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ハッピー・デス・デイ


 皆さん、こんにちは。そういやもうすぐ誕生日だわ。木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 さて。映画「ハッピー・デス・デイ」は、ホラー映画としても、コメディ映画としても、ミステリー・サスペンス映画としてもかなり優秀だと思うのですが、世間ではあんまり評価されてなくてションボリ。

 アタマの悪いビッチ女子大生がブッ殺され、殺される度、その日の朝にループする、という「いわゆるループもの」なんだけど、


 (´・Д・)」テンポがいい。


 しかも、主人公がビッチ女子高生でアタマが悪いから、観ている側のやきもき感が半端ない。更に、フツーにビッチでムカつく主人公であるため、物語が進むにつれて、段々と感情移入しちゃうのよね。
 そう。ああー、こーゆーコトする主人公はちょっと感情移入できないわー、って思わせといて、ビッチだからこそ直接的な物言いでスカッとさせてくれる部分もあるし、弱い部分を見せられると、「捨てられた仔猫に優しい不良」を見ちゃったような気分になってしまう。

 何と言っても、フツーの映画にありがちな話なんだけど、視聴者が、


 (´・Д・)」アレをこうしたら、
 事件解決なんじゃねーのか?


 という超☆無粋なツッコミを回避できるため、物語に集中できるのだ。
 ありませんか? 主人公とか「アタマが良い」って設定なのに、アホな行動しか取らないやきもき感。平均視聴者の頭の方が良かったり、映画慣れしてると、


 (´・Д・)」いや、
 さっさと解決しろよ。


 って思われちゃう。実はコレ、同じ「やきもき」でも質が違って、


 主人公のアタマが
 悪いなら仕方ない。


 って方が納得できるのよね。まあ、人に依るかも知れないけど、映画好きを自負してる人なんかは大半がそうだと思う。

 で。本日は人と話してて思い出した、


 (´・Д・)」リアル・ハッピー・デスデイ


 の話をお送りしようかと思います。はい。
 30年近く前の話ですが、現存しているので、ちょっと色々とボカして言いますけれども、ワタクシ、好きなレストランがあるんですよね。お金がなくて、かなりご無沙汰しておりますが、

 雰囲気があって、値段も控えめで、味も良いし、サービスもいい。

 かなり良いお店で、歴史もあり、ワタクシは個人的にオーナーシェフとも知り合いではあるんですが、知り合いかどうかは関係なく、人当たりのいい方で人物的にも周囲からの評価が高いんですよ。ええ。

 で。ワタクシがある日、その店でディナーを食べてたんですよね。少し遅めのスタートで、夜の8時ぐらいだったと思います。
 店の雰囲気的には、ほぼ満席で、ちょっとガヤガヤしてはいるんですが、居酒屋のような騒がしさはなく、気取った静かさもなく、実に心地良い雑音です。

 その雑音が、急に小さくなりました。


 正確には、こちらが先です。

 店の暖色系の照明が、ふっと暗くなったのです。
 急に照明が絞られ、店内が暗くなったものですから、「あれ? どうしたの?」と客の声が静かになった訳ですよ。ええ。
 そして、「ボッ…ブツッ…」とレコードに針を落としたような音が聴こえ始める。いや、実はワタクシは既に知っているのですが、この音はレコードに針を落とした音(実際に落としている訳ではなく、そーゆー録音)

 そして流れ始める、


 (´ ▽` ) ハッピー
 バースデー♪ トゥ ユー♪


 そう。このレストランは、誕生月だか誕生週だか誕生日だかにディナーを予約しておくと、バースデーケーキのサービスがあるのです。(もちろん、予約の時に伝えないとダメよ)

 しかも、店内を暗くし、ハッピーバースデーの曲を流し、


 (´・Д・)」ワゴンで、
 恭しくサーブされる。


 この時の客は大学生ぐらいのカップルだったと思う。たぶん、女の子のために、男の子が用意した誕生日サプライズなのである。やったぜ。微笑ましいぜ。
 音楽が流れ始め、状況を理解した周囲の客は、拍手と言うか、音楽に合わせた手拍子でカップルを祝福する。
 おめでとう。おめでとう。
 ワタクシは前述のように、コレ以前にも誕生日サプライズを見たことがあるので知ってたけど、やっぱりこーゆーのは心が暖まりますよね。うん。
 心からおめでとう。
 ケーキがサーブされ、盛大な拍手。そして、再び店内に灯りが戻る。1分もしない内に、店はいつもの空気に戻った。

 そこから、10分は経過しただろうか。30分は経過していないと思う。
 ふと、店内が暗くなった。


 (´・Д・)」おっ?


 そして再び流れる、


 ハッピーバースデー♪


 なんと、この夜は2組目のカップルもまた、誕生日だったのである。


 (´・Д・)」おおお。


 店内が一気に祝福ムードに。いや、めでたい。めでたい。たしか、社会人なりたてって感じのカップルだったかと思う。
 何なら「2組も誕生日だなんてステキねー」とか言ってる老夫婦もいたりする。
 うんうん。いいね。いいよ。1組目のサプライズも良かったけど、2組目の女の子も「えっ!? コレって? ひょっとしてアタシも!?」とかドキドキしながら食事してたのかと思うと、キュンとしますよね。甘酸っぱいですよね。ケーキの苺よりも甘酸っぱい。うん。
 おめでとう。おめでとう。


 からの、20分もしない内に、


 (´°Д°)」 再び暗くなる店内。


 食事客にどよめきが走る。


 そして流れ出す、


 ハッピーバースデー♪


 明らかに客からの拍手が少ない。最初の拍手を5段階中の4だとすると、次の拍手が5ぐらいあった。だが、今回は明らかに3しかない。
 祝福されているはずの女の子も、


 (*´∀`*;) 苦笑いが混じってる。


 仕方ない。仕方ないよコレは。サプライズが完全に滑ってるし、このコも「ひょっとして次はアタシ!?」とか思ってドキドキしてたら、隣の女に持って行かれたんだもんな。仕方ない。仕方ないとも。
 周囲も、そーゆー心情を察して随分と同情的な空気を漂わせている。
 だって、周囲が「コレって拍手してあげた方がいいのかしら? そっとしてあげた方がいいのかしら?」って迷ってるんだよ。
 「そっとしてあげた方がいい」と思った人は拍手を控えめにするし、「拍手をしてあげた方がいい!」って判断した人は、拍手が足りない分を、自分が倍叩いて盛り上げようとするから、


 (´・Д・)」空気が変なのよ。

 コレは、コレはもう、ハッピー・デス・デイやで。マジで。
 ちなみに3組目のカップルはおそらく夜職っぽい女性と、ダンディな年上男性だったと思う。まあ、初々しい大学生カップルじゃなくて良かったとは思うし、申し訳ないが夜職っぽい雰囲気だったから「まぁいいか」って思われてたと思うし、その分、サプライズを用意したダンディな男性からすると大失態もいいところで同情すると言うか、要するに店てーーー


 店内が暗くなった。


 (´°Д°)」本気か!?


 流れ始める、


 ハッピーバースデー♪


 よもやの一晩に4連続ハッピーバースデー。
 こんなにも、いたたまれない気持ちでディナーを食べたのは、おそらくこの夜だけだったと思う。
 たしか、この日は当時付き合っていた女性と食事に来ていたと思うのだが、


 (´・Д・)」この店にはもう、
 連れて行かない方がいいな。


 って思ったわ。うん。個人的には好きな店なんだけどね。うん。

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 なお、この先にはレストラン・デートの重要なコツしか書かれてません。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。