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安定志向な私が、気づいたら「やります」と言っていた

We are Buddies の愛梨です。

We are Buddies(WAB)は、子どもと大人ボランティアが2人組のバディズとなり、月に2回×1~2年間、直接会って一緒に遊んだりお話したりしながら、細く長い関係性を築いていくオランダ発祥のプログラムです。

おとなバディ/事務局のサポートとして We are Buddies にかかわり続けてくれた、前橋医療福祉専門学校 理学療法学科の学生である角田千莉さんに、インタビューをしました!

千莉さんとの出会いは、2年前。
群馬のWe are Buddies が立ち上がった頃。
私と、コーディネーターの綾夏さんとで学校をお邪魔し、学生の方々に向けて活動紹介をした日。それ以来、おとなバディや運営のお手伝い以外にも、個人的にもお友達のようにかかわってきた千莉さん。

彼女が、2年間のバディプログラムを、そして学校も卒業するタイミングで、この2年間を振り返ってお話を聞かせてもらうことにしました。

左:自分(愛梨) 右:千莉さん

インタビュアーは、私(加藤愛梨)です。
感慨深い気持ちもたくさん出てきてしまい、インタビューというより対談のようになってしまいましたが、ぜひ読んでください。

千莉さんの相手のこどもバディは、当時小学校6年生の女の子(Yちゃん)。今は、もう中学生。

実は2年前にも千莉さんにインタビューをしています。出会いたての頃のころの千莉さんのことを知りたい方は、こちらも読んでみてくださいね。

共有できることがほとんどない人たちとの出会い

加藤愛梨(以下、愛梨)
千莉ちゃん、久しぶり。改めてこの2年強の We are Buddies とのかかわりを振り返って、いまどんなことを感じてる?

角田千莉(以下、千莉)
自分はすごく安定志向で、自分からあまり新しいことに挑戦をしないんですよ。リスクを取りたくない。We are Buddies に参加してから、住む場所とか年齢とか、共有できることがほとんどない人たちとかかわることができたっていうのは、いい経験だったなと思うし、そういう人たちから得るものもあった。その得たもので、今後の人生で大事にして生きていきたいことや、こういうかかわり方をいろんな人としていきたいっていう気持ちに気づけた。We are Buddies にかかわっていなければ絶対に出会わなかったであろう人たちのおかげです。

愛梨
それって、相手のこどもバディのこと?
 
千莉
こどもバディももちろんそうだけど、こどもバディのお母さんやご家族とかかわる中でも感じることはたくさんありました。「親の考えが絶対だ」という風に思っていたわけでもないけど、親がどんな意見を持った人かによって、自分の意見の範囲が決まってくると思うんです。
 
愛梨
自分の意見が、もっとも身近な大人である自分の親の意見の範囲の中で決まってしまうということだよね。
 
千莉
自分の家族以外の家庭内でのやりとりを見る機会って、これまでなかった。こどもバディのお母さんの子どもたちに対するかかわり方を見ている中で、彼女の親としての想いをしったり、こどもバディの想いをきいたりした。自分はきょうだいとはそんな話をしないし聞かない。

「自分だったらこうしたい」が見えてきた

千莉
自分は親として子育てをしたことはないけど、自分が育った家庭以外の一つの家族の在り方や子育ての仕方を見て、自分がもし家庭を持ったらこんな風に子どもとかかわっていきたいな、というのがだんだんと見えてきた。もちろん、そのご家庭のやり方をそのままやりたいということではなく、自分だったらこうしたいな、ということを考える機会になった。
 
愛梨
自分の家族しか知らなかったら、それが当たり前と思ってしまう。千莉ちゃんが当たり前だと思っていた家族とは別のよく知る家族ができて、かつ、子どもとも保護者の方とも深くかかわるから、それぞれの本音を聞くことができる。家庭内で、この人がこの人に対してこうやってかかわってるみたいなものを客観的に観察できるから、それぞれの想いも客観的に受けとれて、千莉ちゃんの中に視点が増えたのかもしれないね。

千莉
そうですね。うちの親は結構、踏み込むタイプである一方で、Yちゃんのご家庭はとても自由。好きなことやっていいよ、みたいな感じ。自分流の子育てにこだわりすぎずにその子がなるべく自由でいられるように育てるっていうのはとても新鮮で、そういう子育ての仕方があるんだなと思った。全く違うなと思いました。

愛梨
なるほど。いろんな子育ての在り方があることを知った千莉ちゃんが、今後どんな子育てをしたいのかも聞いてみたいな。
 
千莉
自分は、あんまり踏み込んで欲しくないタイプなので、自分が子どもを持ったときには、踏み込みすぎずに育ててみたいと思いました。でも、多分、その加減が難しい。どこまで踏み込むべきか、とか。そこは、その子に合わせていく感じかな。踏み込みすぎない方がいいタイプの子なのか、少し踏み込んだ方がいいタイプなのか。

安定志向な私が、気づいたら「やります」と言っていた

愛梨
改めて、千莉ちゃんって、最初はなんでおとなバディをやろうと思ったんだっけ?あのとき迷いなく手を挙げてたじゃない。その場で「やります!」って言って。
 
千莉
それが、わからないんですよね。(笑)
 
愛梨
わかんないんだね。(笑)

千莉
安定志向なので、自分から新しいことに踏み込みたくないタイプなんです。だけど、あのときは、「これやりたい!」って思って、気づいたら手を挙げていた。普段は、やりたいって一度思っても、やりたいと思ったことに対してとことん調べて、整理して、デメリットの方が大きいとわかったら、やりたいって思ったけどやらない選択をすることが結構あるんです。だけどあのときは、迷いが最初からなかったです。

否定せず、「そうなんだね。」って受け止めてくれた

愛梨
おとなバディとして子どもや保護者の方とかかわる以外にも、千莉ちゃんの場合は、私や他の事務局メンバーとも積極的にかかわってくれていたじゃない?車のない私たちの足になってくれたりとか(笑)、運営のお手伝いを色々してくれた。そういうかかわりの中で印象に残ってることってある?
 
千莉
1日3組ぐらいのバディズのマッチング(こども・保護者の方とおとなバディの顔合わせのこと)をした日。あの日のことはすごく覚えてます。その日最後のマッチングのあとに、愛梨さんに「どう感じた?」って聞かれて、すごく抽象的な感想を言った。

手前左:自分(愛梨) 左:コーディネーターの綾夏さん 右:千莉ちゃん

愛梨
覚えてるよ。ふたりの色がまじるみたいな感じのこと言ったよね。すごくすてきな表現だったのを覚えている。
 
千莉
覚えてますか?いつもそういう抽象的なことしか言えないので、友達とかにも自分が感じてることとかを言わないんですけど、あのときは、言ってもいいかなと思って、思った通りに言った。なんて言われるかな、と思いながら言ったんですけど、でも愛梨さんも綾夏さんも、否定せず、「そうなんだね。」って受け止めてくれたのが、すごく嬉しかった。ずっと覚えてるんです。
 
愛梨
そうだったんだ。私もあの日のことはよく覚えてる。千莉ちゃんならではの表現で感想を教えてくれて、ちりちゃんの感性って本当に素敵だなって改めて思った。あの日、最後にラーメン食べたんだっけ。焼き鳥も食べたよね。楽しかったな~

3組のバディズをおつなぎした日。一心不乱?にラーメンをすする2人。一日、お疲れ様~

千莉
あの日、愛梨さんに「夜ごはん、何食べたい?」と聞かれて、何が食べたいかわからなくて。普段から「何でもいいよ。」って言うのが口癖なんですよ。普段から他人に合わせすぎて自分の考えがよくわからなくなっていて。あのときも、「何でもいいんだよ。千莉ちゃんが決めて。」って言われて、本当に自分の食べたいものがわからなくて。もっと自分の感覚を大事にしなきゃな、と感じた瞬間でしたね。

愛梨
大事にするようになったの?(笑)
 
千莉
ちょっと進歩しました!相手に合わせれば平和にはなると思っていたんですよ。なので「何でもいいよ。」って言ってたんですけど、それからは、いくつか候補を出すようになりました。(笑)そうするようになっても、関係性が変わることはないし、平和に過ごせるし、今まで自分を抑えすぎていたんだな、と思いました。

その人がやりたいことに乗っかると、自分だけではやらないようなことができる

愛梨
こどもバディとはどういう風に過ごし方を決めてるの?
 
千莉
いつも、のんびりマイペースな時間が流れています。とりあえずこどもバディのお家に行って、喋って、「何する?どこ行く?」って、30分間くらいのんびり相談して。この間は、Yちゃんが「パンケーキを食べに行きたい」と言いだして、2人で一緒にネットでお店探して、お店に行きました。お店に着いて、食べて、話して、のんびり帰ってくるみたいな感じでした。事前に何かをやるか決めるというよりは、当日決めることの方が割と多いですね。その方が、Yちゃんと自分には合っているのかな。そのときやりたいことを2人でやる。

2人でパンケーキやさんに行ったとき

愛梨
千莉ちゃんから「これやろうよ。」って提案することもあるの?
 
千莉
選択肢はたまに出します。(笑)
でもやっぱり自分にとって居心地がいいと感じるのは、相手のやりたいことを一緒にやってるときなんですよ。自分の気持ちを抑えてるということではなくて、その人がやりたいことに乗っかると、自分だけではやらないようなことができるから。
 
愛梨
「相手がやりたいことを一緒にやる」という行動自体は大きく変わっていないけど、相手の望みに乗っかることで自分の世界が広がることを願っての行動に変わったんだね。

Yちゃんの近所の本屋さんに連れて行ってもらったとき

千莉
自分の「やりたい」がわからないからこそ、相手のやりたいことを一緒にやることで、自分はこれが好きなんだなとか、逆にこれあんま得意じゃないな、とか、自分の気持ちに気づくことができる。例えば、『呪術廻戦』は、Yちゃんと映画を観に行ったことがきっかけで好きになりました。それまで、全然知らなかったんですよ。あれ以来、今もずっと好き。Yちゃんと出会ってなければ観ていなかっただろうし、「好き」という自分の気持ちに気づかなかっただろうなと思う。

愛梨
もう出会って2年以上が経ってバディプログラム自体は卒業になったけど、これから彼女とどんなふうにかかわっていきたい?
 
千莉
自分も社会人になるし、今までみたいに月に1~2回の頻度では会えなくなっちゃうかもしれないけど、ふとしたときに会いたいなってお互い思えるような仲でいたいなとは思います。

「親も変化する」という事実に、驚いた

愛梨
2人で、どんなことをしゃべってるの?
 
千莉
最近YouTubeでこれ見てるよ~とか。恋愛話とかはほとんどしない。悩み相談は…Yちゃんが学校で気をもむことがあったときがあったんですけど、そのときは、向こうから話をしてくれたタイミングがありました。こっちから何か意見言うわけでもないし、きっとそれを言うのは保護者の方々の役割であり、すでにしてると思ったから、「そうなんだね。」って言って、話を聞くだけだったけど。あと、「お母さんはこういうこと言ってて、でも自分はこうしたいと思っていて。」とか、そんな話もしてたかも。
 
愛梨
色々悩んでいた時に、フラットに聞いてくれる人がいたのは大きかったんじゃないかな。そのときは、そのことについての保護者の方の考えも聞いたりしたの?保護者の方とは、こどもバディのいない場で半年に1度くらい話す機会あるもんね。
 
千莉
色々聞きました。一番びっくりしたのは、保護者の方が「自分の意見が変わってきた」と言っていたこと。「親も変化する」という事実に、そうとう驚きました。当たり前のことかもしれないけど、親も成長するんだ、と知った。

出会いの日。緊張するこどもバディと保護者の方で話すシーン。

学業も、バイトも、全部大事にすればいい。大切にするものが一つ増えただけ。

愛梨
千莉ちゃんの通う専門学校の学生の方で、おとなバディをやってみたいって方はたくさんいるんだけど、「これから学業や実習が忙しくなるから難しい。」という理由で辞退する方がとても多いの。実際に忙しいとは思うんだけど、その辺ってどんな工夫をしてた?
 
千莉
自分は、全部大事にしたい。学校も大事にしたいし、友達も大事にしたいし、バイトもしたいし、We are Buddies にもしっかりかかわりたい。全部大事にすればいい。バイトは自分がやりたい日にシフト希望を出すようにする。バディ活動も、同じ。別に嘘つかなくてもいいなと思っていて。本当は忙しいけど、「忙しくないです、どこでも大丈夫です。」というのではなく、例えば、「この時期は実習で忙しいからちょっと遊ぶのを休みにして、来月でもいいですか?」と保護者の方や本人に伝えればいい

千莉
保護者の方も、「この時期は、例えば卒業式と入学式といろいろ忙しいから予定が組めない。」とか、「旅行行っちゃうから、ちょっと会えないかも。」とか、お互いにそれぞれの時間を尊重しながら予定決めることができたから、全部を大事にしながら、両立できたのかなと思います。この活動に参加したから、この活動を一番大事にしなきゃいけないとか第一優先にしなきゃいけないっていうわけじゃない。大切にするものが一つ増えただけ。お互いに遠慮しながらやるものでもない。きっとそれだと長続きしない。

お散歩が好きな、2人。

愛梨
未来学園の学生のみなさんで「おとなバディやりたいけど、学業も実習も忙しそうだし、できるのかな…」と迷っている方々に向けて、何か一言メッセージをいただけますか?

千莉
年齢を重ねるにつれて、新しいことになかなか挑戦しづらくなる。そんなときに、自分の考え方や世界を広げるいいチャンスだと思います。自分のやりたいことが見つかったりとかもあるかもしれない。ちょっとでもやってみたいって気持ちがあるなら、やってみてもいいのかなと思います。

愛梨
ぜひやってみてほしいね。貴重なお話、ありがとうございました!

おわりに

出会った頃はまだ10代だった千莉ちゃん。話し方も言葉選びも、当時とはまったく違って。おとなバディ経験を経て、たくましく成長した千莉ちゃんとゆっくりお話する時間が、私にとって、すごく幸せな時間でした。

もうすぐ学生を卒業する千莉ちゃん。
どんな社会人になっていくのか、こどもバディや保護者の方とどんな風に関係性が築かれていくのか、私はとっても楽しみです。

インタビューも、楽しい撮影タイムも、お付き合いありがとうございました!

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