イミテーションは愛せない
皆さん、こんにちは。SF大好き、木賃ふくよし(偽物)です。いえ、本物ですけれど。ええ。
さて。タイトルでピンと来た老人男性もいらっしゃるかとは思いますが、本記事のタイトルは、1980年代に発売されたエロゲームのタイトルをそのまま利用させていただいております。
ストーリー重視のエロゲームであり、爆発的なヒットにはならなかったものの、完成された物語で根強いファンを持っている。
ぶっちゃけて言うと、ゲームとしてはイマイチで、物語のボリュームも薄べったい。
当時のゲームだからグラフィックもショボいし、物語の掘り下げもないと言えるだろう。
また、物語重視と書いたが、お話自体は今となっては使い古された展開なので、
(´・Д・)」どっかで見たヤツ。
と言われる事は間違いない。って言うか、
(´・Д・)」SF映画
「ブレードランナー」
のモロパクなのよね。
今のゲームを当たり前だと思ってる人間にプレイさせたら、
(´・Д・)」え?ショボい。
って言われる事は間違いないのだが、それでも人気の火は絶えずに続いている。
理由は、いくつもあると思うのだが、ワタクシが思うに、
エロ目的で買ったゲームが、予想に反して、星新一のSFショートショート的に面白かった。(正確にはP・K・ディックの短編)
って事ではないかと思っている。
そう。言い方は悪いが、プロレスを観に行ったら、何故かガチの総合格闘技の試合が始まって、それまで総合格闘技の試合を観たことがなかったから、
(´・∀・)」 なんか、
予想と違って
おもしろかった。
って感想が出ちゃった感じ。なんて言うか、ヒロインのアイドル女優を目当てで、物語を期待せずに映画を観たら、サブヒロインの女優が思いのほか可愛くて、「この女優もアリなのでは?」みたいな感じなんだけど、わかってもらえるだろうか。
今更となってはプレイする手段も殆どないし、完全にネタバレすると、近未来世界、突然女児の出生率が激減するという謎の現象に見舞われた世界は、IW(イミテーション・ウーマン。イミテーションは模造品を意味し、特に紛い物の意味が強い)という生殖機能を持たない人造人間を作り出す。
しかし、IWのお披露目直後に、出生率は正常化してしまい、まともな活躍の場を与えられないまま、IWはお払い箱となってしまう。
そして時が過ぎ、人間の女性よりも見目麗しく、男性の好みに調整されたIWは人間の女性の尊厳を奪うものとして、抹殺対象に認定されてしまったのだ。
主人公は内閣調査室のエージェントで、冷酷で腕利きのIWハンター。コードネーム"D"である。
室長に呼ばれ、歌舞伎町の風俗店に潜伏していると言うIWを狩る任務を請け負う。
(´・∀・)」 IWの
判別方法はSEXだぜ!
って辺りが雑なエロゲーム感満載なんだけど、ここまでがプロローグ。
主人公「D」は室長秘書であるヒロイン「秋」からIW判別機と、安楽死用の薬と、抵抗や逃走された場合の射殺用銃「ブラスター」を受け取り、歌舞伎町へ赴く。
浮浪者からIWを雇っていると言う噂の風俗店数軒の情報を手に入れ、調査に行くが、もちろん誰一人として自分がIWとは言わない。
だが、そのうちの1件から、ボロを出したIWを見つけ、電話の相手から、どうやらハンターの情報が漏れているらしい事を知る。
命乞いをして逃げ出すIWを射殺するD。そして、射殺したIWの情報から、残ったIWを5人ぐらいSEXしてから射殺する。(←ココまで半日の出来事。昼まで)
そして、任務を終えたDは、自室で手料理を振る舞ってくれる調査室室長秘書と熱い夜を過ごすのだった。
情事の後、ピロートーク的にDは「なぜ、IWが命乞いをし、逃げ出す選択は取るのに、人類と戦おうとしないのか」という疑問を口にする。秋は「IWと人間にどんな差があるのか」とアンニュイな事を言い出す。
秋は不安を消すためにDの本名や、過去の話を聞きたがるが、「エージェントがそれを明かせる訳はない」と一笑に伏すのだった。(←1日目終わり)
そして翌日(?)、ふとした事で鳴った音が、IWの電話の向こうから聞こえた音だと気付く。
そう。IWにハンターの情報を流していたのは、恋人である秋だったのだ。
秋はIWだったのである。
動揺しながら秋を射殺しようとするD。秋もDに殺されるなら本望だと告げる。だが、死ぬならばその前に告げておきたい事がある、とVTRを見せる。そこで語られる真実。
なぜDが本名も過去も明かさなかったのか。いや、明かせなかったのか。
D自身もまた、IWハンターとして作られたイミテーションだったのだ。
冷酷なハンターとしてDを作ったのが人間である。イミテーションと人間の戦いは幕を開けたのだ。【完】
(´・Д・)」割とマジでコレで全部。
総プレイ時間で言えば3時間もないぐらい?
しかもこのゲーム、実はエロゲームではなく、その2年前に一般ゲームとして発売された「イミテーション・シティ」というゲームのリメイクなのである。しかも、その制作は「428」などで知られるイシイジロウ氏。更に「イミテーションは愛せない」の制作には一切関わっていない。
そう。「イミテーションは愛せない」こそが「イミテーション・シティ」のイミテーションだったのである。
と言うか、イミテーション・シティがそもそも「ブレードランナー」のイミテーションであり、ブレードランナーも原作となるディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のイミテーションだと言えなくもない。
そう。もはや何がオリジナルで、何がイミテーションなのかを判別できる人間などいないと言えるだろう。
ちなみに、この「イミテーションは愛せない」の人気の秘密のひとつは「タイトル」にあると思っている。
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、「ライ麦畑の捕手」ではなく、「ライ麦畑で捕まえて」なのである。
「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」ではなく、「あるいは牡蠣でいっぱいの海」なのだ。
「ツァラトゥストラはこう語った」ではなく、「ツァラトゥストラはかく語りき」なのである。
「イミテーション・シティ」ではなく、「イミテーションを愛せない」でもなく、「イミテーションは愛せない」のだ。
「を」でも「では」でもなく、この「は」が重要だとワタクシは言いたいのだが、伝わるだろうか。「紛い物は愛せない」という主観と客観、正解と不正解の入り混じったタイトルが想像力を掻き立てるのだとワタクシは思う。
さて。長々と語ってしまったが、本日の本題に移りたいと思う。何と言うか、前振りを全否定してるような展開ではあるが、
(´・∀・)」むしろ、
イミテーションが
好きなのよね。
ってケースは多々あったりしませんか? って思うんですよ、ええ。
以前、エレクトーンに代表されるような電子オルガンが、近年は機器の発達によって、
(´・Д・)」何でも出来ちゃう鍵盤楽器。
になっちゃってて、昔のフツーのエレクトーンの音色が、本物のオルガンでも、電子キーボードでもなく、「電子オルガン」という紛い物として好きだったのに。って話をされて、「なるほど」と思ったのである。
そう。人間には妙な「本物信仰」があり、ラクトアイスはアイスじゃないとか、コーヒー飲料はコーヒーじゃないとか言いたがる傾向にある。
市販の毒々しい黄色のたくあんなんて本物のたくあんじゃないとか。
純米酒じゃない日本酒は醸造アルコールを加えてるから日本酒じゃないとか。
しかし、普通酒ばかりを飲んできた人にとっては純米大吟醸の方が不味く感じたり、下手すりゃ紛い物になってしまう。
例えば、ワタクシはコーヒーは好きだし、インスタントコーヒーも好きなのだが、ブラックの缶コーヒーはまるで美味しいと思わない。むしろ、缶コーヒーなら、砂糖と牛乳の入ったコーヒー飲料の方が完成度が高いと思う。
また、オリジナル曲とカバー曲だと、9割ぐらいはオリジナルの方が好きだったりするが、「ノッキン・オン・ヘヴンズドアー」はボブ・ディランより、ガンズのカバーの方が好きなんて例もある。
そして、個人にとっては「どっちを先に聴いたか」でオリジナル(原体験)が決まる訳だ。
そう。オリジナル(原型)としては、オリジナルがなければイミテーションは生まれないから、オリジナルに対するリスペクトは持つべきであろう。
しかし、オリジナルだから愛さなければならない理由はないし、イミテーションを愛せない理由もないのである。
で。結局、何が言いたいかと言うと、ワタクシ、
(´・Д・)」ラーメンより、
カップラーメンの方が
圧倒的に好きなのよね。
インスタントうどんは別物として、それぞれ好き。インスタント蕎麦はイマイチで、本物の蕎麦が好き。
で。結論として言いたいのは、近頃、インスタントラーメンの技術が上がって、妙に本物のラーメンを再現しようとしてるカップラーメンが増えてきてるんだけど、ワタクシからすりゃ、
(´°Д°)」紛い物の
方が好きだから、
変な進化すんな。
って思うんですが、わかってくれる人はいるだろうか。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。