授乳トラブルQ&A
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授乳後すぐにまた母乳を欲しがるのですが、乳房が張るまで待たないと母乳が十分出ないのではないですか?
乳頭が刺激されるとその都度ホルモンが分泌され母乳が作られます。乳房がたとえ張っていなくても赤ちゃんが吸うことで母乳はきちんと分泌されます。また、長時間乳房に母乳がたまることで分泌が減ってしまうこともありますので、決して張らせて飲ませることがいいわけではありません。
ただ、赤ちゃんはいろいろな理由で泣きます。授乳以外の方法で泣き止むこともあるかもしれません。なぜ泣いているのか立ち止まって考え、お腹の空いたタイミングで授乳をするというリズムを付けることも大切です。
乳頭にニキビのような白い点があります。授乳の時とても痛いです。
白班である可能性が高いです。
白班は、赤ちゃんが歪んだ姿勢で授乳したり、詰まっている乳管から母乳が勢いよく流れることなどが原因でできた傷・水ぶくれです。
白斑は治るまで少し時間がかかります。早く治すためには何よりご本人の治癒力が不可欠ですので、なるべくしっかり休息をとりましょう。痛みが強く授乳が困難な時には、授乳を少しお休みして搾乳に切り替え、乳頭を安静にする選択もあります。乳腺炎につながることもありますので、長引く場合は専門家に相談しましょう。
授乳中モヤモヤして吸われることにとても不快感を感じたり、気持ちが落ち込みます。もう授乳を辞めたいです。
不快感を抱えながら授乳するのはお辛いことと思います。このような授乳時の不快感はDーMERと言われ、周りに打ち明けられないでいる方が多くいます。
授乳に否定的な自分を責める必要はありません。ドーパミンというホルモンの低下が影響していると言われており、決して母性や愛情が不足しているわけではないからです。
授乳期間中ずっと続くわけではなく、自然と落ち着いてくることもありますが、授乳を続けていくことがお辛いと感じる時は専門家にご相談ください。
預けるときに困らないように哺乳瓶も飲めるようにしたいです。哺乳瓶はどれくらいの頻度であげていれば嫌がらずに飲んでくれますか。
これは正解がありません。完全母乳で哺乳瓶を使ったことのない赤ちゃんでもすんなりと飲める赤ちゃんもいれば、1日何度も哺乳瓶を使っていたのに急に嫌がる赤ちゃんもいます。また一時的に嫌がったり、飲ませるタイミングや哺乳瓶の種類や中身の温度・種類を変えたら飲む場合もあります。
月齢や、どんな時に預けるのか、一時的なのか定期的なのか、長時間なのか授乳の合間で済むのか、哺乳瓶であげるしか選択肢はないのか、など様々な状況が考えられますが、全く哺乳瓶であげたことがないよりは1日1−2回程度慣らしておいた方が嫌がる確率は少し低いかもしれません。ただその一方、哺乳瓶の乳首に慣れたことにより乳頭混乱と言って乳頭を咥えることを嫌がり哺乳瓶を好むこともありますので、授乳が軌道にのる産後4週間ごろまでは慣らすための哺乳瓶はあまりお勧めしません。
今から分泌を増やすことはできますか?
何ヶ月からでも分泌を少しずつ増やしていくことは可能です。ただ、やはり早い時期の方が反応がよいのも事実です。分泌を増やしていくのにはコツや努力が必要ですので一緒に伴走する専門家がいると心強いと思います。
授乳中の食事がトラブルに影響しますか。揚げ物やケーキは食べてはいけませんか。
暴飲暴食や偏食はやはり避けた方がいいでしょうが、乳管の太さと食べ物の脂肪の大きさを考えると、食べ物だけが原因で詰まるということはないと言われています。
ただそのような食べ物を体が欲するときは既にストレスを感じていたり疲れていたりとトラブルを起こしやすい状況かもしれませんね。また、トラブルがある時は消化のいいものをお勧めします。消化に血液やエネルギーがたくさん使われることで母乳の流れが悪くなり、トラブルが悪化したり、治るのに時間がかかることが考えられるからです。
夜間に母乳をあげていると虫歯になりますか。
虫歯は、口腔内のミュータンス菌という虫歯菌が糖分(ショ糖)を栄養にして酸を作り出し歯が溶かされてしまうことで起こります。母乳に含まれるのは乳糖であり虫歯の原因にはなりにくいです。
ただ糖分を含む食物残渣が残っているところに母乳が加わるとリスクがとても高くなるので、食物残渣を残さないことが大切です。
虫歯予防には、赤ちゃんの口に菌を移すようなことを避ける・砂糖を多く含むお菓子飲み物を取らない・歯磨きの習慣をつけ1歳を過ぎたら歯科検診に行くことが重要と言えます。
1歳を過ぎたら断乳・卒乳した方がいいですか。
WHO/UNICEFは母乳は少なくとも2歳まで、それ以降は母子の望む限り続けるようにと述べています。世界の平均卒乳年齢はなんと4.2歳なのです。月齢で無理に授乳を辞めるものではなく、それぞれのタイミングで納得して決めるのがよいと思います。
専門家による断乳卒乳ケアは必ずしも必要なわけではありませんが、時期や方法について一緒に専門家と考えることもできます。
執筆者:山井郁(日本の助産師)
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