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ストレスフルを極めるゲーム『Tarkov』、その魅力とおもしろさ【コラム】

『Escape from Tarkov』というFPSゲームがある。

非FPSプレイヤーにとっては知らないタイトルかもしれないが、最近では配信者の影響か、日本でもブームになりつつある。

ルールは簡単。大きなマップに複数人のプレイヤーがスポーンする。復活は無し。マップに配置されたアイテムを拾い集め、敵と戦い、奪い合う。脱出に成功すればそのアイテムは自分のもの。売却して金を稼ぎ、装備を整え、再び戦地へと赴く。

例えるならMMO+バトルロワイヤルといった具合だろうか。


そんな『Escape from Tarkov』であるが、このゲーム、とにかくストレスがすごい。

ゲームプレイから快適さが排除されているのだ。

銃は反動が強くマズルフラッシュも眩しい。撃たれれば当たった箇所が出血し、骨折し、壊死する。足が壊れれば走れなくなるし、腹部が壊れれば脱水症状に陥る。

無数に存在する回復アイテム。骨折用、出血用、鎮痛用…… それらを携帯し、用途に応じて使い分けなければならない。

たくさん装備を持ち帰ろうとすれば、重量が嵩張りすぐに走れなくなってしまう。

死んでしまえば持っていたアイテムや装備はすべてロスト。再びお金を工面して、買い直さなければならない。


ここまで快適ではないFPSも久しい。必要な知識量が多く、ゲームを断念してしまう初心者も多いと聞く(かつては自分もそのひとりであったが…)

そんなシビアなゲームのTarkovは、なぜ我々を魅了するのか。


その理由は単純だ。際限のないスリルである。

高額アイテムを求めてマップを走り回る。アイテムが収納されている箱を開ける度に一喜一憂し、高額アイテムを拾ったときには胸を高鳴らせる。そしてそれと同時に背負う死のリスク。アイテムを持ち帰るには死なずに脱出地点へ辿り着く必要がある。

自前の装備に関してもそうだ。パーツを集めカスタマイズした自慢の銃やアーマーが、敗北によってロストしてしまったときには目も当てられない


プレイヤーごとのプレイングも様々だ。

高額装備を揃えて激戦区に飛び込む。プレイヤー同士の戦闘を制して高額なアイテムを奪えたときには、その快感もひとしおだ。

激戦区に赴きほとぼりが冷めるのを見計らってから死体を漁るのもいいだろう。高レベルプレイヤーの装備が落ちているかもしれない。もちろん生きている他のプレイヤーが潜んでいないという保証はないのだが…

戦いから身を引いて、戦闘の少ないポイントでゴミ拾いに興じるのも悪くない。コツコツとアイテムを集めて売り叩けば、いつかは億万長者になれるかもしれない。しかしゴミ拾いの同業者にあってしまった場合は、戦闘も避けられない。


Tarkovの根幹にある「死んだらロスト」のシステム。恐ろしくもあるが、しかしあまりにも魅力的だ。ロストの恐怖があるからこそ、我々はスリリングな快感を覚える。そしてその恐怖を乗り越えた先にある大金を渇望し、再び戦地へと赴くのだ。


ある意味ではマゾゲーとも呼べるTarkov。万人に勧めることはできない。

しかしその恐ろしさの中に秘めている快感は、このゲームならではなのではないだろうか。

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