2/2冷凍汁なし担々麺
生き抜いた1月、踏ん張る2月。
去年の夏から秋頃にかけて、我が家の冷凍庫には必ずあるものが1つ、収納されていた。2つでもない。0でもない。1つだけ。
それは、冷凍汁なし担々麺だ。
ある日、スーパーに買い出しに行った時、彼の勧めで買った。自炊する暇がない日用のストックだったか、中華料理パーティを開くためか忘れたが、とにかく自発的に買ったわけではなかったと思う。私にとって冷凍庫は死にかけの肉を延命するための場所でしかなかったからだ。あとちょっと足を伸ばすとおいしい汁なし担々麺のお店もあるし。
とにかく、彼のおかげで私は冷凍汁なし担々麺に出会った。チンして、蒸気に気を付けて麺を袋から出して、彼と競い合うように1個の冷凍汁なし担々麺を貪った。ボリュームもガツン、味のパンチもボカン、追い飯ドボンもよし。最高。
あとに残るのは、冷凍汁なし担々麺がない冷凍庫だ。悲しい。悲しいなあと思いながら日々を過ごしていると彼が冷凍汁なし担々麺を買ってきた。その日は別のものを料理していたので、冷凍汁なし担々麺の出番はなかったが、冷凍汁なし担々麺が家にあるというだけで心は踊った。
それから、冷凍汁なし担々麺を1つ食べると1つ買う生活が始まった。まとめて2つ買うのはご法度である。なにがだめなのかわからないが、とにかくご法度である。
しばらくして、我が家の冷凍庫は業スーで買った肉とコストコで買ったパンで溢れるようになった。自動的に冷凍汁なし担々麺は追い出されて、しばらくその顔を見なくなった。
そしてまたしばらくして、冷凍庫が落ち着いてきたある日、彼が冷凍五目焼きそばを買ってきた。
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