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中国初の国産旅客機C919が商用飛行を開始

中国初となる国産旅客機「C919」が5月28日、商用飛行を開始した。

初便となる中国東方航空のMU9191便は同日の10時32分に上海を出発、12時31分に北京首都国際空港に到着した。

初の商用運航で上海を出発し、北京に到着したC919(出典:新華社)

C919は国有系航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)が開発したナローボディ機で、座席が158~192席、航続距離は4075~5555km。2007年に開発プロジェクトが始動し、17年5月に試作機が初飛行に成功。その後多数の試験飛行を経て、昨22年9月に中国当局から運航に必要な安全認証の型式証明を取得した。

その初号機が昨年12月、中国東方航空に納入され、今回初の商用飛行として運航されたもの。同機は今後、上海〜成都間で定期運航される予定としている。

中国政府は重点産業10分野で国内生産比率の大幅な引き上げを目指す「中国製造2025」を掲げており、航空機産業もその一翼を担っている。C919の就航は同戦略にとっての節目となる。

C919は、ナローボディ機として各国の国内便や地域国際便に広く使われているエアバスのA320や、ボーイングのB737と競合する。エアバスのギヨーム・フォーリー最高経営責任者(CEO)は21年5月に開催された米欧の未来を考えるフォーラムの席上、「C919は当面、中国の航空会社だけが導入するだろうが、COMACは徐々にしっかりとした航空機メーカーになる。おそらく10年後までに、ナローボディ機市場は2社(エアバスとボーイング)独占からCOMACを加えた3社独占になるだろう」とコメントしている。

ただ、C919が世界の航空各社に導入されるためには、米連邦航空局(FAA)や欧州航空安全局(EASA)など各国ごとに型式証明を取得する必要があるため、現状、中国国外で就航するのは難しい。C919が世界を股にかけて飛行するにはまだ多くの時間を要しそうだ。

2023年5月31日掲載

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