生きている人間を「状況の産物」として眺める
遺伝か環境か――このような二分法は適切ではなく、「遺伝も環境も」という言い方が適切だろう。
「自らは自由に意思決定している」。このような信念を抱く者は多い。現行の社会制度もこの考えを下地につくられている。
けれども、個人の選択によって影響を与えられる範囲は限りなく狭い。なぜなら、当人は、物理的な身体及びその身体をとりまく環境に大きく規定されているからである。
現代の脳神経科学が示すところによれば、行動をする直前にそれをしないか否かを決定する程度の選択しか私たちはなしえな