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BORN TO RUN

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格闘小説。
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記事一覧

BORN TO RUN "Twisted sister"

 試合の後、控え室で倉科賢太郎は泣いた。  氷室丈二に完敗したのだ。倉科とて、プロ格闘家…

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BORN TO RUN " ONE "

 打撃に、一撃必殺などない。空手にその身を捧げて30と数年。それが、空手家唐沢英一朗の導き…

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BORN TO RUN 『BEHIND THE MASK I』

 誰もいない道場で独習を終え、マットにモップをかける。  後はもう、電気を消して、鍵を掛…

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BORN TO RUN "BEHIND THE MASK II"

 船井紀里也。フナイキリヤの真ん中を取って、リングネームは「ナイキ」だ。  17歳の若さで…

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BORN TO RUN "美獣"

 これまでのシリーズ  今風の言葉で言うなら、生まれた時から「勝ち組」だったと思う。  …

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BORN TO RUN " HERO "

 「今夜の俺はヒーローになります!」  試合直前のインタビューに、倉科賢太郎は、やや緊張…

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BORN TO RUN "BIG GUN"

 これの逆視点。↓  器用な子ではなかった。  生まれつき、器量の良い子供ではなかったと両親は言う。  言葉を覚えるのも遅かったし、話すのも得意ではない。勉強が出来る訳でもなかった。  そして、多くの人間が信じないが、運動もからっきし駄目だったと言う。  思い返すに、現在の言葉で言うならば、極めて弱度の自閉症だったのではないか、という疑いを持っている。  石井宗達。空手界が産んだ怪物の名だ。  両親は石井が小学生の時に離婚している。原因はおそらく自分だったのではないかと、石

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BORN TO RUN "GO WEST"

 ゴングが鳴った。歓声は最初から最高潮だったと言える。  日本格闘技界最強を決める、と言…

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BORN TO RUN

Ⅰ 「STRANGER」  2004年8月17日、横浜アリーナ選手控え室にて。  「戦い…

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BORN TO RUN

 いつものランニングコース。毎日、行きと帰りで欠かさず15kmは走り込んでいる。今は帰り道の…

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" BORN TO RUN "

 分解。という言葉がある。  その男、愛川心には、何もわからなかった。  分解。それは、モ…

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BORN TO RUN IV

 進藤アレクは、未だにこの事態が信じられないでいた。  アマチュアレスリング日本代表に選…

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BORN TO RUN -達人-

 「現代武術、ですか?」  枯れ木のようなその老人の言葉に、僕は素っ頓狂な声をあげた。  …

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BORN TO RUN V

 この男がギリギリのラインで五輪の選に洩れた理由を、目の当たりにした。  国木明彦。無冠の柔道王と呼ばれたこの男がプロ転向の意思を見せたのは、半年前。  日本オリンピック委員会(JOC)と柔道連盟は、選考会議を開き、「優等生」志方謙一を推した。  最終選考まで残りながらも、国木は五輪出場の道を失ったのである。  「オリンピックは、国の威信を掛けて戦うレベルですからね。プロ格闘家が強いったって、そこまでの覚悟を背負ってる人は少ないですよ」  国木は私にそう告げた。  「自分が

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