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住宅ローンの教科書

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住宅を買う前にご一読いただきたい、安心して返せる住宅ローンにするための基礎知識集【現役FP監修】※最終記事公開後有料化する予定です※
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記事一覧

住宅取得後の家計をイメージしてみよう【第8回】

■住宅取得で増える支出、減る支出 「住宅ローン借入額は『借りれる』ではなく『返せる』で決めよう」の項で書いたように、持ち家には賃貸暮らしの時には発生しなかった費用がいろいろ出てきます(固定資産税、修繕積立金、団信保険料、火災保険料など)。逆に、家賃や管理費・共益費、賃貸契約更新の際に支払う手数料はなくなります。 こうした費用を踏まえて、住宅購入後の家計支出をあらかじめシミュレーションしておくと、毎月のローン返済額(借入金)にムリがあるかどうか見極めることができます。 借り

住宅ローンの返済期間は教育費と定年を見据え「長め」が吉【第7回】

■資金計画の前にまずライフプランを考えよう 賃貸住宅であれば、家族構成や勤務先が変わっても、ヤドカリのように住み替えることが可能です。ただ、持ち家となるとそうはいきません。多くは“終の棲家”と見定めて住宅を購入するのではないでしょうか。 住宅購入というと、まずお金のことが脳裏をよぎります。 諸費用や頭金をどうするか? どの金融機関を選ぶか? 住宅ローンのプランは変動金利か?固定金利か? などですね。 ファイナンシャル・プランナーである筆者としては、「その前にまずライフプ

住宅ローン借入額は「借りれる」ではなく「返せる」で決めよう【第6回】

■返済負担率だけではなく、毎月の住居費と貯蓄をもとに考える 金融機関によって数値は異なりますが、おおむね返済負担率(住宅ローン年間返済額÷額面年収)が20%ほどでしたら金融機関の審査が通ると見込まれます。逆算すると、年収600万円の場合、年間返済額が120万円(=返済負担率20%)。毎月に直すと10万円です。 あなたならこの金額の上限まで住宅ローンを借りますか? ファイナンシャル・プランナーである筆者の答えは「イエス」でもあり「ノー」でもあります。つまり返済負担率だけでは

頭金「ゼロ」はなぜ悪い?【第5回】

■頭金「ゼロ」は借り手にやさしい?それとも売り手にやさしい? 住宅販売会社のチラシで頭金「ゼロ」といううたい文句をよく見かけるようになりました。低金利を受けて、頭金ゼロで住宅ローンを組む人も珍しくはないご時世となりました。 一見すると、これから家を買おうとしている方にとって朗報と思われるかもしれませんが、果たして本当にそうでしょうか? 手元資金もなく、現状の家計収支が変わらないまま安易に組んだ頭金「ゼロ」の家賃並みの35年住宅ローン。その正体は、世帯主の給与ダウンや単身赴

住宅を取得する時に必要なお金【第4回】

■住宅購入価格以外にかかる諸費用はどれくらい? 購入する物件が新築か中古か? 戸建てか?マンションか? 広さや立地、住宅の築年や構造によって必要な諸費用は変わります。物件価格に目を奪われがちですが、目安として物件価格の5~12%程度の諸費用が必要になります。それ以外に、頭金を物件価格の2割ほど入れると考えると、自己資金を物件価格の2,3割準備しておくと安心です。 ただし、住宅購入後、貯金が手元になくなることは絶対に避けてください。 最低でも1年分の生活費(お子様がいらっし

住宅ローンが組める人、組みにくい人【第3回】

■金融機関で審査内容は違う。複数で競わせる 数千万円の借金である住宅ローンには当然審査があり、だれでもがローンを組めるわけではありません。よく言われるように、審査で「職業」や「勤続年数」が重視される状況は今後も変わらないでしょう。ただし、個人の状況により金融機関の対応は大きく変わりつつあります。 民間金融機関の多くが2,3年の勤続年数を必要としますが、フラット35は(審査が通過するかはともかくとして)転職後1年以内であっても、勤務先からの収入を証明する書類があれば、年収換算

住宅ローンは銀行だけとは限らない【第2回】

■貯めるだけじゃない、住宅資金を借りることができる○○制度 住宅ローンというと、銀行や信用金庫などを思い浮かべる方が多いと思いますが、そうとは限りません。職場からの貸付やお住まいの自治体による住宅資金融資(利子補給)制度があるか、一度調べてみましょう。場合によっては民間機関より低利で住宅資金を準備することができるかもしれませんよ。 職場の貸付で最初に確認して欲しいのが「財形持家転貸融資制度」の有無です。 みなさん、「財形貯蓄」はお使いですか? そう、お給料やボーナスから天

はじめに「物件ありき」は大失敗の元【第1回】

■ 物件探しからスタートすると、予算オーバーしがち 「マイホームV.S.賃貸住宅。どちらが得か?」 定期的に求められる執筆テーマです。 記事の良しあしはともかく、一定の年齢を過ぎると家賃を払わずに済むマイホーム購入を目指す人が少なくありません。今週末、住宅展示場やモデルルームに足を運ばれる予定のご夫婦もいらっしゃるかもしれません。 予算を考える前にモデルハウス(ルーム)を見学する! マイホーム購入希望者あるあるですが、筆者はおすすめしていません。 きれいな調度品やスマ