見出し画像

中国・菜鳥グループ、5日間グローバル配送サービスの開始で注目

“23 Global Smart Logistics Summit”のメディア・ロゴ

中国最大のEC事業者アリババ・グループの物流部門である菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク)は、6月末に杭州市で開かれた2023年グローバル・スマート・ロジスティクス・サミットにおいて、同じアリババ ・グループの越境ECサイトを運営する1社・アリエクスプレスと提携し、中国のEC物流業界では初の「5日間グローバル配送」を確約するサービスを開始すると発表した。

同サミットのメインフォーラムで講演した菜鳥CEOのワン・リン氏は、同グループが消費者、販売者、プラットフォーム、物流パートナーに高品質で競争力のある物流サービスを提供するために、ことし進めている4つのビジネス改革を説明した。それが、1)世界的なエクスプレスサービスの加速、2)主要な海外市場での物流能力の深化、3)国内のエクスプレスサービスの向上、4)段階的な国内のサプライチェーン商品の開発----である。

ワン・リン 菜鳥CEO

その1)の改革に相当するのが、「国境を越えた荷物を5営業日以内に世界どこへでも配達することを約束する“5-Day Global Delivery”サービスの開始である。中国物流業界の新たなベンチマークとなりそうなこのサービスでは、ネットワークの運用最適化/ファーストマイルの集荷/路線輸送/海外物流/ラストマイル配送にわたるすべてのワークフローの合理化を達成したとしている。

菜鳥では、5日間グローバル配送サービスは業界標準と比較して配送速度が平均30%向上するものとしており、それを支えるインフラとしてヨーロッパ、北米、東南アジアの主要な物流結節点に絞って、毎年1〜2の現地倉庫および配送センターを開設していくという。

ただ、1日に1億個のEC商品や小荷物を運ぶ菜鳥にとって、この「5日間グローバル配送」もまだ過程に過ぎないように見える。というのも、同社のホームページにはミッションとして「72時間(3日)で世界へ配送」が謳われているからだ。世界最大のEC大国・中国を基盤とするだけに、同社のEC商品輸送事業は右肩上がりで増え続けている。それを捌くサービスの品質向上への挑戦に終わりはないようである。

また、同講演でワン・リンCEOは、菜鳥が自社で運営するプレミアム・エクスプレスサービスとして“Cainiao Express”を開始することも発表した。このサービスでは、差別化された高品質のエクスプレスサービス商品を求める市場の需要に応えて、半日配達/玄関先配達/夜間ピックアップなど、柱となる差別化サービスを提供するとしている。

2023年7月7日掲載


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?