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エアインディア:民営化から1年、新機材購入で競争力アップ、運航改善にも注力

ことし2月、インド・タタグループ傘下のエアインディア(AIC)が、エアバスに250機、ボーイングに220機の計470機の発注計画を発表した。 ボーイングへのオプション発注70機も含めると、両社合わせて540機の大量発注となり、航空業界を驚かせた。

インドのメディアによると、これら機材の契約総額は約800億ドル(約10兆6000億円)で、1回の航空機発注数としては2011年のアメリカン航空の460機を上回って過去最多となった。

AICはタタのグループ会社として設立され、1953年に国営化。しかし、規制緩和で航空業界への民間参入が進んだ1990年代半ば以降、経営が悪化し、2022年1月にタタグループがAICの負債ごと買い取ったことで、再びタタ傘下となった。現在は本格再建に向けてTataによる経営改善が進められているところ。

民間航空史上で最大規模となる470機を発注(出典:Airbus)

タタグループとしては、今回の機材大量発注により、フリートの近代化や航空分野の競争力強化を図るとともに、国内だけでなく国際線でも新規路線を増やし、世界トップクラスの航空会社に成長することを目指す。

これに加えて同グループは、シンガポール航空との合弁会社であるビスタラ(VTI)とAICを合併させるほか、格安航空会社(LCC)のエアアジアインディアとエアインディアエクスプレスを統合させる計画で、グループ各社との合併で運航および経営の効率化を進め、低迷が続いていた旅客シェアの向上を図る。

さらに、これまで定時運航率の低さが目立っていたAICだが、タタのテコ入れにより定時運航率が向上するなど、サービス面での成果も出てきているという。

順調に運営が改善されているAICだが、将来的に国内の旅客シェアを伸ばし、国際的なメガキャリアに成長していけるかどうか。タタが今後どのような戦略を展開するかにも関心が高まる。

2023年3月14日掲載

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