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日本選手権で使用した「炎王鉄獣」について

はじめに

 はじめまして、ウェスと申します。普段は東北のCSに参加しています。
 今回は、日本選手権で使用した「炎王鉄獣」というデッキについて、強みや弱み、採用カードや採用を検討したカードとその理由、展開パターン等について解説していきたいと思います。


「炎王鉄獣」というコンセプト

 そもそも、「炎王鉄獣」というデッキのコンセプト自体は、以前から存在していました。
 2023年9月発売の「ストラクチャーデッキR 炎王の急襲」に収録された「聖炎王 ガルドニクス」の登場により、その効果で「鉄獣戦線 キット」をデッキから破壊することで、炎王のギミックから鉄獣のギミックに繋げられるようになりました。

調べたらこのカードの登場以前から炎王鉄獣を考えてた人がいたみたいです、遊戯王奥が深い

 しかし、この炎王鉄獣というデッキは純構築の「炎王」や、2024年現在も環境で活躍する「炎王スネークアイ」と比べ、環境に姿を見せることは少なかったと感じています。そんな「炎王鉄獣」ですが、次の項目でこのデッキの強みと弱みについてまとめていきます。

「炎王鉄獣」の強み

種族及び属性のシナジー

 炎王モンスターはそのほとんどが獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター(以下、「獣系モンスター」と表記します)であり、鉄獣の制約下でも炎王モンスターをリンク素材にしたり、「鉄獣の抗戦」で墓地・除外の炎王モンスターを特殊召喚したりすることができます。
 そして、鉄獣に関しては、「鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ」の効果を使って「真炎王ポニクス」をサーチできる他、後述する展開では鉄獣だけの手札から炎王と鉄獣両方の妨害を構えることもできます。
 炎王は上記のとおり「聖炎王ガルドニクス」から鉄獣のギミックに触ることができるため、炎王鉄獣はお互いのギミックから相互にアクセスが可能なデッキになっています。

妨害の分散

 炎王鉄獣は、前盤面には「召命の神弓 アポロウーサ」や「戦華盟将 双龍」、バックには「鉄獣の抗戦」、墓地には「聖炎王 ガルドニクス」や「賜炎の咎姫」、手札には「炎王神獣 キリン」といったように、ありとあらゆる場所に妨害を用意することができます。
 相手の「冥王結界波」や「禁じられた一滴」で盤面が崩壊しづらいのは、このデッキの明確な強みと言えます。

互いの弱点を補い合っている

 鉄獣というテーマはこちらの盤面に触ってくる妨害に弱いですが、炎王は相手の盤面を荒らして相手の妨害を踏みつつ、「聖炎王 ガルドニクス」で鉄獣の動きに繋げることができます。
 また、炎王は「炎王の孤島」の発動を防ぐ「魔封じの芳香」を開かれたり、「S:P リトルナイト」等で墓地の「聖炎王 ガルドニクス」を除外されたりするのが痛いですが、鉄獣は比較的簡単に「魔封じの芳香」を剥がしたり、「鉄獣の抗戦」で除外のガルドニクスを墓地に戻したりすることができます。
 このように、互いのテーマの弱点を補い合えるのも、このデッキの強みだと考えています。

炎王鉄獣の弱み

召喚権への無効系誘発が重い

 炎王と鉄獣は、召喚権を使って効果を発動する下級モンスターが多く、「無限泡影」や「エフェクト・ヴェーラー」を重く受けてしまう場面がしばしばあります。
 また、炎王スネークアイに比べ、「炎王の孤島」のバリュー及び依存度が高いため、孤島への「灰流うらら」も重いことが多いです。

墓地メタへの耐性が低い

 炎王、鉄獣ともに墓地を多用するテーマなので、「次元の裂け目」や「ディメンション・アトラクター」といった墓地メタが非常に痛いです。
 「次元の裂け目」に関しては、エクストラの「炎王神 ガルドニクス・エタニティ」や「S:P リトルナイト」等のバックに触れるモンスターたちでなんとかしたいところですね。

採用カードについて

 ここからは、日本選手権で使用した以下のレシピをもとに、採用しているカードを枚数も含めて解説していきます(なお、一度正式名称を使用したカードは略称を用います)。

鉄獣戦線 キット

採用枚数:3枚
 鉄獣の共通効果と、墓地に送られた場合に自身以外の鉄獣カードを墓地に送る効果を持つこのキットですが、「聖炎王 ガルドニクス」でデッキから破壊できるため、始めは2枚の採用としていました。
 しかし、ガルドニクスで他の炎属性を破壊したい場面が多いことや、炎王は「炎王の孤島」や「炎王妃 ウルカニクス」等で手札の炎属性を破壊することが前提のテーマであり、これらのカードで手札のキットを破壊することで炎王と鉄獣の両方のギミックに触りに行くのが強いのではないかと考えたことから、3枚の採用としています。後述する展開例でも、キットが初手にあるものが多くなっています。
 また、仮に手札でキットが重なっても、「S:P リトルナイト」と「鉄獣の抗戦」の最低限の妨害を構えることができる点も3枚採用の理由の一つです(リトルナイトがメインモンスターゾーンに出るため問題なくリボルトが打てます)。
 ちなみに、後手のサイドチェンジの場合は1~2枚に減らしています。誘発を沢山入れたい対面の場合はキットを1枚にしています。

鉄獣戦線 フラクトール

採用枚数:3枚
 3枚使えるようになった鉄獣の初動。このカード1枚からリボルトを構えに行くことができます。その際、盤面が「鉄獣戦線 塊撃のベアブルム」と鉄獣モンスターになるのですが、その2体でリトルナイトを出してしまうと、リトルナイトがエクストラモンスターゾーンに出てしまうため、返しのターンに「無限泡影」等を打たれてしまうとリボルトが打てなくなってしまうため、注意が必要です。
 フラクトールは打点が1900あり、相手のリトルナイトを戦闘で突破した後に、メイン2で自身をフィールドから墓地に送って効果を発動できる点は高く評価しています。
 また、炎王鉄獣というデッキにおいては、このカードは「真炎王 ポニクス」を墓地に送ることができ、後述する展開ではこれを利用して展開をします。
 このデッキを考え始めた頃は、フラクトールまたはその効果で墓地に送った「鉄獣戦線 ナーベル」に「灰流うらら」を打ってもらい、炎王の動きを通しに行こうと考えていました。しかし、炎王鉄獣ということがばれると、孤島までうららを待たれる可能性がある他、うららをもらいに行ったら最近の環境で流行っている「ドロール&ロックバード」をもらってしまう、ということがあるのが、このデッキとフラクトールの難しいところだと考えています。

鉄獣戦線 ケラス

採用枚数:1枚
 鉄獣の大事な手数になるカード。先攻で素引きして「キットだったらなあ…」となることもあれば、後手で素引きして助けられることもある本当に絶妙なカードだと思います。
 ウルカニクス、炎の獣系モンスター、フラクトールという手札でウルカニクスに泡影をもらった時は、フラクトール→キット→ナーベルでケラスをサーチして特殊召喚することで、3素材の「召命の神弓 アポロウーサ」とリボルトを構えることができます。
 基本的には素引きが嬉しくないカードであるため、1枚の採用としています。

鉄獣戦線 ナーベル

採用枚数:2枚
 鉄獣のサーチ役。炎属性ではないため、できるだけ枚数を絞りたいところですが、1枚だとデッキの動きに支障が出るおそれがあるので2枚の採用としています。
 このデッキでは、メインの炎王モンスター2体で「鉄獣戦線 徒花のフェリジット」が立つため、フェリジットで手札のナーベルを特殊召喚し、墓地の炎王を除外してナーベルの効果を発動する、というシチュエーションがあります。
 また、ナーベルは自身が炎属性ではないものの、通常召喚して「転生炎獣 アルミラージ」をリンク召喚し、キットかフラクトールを手札に加えることで、フィールドと手札に炎属性を供給することができます。

聖炎王 ガルドニクス

採用枚数:1枚
 炎王ギミックの心臓とも言えるカード。手札・デッキ・フィールドから炎王モンスターやキットを破壊することができます。
 2024年3月頃に環境に姿を見せた「純炎王」は、このカードを2枚以上採用しており、このデッキでも最初は2枚の採用を考えていました。しかし、ガルドニクスは孤島などの「破壊するカード」とそれによって「破壊されるカード」を一緒に引いていて初めて素引きに意味のあるカードであり、ガルドニクスを素引きしていることがあまりおいしくないと感じたので1枚の採用としました。極端な話をすれば、キット×2は初動になりますが、ガルドニクス×2は初動になりません。
 また、前述したとおり、炎王鉄獣は墓地のガルドニクスを「S:P リトルナイト」等で除外されても、リボルトで墓地に戻したり、後述の「炎魔刃 フレイムタン」で手札に回収したりできることも1枚採用の理由です。

炎王神獣 ガルドニクス

採用枚数:1枚
 このnoteでは旧ガルドニクスと表記します。後述の「炎王妃 ウルカニクス」の破壊された場合の効果で特殊召喚することが多いですが、ウルカニクスはデッキからしか旧ガルドニクスを出せないため、このカードを素引きするとかなり困ります。
 しかし、場のウルカニクスを孤島で破壊した時にこのカードを場に出すことでリンク値を減らさずにフェリジットのリンク召喚に繋げたり、相手ターンに出したガルドニクスでウルカニクスを破壊し、このカードを出して「炎王の聖域」のエクシーズ召喚の条件を満たしたりできるため、不採用とするのは難しいカードだと思います。
 素引きしたこのカードを孤島などで破壊すると、次のターンに強制効果で戻ってきてしまいますが、このデッキは鉄獣の共通効果のコストとして墓地から除外することでそれを防ぐことができます。
 このデッキ特有の動きではないですが、バトルファイズに自爆特攻してデッキからガルドニクスや「炎王神獣 キリン」を出せるのは強いですね。

炎王神獣 キリン

採用枚数:2枚
 本当は3枚採用したいです。今更な話ではありますが、自分・相手ターン問わず、このカードが手札にあるかないかで炎王の強さは大きく変わります。
 このデッキでもキリンはできるだけ手札に抱えておきたいため、積極的に「炎王獣 バロン」でサーチしたり、フレイムタンで除外から回収したりしたいです。
 このデッキならではの動きとしては、フラクトールやキットへの泡影をキリンで避けたり、キリン+キットで3ウーサ+リボルトを構えたりすることができます。

炎王妃 ウルカニクス

採用枚数:3枚
 第2の孤島のようなカード。サーチ先が炎属性の獣系モンスターであるため、実はフラクトールやキットをサーチできます。
 このカードを使う際の注意点として、素直にポニクスをサーチするとドロールが直撃してしまいます。また、このカードから展開をスタートすると微妙に展開が伸びるため、「原始生命態ニビル」のケアも必要になってきます。
 ではなぜこのカードを3投しているかというと、このカードは色々な誘発を吸ってくれるカードであり、次に何の誘発をケアすれば良いか教えてくれるカードだからです。
 ウルカニクスは孤島を内蔵しているため、うららや泡影、「エフェクト・ヴェーラー」の的になってくれます。また、効果が通った場合は、サーチ後にドロールや「増殖するG」が飛んでくる可能性があり、それらもなければあとはニビルをケアしながら展開する、といった具合です。
 最後に、このカードでガルドニクスやキリンをサーチした場合は、聖域のエクシーズ召喚のためにレベルを8に変更しておくのが良いと思います。

炎王獣 ガネーシャ

採用枚数:1枚
 素引きがたまに強いカードです。1枚採用としているのは、召喚権を割くカードとしてウルカニクスや鉄獣モンスターが優先される場面が多いのが理由です。
 手札の消費は多くなりますが、ガネーシャを召喚して孤島の効果を通しに行き、ガルドニクスでキットを破壊→ナーベルでケラスをサーチという展開をすることはたまにあります。
 フェリジットで手札から特殊召喚できることと、破壊された場合の効果でキットやフラクトールを蘇生できること(効果は無効)は覚えておいた方が良いと思います。

炎王獣 バロン

採用枚数:1枚
 主にキリンをサーチするカード。戦闘破壊された場合は②が使えないのは注意です。
 基本的にはガルドニクスの効果でデッキから破壊し、次のターンにキリンをサーチするのですが、キリンの破壊された場合の効果でこのカードを蘇生した後に、聖域の効果で出した「炎王神ガルドニクス・エタニティ」でこのカードを破壊することで次のターンにまたサーチができるのでお得です。
 後手サイチェンの場合は抜くことが多いです。

真炎王 ポニクス

採用枚数:2枚
 炎王ギミックにとって重要な聖域や孤島をサーチできるカード。ウルカニクスの存在や孤島・聖域を2枚ずつ採用していることから3枚ではなく2枚の採用としています。
 「鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ」でサーチしたり、フラクトールで墓地に落としたりと、鉄獣から炎王の動きに繋ぐ際はこのカードが必須になります。
 フラクトールで落としても次のターンに回収はできないので注意です。

D.D.クロウ

採用枚数:1枚
 他の手札誘発や指名者は紹介を省きますが、このカードに関してはプランがあるので紹介します。
 相手ターンにリボルトでシュライグを出した後に、聖域でエタニティを出すのですが、除外に獣系モンスターを1枚残しておくことでシュライグの②の効果でこのカードをサーチして追加の妨害とすることができます。
 最近の環境では、「魔轟神 ルリー」や天盃龍など、それなりに打ちどころのあるカードだと考えています。

炎王の孤島

採用枚数:2枚
 炎王ギミックの心臓その2。このカードで手札のキットを破壊してガルドニクスをサーチすると、炎王と鉄獣のギミックの両方を回すことができるため強力です。
 ガルドニクスと一緒に引いて手札に他の炎属性がない場合は、②の効果でガルドニクスを出しましょう(サーチする効果ではなく特殊召喚する効果だとしっかり宣言しましょう)。
 最近の環境では、「刻まれし魔 ディエスイレ」の墓地効果で孤島が墓地に送られてしまい、孤島の③が暴発してしまうことがあるので注意です。

炎王の聖域

採用枚数:2枚
 孤島を置くカード。召喚権への泡影を貫通するため、3枚採用にしていた時もありました。孤島の3枚目より聖域の3枚目を優先した理由としては、エクシーズ召喚の効果もそうですが、②の肩代わり効果を重要視したからです。
 このデッキは前盤面にウーサ、バックにリボルトを構えることが多いため、聖域がなく場に孤島がある状態で「ハーピィの羽根箒」や「大嵐」を受けてしまうと、リボルトを打たされるだけでなく、孤島の③でウーサも吹き飛んでしまいます。そのため、なるべく聖域で孤島を守れるようにしておきたいです。
 素引きが偉いカードではありますが、孤島と一緒に引くと実質ハンデスのため、今は2枚採用としています。

炎王神天焼

採用枚数:1枚
 光闇素材の「カオス・アンヘル ー混沌の双翼ー」の回答にもなるカード。
 このデッキにおいて、キリンの破壊やシュライグの除外は強力ですが、相手のカードが出てから若干のタイムラグがあるため、「ナイトメア・スローン」等の発動時の効果は通してしまいます。それに対して、このカードは相手のカードの発動や効果の発動にチェーンして打てるのが強いです。
 先攻でサーチするのは、既に孤島や聖域を持っている場合にウルカニクスでポニクスをサーチした時になりますが、最近はそのような手札の場合はドロールをケアしてガルドニクスを直接持ってくるようにしているので、強いですが優先してサーチするのが難しいカードになっています。
 覚えておいた方が良いと感じたのは、②の破壊を肩代わりする効果と、かなり苦しい動きになりますが、ウルカニクスやガルドニクスへの泡影をこのカードをチェーンすることで避けることができることです。


ワン・フォー・ワン

採用枚数:1枚
 知り合いの提案を受けて採用したカードです。前述した通り炎王鉄獣は召喚権への誘発が重いため、召喚権に依存しない手数が欲しいのですが、このカードは手札のキットやナーベルを切れるうえに、デッキからポニクスかナーベルの好きな方を出せるため、採用しない手はないだろうということで採用しました。
 制限カードなだけあって強いです。相手のうららを吸ってくれる可能性もあるのが良いですね。

鉄獣の抗戦

採用枚数:1枚
 鉄獣が誇るパワーカード。基本的には相手ターン中にシュライグを出して選んで除外を飛ばします。バトルフェイズ中にも打てるのでウーサを戦闘破壊しようとしたモンスターを飛ばせるのが偉いですね。
 このデッキにおいては、ナーベルを素材にすることでキリンで破壊するための炎属性の鉄獣を手札に供給できることや、除外されてしまったガルドニクスを墓地に戻せることが大きな発見でした。
 ナーベル効果破棄でもしない限り、ドロールをもらってしまうとサーチできないのが痛いところです。


ここからはエクストラデッキのカードを解説します。なお、シュライグ以外は全て1枚の採用です。

炎王神 ガルドニクス・エタニティ

 このカードの主な役割は他の炎王デッキと同じく、聖域の効果で相手ターンにエクシーズ召喚して①のブラックホール効果を使うことです。
 その際に、手札のキリンでウルカニクスを破壊し、盤面に旧ガルドニクス、キリン、ガルドニクスを並べるようにすることで、「三戦の才」のコントロール奪取やガルドニクスに「墓穴の指名者」を受けても聖域の効果を使うことができます。それらのカードを打たれなかった場合は、2体のガルドニクスでエタニティを出せばキリンの②の効果を誘発させることもできます。
 実は炎族なため、鉄獣の縛りがつくとリンク素材にできないことに気をつけましょう。

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ

 鉄獣のエースモンスター。フィールドのカードを種類を問わずに選んで除外という除去手段は2024年でもかなり強力です。
 相手ターンに「コズミック・サイクロン」等を打たれ、リボルトを開かざるを得ない状況でも、その後で手札からキリンを出せばシュライグの①が反応するのがこのデッキの面白いところです。
 最近の環境においては、孤島やガルドニクスでディエスイレの効果を踏んだ後に、シュライグで対象耐性のついたディエスイレを安全に除去できるのが非常に偉いです。また、自分が後攻の際に「魔封じの芳香」を開かれることが多々ありますが、そのような場合に出すシュライグは、魔封じに触りつつ、フェリジットのリンク素材になってデッキからポニクスをサーチしそのまま特殊召喚できるというハイパーカードと化します。
 リボルトで出した1体目が除去された返しのターンに、2体目が必要になる場面がしばしばあるので2枚の採用です。

召命の神弓 アポロウーサ

 鉄獣が盤面に添えがちなこのカードですが、炎王鉄獣はガルドニクスやキリン等によって、召喚権を使わずに獣系のリンク値1が盤面に出ることが多いため、鉄獣モンスター、ベアブルム、炎王モンスターで3素材のウーサが立てやすくなっています。
 また、先攻でウーサを立てることによって、バロンへのうららや相手ターン中の増G、ニビルをケアすることができます。
 三戦や「心変わり」でコントロール奪取された場合は、リボルトを打ってチェーンを組みながらシュライグでウーサを除外しましょう。

アクセスコード・トーカー

 鉄獣ではお馴染みのフィニッシャー。鉄獣での出しやすさと、最大6300打点はやはり魅力的です。
 炎王鉄獣では、孤島で炎属性の獣系モンスターを破壊すると、ガルドニクスをサーチして特殊召喚し、デッキからキットを破壊することでアクセスのリンク召喚まで繋がるため、召喚・特殊召喚4回でガルドニクスと5300のアクセスという8000を超える打点を揃えることができます。

鉄獣戦線 銀弾のルガル

 鉄獣の縁の下の力持ち。アクセスの素材になることが多いこのカードですが、①の効果でリソースを回復したりシュライグの除外を誘発したりできる点は覚えておきたいです。
 また、後述する「鉄獣の血盟」を採用すると、フラクトール1枚からルガル+リボルトの盤面を作ることで2妨害を構えることができます。

賜炎の咎姫

 素材に炎を指定せず、墓地から炎属性を対象を取らずに蘇生し、自己蘇生の後に場を離れても除外されないという、12期のパワーを感じさせてくれるカード。
 鉄獣の縛りがついた後に出すとリンク素材にできなくなる点は少し不便ですが、それでも必要な場面が多々あるので採用しています。
 先攻で率先して出すカードではないですが、相手の誘発を貫通する過程で出すことはしばしばあります。鉄獣の縛りが着いた後に出した場合は、孤島やウルカニクスで破壊したり、手札のキリンで次のターンに破壊できるようにしておきたいです。
 後攻では、咎姫を使って返しのターンの妨害を準備するプランがあるのですが、後述のフレイムタンの項目で解説します。

灼熱の火霊使いヒータ

 咎姫と同様に炎属性を使うなら採用したいリンクモンスター。鉄獣の共通効果にチェーンして泡影等を打たれた場合は、ヒータをリンク素材にできるので、このデッキを使う際は覚えておいた方が良いと思います。
 相手の墓地の炎属性を釣ってリトルナイトや咎姫になるなど、他の炎属性デッキと使い方はそれほど変わりません。
 ②の効果でフラクトールをサーチできないのが少し悲しいですね。

炎魔刃フレイムタン

 炎王スネークアイにおける「転生炎獣 サンライトウルフ」の炎王鉄獣版です。主な役割は、鉄獣の共通効果のコストで墓地から除外したキリンや炎属性の鉄獣を手札に回収することです。
 当初は「フレイムタンでキリン回収できたら面白いなー」くらいのノリだったのですが、想像以上に実用性がありました。
 炎属性2体で出せるので、咎姫を墓地に送るために出すこともあります。
 後攻で自分の墓地にキリンとキット(+獣系モンスター)がいる場合に、咎姫でキットを蘇生し、キットの効果で墓地のキリンを除外しながらベアブルムを出し、キットとベアブルムでフレイムタンを出すことでキリンを回収し、次のターンの妨害を用意することができます。
 先攻でこの動きをする場合は、相手ターンにキリンで咎姫を破壊し、聖域でエタニティを出して盤面を空ければ、ベアブルムでサーチしたリボルトを打つことができます。
 フレイムタンは①の効果で孤島や聖域を破壊から守ってくれるのも地味に偉いです。

鉄獣戦線 塊撃のベアブルム

 2つの効果を先攻と後攻で使い分けるカードです。
 先攻では、②の効果を使ってリボルトをサーチします。手札を1枚残しておく必要があることと、発動後に鉄獣関連で最も重い縛りがつくことに注意です。
 後攻では、①の効果で除外から鉄獣やポニクス、ウルカニクスを帰還させて手数を増やします。コストが重いですが、シュライグと鉄獣モンスターでベアブルムを正規召喚した場合に、シュライグの効果でサーチしたガネーシャをコストとして捨てることで、咎姫やキリンによる蘇生に繋げることができます。

鉄獣戦線 徒花のフェリジット

 鉄獣の中継役。獣系モンスター2体で出せるため、炎王モンスター2体で出せるのが偉いです。①の効果を使うと地味に鉄獣の縛りがつくことに注意です。
 縛りがついた後にはなってしまいますが、効果を使い終わったフェリジットと鉄獣で咎姫を出すことはかなりあります。同じ状況でリトルナイトにもなれますね。
 ②の手札交換の効果についてですが、先攻でベアブルムとフェリジットを素材にウーサを出す際に、最近はベアブルムへの「聖王の粉砕」をケアするためにベアブルムチェーン1、フェリジットチェーン2とチェーンを組むようにしています。
 フェリジットを左側のエクストラモンスターゾーンに出し、リンク先にベアブルムを出すとリンク先がなくなってしまうので、フェリジットはなるべく右側のエクストラモンスターゾーンに出すようにしましょう。

戦華盟将ー双龍

 鉄獣のお友達。先攻展開に添えることはそこまで多くないですが、Gやドロールを受けたときはそこそこ出します。
 後攻では、③の効果で魔封じをバウンスできるのが偉いです。その際にコストを要求するので、ウルカニクスやポニクスをコストにすれば、場の双龍と鉄獣で咎姫を出し、墓地のポニクスかウルカニクスを蘇生して炎王の展開を始めることも可能です。
 また、双龍はフラクトール以外から出すことで「センサー万別」を、フラクトールから出すことで「群雄割拠」をバウンスできます。ナーベルから出せば「御前試合」にも触れますが、ナーベルはナーベルをサーチできないので、御前を開かれた時は炎王要素で何とかしたいです。
 最近の環境トップであるユベルは、うかつにダイレクトアタックすると手札から「スピリット・オブ・ユベル」が出てくることがありますが、双龍を立ててから攻撃すれば出てきたスピリットをバウンスして安全に攻撃を通すことができます。
 細かいプレイングにはなりますが、手札が鉄獣で固まってドロールをもらったような場合に、双龍+咎姫+炎属性の盤面を作り、咎姫を双龍のコストにすることで墓地に送るということはやったことがあります。

S:Pリトルナイト

 入ってないデッキを探す方が難しいカード。やっぱり強いですよね。
 このデッキでは、次に紹介する「スケアクロー・ライトハート」を素材に出したり、効果を使い終わったフェリジットと鉄獣モンスターで出したりします。
 シュライグと違うのは除外の対象を取る点と墓地のカードを除外できる点で、日本選手権では相手の墓地の「原罪宝ースネークアイ」を除外して拾った試合がありました。
 鉄獣の縛りがついた後にエクストラモンスターゾーンに出してしまうと、②の効果で逃げない限りリンク展開が繋がらなくなってしまうことに注意が必要です。

スケアクロー・ライトハート

 2024年7月現在、コスト1枚の鉄獣の効果で出せる唯一のモンスター(ちなみにリンク4もシュライグ1枚です)。
 墓地の獣系モンスターを節約しつつフェリジットの正規召喚に繋げたり、リトルナイトを出したりと、小回りの効くカードです。
 鉄獣の効果で出しても①の効果は使えないので注意です。

転生炎獣アルミラージ

 基本的な役割は従来の鉄獣と変わらず、通常召喚したキットやナーベルを墓地に送ることです。
 炎属性なので、ナーベルをアルミラージに変換した後に、孤島でアルミラージを破壊して炎王ギミックを回す、ということも一応できます。
 リトルナイトを出すために通常召喚したウルカニクスやポニクスを素材にだすこともあります。

展開について

展開の方針

 自分の中で、炎王鉄獣を回す際に次の2つのことを意識しています。
・妨害を散らす
 序盤に書いたことの繰り返しになってしまいますが、このデッキは前後の盤面、墓地、手札に妨害の起点を散らすことができるので、それによって捲られづらい盤面を作ることを意識しています。
・ニビルで0妨害にならない展開をする
 炎王はニビルに対する耐性があるので、その炎王要素を多めに混ぜながらニビルで盤面が崩壊する展開をしてしまうのは非常にもったいないと考えています。
 そのため、展開をできるだけ伸ばすことよりもニビルを打たれても0妨害にならないことを重要視しています。
 具体的には、5体目までにウーサかベアブルムを立てたり、炎属性を手札に抱えられるようにしながらバロンを破壊したりしています。
 自分の中の感覚としては、炎王鉄獣は展開系というよりはミッドレンジに近いです。

誘発に対する考え方

炎王鉄獣の各種誘発に対する感覚を簡単にまとめてみました。
・増Gは炎王要素でごまかす。
・ニビルのケアは比較的しやすい。ワンチャン相手ターンに飛んでくるので注意。
・うららの貫通とドロールのケアの両立が難しい。孤島までうららを待たれるとどのみちキツいので、孤島でうららをもらいにいくのも一つの手かもしれない。
・召喚権へのヴェーラー泡影を貫通するためのカードはある程度積んでおきたい(キリン、フラクトール、聖域孤島など)。
・アトラクターは無理。

展開ルート

 ここからは炎王鉄獣の展開ルートをいくつか紹介します。新しい展開ルートを発見したら追記する予定です。

聖域+キット

→3ウーサ、リボルト、手札にキリン

シンプルでなおかつ用意したい妨害をほとんど構えられる展開。炎王鉄獣を回す際は基本的にウーサ、リボルト、手札にキリンを目指しますが、孤島でキットを破壊して上記の盤面を作ると、召喚特殊召喚が4回で終わるためニビルの受けが非常に良いです。
 相手ターンに妨害する際はリボルトの素材にしたナーベルで炎の鉄獣をサーチし、キリンの効果を使いましょう。
 除外に獣系モンスターを1枚残しておけば、聖域の効果で出したエタニティでシュライグを破壊するとDDクロウがサーチできます。
 ポスト内の動画の「鉄獣の血盟」については「採用を検討したカード」の項目で解説します。

聖域+キリン

→リボルト、手札にキリン

聖域効果で孤島設置
→孤島効果でキリンを破壊しガルドニクスサーチ
→ガルドニクスを特殊召喚し効果でデッキからキットを破壊
→キット効果でナーベルを墓地へ
→ナーベル効果でフラクトールをサーチ
→フラクトール通常召喚、効果で墓地のキリンを除外しつつベアブルムを特殊召喚
→ベアブルムとガルドニクスでフレイムタンをリンク召喚、ベアブルム効果でリボルトをサーチ
→フレイムタン効果で除外のキリンを回収
→フラクトール効果でデッキからポニクスを墓地へ(次のターンにキリンの②の効果で蘇生する)

 孤島でキリンを破壊するとこのような展開ができます。このデッキは孤島で任意の炎属性を破壊すると3ウーサ+リボルトの妨害を用意することができ、孤島+キリンの場合でも3ウーサ+リボルトか上記の盤面を選ぶことができます。

ウルカニクス+キット

→2ウーサ、双龍、リボルト、墓地咎姫、手札にキリン

 この構築で最も展開が伸びる組み合わせの1つです。ニビルが直撃してしまう展開なので、ニビルをケアしたい場合は孤島でポニクスを、ガルドニクスでバロンを破壊すれば、ニビルを打たれても次のターンに手札にキリンとポニクスを加えることができます。

ウルカニクス+炎属性+聖域

→3ウーサ、リボルト、手札にキリン

ウルカニクス召喚、効果で炎属性を破壊しガルドニクスをサーチ
→ガルドニクス効果で特殊召喚、デッキからキットを破壊してナーベルでフラクトールサーチまで
→聖域効果で孤島設置、孤島効果でウルカニクスを破壊してキリンサーチ
→ウルカニクス効果で旧ガルドニクス特殊召喚
→ガルドニクス2体でフェリジットリンク召喚、効果でフラクトール特殊召喚
→フラクトール効果でベアブルム特殊召喚
→場の3体でウーサリンク召喚、ベアブルム効果でリボルトサーチ

 色々な誘発をケアしながら動ける展開です。
ウルカニクスにうららや泡影を打たれたら聖域→孤島で貫通できます。
ガルドニクスにGをチェーンされた場合は、ガルドニクスでバロンを破壊した後に、孤島でガルドニクスを破壊してキリンをサーチし、次のターンにバロンでガネーシャをサーチすれば、1ドローで炎王の妨害を構えることができます。
 ドロールやニビルを打たれた場合は、手札にもう1枚炎属性があればバロンか孤島でサーチしたキリンを使うことができます。ウルカニクスで炎の獣系モンスターを破壊してドロールを打たれた場合は、ガルドニクスでガネーシャを破壊して咎姫+ガネーシャの盤面を作ることもできます。

ウルカニクス+キリン

→2ウーサ、リボルト、手札にキリン・ポニクス

ウルカニクスに泡影を打たれた想定で記述します。

ウルカニクス召喚、効果に相手の無限泡影
→チェーンしてキリン効果、ウルカニクスを破壊して特殊召喚、ウルカニクス処理でキリンを破壊してポニクスサーチ
→チェーン1キリン、チェーン2ウルカニクス、チェーン3ポニクスでそれぞれポニクス、旧ガルドニクス、ウルカニクスを特殊召喚
→ポニクス効果で聖域サーチ
→聖域効果で孤島設置、孤島効果でポニクスを破壊しながらガルドニクスサーチ
→ガルドニクス効果で特殊召喚、効果でキットを破壊してナーベルでフラクトールサーチまで
→場の2体でフェリジットリンク召喚(右側のエクストラモンスターゾーンに出す)、効果でフラクトール特殊召喚
→フラクトール効果でキリンを除外しながらベアブルム特殊召喚
→フラクトールと残った炎王モンスターでフレイムタンリンク召喚、効果で除外のキリン回収
→フェリジットとベアブルムでウーサリンク召喚、ベアブルム効果でリボルトサーチ
→次のスタンバイにポニクス効果で回収

 ウルカニクスへの泡影をキリンで避けつつ、フレイムタンでキリンを回収する展開です。
 炎王鉄獣はフェリジット、ベアブルム、炎属性の鉄獣でウーサを立てることが多いですが、この盤面に炎王モンスターが1体加わると2ウーサ+フレイムタンになるので、この展開に限らず覚えておいた方が良いと思います。

フラクトール+キット

→3ウーサ、リボルト、墓地咎姫、手札にキリン

 鉄獣だけの手札から鉄獣と炎王の両方の妨害を用意できる展開です。
 鉄獣から炎王に展開を繋げるにはシュライグでサーチしたポニクスをフェリジットで出すのが一般的(?)でしたが、フラクトールからポニクスを落とし、鉄獣で伸ばしたリンク値で咎姫をリンク召喚→ポニクスを蘇生し孤島で咎姫を破壊して炎縛りを解除するというやり方もあるのは大きな発見でした(自分以外にも気づいていた人はいるかもしれませんが)。
 この展開をする時はナーベルにうららをもらうと痛いので、手札に追加のレベル4以下の獣系モンスターを持っていたいです。
 さらに言えば、この展開は孤島までうららを待たれると、咎姫が場に残ってしまうというリスクを抱えた展開なので、
・指名者でうららを弾ける時
・キリンで咎姫を破壊できる時
・鉄獣の妨害だけでは対面の攻め手を凌げなさそうな時
上記のような場合にこの展開をするのが良いと思います。
 フラクトール+ナーベルでも同様の展開ができます。

ケラス+キット

→3ウーサ、リボルト、墓地咎姫、手札にキリン

 ケラスとキットの組み合わせでも、フラクトールとキットの組み合わせと同様の展開ができます。やはりフラクトールが偉いですね。この展開は召喚権が余るので、手札に追加の炎属性があればガネーシャを召喚してから展開することもできます。

フワロス+キット

→2ウーサ、リボルト、墓地咎姫、手札にキリン・キット

後述する「マルチャミー・フワロス」を絡めた展開。フワロスが先攻で空打ちできることを利用して鉄獣の展開を伸ばします。
 手札を全て消費してしまう展開なので実用性は何とも言えませんが、先攻でのフワロスの使い方の一例ということで紹介します。
 最終盤面は相手ターン中の増Gや「超融合」、リボルトへの「霊王の波動」等をなるべくケアしたものにしています。

採用を検討したカード

 ここからは炎王鉄獣に採用を検討したカードや実際に採用したことのあるカードを紹介していきます。

鉄獣の血盟

 鉄獣の第2の罠。
 実は僕が炎王鉄獣を使うきっかけになったカードです。僕はLL鉄獣を長く愛用していたのですが、LL鉄獣にはこのカードを墓地に送り②の効果を使って天盃龍等に投げられる「禁じられた一滴」をケアするプランがあります。
 しかし、このプランには難点が多いため、それを知り合いに相談したところ、「これ炎王じゃダメなんですか?」「確かに…炎王鉄獣?」というやり取りがあり、そこから炎王鉄獣を考え始めました。
 炎王鉄獣でも基本的には②の効果を使います。リボルトの効果でリンク素材にしたキットの効果でこのカードを墓地に落とした後に、手札から出したキリン(獣)、蘇生したガルドニクス(鳥獣)、ガルドニクスで破壊したキリンで蘇生したバロンかガネーシャ(獣戦士)を盤面に出して②の効果の発動条件を満たします。
 鉄獣モンスターとベアブルムでルガルを出した場合も、リボルトで出したシュライグ(鳥獣)、ルガル(獣戦士)、ルガルで蘇生したキットかケラス(獣)で発動条件を満たすことができます(デザイナーズコンボなのかもしれません)。
 また、素引きしてしまった場合はフェリジットの効果でデッキに戻すか、伏せて①の効果を使う選択肢があります。①の効果で鳥獣族以外のリンクモンスターを対象にとると、手札・墓地からガルドニクスを特殊召喚できるので、キリンや咎姫がいなくても相手ターンに突然炎王の動きをすることができます。
 日本選手権の店舗予選の決勝では天盃龍相手に大活躍してくれたこのカードですが、
・ある程度ギミックが回った先のカードである
・素引きに意味を持たせられることはあるものの、事故の要因になりかねないカードである
・他の初動や誘発に枠を割きたい
等の理由から今は不採用としています。

炎舞ー「テンキ」

 以前は1~2枚採用していました。炎王鉄獣ではサーチ先をフラクトールとガネーシャから選べるのが強いです(一応バロンもサーチできます)。
 細かい話にはなりますが、このカードがあるとフラクトールの攻撃力が2000になるため、「インスペクト・ボーダー」と相打ちをとることができます(破壊の神碑?知らないカードですね…)。
 ドロールの受けが非常に悪いカードであるため、今は不採用としています。

揚陸群艦アンブロエール、I:Pマスカレーナ

 炎王スネークアイではお馴染みのこの2枚。キリンでアンブロエールを破壊し、アンブロエールの効果で墓地のマスカレーナを蘇生するコンボは強力ですが、炎王鉄獣においては、
・ウルカニクス初動でなおかつ全ての効果が通った場合ぐらいしか使わない
・マスカレーナはリンクモンスターを素材に出せないため、鉄獣との相性が微妙
・エクストラに2枠割く余裕がない
といったように難点が多く、不採用としています。

黒魔女ディアベルスター

 召喚権を使わない手数になり、手札のキットやナーベルを墓地に送ることができ、炎王とシナジーがあるという、かなり良い点が多いこのカード。試したことはあるのですが、
・泡影をもらった時に鉄獣のリンク値に貢献できない
・スネークアイにおいてはドロールを受けられるカードだが、炎王鉄獣は出てくるのがポニクスのため、聖域を持ってきた後のドロールを受けられない
・ウルカニクスへの泡影を貫通するなら素引きの聖域でも同じことができ、聖域の枚数を削ってまで採用するカードか怪しい
・レベル1、炎属性がポニクスのみのため、墓地原罪宝がそこまで強くない
といった理由から、不採用としています。
 ディアベルスターは実質炎属性になれるカードではありますが、このカードを採用するとデッキ内の炎属性や獣系モンスターが減ってしまい、孤島やフラクトールが使いづらくなる可能性もあるのが難しいところです。

鉄獣の凶襲

 貫通札として採用したいカード。
 ウルカニクス(鳥獣族、攻撃力800)を対象に取ると、デッキからキット(獣族、攻撃力700)をデッキから出すことができます。また、キットを対象に取るとポニクス(鳥獣族、攻撃力500)を出せるので、咎姫まで展開を伸ばしてポニクスを蘇生するといったこともできます。
 このカードの難点は、ナーベルやポニクスを対象に取って出せるモンスターがいないことと、このカードを採用するためにキットの枚数を削った場合、炎王要素でキットを破壊するというコンセプトが怪しくなる(手札のエアボーンがキットだったらなあ…という状況が発生し得る)ことです。
 現状は中々採用に踏み切れないカードです。

新弾のカードについて

 ここからは、炎王鉄獣から見た新弾のカードの評価と、新弾後の炎王鉄獣について簡単に触れていきます。

マルチャミー・フワロス

 マルチャミーの第2弾。
 デッキ、エクストラデッキからの特殊召喚に反応する増Gのような効果を持っていますが、炎王はデッキから特殊召喚する効果が少なく、フワロスの受けが良いです。鉄獣も先攻でベアブルムとウーサを出せば最低限の妨害はできるので、重ね打ちをされない限りは鉄獣もフワロスの受けは比較的良いと考えています。
 また、フワロスは鳥獣族であるため、先攻でもケラスのコストにできますし、前述のように空打ちしてキット、ナーベル召喚から鉄獣の展開を伸ばすこともできます(使わなかった場合はフェリジットかベアブルムでデッキに戻す択もあります)。
 このように、炎王鉄獣はフワロスに関しては打つ側になれる上に、先攻でも役割を持たせられるため、メインから2枚ほど採用しても良いのではないかと考えています。

霊王の波動

 「ティアラメンツ・ルルカロス」のような効果を持っているこのカードですが、炎王鉄獣はかなり警戒すべきカードだと考えています。
 炎王と鉄獣の両方の動きに打たれることはもちろん、相手ターンのリボルトやキリンにも打たれるおそれがあるのが非常にまずいです。新弾後の環境で「デモンスミス」ギミックを採用していないデッキを相手にする時には、このカードを常に意識した立ち回りを要求されそうです。
 このカードを打つことに関しては、手札から発動するとフェリジットやケラスが使えなくなってしまうので、炎王鉄獣にこのカードを採用するのはかなり難しそうです。

「アザミナ」ギミック

 ディアベルスターからアクセス可能な「罪宝の欺き」で「聖なる薊花」をサーチし、融合モンスター達を展開する「アザミナ」ギミック。
 「背信聖徒シルヴィア」はなんでも無効の効果を持っており、ディアベルスターがポニクスかなんでも無効を選べるのは強そうだということで、炎王鉄獣にも「アザミナ」ギミックを採用しようかと考えていました。
 しかしながら、ディアベルスターからシルヴィアを出して誘発ケアをしようとすると、ディアベルスターに泡影等をもらった場合、ディアベルスターで手札を墓地に送っているため2対1交換になる上に、ディアベルスターは鉄獣のリンク値に貢献できず棒立ちになってしまい、かなりしょっぱいです。
 本来ディアベルスターを炎王鉄獣で使う際は、召喚権への泡影を貫通する使い方をしたいのですが、そのような使い方をすると欺き及びアザミナに触りづらくなります。
 また、アザミナを炎王鉄獣に採用する際はそれぞれのカードを最小限の枚数採用することになりますが、そうした場合「聖なる」は素引きが非常に困るカードになってしまいます。
 「アザミナ」ギミックは非常に強力ですが、個人的には炎王鉄獣には無理をして採用しなくても良いのではないかと考えています。

新弾後の炎王鉄獣について

 構築についてですが、現状はメインデッキにフワロスを1~2枚採用する以外はそこまで変わらないのではないかと考えています。
 メインデッキにフワロスを採用するのは天盃龍へのガードを下げることになるので、サイドで天盃を重く見るのはアリかもしれません。
 新弾後にどんなカードが流行るかはまだ未知数ですが、炎王鉄獣はフワロスをメインから採用できること、フワロスの受けが良いこと、鉄獣が魔封じやセンサーに耐性があることなどが強みだと考えています。
CSに出ることがあれば構築を追記する予定です。

おわりに

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
 炎王鉄獣は「最強デッキ!」という訳ではないですが、色々なところにシナジーや強みがあって非常に面白いデッキです。
 このnoteをきっかけに炎王鉄獣に興味を持ってくれる人が増えてくれたら嬉しいです(いいねも嬉しいです)。
 それではまた。
 

 

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