vol.35 わたるさんがくれたもの 【鈴木 貴大】

何も世の中のことを知らなかった大学1年生の僕にとって、わたるさんを初めて見たときの正直な印象は、「おじさんなのに茶髪、おじさんなのに朝練にきている、なにかと蛍光黄色」。それまでの人生では出会ったことのない類の人物で、ただでさえ大人と接するのはあまり得意でなかった僕には、たいそう近寄りがたいタイプの人でした。そして多分1年生の暮れくらい、自分が本郷に引っ越してきた頃くらいから、片岡屋の前の家におよばれするようになったような覚えがあり、接する機会が増えたのだと思います。

そして忘れもしませんが、TOKYOTOWER2012に誘ってもらいました。

初めこそ、「同期で誘ってもらったの数人だし、なんか俺期待されてる？」みたいなしょうもない優越感を覚えた記憶があります。

タワー本番の前に決起会がありました。そこには自分が知らない時代のBlue Bulletsの中心選手だったOBの方々が沢山来ていて、Blue Bulletsの歴史上の偉人の昔話とか、小難しい話とか、ウィットに富んだジョークが飛び交っていました。世間知らずな僕にはそのノリがあんまり楽しめず、鹿島オープン本番の期間も、やれラクロスではコバさん怖いし（当時は近めで角度のないシュー練がお好きでした笑）、懇親会ではおもちゃにされるし、初めての鹿島は主にずっと辛くてムスッとしていた記憶と、コバさんのおかげで優勝した後の焼肉がギリギリうまかった記憶しかないです笑。

それからなんとなく自分からその界隈を避けていたのか、わたるさんのお誘いメンツから外れていたのかわかりませんが、3、4年生の間はわたるさんとあまり接する機会がなかったように思います。ですが引退直後の冬、わたるさんは僕を2回目のTOKYOTOWERに呼んでくれました。

その時は多分1回目の自分を余裕で超えるレベルで品川がいじめられていて、飲まされ暴れる品川をずっと追いかけてお世話しました。その時は品川をかわいそうに思うとともに、「あの時嫌だったOB」の仲間入りができた気がして少し嬉しかったことを覚えています。

今考えれば、低学年時に「正直好きになれなかったオトナたち」をラクロス上手くなって見返してやろうと思えたのも、高学年になり、OBになるにつれ「素敵だと思えるようになったオトナたち」と様々な場面で出会い、関係性を築くチャンスを得られたのも、その輪の中心にはわたるさんがいて、僕を様々な人と繋いでくださったからなのだろうと思います。僕はわたるさんに出会えたおかげで、その前よりは随分と様々な人達の様々な価値観にふれて、それらを受け入れることができる人間になれたのだと思います。数年前にちょっと久々に会った時、「ウディってなんか昔の危うさが消えて、ちゃんとしたよね」と言われましたが、多分それはわたるさんにもらった経験の賜物です。

社会人になって数年経って、自分はもしかすると著しく悩む力にかけているのではないか、ということを最近思うようになりました。基本的には「悩む暇があったら行動しよう」と思う性分なのですが、悩むことができる人はその分思考が深くなり、気づく力も高くなる。わたるさんやうどさんと話したり、わたるさんのnoteを読ませてもらうとそのように感じます。

最近再びご近所さんになったこともあり、わたるさんとはむしろここ1年で飲みに行く機会が増えました（嫁もお世話になってます笑）。ほとんどが騒ぎ楽しむ飲み会ですが、僕が学生の頃にオトナ達がよくわたるさんの家でやっていた小難しい話をする飲み会、多分そのオトナ達の多くは今の僕くらいの歳だったのでそんな飲み会もできるようになりたいなとか思っています。

わたるさんにはこれまでずっと与えられてばかりなので、これからは自分も何かをわたるさんにお返しできるようになっていかねばと、今回改めて思った次第です。

わたるさん、40歳おめでとうございます。”Age is just a number.”を地で行く姿、憧れます。これからもよろしくお願いします。

----------

鈴木貴大/Takahiro Suzuki

・プロフィール
東大ラクロス部27期 #14
FALCONS（2015〜） #14
丸の内で損害保険会社で働いています　わたるさんには「お前は違うだろ」と言われましたが、一旦はこの会社で全力で頑張れることを模索中です。

・ワタルさんとの初めての出会い
多分1年生の暮れ頃に御殿下で、グラウンドに蛍光色が映えていたのを覚えています

・ワタルさんとの一番の思い出
後楽園HUB→マルキン→スクワットカラオケ

・40歳を迎えるワタルさんに一言
夜ラーメンはまだしも、訳のわからない海外のサプリメントには気をつけてください。