「ナイブズアウト」意味ありげなオブジェ
※ネタバレあり
この映画は画面の随所に意味ありげなオブジェが配置され見ていて楽しい
いくつか気づいたものを記してみる
最初と最後に出てくるマグカップ
MY HOUSE, MY RULES, MY COFFEE!!とプリントされたハーランのマグカップが映画のラストではマルタが持っていて彼女にハーランのすべてが引き継がれたことが示されている
聞き耳を立てるマルタと髑髏の絵
スロンビー家族の事情聴取後の探偵と刑事の話をマルタが盗み聞きしようとガラスに顔を近づけて聞き耳を立てる このときマルタの顔とともに画面内に映っているガラスには髑髏の絵が描かれていてマルタがハーランの死の真相に深く関わっていることが示唆されていると思う
隠し窓の絵画
少年が絵の額縁から乗り出したような絵画はペレ・ボレル・デル・カソという画家が描いたトロンプ・ルイユ(だまし絵)で「批判を逃れて」というタイトルだそうだ それがマルタの逃走ルートに使われた隠し窓に掛けられているのはこの後に財産相続に際してハーランの遺族から批判を受けるであろう彼女に対する皮肉ともいえる
ナイフのオブジェとドーナツホール
この映画の象徴的なオブジェの一つとしてナイフのオブジェ(円形に大量のナイフが中央に向かって配置されたもの)がある
このオブジェは探偵が事件の全容について例えたドーナツをモチーフにしているのではないかと考えられる
このオブジェは序盤の事情聴取の際に関係者が事件について語るとき常に画面内に配置されていてオブジェが事件の象徴的なイメージとして印象づけされている
マルタと探偵が車で移動しているシーンで事件の全容をドーナツに例え、見えていない真相部分をドーナツの穴に例えている
その後事件の真相を理解しそれを語ろうとしている探偵がナイフのオブジェの前の椅子に座った時、ちょうど穴を埋めるように探偵の頭がナイフオブジェの中央にあり、探偵の頭の中で真相が完全に解明されたことが示唆されていると思う
ナイフが集中線のような効果も果たしていて印象的なシーンになっている
余談
他にも書斎でハーランの背後に置かれた巨大な目玉のオブジェや事情聴取の際に後ろに掛けてある箱が描かれた絵画など意味ありげで面白そうなものが多数ある
そういったものを見つけて想像を膨らませながらストーリーとの関連を考えるとよりこの映画を楽しめるかもしれない
では良い一日を。
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