見出し画像

香港空港Hactl貨物ターミナルに世界初の貨物熱検知システムを装備

香港国際空港(チェクラップコク国際空港)と言えば、航空貨物の取扱量で他に圧倒的な差をつけて世界トップの座を占める巨大エアカーゴ・ハブとして有名ですが、その香港空港で最大の航空貨物ターミナルを運営しているのが「香港エアカーゴ・ターミナル・リミテッド」です。
その英文社名の頭文字をとった“Hactl”という略称は、日本の物流業者には日本酒銘柄の“白鶴”を思わせるので、「ハクツル」と呼ばれて親しまれているとか。

そのHactlが運営する世界最大規模の航空貨物施設“スーパーターミナル 1”内に、このほど香港の航空セキュリティ技術開発会社アエロビジョン・テクノロジー・リミテッド(ATL)が開発した「インテリジェント貨物熱検知システム」を設置することが決まり、12月14日、開催中だった香港アジア・ワールド・エキスポの会場内で、その最新システム導入に合意したHactlとATLの間で調印式が行われました。

12月14日に行われたHactl/ATLの提携調印式で。香港民間航空局、香港特別行政区政府の関係者のほか、約1000名の来賓が参列した

国際航空貨物ターミナルには実に多種多様な貨物が集まりますが、その中には異常な熱を発して火災に至るリスクがあるものも増えてきたといいます。今回、ATLが特許を取得してHactlが採用した貨物熱検知システムは、高度な熱画像技術、熱力学、流体力学、データ分析、人工知能を組み合わせて、さまざまな環境でさまざまな貨物材料の温度をリアルタイムで監視し、異常な状態を迅速に特定してアラートを発することができるそうです。

こうしたハイレベルのインテリジェント貨物温度検出システムを設置する航空貨物ターミナルは世界で初めてとのこと。香港空港での貨物検査の安全性と信頼性を強化し、危険な航空貨物の量の増加に対処し、潜在的な火災のリスクを軽減することになるとの触れ込みです。
また、提携の一環としてATLは今後、本件に関わるシステム設計、供給、設置、試運転、トレーニング、メンテナンス・サポートなど、包括的なカスタマイズ・サービスを提供していくことになりました。

この調印式に同席した香港民間航空局のリチャード・ウー副局長は、「香港国際空港は世界で最も貨物と旅客の利用が多い空港のひとつで、航空貨物量は長年にわたり一貫して世界のトップにランクされています。香港での電子商取引の成長に関連して航空貨物取り扱いの安全性と信頼性をさらに高めるために、地元で発明された革新的な技術が採用されるのを嬉しく思います」と述べました。

ATLのアンガス・チャンCEOは、「ATLとHactlの提携は、世界で最も利用者の多い航空貨物空港としての香港の地位を維持する上で重要であり、将来的には航空貨物の安全な取り扱いの新たな基準を確立することになるでしょう」と強調し、一方、Hactlの最高経営責任者ウィルソン・クオン氏も、「Hactlのスーパーターミナル 1は単一では世界最大の航空貨物ターミナルであり、ATLとの今回の提携によって貨物検査の信頼性がさらに向上し、施設の運用回復力が強化され、航空貨物業界の新たなベンチマークも設定することになります」と付け加えました。

Hactlが誇る世界最大規模の航空貨物ターミナル“スーパーターミナル 1(One)”

ちなみにHactlは1976年に創立と営業開始、所有・運営する世界最大の多層航空貨物ターミナルである「スーパーターミナル 1」の敷地面積は約39万平方メートルで、年間最大350万トンの航空貨物を取り扱うことが可能。貴重品、生鮮品、冷蔵貨物、家畜、危険物・放射性物質、小型貨物、大型貨物に特化した総合設備を利用するのは、100社を超える国際航空企業と1000社を超える物流業者とされています。

2023年12月20日掲載


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?