PdMという役割

いま私はあるベンチャー企業でPdMという役割を担っている。
昨今のプロダクト関連のビジネスにおいて、役割として浸透してきた感のあるこのPdMという役割、ビジネスの現場ではしっかりと定義されていない言葉でもやっとしながら使わざるをえない日々が続いている。

ここでは、そういったことを背景に、自分なりにPdMの定義についてまとめてみる。

広義のPdM

プロダクトマネージャーという言葉は、私が社会人として船出した、およそ20年前にもあった言葉で、当時はシステムを活用したサービスというよりは、日用品等のブランド化された製品群をプロダクトととらえ、製品企画からブランディング、生産計画、マーケ・販売戦略、その後の製品、プロセス等の継続的改善を統括する役割を指していたように覚えている。
(新卒同期の新井さんの訳本で勉強したが、うる覚えなところはご容赦を。。)

今日のシステムを活用したサービスに当てはめてみると、上記の製品をシステムと読み替え、製品企画にあわせて、サービス企画を加えれば、おおむねカバーしているように思われる。

広義のPdMの役割
・プロダクト、サービス企画
・プロダクト開発計画
・カスタマーサクセス計画
・ブランディング
・マーケ、販売戦略
・継続的改善計画(データ分析含む)


狭義のPdM(最近の使われ方)

実際にさまざまな現場の話を聞いていると、広義のPdMの役割を「PdM」という肩書きで担っているケースは非常にまれで、役割として存在していても、新規事業開発責任者、もしくはCPOと呼ばれることが多いと感じている。
また、傾向として、エンジニアとしてのバックグラウンドがない人材が担っているケースが多いのではないだろうか。

では昨今使われているPdMが担っている役割はなにか。
まず前提として組織がビジネスサイドとシステムサイドにわかれていることが多く、PdMはシステムサイドの組織の一役割であり、要件定義や仕様検討、開発計画管理が主だった仕事で、ブランド化されたプロダクト群の一部のサービスや機能を、管理の対象としている。

10年前であれば、某メガベンチャーで開発部にいたプロデューサーという役割に近似しているし、某グローバルビジネスアプケーション最大手の製品管理の役割に近い。

狭義のPdMの役割
・担当サービスの要件定義
・担当サービスの仕様検討
・担当サービスの開発スケジュール管理
・担当サービスの継続的改善計画(データ分析含む)
・担当サービスの問い合わせ対応

ミッションとして担当範囲のグロースを数字として渡されるケースが多いが、みているのはマーケットというよりも、ユーザー、サービスというよりもプロダクト機能だ。

担っている人材のキャリアとしてはエンジニア上がりが多く、ものづくりに対しては意識が高い。一方でビジネスサイドや経営層とのコミュニケーションに苦労する傾向があり、そこをブレイクスルーできる人材か、そうでないかがキャリアの大きな分岐点になっている。

PdM人材に関する展望

現在の人材市場では、需要側は広義のPdMを期待しつつ、現実的には狭義のPdMかつブレイクスルーできる人材が求められている。
一方で供給サイドをみると、需要過多のエンジニア人材マーケットで人材不足、つなぎ止めなどを目的に、スキルが足りたいエンジニアがPdMの肩書きをもっているケースが増え、募集されているPdMを希望しながらも、曖昧な定義がゆえに期待されるスキルセットを理解しきれずに応募する現状が多いように思える。

まとめ

今回はPdMを役割という観点で俯瞰し、それを人材マーケットの現状に投影してみた。
今後PdMという言葉による相互不理解のケースは、定義が定まるというよりは、現場でより深く認識あわせをしていくことで、減っていくとは思う。
自分の職場でも自分の後継となる、広義のPdMを探すことがこの一年のミッションの一つとなるが、あまり欲張りすぎず、言葉に頼りすぎず、毎回の出会いを大切にして、都度PdMの定義を認識あわせし、足りない部分は別の役割で補佐していければと考えている。

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