受託のWEB制作会社から自社サービス系の事業会社に転職したので、違いをまとめました。

それまで代理店経由などからの受託でWEB制作会社で5年ほどWEBデザイナーとして勤めておりましたが、今年の春に事業に近いところで働きたい!!と発起して転職しました。
転職自体が初めてなのもありますが、それまで当たり前だと思っていたことが、通用しなかったり、色々な物事に直面するにあたって違いを感じることがあったので、その辺りをそれぞれまとめたいと思います。

ちなみに、これはあくまで私が体験した一例なので、全ての場所に当てはまるとは限りませんので、参考程度にご覧ください。

衝撃1:ターゲットユーザーが設定されていない場合がある

これは、私が一番不可解だったことのひとつなのですが、これまでデザインをするにあたってはかならず、どんな人に向けたモノを作るのか。という事が1つの指標になっていました。
受託でWEB制作をしていた頃は、それは当たり前にあるべきものだという考えから、必ずどんなクライアントにもその質問を当たり前のようにして、答えを得てきていました。ですが、実際自分が事業を把握する側に回ってみると、よく考えてみれば、そのターゲットユーザーは何を根拠に設定すべきなのか。ターゲットユーザーはそもそも何処にいるのか?という疑問にぶち当たりました。
恐らく大体の事業会社には、マーケッターと呼ばれる人がいて、その人達は常に事業の方向性を導き出すためのデータを集めていて、そのデータに基づいて、様々な施策が行われている。と言うのがこれまでの認識でしたが、実際の現場では、そこまで情報が整理されていることの方が稀なのかなという結論に至りました。
実際に事業を運営している人も、どこに自分たちのビジネスが刺さる相手が潜んでいるかと言う事がわかっているわけではなく、それらはつねに手探りでやりながら見出そうとしている場合が多いのではないかと思います。
ですので、これまでは恐らくそういったマーケット調査がどこかのタイミングで行われていた事業に関わってきたか、代理店などを経由することによって、そういった情報が付与され整理されていたのではないかと思います。
ここで、受託での制作と事業会社での制作のそれぞれの良し悪しが出てくると思います。受託制作での苦しみは、クライアントまでに間に人が入れば入るほど、コミュニケーションが取りづらく、クライアントの意図を察しづらい。と言うデメリットがあると思います。ですが、反対に事業自体がカオスの中にあり、道筋が見えにくいような場合にも、その人々の間を通ることによって整理され揃えられていた。という事です。
そうすることで制作者は制作するものだけに集中することができ、スムーズに進行していく事が出来ると思います。

衝撃2:物事の良し悪しを決めるのは担当者ではない

これまでは、所謂ウォーターフォール型の体制で仕事をしてきたのではないかと思っていますが、実際に事業の中に身を置いてみると、事業のハンドリングをしているのは1人ではない。という事があります。もちろんかなりガッチリとした組織であれば、1人の決裁者に対して物事を進めていくことはあると思いますが、事業を作る側に回ると、それぞれの領域の違う人々が集まり、その得意な領域について熟知している人毎に気づきが発生します。その気づきをそれぞれが持ち寄り話し合う事で、成果物の形は変化していきます。

ですので、初めから誰かがゴールに対する答えを持っているわけではないという事です。むしろその答えをチームのメンバーそれぞれが知恵を出し合い、導き出していく作業こそが違いの真髄なのかもしれません。

受託でやっていた頃は、担当者や、決裁者と言ったゴールが設定されていたため、完成形を定める事が比較的初期段階からでも可能な場合がありました。ですが事業側ではむしろ初めから形の決まっていることは少なく、ある程度の目星をつけることは出来ますが、完成形を最初から定めて進めていくことは難しくなってくるかと思います。

この辺りの進め方は人によって好みがあると思うので、どちらが良いと言うより、その人の性格や特性によって、合う合わないがあるのではないかな?と思います。

衝撃3:みんなが同じ目標を目指して物事が進行しているわけではない

これも中々の衝撃的なことだったのですが、制作会社にいる時は、事業自体がそもそも制作をすると言うことにフォーカスしているため、中で働いている人も皆、どのように効率よく制作するかや、どうクオリティを上げていくかなど、終始皆制作すると言うことに対しての意識の統一が図られていたかと思います。
ですが、事業側だと事態はもっとカオスの中にあるなと感じます。
そもそもどの方向に進んでいくか。どう言った方法で取り組むべきか。など方向性が様々なため、それを定めることそのものが難しく、関わる人数が増えれば増えるほど、それぞれの個人でベクトルに微妙なブレがでたりと、見えている景色が違えば違うほど、目指すものを定めること自体が難しい状況になってしまうのではないかと思います。
事業の中に声の大きな旗振り役がいる場合はその人を軸に物事が進んでいくので、ある程度の指針を得ることは出来ますが、その場合、いいアイデアを持っている人が居たとしても、声が大きい人にかき消されてしまったり、そもそもプロジェクトの土台からひっくり返すような意見だった場合、取りいっても貰えないなど、それぞれの個性や能力が最大限発揮されにくい環境になってしまうと言うデメリットも潜んでいるのではないかと思います。
より個々の能力が発揮されるチームでありつつも、メンバーそれぞれが軸をブラさず、成果を出せる集団になることの難しさが、事業側には潜んでいるのだと言うことが進めていくにつれ、徐々にわかってきました。
みんなが同じ目標を目指せていると言うことは、普段気がつかないことかもしれませんが、案外人間の本質として、幸福を感じられる素養なのではないかと思うので、それらが整っているか、カオスの中にあるのかと言うことは、それぞれの違いとしてあるのではないかと思います。

総括

受託の制作会社、事業会社のデザイナーはどちらも、生み出す人。と言う大きなくくりは同じだと思いますが、事業会社側には、モノを作り出すと言うことよりも先に、チームや環境をどのように作っていくのか。と言う新しい課題があるなと感じました。
もちろん、事業会社にもそう言った仕組みがすでに整っている会社も多くあると思いますが、その仕組みはすでに完成されたものなのか?と言う疑問は付いて回ると思います。またさらに言うと、制作会社の中でも今までの仕組みが全てというわけでもないですし、寧ろまだカオスの中にいると言う場所もあるかと思います。

今回こうしたまとめを作成してみて思ったことは、例えどんな場所に居たとしても、デザイナーとしては、モノとしてアウトプットするだけでなく、そのマインドを活かして如何にして、それぞれの題材を良くしていくか。と言うことを突き詰めていくことではないかな。と思いました。
目の前の何かが思い通りにいかないことはどんな環境にいても起こり得ることだと思うので、このようなマインドセットを維持する事がデザイナーとしては大事なことなのかなと思います。今現状なにか問題を抱えている方はまずはこのような考えを取り入れてみるところからチャレンジしてみるのはどうでしょうか?

#デザイナー #WEBデザイナー #制作会社 #受託 #事業会社 #自社サービス #違い #転職

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?