シンガポールSATSが仏WFSの買収完了、航空貨物グラハン世界最大手に
シンガポールの空港サービス会社SATSが、グランドハンドリング業者のWorldwide Flight Services(WFS)の買収を完了した。
買収額は13億ユーロ(約18億シンガポールドル)で、SATSはWFS買収により、国際航空貨物ハンドラーの世界最大手となる。WFSはSATSの完全子会社となり、Craig Smyth氏が引き続きCEO(最高経営責任者)を務める。
WFSはシカゴ/ロサンゼルス/パリ/フランクフルトなどの欧米の主要空港をはじめ、世界158空港で年間680万トン以上の貨物を取り扱う。一方のSATSは、北京/香港/台北/シンガポールなどアジアでの貨物事業を展開している。
米州・欧州を中心とした世界最大の航空貨物ハンドリング会社であるWFSと、アジアのリーディングカンパニーとして航空サービスを提供するSATSが統合され、アジア太平洋/米州/欧州など世界23ヵ国で201ヵ所の拠点網を持つ、グローバルな航空貨物ハンドラーが誕生した。
SATSは昨22年9月にWFSの買収を発表、ことし1月18日にはWFS買収を議案とする臨時株主総会を開き、96.8%の株主が賛成票を投じた。
今回のWFS買収は「小が大を飲む買収」となったわけだが、WFS買収にあたりSATSが財政的に圧迫されることを懸念し、一部の株主からの反対にあっていた。しかしSATSは、航空貨物とロジスティクス分野での規模を拡大し、世界的なプレーヤーになるためにはWFSが必要と主張。WFS買収により 中期的に1億ドルのEBITDA(利払前・税引前・償却前利益)の相乗効果を生み、SATSの総収益を倍増させ、EBITDAを7倍に押し上げるとしていた。
近年のグランドハンドリング業界では、昨22年8月に中東物流大手Agilityが英国に本拠を置くグラハン大手Menzies Aviationを買収するなど、統合への動きが活発化している。
2023年4月6日掲載