★29歳、魔のとき。
私の29歳は、とても苦しい〈魔の時間〉でした
29歳から30歳を迎えるとき、皆さんはどうだったのでしょう。
私は呼吸困難で死んでしまうのではないかというくらい、30歳を迎えることが苦しくて恐ろしかったです。それくらい誕生日に立ちはだかる壁を感じていました。
ちょうどその頃に、周囲の同世代の友人、知人らの第一波の結婚ラッシュがありました。
タイミングとしては私は恋人もおらず、仕事も到底安定には不安のある職種で、短期契約の非正規雇用だったため、29歳という年齢は毎日が孤独の極みでした。
20代でバブルの弾けたあとに不安を抱えていた男性も多かったのか、勝手な印象ですが、大手企業の正社員の女性はとてもモテるなあと感じていました。
私はこのまま独りで生きていくのかな、という漠然とした不安が襲い掛かってきた29歳だったのです。
ましてや、私はその頃に子どものときに受けた虐待の後遺症(PTSD)が現れるようになり、会社へ行くのも苦痛で、周囲にもとても迷惑をかけたと思います。できることなら、当時私が関わった方々には御礼行脚をして回りたいくらいです。
本当に申し訳ありませんでした。
心療内科に行くことで、自分の状態を理解できました。適応障害だったのです。治療方法として、まず自分の内側をよく見つめるようにしました。クリニックでは、〈クライアント中心療法〉と言って、私だけがとにかくひたすらしゃべる。しゃべりながら頭を整理していくという療法を行いました。
それでも話し足りず満足できない日もあるため、追加の対処療法として、小説を書くという作業をやってみました。
今なら瞑想して自己コントロールできるのですが、当時は瞑想法をよく知りませんでし、子どもの頃から詩を書くことで、父から受けた虐待の傷を癒しているようなところがあったので、これも一種のセラピーになったと思います。
ノートにボールペンで、ひたすら頭にあふれてくるドラマを書くのです。
休日に書く、平日でも家での空き時間に書く、仕事の休憩時間だって、苦しいのでひたすら書く。書いて、書いて、書きまくり、目前の誕生日がやってくる午前0時を越えてまで書いていました。
ざっと見積もって原稿用紙150枚分くらいにはなったでしょうか。
しかしながら、テーマを決めて、完成を目的に書いたものではなかったので、死についての純文学っぽいもので未完のまま書き終わり、誕生日がやってきてペンを置きました。憑き物が取れた感じでした。
不思議なことに30歳になった途端に、20代での結婚へのこだわり、20代のうちに1人も子どもを産めなかったこと、やりたかった仕事に就けなかったこと、そんなものへの執着が落ちてしまい、人生の第2章がファンファーレごしにスタートを切ったような錯覚がありました。
これまで出会った数人の男女から、29歳は憂鬱で、30歳になりたくなかった。けれど、なってしまえばどうってことなかったと聞きました。
奇しくも、眞子さまも現在29歳で、10月23日に30歳になられるんですね。そして10月26日にご結婚されるという。
恐れ入るところですが、何となくお気持ち慮るところがあります。
29歳はツラいのです。それが、人間なのですよね。
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