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新たな航空業界団体”空港グランドハンドリング協会”が設立、第1期事業計画を策定

空港のカウンターや搭乗口で働くグランドスタッフ(地上旅客係員)業務や、貨物搭載および航空機運航支援などのグランドハンドリング(地上支援)業務を担う事業者50社が8月25日、グランドハンドリング業界の持続的な発展を目指すため「空港グランドハンドリング協会(Airport Ground Handling Association、AGHA)」を発足、同日に羽田空港内で記者会見を開催した。

設立総会にはグランドスタッフ、ハンドリングスタッフなど各社が参加した

初代会長には小山田亜希子・ANAエアポートサービス社長が選出された。小山田会長は、「これまで競合関係にあったグラハン事業者が、人材不足をはじめとする共通の課題に取り組み、業界を持続的に発展させ、日本経済や社会に貢献したい」と挨拶した。

その後メディア向けに行われた記者会見で小山田会長は、最大の課題は人材確保で「個社で取り組むことは難しい」との認識を示し、「業界をあげて魅力を発信し、認知度を上げていく必要がある。また、人材維持のためには、従業員の賃金や労働環境の見直しも必要」と話した。

また、横山律幹執行理事(鴻池エアーホールディング取締役)は、「協会設立の背景には、コロナ禍で空港グランドハンドリング業務を取り巻く環境が大きく変化してきたことがある。コロナ前はインバウンド需要の拡大に伴って、各事業者は機能強化を進めてきたが、コロナ禍で激変した。昨年秋の水際対策緩和の際には、旅客需要の急増により空港グランドハンドリング業務は立ち上がれない状況になっていた」と説明したうえで、「グランドハンドリング業界が団結して情報を発信し、解決策を自ら考えること。協会発足を機にインバウンド拡大、空港業務を支える存在として、しっかりと取り組みたい」と抱負を述べた。

曽原倫太郎執行理事(全日本空輸オペレーションサポートセンター空港サポート室グランドハンドリング企画部長)は、「事業者として競争関係にあり、お互い情報交換を事業系列を超えてすることは今までできなかった。我々が企業の壁を超えて競争すべきところは競争する。一方で共通の課題をしっかり解決するためには情報交換、意見交換をして解決をしていくという枠組みが必要だった。共通の課題を洗い出したうえで、議論を進めていきたい」とコメント。

左から横山律幹執行理事、小山田亜希子会長、曽原倫太郎執行理事

■第1期事業計画
1)業界の共通課題の解決に向けた事業
・空港業務に関する基礎的データの収集・分析
・男女比の極端な偏りの解消に向けた取り組み
2)会員企業の事業基盤強化のための事業
・就航メリットを享受する主体間のリスク分担の実現
・資格や車両仕様等にかかる業界ルールの整備
・生産性向上
・専門学校等の教育機関との連携
3)働く人にとって魅力ある業界づくりのための事業
・空港業務の情報発信の強化
・カスタマーハラスメント対策
・空港グランドハンドリング業界を目指す者の裾野拡大
・労使間の対話

以上の事業内容を、協会の体制として会員各社に窓口となる幹事を設置し連携を取ることや、都市部空港及び地方部空港の各課題について、偏りなく抽出し解決につなげるために、各空港への訪問や現場視察などを通じて各空港における関係各所との連携機会を創出するとしている。
協会では、「50社でのスタートとなったが国内には約400社がある。目的を説明し、理解を得て、さらに多くの事業者に広げていきたい」と述べた。

※グランドハンドリング業務
グランドハンドリングは、航空機が空港に到着してから出発するまでの限られた時間内で行われる地上支援作業の総称である。その内容は航空機の誘導や客室の整備、旅客の案内、手荷物・貨物の搭降載、燃料の給油等多岐に亘る。
近年では、先端技術を活用した業務の省力化・効率化の取組が進んでいる。

グランドスタッフ・グランドハンドリングスタッフの業務(出典:国土交通省)

2023年9月6日掲載

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