春風を纏って
30を 超えてまだ乗る ブランコに 漕ぐ気持ちだけは 6歳の私 特別な ことはなんにも ないけれど 身体に染みる 風呂上り夜風 もう捨てな そういう君に 首を振る まだ着たいんだ 君がくれたから
青空を 映す川面に 影落とす 鯉を見るたび 竜を夢見て 連休に 入る熱風呂 まだ3時 羊文学 の音に浸って 灯消し 君とソファで 見る映画 32型も 銀幕に変える
久々に あった従兄弟と 酌み交わす 桃鉄三年 白熱の夜 週末の 青空に架かる 物干し竿 今日三度目の 脱水の音 鉄鍋に 並ぶ冷凍 ギョウザ達 焼き色つまみに ビールが進む
同僚と 肩を並べる 祝日に ランチ寿司食べ 午後も働く 半袖を 照らす太陽 眩しくて 春風が鳴らす 風鈴の音 友人の ハレの日を祝う 五月晴れ 飛行機雲よ どこまでも続け
帰り道に 鼻をくすぐる 香辛料 そうだ明日は カレーを作ろう 出社前 コメダで食べる モーニング 贅沢しても たまにはいいよね 働けど 休めはしない 四月末 夢のまた先 皆10連休
これ昨日 の寝言だよって スマホ出す 笑顔で聞かせる マジやめてくれ この人が 一番なんて 分からないけど 一緒にいたい ただそれだけで 連れられて 銀座三越 地下一階 読めないコスメ 最早ほぼ無し
坂道の 半ばに佇む 八重桜 登る足取り 少しだけ軽く 陽を浴びて 目覚める平日 朝7時 横から聞こえる 寝息を思う 冬服に 別れを告げる 衣替え また一年後 君を纏って