バレンタイン【三橋雄斗】
明日はバレンタインデー。
毎年、ひかりちゃんは「日本人なのだから別にバレンタインデーに何かすることないだろう」と言いながらも、何かしら手作りしてプレゼントしてくれます。
しかし、僕は甘い物があまり好きではありません。
付き合いたての頃は、甘いチョコレートをプレゼントしてくれていましたが、次第に僕の好みを理解してくれまして、
ビターチョコなど、甘さ控えめなお菓子を作ってくれるようになりました。
とても有難いものです。
今日の夕方、ひかりちゃんが何やら大掛かりな料理をしていました。
僕は「何を作っているんだい?」
と聞くと、
「そんなもの聞くもんじゃないよ」
と言っていたので、
僕はそれ以上聞きませんでした。
なんせ明日はバレンタインデー。
今年は何を貰えるのか、楽しみにしながらビールを飲みつつテレビを観ていました。
そしてしばらくすると、
「晩ごはんできたよ」との声。
晩ごはんも、もちろん楽しみ。
ひかりちゃんが「いやー、なかなかよくできたよ」と言いながら運んできたのが、
ガーリックトースト。
僕は「珍しいね、どうしたんだい?」と聞くと、
「バレンタインプレゼントだよ」
と言うのです。
僕は「バレンタインデーは明日だよ」と言うと、
「明日は一日忙しいでしょう。だから今日、少し早めのバレンタインをと思ってさ」
とのこと。
「それにしても、バレンタインにガーリックトーストなんて珍しすぎるね!」
と言うと、
「いや、あんたが珍しいからさ。そんなに甘いものを好まないなんてさ。まあ焼き立てだから冷めないうちに食べてください。」
と言うので、一口。
とても美味しい。バレンタインチョコとは正反対ですが嬉しい。家にあったストックのワインを開けてしまいました。
常識よりも僕の好みを優先してくれる、最高のひかりちゃんです。
食べ終わったあと、「美味しかったよ、ありがとう」と感謝の言葉を告げると、
「そんなに酒に合うものがいいなら来年は漬物でも漬けてあげるよ。」と、食器を洗いながら照れくさそうに言っていました。
バレンタインデーに漬物。ホワイトデーは何を返そう。漬物石がオシャレかな。重いよね。
【相方へ】
僕も出せないと思います。
高級すし店にスポンサーになってもらいましょう。
一生懸命宣伝しましょうね。
ドラえもんの漫画でそんな話がありましたね。