません。
交友関係における摩擦の中から、
真に深くつきあえる相手が見つかる、
といった展開もありそうです。
また、ここでは
かつて所属した場所や、
過去に携わった活動に
「再度参加する」
ような場面もあるかもしれません。
ここでもまた、
人との再会が起こりやすいはずです。

6月は仕事や対外的な活動において、
「スケジュール通りに行かない」
ことが多い時期です。
先を急がず、柔軟に動き、
できる限り時間をたっぷり使うと、
「この時期だからできること」が
よく見えてくるでしょう。

8月から9月は、
熱い「勝負」に臨む人が多そうです。
自ら手を上げて新しいことを始めたり、
「自分自身との闘い」に挑む人も
少なくないだろうと思います。
スポーツやエクササイズを始めるなど
「身体を動かす」のに向く時期でもあります。
ただ、乙女座の人々は、
効果が出てくると夢中になって、
「鍛えすぎる」傾向があります。
どんなにいいことでも、
「やりすぎ」にはくれぐれも
気をつけたいところです。

8月から11月頭にかけては、
経済活動が動く時期でもあります。
特に9月後半から10月は、
盛大な「棚卸し」が発生しそうです。
新しい収入の途を開拓する人、
失ったものを取り戻そうと奮闘する人、
大きな買い物に臨む人もいるでしょう。
10月は特に、
物事が想定通りに進みません。
たいていの問題は時間が解決します。
柔軟なスケジュールの変更を。

11月から2022年3月頭にかけて、
素晴らしい愛の季節となっています。
クリエイティブな活動にも、
強い追い風が吹いてきます。
大きなチャンスの気配も。

12月から2022年1月は、
居場所や家族についても、
変化が多そうなときです。
自分を取り巻く大きな人間関係が、
がらっと変わるかもしれません。
この時期、何よりも大事なものは、
「愛情」なのだと思います。
2020年の経験や学びが、
この年末年始に生きるかもしれません。

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[愛について]

2020年は「愛の年」でしたが、
それは明るく華やかな1年
というよりは、
愛について深く、
時には「重く」考える1年、
だっただろうと思うのです。
愛の世界に重々しい神々が集い、
真剣に愛に向き合う体験を
多くの人が促されたはずです。
得がたい愛を掴んだ人もいれば、
愛と思っていたものが、
実は愛ではなかったと
気づかされた人もいるだろうと思います。
本当の愛の方に歩いて行く、
最初の一歩は、
いつも不安で、孤独で、
大変な勇気が要るものです。
でも、そこから愛に至るまでの距離は
想像したほど遠くないのも事実です。

2021年、あなたの愛は
とても爽やかに、軽やかに輝きます。
特に5月半ばから7月は
「パートナーシップの時間」に入り、
パートナーを探している人は
「その人」に出会うことになるかもしれません。
既にパートナーがいる人は、
お互いの愛を再確認できるような、
素晴らしい精神の触れ合いを体験できます。
この「パートナーシップの時間」は、
12月末から2022年に、
更に本格化していきます。
それに重なるように、
11月から2022年3月頭は、
愛の星・金星が
あなたの愛の部屋で、
力強いエールを送ってくれます。
2021年後半から2022年前半にかけて、
パートナーを得る人、
パートナーとの心のつながりを
「再構築する」人が少なくないはずです。

2021年は「役割」の年で、
愛する人やパートナーとの役割分担を見直す
という人も多そうです。
お互いに相手のためにできることがわかりますし、
相手が期待していることを
新しい形で捉え直せるでしょう。
長い間一緒にいる二人でも、
「相手が何を望んでいるか」を
きちんと理解できていないケースは
ちっとも珍しくありません。
人間の心の深い所にあるニーズは
その人自身も把握できていないことがありますが、
2021年はそのあたりを
「ふたりで」
探究できる時間となりそうです。

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今すぐ答えを捜さないで下さい。あなたはまだそれを自ら生きておいでにならないのだから、今与えられることはないのです。すべてを生きるということこそ、しかし大切なのです。今あなたは問いを生きてください。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遙かな日に、答えの中へと生きて行かれることになりましょう。
(ライナー・マリア・リルケ著 高安国世訳『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』新潮文庫)

日常生活の中では、色々な矛盾や、簡単に片付かない問題に、しばしば遭遇します。
たとえば典型的な悩みとして「家事や子育てと、外での仕事を両立できない。どちらも中途半端になってしまう」「どんなに話し合っても自分ばかりにタスクが集中し、だれも協力してくれない」といったものがあります。
こうした悩みの「解決策」はなかなか、見つかりません。他人と自分を比べて自分を責めてしまったり、あるいは関係者の中に犯人捜しを続けてしまったり、極端な答えを出して更に後悔したりする人もいます。
「ほどほど」「中庸」のような考え方も、なかなか受け入れられない場合があります。理想を高く持つ努力家の人ほど、日常生活という混沌の中で、「整理できない部分」に悩まされます。諦めきれないことが、たくさんあるのです。他の人にできていることが自分にはできていない、と思えて、何が悪いのかと考え続けてしまう人もいます。

答えの出ない問題は、他にも、生活の中に無数にあります。そうした問題を解決しようとすることは、とても素晴らしい姿勢です。
ただ、人生には「時間が解決すること」も、たくさんあります。また、「長く扉を押し続けてはじめて開くドア」「迷路の全ての道を歩き尽くしてみた結果、最後に開かれる出口」といったものもあります。果実が熟すように、「そのとき」が来なければ、決して解決しない問題もあるのです。

「問いを生きていけば、いつのまにか、答えを生きている自分を発見する」。
これを「なんて暢気なのだ」としか思えない状況にいる人も、もちろん、少なくないでしょう。
でも、もしあなたの世界に、誰に相談しても、どんなに答えを探し回っても、どうしてもわからない問題があるなら、まずはその「わからない問題」をそのまま、まるごと生きてみる、という気持ちを持つのも、一案なのかもしれません。

東日本大震災の後、被災地の人々に「編み物をしましょう」と声をかけた人のエピソードを読みました。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5fcd9e1fc5b6636e09268103
声をかけられた人は、「こんなにたいへんなことがあったのに、のんきに編み物などしていられない」という気持ちにならざるを得ませんでした。
それでも編み物に参加したところ、その心に、変化が起こりました。

「でもねえ、編み物するようになって、本当に助かった。編み物してると、その間だけでも嫌なことを忘れるものねえ。除染するったって、いつまでかかるかわからないし」
「編み物がなかったら、気持ちがどうなってたかわからない。やっていけなくなっていたかもしれない」

私はこの記事を読んで、リルケの言う「問いを生きていく」というフレーズを思い出しました。「問いを生きる」ことは、たとえば「編み物」のように、日常の中から、私たちの身体性の中から立ち上がります。
編み手たちは、問題を忘れていたのではなく、問題を「生きて」いたのです。

2021年、乙女座の人々は「問いを生きる」ことを、手元にある日常の中からはじめるだろうと思います。そしていつのまにか、思いがけなく高く遠い場所にある、真っ白な百合の花のような、美しい「答え」を生きる自分に気づくのだろうと思うのです。

この「遠く高い場所」は、いつでも見つけられるようなものではないようにも思われます。
時間という不思議な魔法が授けてくれる、「今」という特別な機会です。