(過去作)1円玉のささやき
月光にてらされる鼠色のわたし
窓辺の机の上で
いつものように月をうっとりと眺めていると
だんだんと月が大きくなってゆくようです
最初は夜空の真ん中に黄水晶のように透き通った月の
輪郭がしだいにはっきりと見え
ついにはクレーターの様子や
かこむようにちりばめられた星の広がり
そして深遠な暗闇を感じるようになりました
わたしはふわふわとしながら
石くれやクレーターばかりの荒涼とした月面に
一本の旗の立つのを見ました
星条旗とその下から続くかすかな足跡
わたしはこれを知っています