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【人狼】縄計算と諸々

今更ながら人狼界の必修「縄」の算数知識の話をしましょう。


◆概論

ばかばかしいかもしれないけれど 莫迦丁寧に参りましょう。
先ず「縄」とは何か。そう、「処刑」のこと。
なぜそう呼ぶかって、人狼ゲーム世界観での処刑は絞首刑ハンギングだから。

では「縄数」とは何か。勿論「処刑回数」のこと。
首吊りの回数は使う縄の本数。
これはとても大事な数量。
特に標準編成では狼は吊らないと殺せない。そのため「狼を仕留めるのに使える手数」と言えます。

この縄数 吊数を求めるのが今回の主題。
ちなみに吊を記号で「▼」と表すことが多いです。
処刑 吊 縄 ▼、これらは全て同じものを指しています。

◆基礎

・公式

では公式(?)から。最低限これさえ憶えれば(本当に最低限の)戦略単位で人狼が遊べます。

標準編成下において、生存人数がP人の時 処刑回数Hは…
H=(P-1)/2
又、護衛成功1回をH=0.5 とする。

この式は実用的に使えます。
生存人数Pが偶数の時に端数0.5本が出ますが、その端数は上げも捨てもしません。護衛成功の+0.5本と合わさって吊1本になります。

・公式を導いてみよう

丸暗記でもいいのですが、せっかくですし導出方法も憶えておきましょう。
台形の面積の公式は知ってるけど、導きます方が解らない というのは気持ち悪いでしょう?

何より大事なのは、基礎となる原理が解れば応用が効きます。あらゆる状況で縄本数を導ける技術は、自分で戦術戦略を組み立てられる基礎土台であり第一歩です。

・導き方

先ず前提として、人狼ゲームは日毎1回の処刑(と襲撃)がずっと続きます。
ですので終了まで何日あるかを数えれば それが処刑回数と言えます。

では肝心の終了はいつか。
これは村と狼の勝利条件を踏まえれば判ります。
狼の全滅で村勝利、狼が半数以上で狼勝利、ですね。
踏まえれば「生存人数が2人(以下)になれば必ず終了」することが判ります。

つまり最期の最期まで日程が延びた場合、生き残っているのは2人で あとは死んでしまった。というわけです。
村内で人が死ぬのは(標準編成下では)2通り。吊られるか食われるか しかありません。
そしてこれらはそれぞれ日毎1回……1日2人ずつ死んでいきます。死ぬ人数の内 半数は吊られて死ぬ人数です。
これで吊られて死ぬ人数……吊本数が導けます。

生存人数P人から最終生存数2人を引いてから、総死亡数を半分にすればいいのです。ですので……

H=(P-2)/2 ……?

おや?合ってませんね。
公式に沿えば9人いれば吊4.0本あるはずですが、上記の式では3.5本……ずれていますね。
……ここで注目してほしいのが、日毎の死亡……死因の順番です。

9人村の場合の生死一覧
1D▼▲
2D▼▲
3D▼▲
4D▼
ED〓〓

▼:処刑死亡
▲:襲撃死亡
〓:最終生存

必ず▼▲、と夕に処刑→夜に襲撃を繰り返しています。
それにより こう見ると端数0.5を消化するために吊1本を4日目に使っているのが判ります。
終了人数2人になるまでに半端な人数がいる場合、その人数分の死亡消化には吊が充てられ、その分 吊本数が嵩む ということです。
つまり端数は切り上げられます。
ですので先に述べた式は正確にはこうなります。

H=⌈(P-2)/2⌉

天井関数⌈⌉は端数切り上げ と読んで下さい。
これで原理的な式は導出できました。
しかしこの形でも公式とは やはり違います。
-2ではなく-1でしたし、端数切上はありませんでした。なぜ?

これは実用的に改造カスタマイズして公式化するに当たり、「端数切上」の文脈を予め「+0.5」に換えることで辻褄合わせをした結果です。
標準編成では小数点以下が0.0か0.5しかないため、端数に0.5を足せば擬似的に切り上げと同じことができ、「端数切上」の文脈を読み飛ばすことができます。

これを先の原理で導出した式と合わせると こうなります。

H=⌈(P-2)/2⌉ ≒(P-2)/2+0.5 =(P-1)/2

これにて公式の導出ができました。万歳。
原理の式を使うと「9人だと3.5日切り上げ吊4本」と1工程が挟まるのに対し公式なら「9人だと吊4.0本」と直に本数が導けるので、早いのは公式です。実用的。

・余吊

縄の基礎の中でも押さえておくべきところをあと1つ挙げるとすると「余吊」でしょう。
なんの概念かと言いますと、「村側視点で何回まで吊り間違えていいか」の本数です。

概論で述べた通り 狼は吊でしか殺せず、残ってる吊本数が生き残ってる狼頭数に満たなければ狼を吊り切ることができません。つまりこの時点で敗けです。
逆に言えば、生き残ってる狼頭数より残ってる吊本数の方が多ければ まだ間違える……狼以外を吊っても敗けていません。猶予があります。

この猶予が「余吊」です。
9人村の配役に(人外が)狼2頭(だけ)いるならば、吊4.0本に対して狼2頭。差の2本が余吊猶予本数です。
又、狼2頭に加えて狂もいるならば人外は3枚。3票分を持っています。
この場合は7人で半数未満、6人で半数、5人で過半数ですので、6人になった時点で人外に票を支配されます≒狼を吊れなくなります。
逆算して6人より前、7人までが村が吊を(人外よりも)支配できる立場です。9人→7人、死亡2人=吊1本が猶予です。
公式からも導けます。9人=吊4.0本に対して人外3枚、その差1で余吊1本。

まぁ公式を用いるなら小難しく考えず、

残吊本数H - 残り最大人外数 = 余吊本数H'

で簡単に導けます。
公式と併せて憶えておくと とても便利です。

「あと何回まで間違えてもいい」と判れば、吊を上手く使う選択肢が生まれます。狼以外を吊るにしても情報収集に充てたり、戦略の経費に充てたりする選択肢ができるのです。
余吊がある限り狼しか吊らないと敗け…ではないので、余裕もできます。逆に狼はこの余裕をいかに浪費させて削り取るか が課題になります。
まぁ戦術戦略上の縄話は今回は題外なので また今度。

・基礎演習

せっかくですし、演習で計算をしていきましょう。
登場する役職は狼狂守占霊村の標準6役だけに絞ります。
解答は記事の最期に載せてあります。

【演習問題1-1】
配役9=2狼+守6村、初日朝時点で残りの処刑回数は?
【演習問題1-2】
この初日に処刑を1回行い その夜は護衛成功しました。2日目朝時点での残りの処刑回数は何回?
【演習問題1-3】
この2日目朝時点での処刑の猶予は何回?

【演習問題2-1】
配役11=3狼+守霊6村、初日朝時点で残りの処刑回数は?
【演習問題2-2】
この初日に霊能者が1人名乗り出て確定し、処刑を行い その夜は襲撃で1人が食われた。2日目朝時点で霊能者から処刑したのは「人狼」報告が挙がっている。
この時点での処刑の猶予は何回?
尚、潜伏霊能者は考慮しないものとする。

【演習問題3】
配役13=3狼+守霊8村、初日に名乗り出た役職は霊能者1人で確定した。処刑は3回行い襲撃で2人が食われた。霊能者から処刑したのは「人間」「人狼」とだけ報告が挙がっている。
この4日目夜に護衛成功が1回 起きた場合、5日目朝時点での処刑の猶予は何回?
尚、潜伏霊能者は考慮しないものとする。

【演習問題4】
配役13=3狼狂+守占霊6村、初日に名乗り出た役職は予言者2人と霊能者1人で霊能者は確定した。処刑は3回行い襲撃で3人が食われた。霊能者から処刑したのは「人間」「人狼」「人狼」と報告が挙がっており、予言者候補が1人 食われている。
この4日目朝時点で生き残っている予言者候補から見た処刑の猶予は何回?
尚、村騙りと潜伏予言者と潜伏霊能者は考慮しないものとする。

◆応用

さてでは基礎が解ったところで応用に入りましょう。
何度も述べてますが公式は標準編成下で使うものです。ですので死因は吊か牙しかありませんし、死亡数の変動は護衛成功による+0.5本しかありません。 
これ以外の死因や変動要因が絡むと公式は使えなくなります。

原理の式 H=⌈(P-2)/2⌉ に立ち返りましょう。
これを弄ればどんな縄計算にも対応できます。

・特殊死体がある

弄るに当たり、まだ表していない変数を見えるようにしておきましょう。
例えば「突発死体数」。これは猟師ハンターの道連れ撃ちや恋人の後追い等の吊でも牙でもない死因による見込み死体です。1戦中に起きる上限が決まっているものを数えます。
他には「恒常死体数」。これは日毎の吊1本 牙1本以外にも毎日上がる死体があるなるば それらをまとめて数えます。
するとこうなります。

生存人数がP人の時、処刑回数Hは…
H=⌈(P-2-S)/D⌉ 
S:突発死体数
D:恒常死体数

日毎の死因は先ずはじめに処刑が夕にあり それは1本、は動かさないものとします。
この本数を動かしてもいいのですが、その場合はHに倍数かけるだけでいいので、気にせず話を進めます。

上記の式を使えば特殊編成下でも今ある吊本数の見積もりができます。
15人に恋1組いて……いえ これは応用演習問題で出すとしましょう。

・応用演習

では早速……基礎と違って特殊役職も登場します。

【演習問題5】
配役15=恋恋+3狼狂+守占霊4村、初日に名乗り出た役職は予言者2人と霊能者2人。霊能者2人を2日かけて処刑し その間に夜に上がった死体は3体だった。
この3日目朝時点で残りの処刑回数は何回?
又、処刑の猶予は何回?
尚、村騙りと潜伏予言者と潜伏霊能者は考慮しないものとする。

【演習問題6-1】
配役15=恋恋+3狼狂+守占霊4村、初日に名乗り出た役職は予言者2人と霊能者2人。霊能者2人を2日かけて処刑し襲撃で2人が食われた。
この3日目朝時点で残りの処刑回数は何回?
又、処刑の猶予は何回?
尚、村騙りと潜伏予言者と潜伏霊能者は考慮しないものとする。
【演習問題6-2】
この3日目夜に護衛成功が1回 起き、且つ死体が1体だった場合、4日目朝時点で護衛成功を起こした守護者から見た処刑の猶予は何回?

【演習問題7】
狂戦士入りを作問中…

◆発展

・狼から見た縄

さて演習問題も一頻り済んだところで、次は狼目線の話をしましょう。
お気付きの方もいるでしょうが、ここまでは客観……もう少し絞れば村視点の縄話でした。
でも主役は狼ですよね?どう見えているのでしょう?

先ず以って、狼は吊でしか死にません。
では吊られないために どうするのが良いでしょうか。
「吊を避ける」意識も大切ですが、手っ取り早いのは「人間を吊る」ことです。
人間を吊っていれば その内 人狼が人間の数を上回って勝ちます。

では"その内"とはいつ?
人間を何人 吊れば良いのでしょう?

村は余吊がある限り敗けない、と述べました。逆に言えば余吊を失うと後がなく、そこから1回 間違えると敗ける……狼が勝つ、ということです。
余吊を削り切り、あと人間を1回 吊れば勝てます。
これです。余吊+1本の人間を吊る。狼陣営の目標ノルマは これです。

・編成の構想

いくらかGMの建村論に片足 突っ込んだ話になるのですが、村陣営と狼陣営の勝利目標を鑑みると配役の組み方がおよそ見えてきます。
「村は人狼を吊り切る」「狼は余吊+1人の人間を吊る」、これらの調整バランスに公平性を保とうとすると前者と後者は同じか近い数にするのが良いと解ります。

狼の頭数 ≒ 余吊+1

これが建村の目安として成り立ちます。
世にある標準配役をつらつら並べてみてください。 
およそ上記の範疇に収まると思います。
まぁ狂がいたり守占霊がいたりと編成の調整は狼の数だけではないので、一概に絶対の法則とは言えません。目安 目安。

そして、上記が成り立つとすると この式も同時に成り立ちます。

狼が全頭生存で勝利する際…
狼頭数 ≒ 生存数
処刑数 ≒ 襲撃数
狼頭数 ≒ 余吊+1 = 処刑数

狼頭数 ≒ 生存数 ≒ 処刑数 ≒ 襲撃数
狼頭数+生存数+処刑数+襲撃数 = 配役数

狼頭数 ≒ 配役数/4

なにを表しているかと言いますと、「配役のおよそ1/4は狼」とするのが建村の上で丁度いいよ、と云うことです。
これも狂や守占霊の影響で厳密な立式ではありませんが、とても重要な指標です。

・一人一殺

これはある至言なのですが、「一人一殺」って聞いたことありませんか?
「人外1人辺り人間を1人 吊り殺せば勝てる」という目安の戦略観です。
これは根性論や妄言ではなく、中々 理に適った一言だ という話をします。

先述した狼≒配役/4を導く途中を思い出してみてください。
狼頭数 ≒ 処刑数ってありませんか?
これ即ち、狼は1頭辺り人1人を吊り殺せば勝てる、ということになります。
狂を含めた人外1人辺りなのか狼1頭辺りなのか、そこは人数調整バランスごとに見分ける必要があるので詳しい言及はしませんが、ともかく各位が人1人を吊り殺す意識が狼陣営が勝つためには要る ということです。

・4種類の人材

狼が勝つに当たり村内の人員を4つに分ける考え方ができます。
1つ目、狼達自身
2つ目、食って殺す人材
3つ目、吊って殺す人材
4つ目、生き残って間違う人材

これは先の狼頭数≒襲撃数≒処刑数≒生存数 と似てますね。
間違う人材を生き残って間違う人材と言い換えると解りやすいかと思います。
つまりこの人材群はそれぞれ配役/4で見積もれます。まぁ間違う人材が1/4より多ければ吊ったり食ったりの選択肢が増えるのできっかり1/4ずつにはなりませんが。

間違わない人材は人間を吊る側になってくれないので、吊ります。
もし吊ることもできない場合は仕方ない。食います。

村陣営が誰も一切 間違わない場合、狼が勝てる隙間は一切ありません。
村陣営が間違うから狼が勝てる余地があります。
全体の1/4以上が間違えてくれれば狼は勝てます。
最終日なら4人の内1人が間違えてくれれば良い訳です。
逆に間違う人材が(常に)全体の1/4を下回ると狼は勝てなくなります。これは村でも進行や吊運用を画策するに当たり大事な考えです。
間違う人材が1/4いるか いないか。これは村にとっても狼にとっても勝敗を分ける生命線になる戦局目安になります。

では一通り縄話が済みましたので、解答を載せて終わります。

◆解答

・基礎演習問題

問1-1
(9-1)/2 =4.0本
問1-2
9人から▼で生存8人がいる。(8-1)/2 =3.5本
問1-3
狼2頭なので3.5-2 =1.5本

問2-1
(11-1)/2 =5.0本
問2-2
11人から▼▲で生存9人がいる。(9-1)/2 =4.0本
狼3頭の内1頭が吊れているので残り2頭が確定している。4.0-2 =2.0本

問3
13人から▼▼▼▲▲で生存8人がいる。(8-1)/2 =3.5本
狼3頭の内1頭が吊れているので残り2頭が確定している。3.5-2 =1.5本
4日目には▼を使い 護衛成功が起きることを考えるので 1.5-1+0.5 =1.0本

問4
13人から▼▼▼▲▲▲で生存7人がいる。(7-1)/2 =3.0本
狼3頭の内2頭が吊れているので残り1頭が確定している。そして生き残った予言者から見ると対抗が食われており狂人がいなくなっていることになるため、狂人は考慮に入れなくていい。
よって3.0-1 =2.0本

・応用演習問題

問5
15人から▼▼▲▲▲で生存10人がいる。(10-1)/2 =4.5本
夜死体が多いため特殊死体で恋恋がいなくなっている。
霊能者候補をどちらも処刑しているので人外が1人いなくなっている。
よって人外は狼3頭と狂1人の内 残り最大2体。4.5-2 =2.5本

問6-1
15人から▼▼▲▲で生存11人がいる。(11-1)/2 =5.0本
霊能者候補をどちらも処刑しているので人外が1人いなくなっている。恋はまだ生死不明。
よって人外は狼3頭と狂1人の内 残り最大4体。5.0-4 =1.0本
問6-2
護衛成功しているが夜死体が上がっているため守護者から見ると護衛成功が確定していない。
よって通常通り▼▲を使ったのと同じ吊計算をする。1.0-1 =0.0本
尚、護衛成功して死体が上がっているので狼から見ると恋死亡が確定している。

では良い人狼生活を。
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